まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ゲス踊り

2016-11-28 | 北米映画 80s~90s
 「ショーガール」
 スターを夢見てラスヴェガスにやって来たノエミ。ストリップクラブのダンサーとなった彼女は、大スターのショーガール、クリスタルから屈辱的な扱いを受ける。それがきっかけとなり、ノエミはクリスタルと同じ舞台に立つチャンスを掴むが…
 久々の新作“Elle”で今年のカンヌ映画祭をザワつかせ、健在ぶりをアピールした変態巨匠ポール・ヴァーホーヴェン監督。90年代、「ロボコップ」や「氷の微笑」が大ヒット、ハリウッドでブイブイいわせた彼は、その勢いで調子ぶっこきヤリたい放題の結果、後に20世紀最低最悪の駄作!という烙印を押されることになるこの作品を生み出してしまったのでした。
 今なおクソ映画の代名詞として、映画史に燦然と?その悪名を轟かせているこの作品ですが…そんなにヒドい映画なのかなあ?確かに、下品でオゲレツなシーンてんこ盛り、チープな内容、3流演技などなど、青少年にはおすすめできない、乙女淑女が観たら眉をひそめるゲス映画なのですが、ジジババ向け、スウィーツ向けの毒にも薬にもならん映画しか作られない今、そのゲスっぷりが返って新鮮で面白く感じられるのです。折しも今年、日本では空前のゲス旋風が巻き起こりました。なので、この映画はまさに今の日本にマッチした、作られたのが早すぎた映画とも言えるのではないでしょうか。

 ↑撮影中、出演女優たちとウハウハなヴァーホーヴェン御大
 年月を経た今ではカルト的人気を誇るこの作品、とにもかくにもゲスい刺激と笑いに満ち溢れています。ダンスシーンでもファックシーンでの、出し惜しみなきおっぱい&お尻に、おなかいっぱいゲップ状態に。エロいというより超下品なダンス、その破廉恥すぎる振付が笑えます。
 とにかく何もかもがケバケバしくて下品なのですが、話の基本は大昔の少女漫画。「エースをねらえ!」と「ガラスの仮面」を足して二で割って、めちゃくちゃオゲレツにした感じ。女同士の火花とか陰湿な妬み、仕返しなど、ラケットを隠したりシューズに画びょう入れるのと同レベル。でも、ノエミとクリスタルの関係は、ちょっと面白かったかも。二人とも、下品だけど性悪ってキャラではなく、ホントは仲良くなりたいんだけど、女に特有の“私の方が上!”という意識が邪魔して、つい挑発したり反発したりしてしまう、みたいな。
 ヒロイン、ノエミ役のエリザベス・バークレー、顔は上戸彩+ハル・ベリー、を超下品にした感じ?もう娼婦にしか見えません。脱ぎっぷりもスゴかったけど、彼女のファッションが強烈!あんな服着てたら、アバズレヤリマン扱いされるのは当然。この映画でのゲス演技が酷評され、ショックで一時失踪してしまったというバークレーさん。確かに、親が見たら泣くようなことばかりやらされて、挙句にクソ女優呼ばわりされちゃあ、消えたくもなりますよね~。ヴァーホーヴェン監督も、思えば罪なことしたもんだ。でも、大女優にならなくてよかったかも。なってたら、この映画のこと一生ネタにされてたでしょうし。
 クリスタル役のジーナ・ガーションも、何でここまで頑張ったんだろう、と不思議なほどの大安売りっぷりでした。でも、ラスヴェガスの人気ショーガールって、あんなセレブ扱いされてるの?まるでハリウッドの大女優みたいな扱いだったけど…聞くところによると、クリスタル役にはシャロン・ストーンやマドンナが興味を示したり、当時無名だったシャーリーズ・セロンがノエミ役のオーディションを受けていたとか。3人とも、出なくてよかった!と、公開当時は心の底から安堵したことでしょうね
 興行会社の重役役は、「ブルー・ベルベット」や「ツイン・ピークス」など、デヴィッド・リンチ監督のお気に俳優だったカイル・マクラクラン。

 見るからに軽薄でヤリチンで信頼できない、ゲス乙女の川谷アメリカ版みたいなゲス男を好演してました。川谷と違って、かなりイケメンですが。ノエミとのプールでのファックシーン、アクロバットなシクロナイズドなプレイで笑えました。あんなん、鼻や耳に水が入ってエッチどころじゃない状態になると思うけど女優たちに負けず、彼も無駄にケツ丸出し。ブルーベルベットの時はツルンとした美尻だったのに、この映画では弛んでたカイル、結構好きな俳優だったんですけど、彼もこの映画でミソつけて、その後キャリアはパッとしないまま、B級俳優になってしまったのが残念。
 この映画で、最低最悪版アカデミー賞であるラジー賞を受賞したヴァーホーヴェン監督が、堂々と式典に出席し『蝶が芋虫になった気分だ』と笑顔でスピーチしたことは、今も語り草となっています。批判や批難も、どこ吹く風で笑い飛ばし受け流す、ヴァーホーヴェン監督の余裕と剛毅が好きです。そんなヴァーホーヴェン御大の最新作である“Elle”は、フランソワ・オゾン監督やダニエル・トンプソン監督など並み居る人気監督作を押しのけ、アカデミー賞外国語映画賞のフランス代表に選出されました。ヒロインを大怪演してるのは、この映画のB級女優とは雲泥の差がある大女優イザベル・ユペール!ユペりんの初オスカーノミネートも期待してます。グイネス・パルトローとかジュリア・ロバーツが受賞できるなら、ユペりんは1000個オスカーもらってもおかしくないと思う!

 ↑ Elle観ておくれやす~by ヴェン&ユペ

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3 コメント

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劇場で観ましたよー (ジェーン・ドゥ)
2016-11-29 16:34:32
確か、お正月の大作映画扱いと
ちゃいましたやろか?
当時のバーホ君は飛ぶ鳥落とす勢い
でしたからね

でもこれって『イブの総て』を
ディスって、、じゃないやリスペクト
した作品だったのでは?(⌒-⌒; )

まぁ、バーホ君ならなにをやったって
許せます
この人の、確信犯的猥雑さって
ジェーンも大好き♡
これからも、死ぬまで我が道を
逝っちゃってと、エールを送り続けます
(ユペリンとのコラボも楽しみ♬)
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これこれ!!! (フキン)
2016-11-29 18:08:56
こういうパンチのある洋画がみたいんす。(笑)
この映画が面白かったですよねー!!
そうそう、「イブの総て」っぽい♪

ユペリンはサイコー♪
返信する
ゲスの先取り! (松たけ子)
2016-11-29 23:18:16
ジェーン・ドゥさん、こんばんは!
いいなあ~!私も大きなスクリーンで観たい~!
バーホ氏の調子ぶっこきぶりが愉快痛快!名作をディスってるのかリスペクトしてるのか、とにかくバーホやりたい放題でしたね~。
でもほんと、バーホの分かってやってるゲスっぷりは、ある意味芸術的でもありますよね!無難で凡庸な連中を嘲笑う変態天才バーホ、私も大好きです。
Elleの日本公開、待ち遠しい~!

フキンさん、こんばんは!
そうそう!今こんなパンチの効いたゲス映画、観られないですからね~。広瀬スズとか山崎ケントとか出る映画も、実は面白いのかな?フキンさん、毒味(笑)お願いします~♪
オスカーに向けての賞レースがスタート、ゴッサム賞でユペりんが主演女優賞を受賞!ナタリー・ポートマンとかを押しのけての快挙!👏
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