「レッズ」
フリーライターのルイーズは、ジャーナリストのジョン・リードと恋に落ち、夫を捨ててジョンと同棲を始める。反戦を唱え社会主義運動にのめりこむジョンは、ロシア革命に立ち会うためルイーズを伴いソ連へと渡るが…
老化による気力・体力・集中力の衰えゆえに、どんなに面白い映画、すぐれた映画でも、長い映画はとてつもなく苦痛。上映時間が2時間を超える映画は、映画館で観ることを躊躇するように。最近の映画は、やたらと不必要なまでに長いので、本当にキツいです。DVDレンタルや録画した長時間映画は、最初から最後まで一気に観ることはほとんどなく、連続ドラマのようにチビチビと1時間ずつ観てます。この1981年の3時間を超える大作も、3日かけて完観しました
レッズ、といっても、もちろんサッカーチームのことでもメジャーリーグの球団のことでもなく、共産主義者のことです。ロシア革命を現地で見聞したアメリカのジャーナリスト、ジョン・リードの半生を描いた映画です。私の苦手な小難しくお堅い社会派映画なのかなと思いきや、どちらかと言えばジョンとその妻ルイーズとの恋愛ドラマっぽかったです。
アメリカの政府を糾弾し続け、反戦を叫び、社会主義運動に激しく身を投じ、ソ連で客死した男…と聞けば、筋金入りのガチガチなアカい人をイメージしますが、ジョンにはそんな思いつめた重苦しさはなく、むしろ明るく朗らかに自由闊達で、インテリらしからぬ情熱的でタフな行動派、という典型的アメリカンいい男って感じでした。特にルイーズに対してのヘタレっぷりが可愛かったです。魅力的な人間に描かれてはいたけど、決して理想の夫、恋人ではない類の男でもありました。そばにいても離れていても、一瞬も安らげないもん。ああいう夢追い人を愛して支えるには、超人的な精神力が必要です。
ジョンはチャーミングでしたが、ルイーズは私の苦手なガチガチのフェミニストでした。自己主張が強く自信過剰、過小評価されるとブチギレし、悪いのは自分ではなく自分を認めない周囲、な言動や考え方がなんだかな~。相手の話を素直に冷静に聞けず、感情的で支離滅裂なあー言えばこー言うをヒステリックにぶつけてくるルイーズは、ちょっと田島○子センセイとカブりました。八つ当たりされるジョンが可哀想だった。ジョンが不在の時に彼の親友と浮気したくせに、ジョンの女遊びは許さないとか、自分勝手すぎる。キレた時のギャーギャーしたわめき声と鬼の形相、私がジョンなら百年の恋も醒めます。
激動の時代、アメリカとロシアを舞台に、ジョンとルイーズが別れとヨリ戻しを繰り返す、壮大なバカップル映画です。ロシア革命についてはほとんど無知な私なので、当時のソ連について勉強になりました。カオスな革命、恋人の関係性など、大好きな映画「存在の耐えられない軽さ」のプラハの春と、自由奔放で優しいトマシュ&情熱的なテレーザをちょっとだけ彷彿とさせました。レーニンを演じてた俳優が本物とそっくり!それにしても。ジョンもルイーズも、全然ロシア語が喋れない、喋ろうともほとんどしないところが、ほんとアメリカ人だな~と悪い意味で感嘆。英語が上手なロシア人がいっぱいたのが、不思議かつ都合よすぎ。実際にはどうだったんだろう。
スケールが大きく美しいロマンあふれる映画に仕上げるために、いろいろ話を盛ってるんだろうな~。ジョンを探すため、ルイーズが密航してロシアに渡る危険で過酷な冒険とか、駅での再会シーンとか、事実だったら出来すぎなドラマティックさです。でも映画なので、そういう演出は大事だとも思う。悪質な捏造、ヤラセでなければ無問題!風景や建造物までCGにしてしまう最近の映画と違い、労力をかけたロケ撮影も、CGと違ってリアルで物語に説得力を与えていました。
この映画、キャストがなかなか豪華&シブいです。当時ハリウッドきっての才人スター、そして希代のプレイボーイとして名をはせていたウォーレン・ビーティーと、ファッションや生き方など時代の最先端をいく女優として人気だったダイアン・キートンが主演。二人は当時、恋人同士だったとか。この映画の監督も兼ねたビーティー氏は、オスカーの監督賞を受賞。演出は硬派で手堅いけど、演技と見た目は柔和で明るい。すごく若々しく、同じ世代の俳優で同じ80年代の映画「愛と哀しみの果て」のロバート・レッドフォードとかに比べたら、加齢臭や老人的なカサカサ感は皆無。恋愛映画も違和感なし、いや、返って彼から色恋要素を抜くほうが間違ってます。見た目も手伝って、常に何となくコミカル。ルイーズの誕生日に料理をしているシーンとか、かなり笑えました。映画人として最盛期にあった頃の彼ですが、今は“ラララの誤発表爺さん”としてのほうが有名になってしまったという、トホホな老後生活が切ない。
ダイアン・キートンは、美女ではないけど男にモテる、しかも頭のいい男、才能ある男がホレる魅力の持ち主なんだろうな~。同じ進歩的なインテリ女性といっても、ルイーズと違いキートン女史はギスギスヒステリックなフェミニストではなく、軽やかでしなやかな才媛。そんなイメージがルイーズへの反感や不快感を薄めてくれました。作家のユージン・オニール役でジャック・ニコルソン、編集者の役でジーン・ハックマンといった大物名優が脇役出演してます。二人とも好演してますが、彼らほどの名優にはもったいないような役でした。女性活動家エマ・ゴールドマン役の名女優モーリン・ステイプルトンが、この映画でオスカーの助演女優賞を受賞してます。名撮影監督ヴィットリオ・ストラーロによる独特な光具合の映像美も印象的です。
それにしても。やっぱ私、アカい人たちには共感も理解もできないわ~。若い頃に右翼男にされた洗脳がまだ解けてないせいでもあるんだけど、過激すぎてドン引きしちゃうんですよね。ジョンたちも一歩間違えれば連合赤軍、みたいな危うさがあったし。右も左も、暴力は辞さない!なのは承服しがたいです。
フリーライターのルイーズは、ジャーナリストのジョン・リードと恋に落ち、夫を捨ててジョンと同棲を始める。反戦を唱え社会主義運動にのめりこむジョンは、ロシア革命に立ち会うためルイーズを伴いソ連へと渡るが…
老化による気力・体力・集中力の衰えゆえに、どんなに面白い映画、すぐれた映画でも、長い映画はとてつもなく苦痛。上映時間が2時間を超える映画は、映画館で観ることを躊躇するように。最近の映画は、やたらと不必要なまでに長いので、本当にキツいです。DVDレンタルや録画した長時間映画は、最初から最後まで一気に観ることはほとんどなく、連続ドラマのようにチビチビと1時間ずつ観てます。この1981年の3時間を超える大作も、3日かけて完観しました
レッズ、といっても、もちろんサッカーチームのことでもメジャーリーグの球団のことでもなく、共産主義者のことです。ロシア革命を現地で見聞したアメリカのジャーナリスト、ジョン・リードの半生を描いた映画です。私の苦手な小難しくお堅い社会派映画なのかなと思いきや、どちらかと言えばジョンとその妻ルイーズとの恋愛ドラマっぽかったです。
アメリカの政府を糾弾し続け、反戦を叫び、社会主義運動に激しく身を投じ、ソ連で客死した男…と聞けば、筋金入りのガチガチなアカい人をイメージしますが、ジョンにはそんな思いつめた重苦しさはなく、むしろ明るく朗らかに自由闊達で、インテリらしからぬ情熱的でタフな行動派、という典型的アメリカンいい男って感じでした。特にルイーズに対してのヘタレっぷりが可愛かったです。魅力的な人間に描かれてはいたけど、決して理想の夫、恋人ではない類の男でもありました。そばにいても離れていても、一瞬も安らげないもん。ああいう夢追い人を愛して支えるには、超人的な精神力が必要です。
ジョンはチャーミングでしたが、ルイーズは私の苦手なガチガチのフェミニストでした。自己主張が強く自信過剰、過小評価されるとブチギレし、悪いのは自分ではなく自分を認めない周囲、な言動や考え方がなんだかな~。相手の話を素直に冷静に聞けず、感情的で支離滅裂なあー言えばこー言うをヒステリックにぶつけてくるルイーズは、ちょっと田島○子センセイとカブりました。八つ当たりされるジョンが可哀想だった。ジョンが不在の時に彼の親友と浮気したくせに、ジョンの女遊びは許さないとか、自分勝手すぎる。キレた時のギャーギャーしたわめき声と鬼の形相、私がジョンなら百年の恋も醒めます。
激動の時代、アメリカとロシアを舞台に、ジョンとルイーズが別れとヨリ戻しを繰り返す、壮大なバカップル映画です。ロシア革命についてはほとんど無知な私なので、当時のソ連について勉強になりました。カオスな革命、恋人の関係性など、大好きな映画「存在の耐えられない軽さ」のプラハの春と、自由奔放で優しいトマシュ&情熱的なテレーザをちょっとだけ彷彿とさせました。レーニンを演じてた俳優が本物とそっくり!それにしても。ジョンもルイーズも、全然ロシア語が喋れない、喋ろうともほとんどしないところが、ほんとアメリカ人だな~と悪い意味で感嘆。英語が上手なロシア人がいっぱいたのが、不思議かつ都合よすぎ。実際にはどうだったんだろう。
スケールが大きく美しいロマンあふれる映画に仕上げるために、いろいろ話を盛ってるんだろうな~。ジョンを探すため、ルイーズが密航してロシアに渡る危険で過酷な冒険とか、駅での再会シーンとか、事実だったら出来すぎなドラマティックさです。でも映画なので、そういう演出は大事だとも思う。悪質な捏造、ヤラセでなければ無問題!風景や建造物までCGにしてしまう最近の映画と違い、労力をかけたロケ撮影も、CGと違ってリアルで物語に説得力を与えていました。
この映画、キャストがなかなか豪華&シブいです。当時ハリウッドきっての才人スター、そして希代のプレイボーイとして名をはせていたウォーレン・ビーティーと、ファッションや生き方など時代の最先端をいく女優として人気だったダイアン・キートンが主演。二人は当時、恋人同士だったとか。この映画の監督も兼ねたビーティー氏は、オスカーの監督賞を受賞。演出は硬派で手堅いけど、演技と見た目は柔和で明るい。すごく若々しく、同じ世代の俳優で同じ80年代の映画「愛と哀しみの果て」のロバート・レッドフォードとかに比べたら、加齢臭や老人的なカサカサ感は皆無。恋愛映画も違和感なし、いや、返って彼から色恋要素を抜くほうが間違ってます。見た目も手伝って、常に何となくコミカル。ルイーズの誕生日に料理をしているシーンとか、かなり笑えました。映画人として最盛期にあった頃の彼ですが、今は“ラララの誤発表爺さん”としてのほうが有名になってしまったという、トホホな老後生活が切ない。
ダイアン・キートンは、美女ではないけど男にモテる、しかも頭のいい男、才能ある男がホレる魅力の持ち主なんだろうな~。同じ進歩的なインテリ女性といっても、ルイーズと違いキートン女史はギスギスヒステリックなフェミニストではなく、軽やかでしなやかな才媛。そんなイメージがルイーズへの反感や不快感を薄めてくれました。作家のユージン・オニール役でジャック・ニコルソン、編集者の役でジーン・ハックマンといった大物名優が脇役出演してます。二人とも好演してますが、彼らほどの名優にはもったいないような役でした。女性活動家エマ・ゴールドマン役の名女優モーリン・ステイプルトンが、この映画でオスカーの助演女優賞を受賞してます。名撮影監督ヴィットリオ・ストラーロによる独特な光具合の映像美も印象的です。
それにしても。やっぱ私、アカい人たちには共感も理解もできないわ~。若い頃に右翼男にされた洗脳がまだ解けてないせいでもあるんだけど、過激すぎてドン引きしちゃうんですよね。ジョンたちも一歩間違えれば連合赤軍、みたいな危うさがあったし。右も左も、暴力は辞さない!なのは承服しがたいです。
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