まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

男ふたり洞窟で…

2022-08-04 | ドイツ、オーストリア映画
 夏のBL映画祭③
 「Orpheus' Song」
 ジムで知り合い親しくなったフィリップとエニスは、旅行先のギリシアで森の中に迷い込んでしまう。ヘラクレスと名乗る不思議な男に、二人は洞窟へと導かれるが…
 ちょっとおとぎ話的なBL、いや、これもゲイ映画でした。BL映画とゲイ映画の違いは、肌露出と性愛シーンの比重でしょうか。男同士のセックスなんてほとんど存在しない扱いな、ライトでファンタジーなBLでは物足りなさを覚えますが、かといって必要以上に裸になって肉体を貪るような生々しいゲイ映画だと、胸やけ食当たり気分になってしまう。このドイツ映画は、男が裸になるシーンがやたらと多い点でゲイ寄りですが、セックスシーンじたいは一回だけで、それも大胆だけどソフトタッチだったので、ゲイにも腐女子にもちょうどいい塩梅になってます。

 フィリップとエニス、はじめは仲良しなだけ、とはいえ、そのイチャイチャ仲良すぎな姿には、友情以上の匂いも濃厚。彼女や嫁といるより親友といる時のほうが楽しく安らぎ、自分らしくいられる。そんな男の友情って、セックスなしの恋愛関係に近いですよね。何かのきっかけ、何かのスイッチが入ると、ノンケでも同性とセックスできるみたいです。すべての男性は潜在的に同性愛者でもあるのだとか。ただそれに気づかない、目覚めない人のほうが多いだけ。気づいて目覚めてしまったフィリップとエニスは、不運で不幸な男たちだったのでしょうか。私にはそう思えません。どっちかが女だったら、なんて思うほうが時代錯誤で狭量。異性愛が健常で正常、同性愛は病的で異常、なんて風呂場のカビのような価値観だけど、こびりついたカビはなかなかとれないのが現実。

 謎の男ヘラクレスの魔法?洞窟で禁断の果実と酒を食べて飲んだフィリップとエニスは、誰もいない海辺で愛し合うのですが。それも衝動的とか魔術にかけられた状態でといった感じではなく、今までそうしなかったのが不思議なほど自然に、体でも愛を確かめ合っているように見えました。魔法は二人をいきなりホモにしたのではなく、本当の彼らへと解放してくれたように思えました。それにしても、ヘラクレスはいったい何者だったのでしょう。ゲイの妖精?二人が本当にただの友人同士だったら、おそらく現れなかったかも。

 エッチした後は、魔法が解けたかのように動揺し、ぎこちなくなる二人。特にエニスは露骨にフィリップを避け始め、そんなエニスにフィリップは傷つくという旅の終わりがホロ苦い。苦悩や葛藤を経て二人が選んだ道、その過程をもっと丹念に描けてれば、ラストはもっと感動的になったはず。
 主演俳優二人は全然知らない人たちでしたが、どっちもなかなかイケメンでした。フィリップはポール・ウォーカー、エニスはジェラルド・バトラーにちょこっと似てる感じ。二人とも脱ぎっぷりがよすぎ。バキバキ筋肉ではないけど、ドイツ人らしく体が大きく骨太なソフトマッチョでした。趣ある町の風情や美しい海!ギリシアにも行ってみたいな~。
 
コメント
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