ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

前略、菅直人さま

2011年06月07日 | 日本とわたし
『菅直人首相は少なくとも一時的に、日本の原子力利用をこれ以上拡大する計画を見送った』

これは先日、ニューヨーク・タイムズに掲載された、『原発依存を助長する日本の文化』という記事の中の一文です。
ニューヨーク・タイムズは皮肉屋で、なかなか人を褒めることのない新聞です。
だから、この文章を読んだ時、わたしは少し嬉しくなって、ニンマリしたことを覚えています。

Twitterでは、これまで何回となく、あなたにつぶやかせてもらいました。
けれども、140文字ではなかなか思いをまとめることは難しく、しかも、あなたが目を通しておられるかどうかも定かではありません。
わたしは米国東海岸に在住しているため、13時間の時差があり、そのこともあって、半日以上もの遅れをとっているような気がします。

今回、東日本を襲った天災の惨たらしさは、遠くに暮らす我々日本人の心をも、引き裂くほどのものでした。
天災は、人間にはどうしようもないものです。
あなたの就任中に、この天災が起こったことは、あなたにとっても大きな不運でありました。
誰のせいでもありません。ただただ自然の営みのひとつとして、受け取らなければならないものなのですから。

でも、原子力発電所に起こった事故は、自然の営みのひとつではありません。
これは歴とした人災です。
地震国日本には、どんなに完璧に対策をこうじたとしても、抵抗しきれない自然の猛威が存在することを知っていたにもかかわらず、
誘致と建設を繰り返すという、政府と電力会社の企みと愚行が、何十年もに渡って続けられてきたのです。
抵抗する者には辛酸をなめさせ、物事を知ろうとしない者には札束をちらつかせ、ありとあらゆる手段を用いて猛毒施設を建設し続けた日本。
平和ボケしている国民に対しては、電気だ!便利だ!快適だ!安全だ!と吹聴し、洗脳し続けてきました。
正しい真実を伝えようと抵抗する者には、それが続けられなくなるほどの圧力をかけ、ひとり、またひとりと潰しにかかりました。

わたしにはそんな覚えはない!とおっしゃりたいかもしれません。
本当は、わたしの夢であった風力発電を発展させたかった、と思っておられるかもしれません。

「正しい人は政治家として上に立とうとはしない。それが人間界においての、一番の不幸だ」

イスラエル人のわたしの友人は昨日、はっきりとそう断言していました。
本当にそうなのでしょうか?

最近は、奥様と話されていますか?
ファーストレディとして、もうあと少ししか時間が残っていない奥様は今、なんとおっしゃられていますか?
菅直人という男が、日替わり弁当のようにクルクルかわる、日本の阿呆首相の中のひとり、として終わることを望まれていますか?
地球の歴史に残る、世界史の教科書に永遠に記し残されていくかもしれない、核の廃絶に向けて勇気ある決断をした国の長として、名を残すことを望まれていませんか?
全原発の廃炉宣言は、ドイツの首相に先を越されてしまいましたが、そんなことを気にする必要はありません。

菅首相、今わたし達は、送電線の国有化を願う1000万人の短冊署名、全原発廃炉に向けての署名を、全国規模で展開しています。
大勢の国民が、悲しみや怒りをポジティブな方向に転換し、行動を起こしています。
わたし達はもう、3.11以前のわたし達ではないのです。
だから大丈夫なのです。
勇気を出してください。
浜岡原発や、太陽光パネルのことを、マイクの前で語ったあなたの、あの時の気持ちを思い出してください。
あなたの周りを取り巻く、醜い心を持った政治屋が、あなたに罵声を浴びせようが、肩を掴んで叱責しようが、
わたし達日本国民が、あなたの勇気を支持します!世界の多くの人達が、あなたの勇気を讃えます!

ノーベル平和賞を受賞したオバマ氏でさえも、今だ決断できないでいることを、菅直人、あなたが決断するのです。
原爆で苦しんだ、今現在もまだ苦しみ続けている人々や、新たに被曝をさせられて不安に怯えている人々を抱える国の首長として、

「核に平和も軍事もあるものか!核は人間が持ってはいけない物だ!この地球上から絶滅させないといけない物だ!その第一歩を、わたしは今ここに宣言する!」と、どうか大きな声で叫んでください!