今回、出馬を取りやめた泉田知事と、新潟日報の軋轢。
こんなことぐらいで?と思いながら調べてみたら、全然こんなことぐらい?ではなかったので、まとめてみました。
その日報には、東電から、1000万円もの広告が5回も出されていました。
そして、泉田知事の、10月の知事選への出馬撤回の意向が発表された後、柏崎狩羽原発の再稼動が見込めるとばかりに、東電株が1年3ヶ月ぶりに上昇しました。

(31日、東電株は一時、前日比12%高の417円まで上昇。昨年5月21日以来の上昇率を記録した。
東電は、柏崎の原発2基が稼働すると、毎月200億円の利益が見込める、と早くもそろばんをはじく)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-31/OCQZD46K50Z501
で、これは今日、フェイスブックの記事で見つけたものですが、新潟県のびっくりな新聞事情が書かれていました。
泉田知事が、このままでは真意が伝わらず、選挙にならないとおっしゃっていた意味がわかります。
↓以下、転載はじめ
新潟県の新聞事情を調べてみました。
地元紙は「新潟日報」一紙のみ!
1942(昭和17)年に、新潟日日新聞、新潟県中央新聞、上越新聞が合併して、県内の新聞は一つになった。
ブロック紙である「中日新聞(北陸中日新聞含む)」も「河北新報」も、新潟は配布エリアに入れてもらえていない。
「北國新聞」があるけれど、石川県を中心に、両隣の富山と福井まで。
好むと好まざるとに関わらず、新潟県にお住いの方たちは、「新潟日報」しかなく、
或る意味、無自覚に、「新潟日報発信の情報」にしか触れられない世界に、置かれてしまうことになっていると思われます。
「新潟日報以外にもう一紙、全国紙を購読」という家庭は、そう多くはないであろうし、
「新潟日報」とローカルのテレビの情報からしか、ニュースを知る術のない暮らしをしている方たちにとって、
この「新潟日報」の存在感は、もはや”絶対的”。
発行部数約44万部。
それ自体は、決して大きな数字ではなさそうに見えるけれど、普及率はほぼ50%超え、ダントツです。
因みに、新潟県内のNo2は、読売の約10万部(普及率11%)、No3の朝日は、約5万5000部(普及率6%)。
差は歴然としています(※普及率とは、発行部数/世帯数 です)。
見渡す限り、殆どの家庭や施設が、「新潟日報」(だけ)を読んでいる光景が、細長い新潟全土に広がっている…。
その巨大な力を持つ、新聞というメディアを使って、「新潟日報」が、知事と県民の分断を謀ったのだとしたら?
それは、”赤子の手をひねる”程度のことで、できてしまうでしょう。
何せ、「新聞といえば新潟日報」、なのだから。
この状況下、「県と市町村の連携が取れていない」って、取れなくなるのも無理からぬこと。
↑以上、転載おわり
↓以下は、中村隆市氏が書かれた記事です。こちらもフェイスブックよりお借りしました。
東電福島原発の事故処理費の「国民負担額」が、昨年度末までで、4兆円を超えた。
一方、東電社員の年間平均給与は、3年前より133万も増えて、733万になっている。
さらに東電は、新潟日報(柏崎刈羽原発の再稼働について「福島の事故の検証と総括が先だ」と認めてこなかった泉田新潟県知事を、執拗に攻撃し続けている地元紙)にも、1回1千万円かかる全面広告を、今年だけで5回掲載している。
給料を大幅アップし、新聞広告だけで5000万も使う(テレビCMも県内の民放4局でそれぞれ月60本も放映している)企業を、なぜ国民が支える必要があるのか?
誰がそれを認めているのか?
◆泉田・新潟知事、4選出馬を撤回 地元紙との対立理由に
(2016年8月30日 朝日新聞)から抜粋
10月16日に投開票される新潟県知事選へ、4選を目指して立候補を表明していた泉田裕彦知事(53)が30日、立候補を取りやめる意向を示した。
地元紙・新潟日報の報道姿勢について、県の説明を読者に伝えていないなどと批判し、
自身の訴えを県民に届けることは難しいとして、「知事選からは撤退したいと思う」と説明した。
メディアとの対立を理由に、政治家が立候補を撤回するのは異例。
県庁幹部は、突然の撤退発表に、「先週末まではやる気満々だったのに……」と驚いていた。
日本海横断航路で使うフェリーの購入を巡り、県出資の第三セクター側と、売り手の韓国企業の間で起きた、売買契約のトラブルについて、
泉田知事が、「船の選考作業が進展している事実は把握していた」などとする新潟日報の報道に対し、
県は、「知事には契約後に報告があった」と、再三同社に訂正を申し入れ、泉田知事も会見などで批判していた。
泉田知事は、2011年の東京電力福島第一原発の事故後、新潟県の東電柏崎刈羽原発の再稼働について、「福島事故の検証と総括が必要だ」と主張。
再稼働に、慎重な姿勢を続けていた。
売買契約のトラブルに焦点が当たり、重要な原発問題が議論されていないとして、この日、記者団に、
「私が引いた方が、原子力防災、原発の議論がしやすくなると思う」と述べた。
http://www.asahi.com/articles/ASJ8Z4RLXJ8ZUOHB008.html
◆泉田裕彦・新潟県知事が、4選出馬を撤回
新潟日報批判で「東電との関係」に言及(UPDATE)
(2016年8月30日 The Huffington Post)から抜粋
■福島第一原発「メルトダウン隠し」、東電に厳しい姿勢
大きく注目を浴びたのは、福島第一原発のメルトダウンを巡る、東京電力への厳しい姿勢だった。
東電が求める県内の柏崎刈羽原発の再稼働について、泉田氏は、「福島の事故の検証と総括が先だ」と、認めてこなかった。
その発端になったのは、福島第一原発事故から7日後の、2011年3月18日。
泉田氏は、柏崎刈羽原発の関係者を呼んで、福島の状況説明を受けたが、
メルトダウンについて、「可能性を含めて認めなかった」ことを、問題視した。
新潟県は、独自に、「技術委員会」と呼ばれる有識者会議で、福島の事故の検証を続け、技術委は、東電に、再調査を要求。
東電は当初、メルトダウンについて、「定義されていなかった」と説明していたが、
2016年6月、「メルトダウンの判定基準が、社内マニュアルに明記されていたが、5年間、その存在に気づかなかった」と発表し、謝罪した。
泉田氏の8月30日の文書では、新潟日報社の、原発報道を巡る姿勢も、批判している。
『東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、
国の原子力防災会議でも問題が認識されている、原子力防災については、
例えば、県が指摘している現在の指針に従えば、避難が必要になったときには、UPZ圏内の住民40万人強を、2時間で避難させなければならなくなる問題等、
県民の生命・健康を守るうえで、重要な論点の報道はありません。
このような環境の中では、十分に訴えを、県民の皆様にお届けすることは、難しいと考えています』
(いずみだ裕彦 後援会Webより 2016/08/30)
http://www.h-izumida.jp/topics/20160830.html
記事全文
http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/30/izumida-niigata_n_11771144.html?utm_hp_ref=japan-politics
◆内田樹ツイッター
https://twitter.com/levinassien/status/770840469949517824
◆福島事故 国民負担4.2兆円 東電の除染、廃炉費転嫁
(2016年8月29日 西日本新聞1面)
◆東電社員、給与は急回復 原発事故費転嫁 15年度平均733万円
(20168月29日 西日本新聞3面)
◆負担額4兆2000億円超す=福島原発事故で国民転嫁―除染・廃棄物費用など
(2016年8月29日 時事通信)
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10206673481346370&set=a.3281883576618.2115561.1553451884&type=3&theater
↑以上、転載おわり
↓ここからは、IWJ の原さんが書いてくださった記事です。
8月31日に行われた定例記者会見の、質疑応答の部分を抜粋します。
前略ー
以下、8月31日に行われた、泉田裕彦新潟県知事の記者会見における、選挙戦撤退に関する質疑部分を掲載する。
▪️「訂正を求めたことを、『圧力だ』と言われても理解ができない」
朝日新聞:
日本は民主主義社会なので、暴力や脅しなどが仮にあったのだとすれば、許すべきことではない。
知事やご家族へ、知事選に出ないでほしいというような圧力はなかったか?
泉田知事:
圧力の定義にもよるが、日本海横断航路の問題を使って、知事選への立候補を取り下げるようにするプロジェクトがあり、取材の申し入れを受けたことは事実としてある。
それ以外にささやかれたものを、この場でご紹介することは適切ではない。
朝日新聞:
知事の原発への姿勢などを、支持する方々もたくさんいる。
知事が撤退したのは、意中の候補がいるのではないか。
原発に対して、知事と同じスタンスで歩もうとする候補者が出てきたら、街頭に一緒に立つ可能性はあるか?
泉田知事:
告示までまだ1か月ある。
新潟の未来をどうするべきか、原発、原子力防災とどう向き合うべきか、真剣に議論する選挙であるべき。
しかし、日本海横断航路の船舶問題が前に出てくると、県民が今後、新潟県をどうするのかという議論が、できなくなってしまう。
したがって、無投票というのは、やはり避けるべきだと思う。
選挙戦で、しっかりとこの辺りを議論して、地域全体のコンセンサスになっていくような、選挙戦になることを期待している。
NHK:
今朝の朝刊で、新潟日報が、(「正当な記事へ圧力」だという)見解を出していたが、どう感じたか?
泉田知事:
斜め読みしかできていないが、『圧力ではないか』という点について、県からは、都合10回ぐらい、事実に反する記事についての訂正を求めた。
これを、『圧力だ』と言われても、少し理解ができない。
もし圧力だと言うのであれば、『県からはこういう申し入れがあった、これに関して我が社はこう思う』と、紙面上で議論すればいいのではないか。
特に、読者の投稿欄で、『説明責任を果たせ』という投稿が、編集によって載ったので、県は、2日後には、回答をお送りした。
しかし、待てど暮らせど載らないので、(どういうことかと)うかがったら、『載せない』ということだった。
どうして、説明責任を果たせという投稿を、紙面に載せておいて、県は回答を出しているのに載せないのか、しっかりと議論すべきではないか思う。
民主主義は、情報を、主権者・国民、県民、住民に伝えたうえで、どうするかを判断するもの。
新潟日報の場合は、40万部を超える発行部数があり、毎日(新聞が)県民に届く中で、この主張が載せられない。
県からはちゃんと回答を出しているのに、載せられないとなると、民主主義の基盤が揺らぐのではないか、と懸念している。

******* ******* ******* *******
「新潟日報」からは、なぜ、県としての回答を、紙面に載せないのか、その理由の説明はなかった。
「新潟日報」は、泉田知事の指摘に対して、誠実に答える義務があるだろう。
******* ******* ******* *******
▪️産経新聞が、泉田知事の選挙撤退理由について、「非常に信じがたいと言うか、あり得ない、非常に恥ずかしい、情けない」と言及
産経新聞:
撤退の理由は報道だ、というのは、社会的な常識に照らすと、ちょっと考えにくい。
しかも、県のトップを10年以上勤めている方が。
非常に信じがたいと言うか、あり得ない、非常に恥ずかしい、情けないと思う。
撤退の本当の理由は何か?
泉田知事:
本当の理由は、『ちゃんとした声を、県民に届けることができない』と認識したということ。
(新潟日報社に)直接申し入れをしているが、対応していただけない。
説明しろと紙面で書かれたので、回答すると、載せてもらえない。
これで、県民の皆さんに、訴えを届けるのは難しい。
本当に悲しい思いをしたことが、撤退の理由。
産経新聞:
撤退の理由は他にはないか?
泉田知事:
実は、いくつか世論調査、情勢分析を、私は見ている。
選挙をやれば、負けないと思っている。
ただし、訴えが届かないかたちでの、選挙戦になる。
本来は、新潟県政をどうすべきか、地域の安全をどう守るべきか、原発、安定ヨウ素剤、原子力防災とどう向き合うのかという、未来に向けての議論をすべきだが、
今の環境だと、船舶問題で県の関与があったかどうか、みたいなことがテーマになる。
それは、極めて本意ではない。
本来、県民に訴えたいことが訴えられない形で、ここまで来ている。
だから、それは避けるべきだというのが、大きな理由。
産経新聞:
今選挙をやれば勝てるとか勝てないとか、それは、有権者に対して不遜だと思う。
審判をあおぐ立場にある方が、そんなに軽々しく、勝てるとか勝てないとか言うべきではないのでは?
泉田知事:
ですから、審判は受けない、ということ。
******* ******* ******* *******
上記の通り、産経新聞の記者は、質問の形を借りて、泉田知事を侮辱し、挑発するような発言に終始していた。
その産経の記者が、「不遜」という言葉を使ったのには、驚かされた。
攻撃的な質問を繰り返す、各社の記者たちの中でも、ひときわ浮いていた産経の記者は、自らの「不遜」さについては、自覚はないのだろうか?
******* ******* ******* *******
▪️泉田知事「『説明しろ』という投稿を載せて、編集した以上、県からの回答を握りつぶさないでいただきたい
読売新聞:
メディアを通して(県民に声を)届けられないのであれば、実際に、ご自身が、選挙で街頭に立って、直接選挙で訴えたらいいのではないか?
泉田知事:
毎日40万部発行される新聞と、目の前の聴衆数十人に対する、全県を回っての訴えかけが、どこまでどう届くのかということについては、やはり差があるかと思う。
産経新聞:
今後、新潟日報社の説明責任のあり方について、どのようにお考えか?
泉田知事:
事実に反する部分というのを、県は具体的に指摘している。
これについて、どこが新潟日報社と主張が違うのかということを、紙面上で議論していただきたい。
それから、『説明しろ』という投稿を載せて編集した以上、県からの回答を、握りつぶさないでいただきたい。
その上で、議論したらいいと思う。
県のホームページは、(1日あたり)数千アクセスで、もう一方は、40数万部が毎日出ているというのでは、やはり議論にならないのではないかと感じている。
産経新聞:
今後、知事として、新潟日報社、あるいは多様なメディアを通じて、どのような発信、働きかけをしたいと考えているか?
泉田知事:
老兵は去りゆく。
今、知事としてやることは、県民の皆様の付託に誠実に応えて、県政を推進するということ。
毎日新聞:
老兵は去りゆくというが、一方で、春先の県政報告会で、原子力防災に関しては訴えていきたい、誰が言おうと訴えていきたいと、非常に情熱をもって仰っていた。
矛盾していないか?
泉田知事:
今回の選挙が、この日本海横断航路の船舶問題ということになると、訴えられない。
皆さん方の関心が、船舶購入で県の関与があったかどうかに向くと。
調査を待たないとわからないが、これまでのところ、『だまされた感』もある。
県と言うより、現場が。
ブローカーが入って、というようなところ。
県がどうしたというところばかりに関心が集まると、情熱をもって、原子力防災どうあるべきか、原発とどう向き合うべきかという話は、関心の外。
今までそういう流れできているので、むしろ引く方が、結果として、新潟の未来をどうするのか、原発をどうするのかというところに(関心が)行くので、初心貫徹だと思う。
▪️泉田知事の撤退で上がった東電の株価、「世の中そういうふうに見ていたのかと、素直にそのまま受け止めている」
新潟日報:
今回の選挙は、知事の後援会が、自民党や公明党など、各党に推薦願を出していたが、
各党が、前回までの知事選と違い、告示1か月近く前まで対応を決めていない状況について、その理由、原因を、知事はどのように分析しているのか?
泉田知事:
認識はあるが、新潟県として、行政のための記者会見なので、コメントは差し控えたい。
テレビ新潟放送網:
知事の撤退が発表されて、東京電力の株価が上がっているが、どのように受け止めているか?
泉田知事:
森民夫・長岡市長の、知事選出馬会見のときは上がらず、私が撤退すると上がるというのは、
世の中そういうふうに見ていたのかと、素直にそのまま受け止めている。
テレビ新潟放送網:
今まで、厳しい姿勢をしていたわけですが、それが逆に、(柏崎刈羽原発の)再稼働に進んでいくのではないか?
泉田知事:
次の新潟県知事選挙が、日本海横断航路問題への県の関与がテーマではなく、自分たちの故郷をどうするかというテーマで、議論が進んでいく。
また、株価も影響を受けるかもしれないので、今は、予断をもって何かお話する段階ではない。
▪️「私が引くことで新潟をどうするか、原発にどう向き合うのかという純粋な議論ができる」
NHK:
これまで、原発、原子力の政策に力を入れてやってきて、途中で任期が終わられる。
これを、どのようにご覧になっているのか?
泉田知事:
外部から見守っていきたい。
NHK:
今まで知事は、福島第一原発事故の検証と総括なくして、(柏崎刈羽原発の)再稼働の議論はないと言っていたが、それはどのようにとらえているのか?
泉田知事:
だからこそ、原発事故の検証と総括、対策をどうしていくのかというところは、次の県知事選挙で議論していただきたい。
今、福島県からも、大勢の方が、新潟県に避難をしてこられている。
この方々の苦しみを、新潟県民は、肌身で感じている。
これに向き合った選挙、自分たちで意思表示ができるような選挙戦を、期待している。
そのためには、退いた方がいいということ。
NHK:
退くことで、もしかしたら、すごい再稼働に向けて進むかもしれない。
泉田知事:
反対だと思う。
私が(知事選に)出ると、多分、日本海横断航路問題が、選挙戦のテーマになる。
私が退くと、そうではなくて、新潟の未来をどうするか、原発にどう向き合うのか、原子力防災どうするのかという、純粋な議論ができるので、
退いた方が思いを遂げられる、ということではないか。
▪️新潟日報が反論!「新潟日報としては事実を書いている。圧力には屈せない」
新潟日報:
新潟日報としては、事実を書いている。
知事、および桐生交通政策局長からの申し入れも、適正な報道を求める、というものが多くて、
適正な報道をしているのに、適正な報道を求めると言われても、『はい、そうですか』で終わりだし、
事実を書いている以上、それを直せという圧力には、私たちは屈せない。
先ほどから、選挙戦になったら、40万部以上の新聞社と自分の街頭演説とを、同じように並べ立てて、
まるで私たちが、偏向している報道をするかのようにおっしゃっているが、これに対しては抗議する。
争点化の話だが、今回の日本海横断航路の問題は、新潟県庁の体質や、今後どうするかといった、県の未来に密接に関わっている問題だ、と認識している。
それが争点になったらいけないというのを、まさに当事者である、知事本人が言うのは、有権者に対して非常に失礼なことではないか?
泉田知事:
まず、訂正を求めている。
内容についても、あくまでも『適正な報道を』と言っているわけで、
(自らの主張に)自信があるなら、県の申し入れを書いたうえで、『我々はこう判断した』と、紙面上で訴えたらよろしいのでは。
言論には言論で、というのが、民主主義の鉄則だと思う。
新潟日報:
だから、そういう県の要望、申し入れを踏まえて、その翌日なり、翌々日なりに、記事として出している。
それが回答。
泉田知事:
こういう県の申し入れがあった、というのが出ていない。
それから、読者の投稿欄に対する回答は、なぜ載せないのか?
新潟日報:
それは、会社として、私ら記者の決めることではない。
今、私が、ここでは答えられない。
泉田知事:
では、会社として、回答をいただけるか?
新潟日報:
先日あったでしょう。
泉田知事:
だから、『総合的に(判断)』ではなくて、なぜ説明責任を果たせと書いておいて、その部分について回答しないのか?
新潟日報:
それはやめましょう、ここでは。
わかりました。
あとで、文書なりでください。
時間がもったいない、それは。
泉田知事:
どうしてそこはもったいないのか?
大事なところだと思う。
新潟日報:
私が答えられないのに、今それを言われても、しようがないではないか?
泉田知事:
上司に報告していただけるか?
新潟日報:
先日、うちの局長が、知事に述べたとおりです。
泉田知事:
だから、なぜ、回答を載せないのか。
自らの編集で、説明責任を果たせという投稿を載せておいて、県が回答をすると、今度はそれを掲載しない。
この判断が、なぜ『総合的な判断』なのか。
ここを回答いただきたい。
新潟日報:
それは伝える。


******* ******* ******* *******
「なぜ、回答を紙面に載せないのか」という泉田知事の問いに、
「私ら記者は答えられない」と逃げを打ちながら、
社を代表するように、「抗議する」と言う記者。
知事と記者の応酬は、公然と行われたのだから、この記者の「上司」は、なぜ、県からの回答を紙面に載せなかったのか、県民、国民に向かって説明する義務がある。
泉田知事の撤退は、新潟県だけの問題ではない。
全国に影響を与える問題である。
撤退の決断に追い込んだのは、新潟日報である。
新潟日報なりに、新聞社としての信念を持って、報道を行った結果であろう。
しかし、そのプロセスで生じた、「県からの回答を紙面に掲載しなかった決断」については、報道機関として、誠実に説明すべきである。
この記者の説明では、説明になっていない。
******* ******* ******* *******
▪️撤退の撤回はありえる?
泉田知事「基本的に、政治家が出処進退に言及したら、そこで決まり」
新潟日報:
今後、仮に公の場で、出馬要請のような意見がきた場合でも、やはり翻意はあり得ないのか?
泉田知事:
現段階では、そのような事態は起きていないので、コメントするには、なかなか適さないのではないか?
新潟日報:
今朝、そういった、(撤回してほしいという)意見があるが、翻意はないか、と聞かれたときには、あり得ないと言われていたが。
泉田知事:
煎じ詰めれば、そういうこと。
政治家が、一度撤退すると表明したものを、翻すことがあるのか、調べてみたら、そういうことはあったらしい。
私が翻すという意味ではないが、基本的に、政治家が出処進退に言及したら、そこで決まり。
▪️福島に、免震重要棟を設置させた、立役者の泉田知事「原発震災を疑似体験したのが、中越沖地震だった」
朝日新聞:
これまでの任期の中で、原子力防災や原発に関連して、印象深かったことはどのようなことか?
泉田知事:
私が知事に就任する30時間前に、地震が発生したので、最初の職務は、震災対応だった。
特に、災害と原子力という意味で言うと、その2年半後に起きた中越沖地震で、柏崎刈羽原発が、震災によって火災事故を起こした。
複合災害、世界で初めての原発震災、ということだったと思う。
あのときは、微量のコバルト60は出たが、ほぼ放射能漏れはない、という状況だった。
しかし、救急車、消防車が、現場に到達することが困難で、原発で火災が起きているときに、消火栓が動かないと、世界にどのようなメッセージが出ていくのか。
また、避難する方々に、どのような影響があって、そもそも情報が届かないケースがあるなど、原発震災を疑似体験したのが、中越沖地震だったと思う。
そもそも、柏崎刈羽原発とのホットラインが、通じなかった。
なぜ、ホットラインが通じないのか、事後的に確認したところ、ホットラインがある部屋が、地震でゆがみ、ドアが開かなくなり、県庁とのホットラインがつながらなかったということで、
それで、『何とかしてくれ』と言ってできたのが、免震重要棟。
そして、『免震重要棟が、柏崎刈羽原発だけにあるのはおかしい』と言って、福島にも免震重要棟ができた。
これが、東日本大震災の、8か月前だった。
福島第一原発事故の際、今度は、新潟県として、直接的に対応した。
特に、福島県からSOSで、電源が落ちて、モニタリングポストもうまく機能しないので、新潟県に助けて欲しいと。
県からは、専門能力を持った職員と、機材を送った。
そのあとの展開は、いろいろあるが、結果として、
避難された方がどのような形でこられるのか、
スクリーニングはどのような形で進めればいいのか、
避難所の振り分けはどうするのかなど、
当事者の一人として経験した。
原発震災が起きたらどうなるか、避難するとどのような問題が生じるか、
組織として、職員として経験したので、大変印象深かった。
この経験で、どこに穴があるのかわかっているにもかかわらず、目をつぶってしまうことは、
後世に対して責任を果たせないだろうということで、これまで、問題点を提起させていただいている。
それが、もしかすると、こういうかたちで退任に結びついているかもしれないが、
馬鹿正直で真面目なのかもしれませんが、一生懸命やらせていただいたつもりだ。
▪️「原子力規制委員会が決めたことは、金科玉条のごとく守るということでは、住民の命、健康を守るのは難しい」
朝日新聞:
昨日、発表された文書の中に、『東京電力の広告が、新潟日報に、今年5回掲載されている』という一文があるが、この一文が入った意味は?
泉田知事:
事実関係だけです。
共同通信:
日本海横断航路計画に関して、県がどうしているのか、というところにばかり焦点が当たっているというが、
出馬表明から半年が経ち、選挙戦も間近になっていても、知事は公約を出していない。
何をやりたいかという話を、具体的にしていない中で、県の現状に焦点が当たるということも、致し方ないのでは?
泉田知事:
次の知事選挙は、未来を語り、原発・原子力防災とどう向き合うのか、しようがないではすまない話。
未来を語る選挙にする必要があると思う。
UX新潟テレビ21:
原子力災害時における避難計画が、現実にそぐわないという点を、常に指摘されているが、
先週末に、関西電力高浜原発で、(過酷事故を想定した)広域避難訓練が行われたところ、
悪天候により、(住民輸送用の)ヘリ4機のうち2機が飛ばず、船も3艘すべて使えなかった。
悪天候について想定されておらず、とりあえずは、バスと救急車を使用したということだが、避難計画の想定が甘いということなのか、
知事としては、どのようにすべきだと考えるか?
泉田知事:
新潟県の訓練ではないので、新潟県知事としてのコメントは、少し差し控えたいが、
一般論で言うと、現実にそぐわない原子力災害対策指針、になっていることは間違いない。
平成28年の熊本地震を例に挙げると、今の指針に従えば、UPZ(30km)圏の方は、屋内退避ということになる。
ただし、余震が続く中で、屋内退避すると、命に影響が出るケースがあり、
実際に、熊本地震では、前震の後に屋内退避して、亡くなった方が出ている。
こういった、複合災害の場合にどうするのかということは、指針上書かれていない。
さらに、屋内退避した後に、放射線量が上がった場合は、避難するが、避難する場合の基準が、毎時500マイクロシーベルト。
つまり、避難しなければいけなくなったときには、2時間で避難しないと、年間被爆線量の上限を超える。
新潟県で言うと、柏崎刈羽原発から5~30キロ圏内にいる約44万人を、2時間でどうやって避難させるのかということを、自治体に丸投げしているということになる。
そうでなく、やはり、分散避難させるとか、簡易シェルターを家の中に造るとか、もう少し現実的な対応をしないと、対応できないということになり得る。
原子力規制委員会が決めたことは、金科玉条のごとく守るということでは、住民の命、健康を守るのは、難しいのではないか。
ぜひ、こういった点も、(県知事)選挙戦で議論していただきたいと思う。
******* ******* ******* *******
事故が起きれば、誰が、県民のために正しい議論をしているのか、明らかになる。
だが、事故が起きてしまってからでは、取り返しがつかない。
すべて手遅れとなる。
事故を起こさないようにするためにこそ、真剣な議論が必要なはずである。
******* ******* ******* *******
日刊ゲンダイは、「地元紙からの攻撃だけでなく、新潟県内では、“泉田包囲網”が出来上がっていた」として、
新潟県庁関係者のコメントを、次のように紹介している。
「新潟日報は、今年に入って、フェリー問題をしつこく批判していました。
新潟日報は、泉田さんの政治手腕に疑問を持っていたようで、社内には、“泉田嫌い”が蔓延していたといいます。
新潟日報には、東電が広告を出していた。
さらに、今月には、泉田さんと近い自民党県議が、県連会長を辞任している。
泉田さんは、嫌気が差したようです」
日刊ゲンダイ 反原発のシンボル 泉田新潟知事が突然「出馬撤回」の背景

最後に、新潟県民に向けて出された説明文書を、ここに載せさせていただきます。
新潟新報の報道がどのようなものであったか、それに対して、県がどのように申し入れをしていたかが、
そして、なにより、日本海横断航路の船舶購入のトラブルの原因が、そもそもどういったものであるのかについて、簡潔に書かれています。
県民の皆様へ
新潟県知事 泉田 裕彦
日本海横断航路の船舶購入のトラブルの現状について
日本海横断航路事業については、県が出資した会社の子会社が関連した契約トラブルにより、船舶の購入が遅れ、プロジェクトが円滑に進んでおらず、
このことについて、県の最高責任者として、深くお詫び申し上げます。
8月5日に、県議会の、常任委員会が行われました。
そこでの質疑も踏まえ、この問題の概要について、県民の皆様にご説明します。
【日本海横断航路の意義】
大陸との貿易を含め、交流を行う場合、首都圏と最短距離で結べるのが、新潟経由で極東ロシアに至るルートになります。
新潟港の、オンリーワン航路を設定し、その拠点性を高めることを、目的としています。
【これまでの経緯】
日本海横断航路は、新潟の経済を活性化するため、平成19年、新潟経済界が会社を設立して、純粋な民間事業として開始されたものです。
その後、県も支援し、傭船で航路維持を試みましたが、安定運航ができず、これまで二度、頓挫しました。
このため、今回は、自前の船舶で、安定運航を目指すこととし、行政としても、それを支援することとしたものです。
【今回の日本海横断航路事業の趣旨】
船舶調達を行って、航路を設定した場合、初期投資が大きくなり、融資で資金調達した場合、元本返済も必要になるため、
当面赤字が見込まれる航路維持が、すぐに頓挫する恐れがありました。
このため、官民合同プロジェクトとして、民間とともに行政も、「出資」という形で支援を行い、
自己資本を増強した上で、安定運航を目指したものです。
行政の役割は、対岸諸国や、国内での集荷、集客受け入れ態勢の支援に加えて、横断航路運行会社の、経営資金調達への支援が、中心になります。
具体的船舶売買は、出資を受けた会社の子会社の、取締役会決議事項で、民間主導で行われることを想定した、制度設計でした。
【県の対応】
NAFJ PANAMA INC.(以下、「パナマ社」という)で、船舶の選定を進めていましたが、
絞り込み作業を進めていた船舶については、県からも懸念を示していた、いくつかの、明らかにしなければならない点がありました。
しかし、8月下旬、新潟国際海運㈱(当時は純粋民間会社)から、絞り込みを進めていた船舶の交渉を進めており、「手付け」の支払いが必要になるため、
資金を確保する目的で、県分の出資(他に新潟市、経済界からの出資を予定していました)を、求める要請がありました。
8月24日に、船舶購入契約をするには、未だ明らかにされていない、懸念の解消を行う前提で、
事務当局は、知事に対して、県分の出資の決裁を、求めたものです。
知事は、県分の出資は、官民合同プロジェクトへの支援であり、他の自治体、民間からの出資の、呼び水とする性格を有していたことから、
契約準備のためという理由を認め、これを決裁したものです。
【売買契約でのトラブル】
契約トラブルになった最大の原因は、
対象船舶が、横断航路運航に必要な、速度が出ないことでした。
これは、船舶の買い手であるパナマ社が、
試験運航の必要性が指摘されていたにもかかわらず、これを行わずに、
速度などの重要事項や、想定されるリスクを回避するための規定を、契約書に盛り込むことなく、取締役会決議で、購入を決めたことです。
この点、パナマ社の社長も、委員会で、責任を認めています。
(トラブルの経緯について、新潟国際海運(株)の、委員会提出資料参照)
【残された主な疑問点】
上記の、売買契約のトラブルに至った背景には、何があったのか、今後、以下の点を、解明していく必要があります。
・なぜ、パナマ社の社長は、関係者会議で、船舶の問題点が指摘されていたのに、取締役会に、問題がないと報告して、取締役会決議を行ったのか。
・パナマ社が、実際に「手付け」を支払ったのは10月だったのに、8月24日時点で、なぜ、資金を必要として、出資を要請したのか。
・パナマ社は、県が提示していた懸念事項(県の委員会提出資料P3参照)が、十分に解明されないまま、なぜ8月26日に契約をしたのか。
などです。
【これまで報道された疑問点と、それに対する対応について】
新潟日報社の下記の記事には、事実と異なる部分等が含まれています。
これに対して、申し入れを行い、適正な報道をお願いしたところです。
パナマ社は、試験運行できない事情を、最初から把握していたと見られる(新潟日報7月18日付記事)
→7月18日 パナマ社抗議文 参照
「知事、事前説明認める」(新潟日報 7月21日付記事)
→7月22日 県からの申し入れ 参照
「知事2度の説明認める」(新潟日報 7月28日付記事)
→7月28日 県からの申し入れ 参照
「県幹部が船購入決める」(新潟日報8月2日付け記事)
→8月2日 県からの申し入れ 参照
「県、議会に虚偽説明か 横断航路船購入問題」(新潟日報8月4日付け記事)
→8月4日 県からの申し入れ 参照
「船改造費が大幅増 横断航路問題 契約破棄の原因か」(新潟日報8月5日付け記事)
→8月5日 県からの申し入れ 参照
「船購入問題 知事が謝罪 関与は説明避ける 県会集中審議」(新潟日報8月6日付け記事)
→泉田裕彦Twitter参照 http://bit.ly/2b5ede3
「事業の枠組み崩れる 知事と担当部局 答弁食い違いも」(新潟日報8月9日付け記事) ※平成28年8月15日追加
→8月9日 県からの申し入れ 参照
「船購入問題で自民県議団 集中審議実施の方針」(新潟日報8月23日付け記事) ※平成28年8月24日追加
→8月23日 県からの申し入れ 参照
日本海横断航路に関する一連の新潟日報の報道について ※平成28年8月24日追加
→8月23日 県からの申し入れ 参照
【今後の対応】
以上、3セク子会社と韓国社の間に発生した契約トラブルには、疑問点が残っております。
県政の最高責任者として、このような事態を招いたことに対して、自らの処分とともに、
早急に実態を解明すべく、県の持っている機能を、最大限活用してまいります。
その上で、県民の皆様の付託に応えるため、必要な最大限の対応を、行ってまいります。
緊急連載 泉田氏不出馬の衝撃・中 頼みの自民、経済界の離反
【新潟日報】2016年9月1日
こんなことぐらいで?と思いながら調べてみたら、全然こんなことぐらい?ではなかったので、まとめてみました。
その日報には、東電から、1000万円もの広告が5回も出されていました。
そして、泉田知事の、10月の知事選への出馬撤回の意向が発表された後、柏崎狩羽原発の再稼動が見込めるとばかりに、東電株が1年3ヶ月ぶりに上昇しました。

(31日、東電株は一時、前日比12%高の417円まで上昇。昨年5月21日以来の上昇率を記録した。
東電は、柏崎の原発2基が稼働すると、毎月200億円の利益が見込める、と早くもそろばんをはじく)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-31/OCQZD46K50Z501
で、これは今日、フェイスブックの記事で見つけたものですが、新潟県のびっくりな新聞事情が書かれていました。
泉田知事が、このままでは真意が伝わらず、選挙にならないとおっしゃっていた意味がわかります。
↓以下、転載はじめ
新潟県の新聞事情を調べてみました。
地元紙は「新潟日報」一紙のみ!
1942(昭和17)年に、新潟日日新聞、新潟県中央新聞、上越新聞が合併して、県内の新聞は一つになった。
ブロック紙である「中日新聞(北陸中日新聞含む)」も「河北新報」も、新潟は配布エリアに入れてもらえていない。
「北國新聞」があるけれど、石川県を中心に、両隣の富山と福井まで。
好むと好まざるとに関わらず、新潟県にお住いの方たちは、「新潟日報」しかなく、
或る意味、無自覚に、「新潟日報発信の情報」にしか触れられない世界に、置かれてしまうことになっていると思われます。
「新潟日報以外にもう一紙、全国紙を購読」という家庭は、そう多くはないであろうし、
「新潟日報」とローカルのテレビの情報からしか、ニュースを知る術のない暮らしをしている方たちにとって、
この「新潟日報」の存在感は、もはや”絶対的”。
発行部数約44万部。
それ自体は、決して大きな数字ではなさそうに見えるけれど、普及率はほぼ50%超え、ダントツです。
因みに、新潟県内のNo2は、読売の約10万部(普及率11%)、No3の朝日は、約5万5000部(普及率6%)。
差は歴然としています(※普及率とは、発行部数/世帯数 です)。
見渡す限り、殆どの家庭や施設が、「新潟日報」(だけ)を読んでいる光景が、細長い新潟全土に広がっている…。
その巨大な力を持つ、新聞というメディアを使って、「新潟日報」が、知事と県民の分断を謀ったのだとしたら?
それは、”赤子の手をひねる”程度のことで、できてしまうでしょう。
何せ、「新聞といえば新潟日報」、なのだから。
この状況下、「県と市町村の連携が取れていない」って、取れなくなるのも無理からぬこと。
↑以上、転載おわり
↓以下は、中村隆市氏が書かれた記事です。こちらもフェイスブックよりお借りしました。
東電福島原発の事故処理費の「国民負担額」が、昨年度末までで、4兆円を超えた。
一方、東電社員の年間平均給与は、3年前より133万も増えて、733万になっている。
さらに東電は、新潟日報(柏崎刈羽原発の再稼働について「福島の事故の検証と総括が先だ」と認めてこなかった泉田新潟県知事を、執拗に攻撃し続けている地元紙)にも、1回1千万円かかる全面広告を、今年だけで5回掲載している。
給料を大幅アップし、新聞広告だけで5000万も使う(テレビCMも県内の民放4局でそれぞれ月60本も放映している)企業を、なぜ国民が支える必要があるのか?
誰がそれを認めているのか?
◆泉田・新潟知事、4選出馬を撤回 地元紙との対立理由に
(2016年8月30日 朝日新聞)から抜粋
10月16日に投開票される新潟県知事選へ、4選を目指して立候補を表明していた泉田裕彦知事(53)が30日、立候補を取りやめる意向を示した。
地元紙・新潟日報の報道姿勢について、県の説明を読者に伝えていないなどと批判し、
自身の訴えを県民に届けることは難しいとして、「知事選からは撤退したいと思う」と説明した。
メディアとの対立を理由に、政治家が立候補を撤回するのは異例。
県庁幹部は、突然の撤退発表に、「先週末まではやる気満々だったのに……」と驚いていた。
日本海横断航路で使うフェリーの購入を巡り、県出資の第三セクター側と、売り手の韓国企業の間で起きた、売買契約のトラブルについて、
泉田知事が、「船の選考作業が進展している事実は把握していた」などとする新潟日報の報道に対し、
県は、「知事には契約後に報告があった」と、再三同社に訂正を申し入れ、泉田知事も会見などで批判していた。
泉田知事は、2011年の東京電力福島第一原発の事故後、新潟県の東電柏崎刈羽原発の再稼働について、「福島事故の検証と総括が必要だ」と主張。
再稼働に、慎重な姿勢を続けていた。
売買契約のトラブルに焦点が当たり、重要な原発問題が議論されていないとして、この日、記者団に、
「私が引いた方が、原子力防災、原発の議論がしやすくなると思う」と述べた。
http://www.asahi.com/articles/ASJ8Z4RLXJ8ZUOHB008.html
◆泉田裕彦・新潟県知事が、4選出馬を撤回
新潟日報批判で「東電との関係」に言及(UPDATE)
(2016年8月30日 The Huffington Post)から抜粋
■福島第一原発「メルトダウン隠し」、東電に厳しい姿勢
大きく注目を浴びたのは、福島第一原発のメルトダウンを巡る、東京電力への厳しい姿勢だった。
東電が求める県内の柏崎刈羽原発の再稼働について、泉田氏は、「福島の事故の検証と総括が先だ」と、認めてこなかった。
その発端になったのは、福島第一原発事故から7日後の、2011年3月18日。
泉田氏は、柏崎刈羽原発の関係者を呼んで、福島の状況説明を受けたが、
メルトダウンについて、「可能性を含めて認めなかった」ことを、問題視した。
新潟県は、独自に、「技術委員会」と呼ばれる有識者会議で、福島の事故の検証を続け、技術委は、東電に、再調査を要求。
東電は当初、メルトダウンについて、「定義されていなかった」と説明していたが、
2016年6月、「メルトダウンの判定基準が、社内マニュアルに明記されていたが、5年間、その存在に気づかなかった」と発表し、謝罪した。
泉田氏の8月30日の文書では、新潟日報社の、原発報道を巡る姿勢も、批判している。
『東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、
国の原子力防災会議でも問題が認識されている、原子力防災については、
例えば、県が指摘している現在の指針に従えば、避難が必要になったときには、UPZ圏内の住民40万人強を、2時間で避難させなければならなくなる問題等、
県民の生命・健康を守るうえで、重要な論点の報道はありません。
このような環境の中では、十分に訴えを、県民の皆様にお届けすることは、難しいと考えています』
(いずみだ裕彦 後援会Webより 2016/08/30)
http://www.h-izumida.jp/topics/20160830.html
記事全文
http://www.huffingtonpost.jp/2016/08/30/izumida-niigata_n_11771144.html?utm_hp_ref=japan-politics
◆内田樹ツイッター
https://twitter.com/levinassien/status/770840469949517824
◆福島事故 国民負担4.2兆円 東電の除染、廃炉費転嫁
(2016年8月29日 西日本新聞1面)
◆東電社員、給与は急回復 原発事故費転嫁 15年度平均733万円
(20168月29日 西日本新聞3面)
◆負担額4兆2000億円超す=福島原発事故で国民転嫁―除染・廃棄物費用など
(2016年8月29日 時事通信)
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10206673481346370&set=a.3281883576618.2115561.1553451884&type=3&theater
↑以上、転載おわり
↓ここからは、IWJ の原さんが書いてくださった記事です。
8月31日に行われた定例記者会見の、質疑応答の部分を抜粋します。
前略ー
以下、8月31日に行われた、泉田裕彦新潟県知事の記者会見における、選挙戦撤退に関する質疑部分を掲載する。
▪️「訂正を求めたことを、『圧力だ』と言われても理解ができない」
朝日新聞:
日本は民主主義社会なので、暴力や脅しなどが仮にあったのだとすれば、許すべきことではない。
知事やご家族へ、知事選に出ないでほしいというような圧力はなかったか?
泉田知事:
圧力の定義にもよるが、日本海横断航路の問題を使って、知事選への立候補を取り下げるようにするプロジェクトがあり、取材の申し入れを受けたことは事実としてある。
それ以外にささやかれたものを、この場でご紹介することは適切ではない。
朝日新聞:
知事の原発への姿勢などを、支持する方々もたくさんいる。
知事が撤退したのは、意中の候補がいるのではないか。
原発に対して、知事と同じスタンスで歩もうとする候補者が出てきたら、街頭に一緒に立つ可能性はあるか?
泉田知事:
告示までまだ1か月ある。
新潟の未来をどうするべきか、原発、原子力防災とどう向き合うべきか、真剣に議論する選挙であるべき。
しかし、日本海横断航路の船舶問題が前に出てくると、県民が今後、新潟県をどうするのかという議論が、できなくなってしまう。
したがって、無投票というのは、やはり避けるべきだと思う。
選挙戦で、しっかりとこの辺りを議論して、地域全体のコンセンサスになっていくような、選挙戦になることを期待している。
NHK:
今朝の朝刊で、新潟日報が、(「正当な記事へ圧力」だという)見解を出していたが、どう感じたか?
泉田知事:
斜め読みしかできていないが、『圧力ではないか』という点について、県からは、都合10回ぐらい、事実に反する記事についての訂正を求めた。
これを、『圧力だ』と言われても、少し理解ができない。
もし圧力だと言うのであれば、『県からはこういう申し入れがあった、これに関して我が社はこう思う』と、紙面上で議論すればいいのではないか。
特に、読者の投稿欄で、『説明責任を果たせ』という投稿が、編集によって載ったので、県は、2日後には、回答をお送りした。
しかし、待てど暮らせど載らないので、(どういうことかと)うかがったら、『載せない』ということだった。
どうして、説明責任を果たせという投稿を、紙面に載せておいて、県は回答を出しているのに載せないのか、しっかりと議論すべきではないか思う。
民主主義は、情報を、主権者・国民、県民、住民に伝えたうえで、どうするかを判断するもの。
新潟日報の場合は、40万部を超える発行部数があり、毎日(新聞が)県民に届く中で、この主張が載せられない。
県からはちゃんと回答を出しているのに、載せられないとなると、民主主義の基盤が揺らぐのではないか、と懸念している。

******* ******* ******* *******
「新潟日報」からは、なぜ、県としての回答を、紙面に載せないのか、その理由の説明はなかった。
「新潟日報」は、泉田知事の指摘に対して、誠実に答える義務があるだろう。
******* ******* ******* *******
▪️産経新聞が、泉田知事の選挙撤退理由について、「非常に信じがたいと言うか、あり得ない、非常に恥ずかしい、情けない」と言及
産経新聞:
撤退の理由は報道だ、というのは、社会的な常識に照らすと、ちょっと考えにくい。
しかも、県のトップを10年以上勤めている方が。
非常に信じがたいと言うか、あり得ない、非常に恥ずかしい、情けないと思う。
撤退の本当の理由は何か?
泉田知事:
本当の理由は、『ちゃんとした声を、県民に届けることができない』と認識したということ。
(新潟日報社に)直接申し入れをしているが、対応していただけない。
説明しろと紙面で書かれたので、回答すると、載せてもらえない。
これで、県民の皆さんに、訴えを届けるのは難しい。
本当に悲しい思いをしたことが、撤退の理由。
産経新聞:
撤退の理由は他にはないか?
泉田知事:
実は、いくつか世論調査、情勢分析を、私は見ている。
選挙をやれば、負けないと思っている。
ただし、訴えが届かないかたちでの、選挙戦になる。
本来は、新潟県政をどうすべきか、地域の安全をどう守るべきか、原発、安定ヨウ素剤、原子力防災とどう向き合うのかという、未来に向けての議論をすべきだが、
今の環境だと、船舶問題で県の関与があったかどうか、みたいなことがテーマになる。
それは、極めて本意ではない。
本来、県民に訴えたいことが訴えられない形で、ここまで来ている。
だから、それは避けるべきだというのが、大きな理由。
産経新聞:
今選挙をやれば勝てるとか勝てないとか、それは、有権者に対して不遜だと思う。
審判をあおぐ立場にある方が、そんなに軽々しく、勝てるとか勝てないとか言うべきではないのでは?
泉田知事:
ですから、審判は受けない、ということ。
******* ******* ******* *******
上記の通り、産経新聞の記者は、質問の形を借りて、泉田知事を侮辱し、挑発するような発言に終始していた。
その産経の記者が、「不遜」という言葉を使ったのには、驚かされた。
攻撃的な質問を繰り返す、各社の記者たちの中でも、ひときわ浮いていた産経の記者は、自らの「不遜」さについては、自覚はないのだろうか?
******* ******* ******* *******
▪️泉田知事「『説明しろ』という投稿を載せて、編集した以上、県からの回答を握りつぶさないでいただきたい
読売新聞:
メディアを通して(県民に声を)届けられないのであれば、実際に、ご自身が、選挙で街頭に立って、直接選挙で訴えたらいいのではないか?
泉田知事:
毎日40万部発行される新聞と、目の前の聴衆数十人に対する、全県を回っての訴えかけが、どこまでどう届くのかということについては、やはり差があるかと思う。
産経新聞:
今後、新潟日報社の説明責任のあり方について、どのようにお考えか?
泉田知事:
事実に反する部分というのを、県は具体的に指摘している。
これについて、どこが新潟日報社と主張が違うのかということを、紙面上で議論していただきたい。
それから、『説明しろ』という投稿を載せて編集した以上、県からの回答を、握りつぶさないでいただきたい。
その上で、議論したらいいと思う。
県のホームページは、(1日あたり)数千アクセスで、もう一方は、40数万部が毎日出ているというのでは、やはり議論にならないのではないかと感じている。
産経新聞:
今後、知事として、新潟日報社、あるいは多様なメディアを通じて、どのような発信、働きかけをしたいと考えているか?
泉田知事:
老兵は去りゆく。
今、知事としてやることは、県民の皆様の付託に誠実に応えて、県政を推進するということ。
毎日新聞:
老兵は去りゆくというが、一方で、春先の県政報告会で、原子力防災に関しては訴えていきたい、誰が言おうと訴えていきたいと、非常に情熱をもって仰っていた。
矛盾していないか?
泉田知事:
今回の選挙が、この日本海横断航路の船舶問題ということになると、訴えられない。
皆さん方の関心が、船舶購入で県の関与があったかどうかに向くと。
調査を待たないとわからないが、これまでのところ、『だまされた感』もある。
県と言うより、現場が。
ブローカーが入って、というようなところ。
県がどうしたというところばかりに関心が集まると、情熱をもって、原子力防災どうあるべきか、原発とどう向き合うべきかという話は、関心の外。
今までそういう流れできているので、むしろ引く方が、結果として、新潟の未来をどうするのか、原発をどうするのかというところに(関心が)行くので、初心貫徹だと思う。
▪️泉田知事の撤退で上がった東電の株価、「世の中そういうふうに見ていたのかと、素直にそのまま受け止めている」
新潟日報:
今回の選挙は、知事の後援会が、自民党や公明党など、各党に推薦願を出していたが、
各党が、前回までの知事選と違い、告示1か月近く前まで対応を決めていない状況について、その理由、原因を、知事はどのように分析しているのか?
泉田知事:
認識はあるが、新潟県として、行政のための記者会見なので、コメントは差し控えたい。
テレビ新潟放送網:
知事の撤退が発表されて、東京電力の株価が上がっているが、どのように受け止めているか?
泉田知事:
森民夫・長岡市長の、知事選出馬会見のときは上がらず、私が撤退すると上がるというのは、
世の中そういうふうに見ていたのかと、素直にそのまま受け止めている。
テレビ新潟放送網:
今まで、厳しい姿勢をしていたわけですが、それが逆に、(柏崎刈羽原発の)再稼働に進んでいくのではないか?
泉田知事:
次の新潟県知事選挙が、日本海横断航路問題への県の関与がテーマではなく、自分たちの故郷をどうするかというテーマで、議論が進んでいく。
また、株価も影響を受けるかもしれないので、今は、予断をもって何かお話する段階ではない。
▪️「私が引くことで新潟をどうするか、原発にどう向き合うのかという純粋な議論ができる」
NHK:
これまで、原発、原子力の政策に力を入れてやってきて、途中で任期が終わられる。
これを、どのようにご覧になっているのか?
泉田知事:
外部から見守っていきたい。
NHK:
今まで知事は、福島第一原発事故の検証と総括なくして、(柏崎刈羽原発の)再稼働の議論はないと言っていたが、それはどのようにとらえているのか?
泉田知事:
だからこそ、原発事故の検証と総括、対策をどうしていくのかというところは、次の県知事選挙で議論していただきたい。
今、福島県からも、大勢の方が、新潟県に避難をしてこられている。
この方々の苦しみを、新潟県民は、肌身で感じている。
これに向き合った選挙、自分たちで意思表示ができるような選挙戦を、期待している。
そのためには、退いた方がいいということ。
NHK:
退くことで、もしかしたら、すごい再稼働に向けて進むかもしれない。
泉田知事:
反対だと思う。
私が(知事選に)出ると、多分、日本海横断航路問題が、選挙戦のテーマになる。
私が退くと、そうではなくて、新潟の未来をどうするか、原発にどう向き合うのか、原子力防災どうするのかという、純粋な議論ができるので、
退いた方が思いを遂げられる、ということではないか。
▪️新潟日報が反論!「新潟日報としては事実を書いている。圧力には屈せない」
新潟日報:
新潟日報としては、事実を書いている。
知事、および桐生交通政策局長からの申し入れも、適正な報道を求める、というものが多くて、
適正な報道をしているのに、適正な報道を求めると言われても、『はい、そうですか』で終わりだし、
事実を書いている以上、それを直せという圧力には、私たちは屈せない。
先ほどから、選挙戦になったら、40万部以上の新聞社と自分の街頭演説とを、同じように並べ立てて、
まるで私たちが、偏向している報道をするかのようにおっしゃっているが、これに対しては抗議する。
争点化の話だが、今回の日本海横断航路の問題は、新潟県庁の体質や、今後どうするかといった、県の未来に密接に関わっている問題だ、と認識している。
それが争点になったらいけないというのを、まさに当事者である、知事本人が言うのは、有権者に対して非常に失礼なことではないか?
泉田知事:
まず、訂正を求めている。
内容についても、あくまでも『適正な報道を』と言っているわけで、
(自らの主張に)自信があるなら、県の申し入れを書いたうえで、『我々はこう判断した』と、紙面上で訴えたらよろしいのでは。
言論には言論で、というのが、民主主義の鉄則だと思う。
新潟日報:
だから、そういう県の要望、申し入れを踏まえて、その翌日なり、翌々日なりに、記事として出している。
それが回答。
泉田知事:
こういう県の申し入れがあった、というのが出ていない。
それから、読者の投稿欄に対する回答は、なぜ載せないのか?
新潟日報:
それは、会社として、私ら記者の決めることではない。
今、私が、ここでは答えられない。
泉田知事:
では、会社として、回答をいただけるか?
新潟日報:
先日あったでしょう。
泉田知事:
だから、『総合的に(判断)』ではなくて、なぜ説明責任を果たせと書いておいて、その部分について回答しないのか?
新潟日報:
それはやめましょう、ここでは。
わかりました。
あとで、文書なりでください。
時間がもったいない、それは。
泉田知事:
どうしてそこはもったいないのか?
大事なところだと思う。
新潟日報:
私が答えられないのに、今それを言われても、しようがないではないか?
泉田知事:
上司に報告していただけるか?
新潟日報:
先日、うちの局長が、知事に述べたとおりです。
泉田知事:
だから、なぜ、回答を載せないのか。
自らの編集で、説明責任を果たせという投稿を載せておいて、県が回答をすると、今度はそれを掲載しない。
この判断が、なぜ『総合的な判断』なのか。
ここを回答いただきたい。
新潟日報:
それは伝える。


******* ******* ******* *******
「なぜ、回答を紙面に載せないのか」という泉田知事の問いに、
「私ら記者は答えられない」と逃げを打ちながら、
社を代表するように、「抗議する」と言う記者。
知事と記者の応酬は、公然と行われたのだから、この記者の「上司」は、なぜ、県からの回答を紙面に載せなかったのか、県民、国民に向かって説明する義務がある。
泉田知事の撤退は、新潟県だけの問題ではない。
全国に影響を与える問題である。
撤退の決断に追い込んだのは、新潟日報である。
新潟日報なりに、新聞社としての信念を持って、報道を行った結果であろう。
しかし、そのプロセスで生じた、「県からの回答を紙面に掲載しなかった決断」については、報道機関として、誠実に説明すべきである。
この記者の説明では、説明になっていない。
******* ******* ******* *******
▪️撤退の撤回はありえる?
泉田知事「基本的に、政治家が出処進退に言及したら、そこで決まり」
新潟日報:
今後、仮に公の場で、出馬要請のような意見がきた場合でも、やはり翻意はあり得ないのか?
泉田知事:
現段階では、そのような事態は起きていないので、コメントするには、なかなか適さないのではないか?
新潟日報:
今朝、そういった、(撤回してほしいという)意見があるが、翻意はないか、と聞かれたときには、あり得ないと言われていたが。
泉田知事:
煎じ詰めれば、そういうこと。
政治家が、一度撤退すると表明したものを、翻すことがあるのか、調べてみたら、そういうことはあったらしい。
私が翻すという意味ではないが、基本的に、政治家が出処進退に言及したら、そこで決まり。
▪️福島に、免震重要棟を設置させた、立役者の泉田知事「原発震災を疑似体験したのが、中越沖地震だった」
朝日新聞:
これまでの任期の中で、原子力防災や原発に関連して、印象深かったことはどのようなことか?
泉田知事:
私が知事に就任する30時間前に、地震が発生したので、最初の職務は、震災対応だった。
特に、災害と原子力という意味で言うと、その2年半後に起きた中越沖地震で、柏崎刈羽原発が、震災によって火災事故を起こした。
複合災害、世界で初めての原発震災、ということだったと思う。
あのときは、微量のコバルト60は出たが、ほぼ放射能漏れはない、という状況だった。
しかし、救急車、消防車が、現場に到達することが困難で、原発で火災が起きているときに、消火栓が動かないと、世界にどのようなメッセージが出ていくのか。
また、避難する方々に、どのような影響があって、そもそも情報が届かないケースがあるなど、原発震災を疑似体験したのが、中越沖地震だったと思う。
そもそも、柏崎刈羽原発とのホットラインが、通じなかった。
なぜ、ホットラインが通じないのか、事後的に確認したところ、ホットラインがある部屋が、地震でゆがみ、ドアが開かなくなり、県庁とのホットラインがつながらなかったということで、
それで、『何とかしてくれ』と言ってできたのが、免震重要棟。
そして、『免震重要棟が、柏崎刈羽原発だけにあるのはおかしい』と言って、福島にも免震重要棟ができた。
これが、東日本大震災の、8か月前だった。
福島第一原発事故の際、今度は、新潟県として、直接的に対応した。
特に、福島県からSOSで、電源が落ちて、モニタリングポストもうまく機能しないので、新潟県に助けて欲しいと。
県からは、専門能力を持った職員と、機材を送った。
そのあとの展開は、いろいろあるが、結果として、
避難された方がどのような形でこられるのか、
スクリーニングはどのような形で進めればいいのか、
避難所の振り分けはどうするのかなど、
当事者の一人として経験した。
原発震災が起きたらどうなるか、避難するとどのような問題が生じるか、
組織として、職員として経験したので、大変印象深かった。
この経験で、どこに穴があるのかわかっているにもかかわらず、目をつぶってしまうことは、
後世に対して責任を果たせないだろうということで、これまで、問題点を提起させていただいている。
それが、もしかすると、こういうかたちで退任に結びついているかもしれないが、
馬鹿正直で真面目なのかもしれませんが、一生懸命やらせていただいたつもりだ。
▪️「原子力規制委員会が決めたことは、金科玉条のごとく守るということでは、住民の命、健康を守るのは難しい」
朝日新聞:
昨日、発表された文書の中に、『東京電力の広告が、新潟日報に、今年5回掲載されている』という一文があるが、この一文が入った意味は?
泉田知事:
事実関係だけです。
共同通信:
日本海横断航路計画に関して、県がどうしているのか、というところにばかり焦点が当たっているというが、
出馬表明から半年が経ち、選挙戦も間近になっていても、知事は公約を出していない。
何をやりたいかという話を、具体的にしていない中で、県の現状に焦点が当たるということも、致し方ないのでは?
泉田知事:
次の知事選挙は、未来を語り、原発・原子力防災とどう向き合うのか、しようがないではすまない話。
未来を語る選挙にする必要があると思う。
UX新潟テレビ21:
原子力災害時における避難計画が、現実にそぐわないという点を、常に指摘されているが、
先週末に、関西電力高浜原発で、(過酷事故を想定した)広域避難訓練が行われたところ、
悪天候により、(住民輸送用の)ヘリ4機のうち2機が飛ばず、船も3艘すべて使えなかった。
悪天候について想定されておらず、とりあえずは、バスと救急車を使用したということだが、避難計画の想定が甘いということなのか、
知事としては、どのようにすべきだと考えるか?
泉田知事:
新潟県の訓練ではないので、新潟県知事としてのコメントは、少し差し控えたいが、
一般論で言うと、現実にそぐわない原子力災害対策指針、になっていることは間違いない。
平成28年の熊本地震を例に挙げると、今の指針に従えば、UPZ(30km)圏の方は、屋内退避ということになる。
ただし、余震が続く中で、屋内退避すると、命に影響が出るケースがあり、
実際に、熊本地震では、前震の後に屋内退避して、亡くなった方が出ている。
こういった、複合災害の場合にどうするのかということは、指針上書かれていない。
さらに、屋内退避した後に、放射線量が上がった場合は、避難するが、避難する場合の基準が、毎時500マイクロシーベルト。
つまり、避難しなければいけなくなったときには、2時間で避難しないと、年間被爆線量の上限を超える。
新潟県で言うと、柏崎刈羽原発から5~30キロ圏内にいる約44万人を、2時間でどうやって避難させるのかということを、自治体に丸投げしているということになる。
そうでなく、やはり、分散避難させるとか、簡易シェルターを家の中に造るとか、もう少し現実的な対応をしないと、対応できないということになり得る。
原子力規制委員会が決めたことは、金科玉条のごとく守るということでは、住民の命、健康を守るのは、難しいのではないか。
ぜひ、こういった点も、(県知事)選挙戦で議論していただきたいと思う。
******* ******* ******* *******
事故が起きれば、誰が、県民のために正しい議論をしているのか、明らかになる。
だが、事故が起きてしまってからでは、取り返しがつかない。
すべて手遅れとなる。
事故を起こさないようにするためにこそ、真剣な議論が必要なはずである。
******* ******* ******* *******
日刊ゲンダイは、「地元紙からの攻撃だけでなく、新潟県内では、“泉田包囲網”が出来上がっていた」として、
新潟県庁関係者のコメントを、次のように紹介している。
「新潟日報は、今年に入って、フェリー問題をしつこく批判していました。
新潟日報は、泉田さんの政治手腕に疑問を持っていたようで、社内には、“泉田嫌い”が蔓延していたといいます。
新潟日報には、東電が広告を出していた。
さらに、今月には、泉田さんと近い自民党県議が、県連会長を辞任している。
泉田さんは、嫌気が差したようです」
日刊ゲンダイ 反原発のシンボル 泉田新潟知事が突然「出馬撤回」の背景

最後に、新潟県民に向けて出された説明文書を、ここに載せさせていただきます。
新潟新報の報道がどのようなものであったか、それに対して、県がどのように申し入れをしていたかが、
そして、なにより、日本海横断航路の船舶購入のトラブルの原因が、そもそもどういったものであるのかについて、簡潔に書かれています。
県民の皆様へ
新潟県知事 泉田 裕彦
日本海横断航路の船舶購入のトラブルの現状について
日本海横断航路事業については、県が出資した会社の子会社が関連した契約トラブルにより、船舶の購入が遅れ、プロジェクトが円滑に進んでおらず、
このことについて、県の最高責任者として、深くお詫び申し上げます。
8月5日に、県議会の、常任委員会が行われました。
そこでの質疑も踏まえ、この問題の概要について、県民の皆様にご説明します。
【日本海横断航路の意義】
大陸との貿易を含め、交流を行う場合、首都圏と最短距離で結べるのが、新潟経由で極東ロシアに至るルートになります。
新潟港の、オンリーワン航路を設定し、その拠点性を高めることを、目的としています。
【これまでの経緯】
日本海横断航路は、新潟の経済を活性化するため、平成19年、新潟経済界が会社を設立して、純粋な民間事業として開始されたものです。
その後、県も支援し、傭船で航路維持を試みましたが、安定運航ができず、これまで二度、頓挫しました。
このため、今回は、自前の船舶で、安定運航を目指すこととし、行政としても、それを支援することとしたものです。
【今回の日本海横断航路事業の趣旨】
船舶調達を行って、航路を設定した場合、初期投資が大きくなり、融資で資金調達した場合、元本返済も必要になるため、
当面赤字が見込まれる航路維持が、すぐに頓挫する恐れがありました。
このため、官民合同プロジェクトとして、民間とともに行政も、「出資」という形で支援を行い、
自己資本を増強した上で、安定運航を目指したものです。
行政の役割は、対岸諸国や、国内での集荷、集客受け入れ態勢の支援に加えて、横断航路運行会社の、経営資金調達への支援が、中心になります。
具体的船舶売買は、出資を受けた会社の子会社の、取締役会決議事項で、民間主導で行われることを想定した、制度設計でした。
【県の対応】
NAFJ PANAMA INC.(以下、「パナマ社」という)で、船舶の選定を進めていましたが、
絞り込み作業を進めていた船舶については、県からも懸念を示していた、いくつかの、明らかにしなければならない点がありました。
しかし、8月下旬、新潟国際海運㈱(当時は純粋民間会社)から、絞り込みを進めていた船舶の交渉を進めており、「手付け」の支払いが必要になるため、
資金を確保する目的で、県分の出資(他に新潟市、経済界からの出資を予定していました)を、求める要請がありました。
8月24日に、船舶購入契約をするには、未だ明らかにされていない、懸念の解消を行う前提で、
事務当局は、知事に対して、県分の出資の決裁を、求めたものです。
知事は、県分の出資は、官民合同プロジェクトへの支援であり、他の自治体、民間からの出資の、呼び水とする性格を有していたことから、
契約準備のためという理由を認め、これを決裁したものです。
【売買契約でのトラブル】
契約トラブルになった最大の原因は、
対象船舶が、横断航路運航に必要な、速度が出ないことでした。
これは、船舶の買い手であるパナマ社が、
試験運航の必要性が指摘されていたにもかかわらず、これを行わずに、
速度などの重要事項や、想定されるリスクを回避するための規定を、契約書に盛り込むことなく、取締役会決議で、購入を決めたことです。
この点、パナマ社の社長も、委員会で、責任を認めています。
(トラブルの経緯について、新潟国際海運(株)の、委員会提出資料参照)
【残された主な疑問点】
上記の、売買契約のトラブルに至った背景には、何があったのか、今後、以下の点を、解明していく必要があります。
・なぜ、パナマ社の社長は、関係者会議で、船舶の問題点が指摘されていたのに、取締役会に、問題がないと報告して、取締役会決議を行ったのか。
・パナマ社が、実際に「手付け」を支払ったのは10月だったのに、8月24日時点で、なぜ、資金を必要として、出資を要請したのか。
・パナマ社は、県が提示していた懸念事項(県の委員会提出資料P3参照)が、十分に解明されないまま、なぜ8月26日に契約をしたのか。
などです。
【これまで報道された疑問点と、それに対する対応について】
新潟日報社の下記の記事には、事実と異なる部分等が含まれています。
これに対して、申し入れを行い、適正な報道をお願いしたところです。
パナマ社は、試験運行できない事情を、最初から把握していたと見られる(新潟日報7月18日付記事)
→7月18日 パナマ社抗議文 参照
「知事、事前説明認める」(新潟日報 7月21日付記事)
→7月22日 県からの申し入れ 参照
「知事2度の説明認める」(新潟日報 7月28日付記事)
→7月28日 県からの申し入れ 参照
「県幹部が船購入決める」(新潟日報8月2日付け記事)
→8月2日 県からの申し入れ 参照
「県、議会に虚偽説明か 横断航路船購入問題」(新潟日報8月4日付け記事)
→8月4日 県からの申し入れ 参照
「船改造費が大幅増 横断航路問題 契約破棄の原因か」(新潟日報8月5日付け記事)
→8月5日 県からの申し入れ 参照
「船購入問題 知事が謝罪 関与は説明避ける 県会集中審議」(新潟日報8月6日付け記事)
→泉田裕彦Twitter参照 http://bit.ly/2b5ede3
「事業の枠組み崩れる 知事と担当部局 答弁食い違いも」(新潟日報8月9日付け記事) ※平成28年8月15日追加
→8月9日 県からの申し入れ 参照
「船購入問題で自民県議団 集中審議実施の方針」(新潟日報8月23日付け記事) ※平成28年8月24日追加
→8月23日 県からの申し入れ 参照
日本海横断航路に関する一連の新潟日報の報道について ※平成28年8月24日追加
→8月23日 県からの申し入れ 参照
【今後の対応】
以上、3セク子会社と韓国社の間に発生した契約トラブルには、疑問点が残っております。
県政の最高責任者として、このような事態を招いたことに対して、自らの処分とともに、
早急に実態を解明すべく、県の持っている機能を、最大限活用してまいります。
その上で、県民の皆様の付託に応えるため、必要な最大限の対応を、行ってまいります。
緊急連載 泉田氏不出馬の衝撃・中 頼みの自民、経済界の離反
【新潟日報】2016年9月1日