まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

もう会えないディスタンス

2024-03-14 | 中国・台湾・香港映画
 「再見、在也不見」
 3つの物語から成るオムニバス映画。
 「背影」中国の広西州に仕事で来た陳は、自分と母親を捨てて失踪した父を発見する。ひそかに父を観察し続ける陳だったが…
 「湖畔」音信不通だった幼なじみから手紙を受け取る陳。友人は死刑囚としてシンガポールの刑務所で刑の執行を待つ身だった…
 「再見」大学教授の陳は、講演のためタイを訪れる。そこにはかつての恩師で恋人だった女性がいて…

 日本でも活動していた台湾の俳優チェン・ボーリン主演作。久々に見たチェン・ボーリン、「藍色夏恋」の可愛いイケメンも、すっかり色気のある大人の男に。繊細で愁いのある演技も魅力的で、いい男いい俳優になりましたね~。映画そのものよりも、チェン・ボーリンの成熟に感銘を受けました。とはいえまだ若く(この映画の時は33歳)おっさん臭は全然ありません。父親役、大学教授役にはまだ不似合いなほど青年っぽいです。三つの物語それぞれで、大人になっても遠い昔の悲しみや喪失感を引きずっている男をボーリンくんの、少年の蒼い残滓が滲む表情や風情が切なかったです。

 でもほんとボーリンくん、いい男になりましたね~。薄口な韓流俳優と比べると、華流俳優はいい感じに濃くて香ばしい。ほっそりした長身も、若い頃より肉付きがよくなって色気が増した。口元が何かエロいです。シャワーシーンでちょっとだけ脱いでましたが、ちょっとユルめの裸もバキバキ筋肉より自然でよかったです。一般人とは異なる華がルックスにも雰囲気にあって、それが地味で暗い物語の救いにもなってました。

 3つの物語にはつながりはなく、主人公の陳は台湾人で同姓同名の別人。中国、シンガポール、タイの監督がそれぞれの母国を舞台に、親子、友人、男女の、離ればなれになった愛の終わりを、チェン・ボーリンに一人三役をさせて哀切に描く、という趣向になってます。もう二度と元には戻れない、もう会うこともない、という喪失と後悔の悲しく甘い痛み。美しいテーマですが、冷血人間の私の心にはあまり響かないんですよね~誰とも深く関わらない、終わった人間関係に執着しない、後ろは振り向かない(ていうか、今がいっぱいいっぱいなので振り返る余裕がない)、独りでいい、今を大事にしたい、というドライな性格なので、過去や他人に囚われすぎる人って大変だなと思ってしまいます。でも、そういう悲しみや苦しみこそが人生を豊かにもしてるのかな、と羨ましくもなります。

 三つのエピソードの中では、シンガポール編の「湖畔」が好きです。かなりBLっぽかったので。監督はゲイなのかな。そう思わせる感性が演出や場面にありました。少年時代の陳と幼なじみが親密すぎて村の噂になり、陳の父親が二人を引き裂こうとするのですが、二人は湖のほとりで会わずにはいられない。性的な関係ではないのですが、全裸で一緒に泳いだりじゃれ合ったり、どちらかがあと一歩踏み出せば肉体的にも恋人になる、でも踏みとどまってる二人がもどかしくも痛ましい。大人になって再会した二人の限られた時間と言葉少ない会話には、友人ではなく恋人同士の想いであふれているようでした。それにしても。異国で死刑囚になるとか、最悪の転落だわ。いったい何したんだよ。死刑囚になった友人役は、懐かしの台湾BL映画「僕の恋、彼の秘密」のトニー・ヤンと知り驚きました。彼もずいぶん見ないうちに大人の男になりましたね~。私も年を取るわけだわ

 ↑ 今年で41歳になるチェン・ボーリン、大人っぽくなったけどまだまだ可愛いですね~
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