まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ファイター・イン・ザ・ダーク!

2015-01-20 | 北米映画 60s~70s
 最近読書してないな~と思い、こないだ図書館で本を借りてきました
 借りたのは、桜木紫乃の「硝子の葦」と、吉田修一の「怒り」です。どちらも犯罪小説。桜木紫乃の小説は初めて読みましたが、なかなか読み応えある内容でした。ダークなヒロインが良かった。この小説、ドラマ化されるそうですが、ヒロイン役がなぜか相武サキ。ええ~?!何か違う…ていうか、相武ちゃんにダークで複雑な女の役なんて、できるのかしらん?不倫相手役は、小澤征悦。オザユキは大好きだけど…官能的なシーンが重要になる作品なので、アイブちゃんとオザユキの中途半端なヌルい演技が、トホホな原作レイプにならないよう願ってます。
 「怒り」は、明らかにあの整形逃亡犯、市橋達也をモデルにした話。吉田修一といえばのゲイゲイしいBL色が、いつもに増して強い濃いところが素敵な小説です。これもいつか、映像化されるのかな。池松くんやムカイリーを理想妄想脳内キャスティングしながら読んでます♪

 「暗くなるまで待って」
 カメラマンのサムは、空港で見知らぬ女から人形を預かり、そのまま自宅に持ち帰る。人形の中に隠された麻薬を狙う男たちは、サムを外におびき出し留守の家に侵入しようとするが、そこには夫の帰りを待つ盲目の妻スージーがいた…
 「ローマの休日」や「麗しのサブリナ」など、可憐で清純なアイドルスターというイメージが強いオードリー・ヘプバーンですが、確かな演技力も備えた女優でもあります。オードリーが女優としての力量を遺憾なく発揮してる作品としては、「尼僧物語」とこのスリラー映画が思い浮かびます。
 絶体絶命に陥るヒロインを、繊細かつ力強く演じているオードリー。その不安と恐怖に揺れる大きな瞳、表情に引き込まれます。抱けば折れそうなほど華奢ではかなげな肢体も、ヒロインの弱い立場やピンチを際立たせていて、誰か早く助けてあげて~!と、観客をハラハラさせてくれます。オードリーはこの映画での熱演で、オスカーにノミネートされました。

 スージー役を、もし今のハリウッドの人気女優が演じたら、すごい違和感、ミスキャストだろうなあ。スカ子とかジェニファー・ローレンスとかだと、すぐに逆襲して悪者なんかズッタズタのボッコボコにしそうだし。今の女優は、みんな外見も中身もタフすぎる。オードリーのような、守ってあげたいと思わせる女優も、今は絶滅状態ですよね。
 はかなげだけど、決してナヨナヨはしてないオードリー。細いけど、ちょっとやそっとじゃ折れないなよ竹のようなしなやかさも素敵。当時38歳のオードリー、中年になっても美しさは不変です。「ローマの休日」の頃に比べると、確かに重ねた年齢を感じさせますが、可憐さ、清らかさは失っていません。外見の若さや美しさはうつろいますが、気品とか知性とか内なる天性の美質は保てる。それを体現してたオードリーは、やはり傑出した稀有な女優です。

 恐怖に怯え、うろたえながらも、決死の闘いを挑むスージーの、ハンディであるはずの闇を味方につけての逆襲が、鮮やかで面白いです。ほぼスージーの部屋の中だけで展開する緊迫感に満ちた物語、余計なシーンや人物を排除したシンプルで緻密な構成は、まるで良質の舞台劇みたいです(舞台劇の映画化と知り、なるほど納得)。
 まどろっこしい小芝居を打って、はじめは何とか穏便に麻薬をゲットしようとする悪人たち、かなり紳士的で微笑ましくもあった。あれが中国人とか韓国人の裏組織なら、問答無用に荒っぽく簡単に強殺するだろうし。
 人形を狙う悪人グループを仕切るロート役のアラン・アーキンの、不気味な存在感とサイコな怪演が強烈です。

 見るからにヤバい人なロート。かなり狂気的な男なのですが、いかにもキ○ガイなオーバーアクションは皆無で、あくまでクールで淡々としてるところが返って怖い。邪魔者を躊躇なく始末していく冷酷無残さにゾゾッ。ラスト、スージーをいたぶるように追い詰めるロートのドSっぷりは、キモ怖いながらも何か素敵でした。「リトル・ミス・サンシャイン」でオスカーを受賞し、「アルゴ」での好演も記憶に新しいアーキン氏、じじい俳優として重宝されてる現在ですが、新進気鋭の俳優だった当時33歳の彼、かなりイケメンです!スージーに近づくため老人とその息子に変装するロートですが、同一人物とは思えないほど見事な化けっぷりで、アーキン氏の役者っぷりに感嘆せずにはいられません。
 
 

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