まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

僕が愛した兄さん

2021-07-27 | 韓国映画
 「SEOBOK ソボク」
 余命いくばくもない元情報局エージェントのギホンは、人類初のクローン人間であるソボクの護衛の任につく。命がけで自分を守るギホンに、ソボクはいつしか心を許すようになるが…
 コン・ユとパク・ボゴム、人気イケメン俳優のW主演作ということで、韓流ファン、そして腐女子に関心と期待を抱かせていた作品。ようやく日本公開!わしもワクワクしながら観に行きました。いい意味で、期待を裏切る怪作でした。イケメン二人の萌え萌えな、がっつりブロマンスな内容かと思い込んでいたんです。ブロマンス映画には間違いないのですが、それ以上に惨劇のサイキックホラーの要素が強かった。ソボクが怖すぎる。ソボクを怒らせないで!血の雨が降る!普段はおとなしい悲しげなソボクが、ギボンや自分に仇なす奴らに超能力で恐怖のお仕置き、制裁をくだすシーンの数々が、かなり過激で凄惨。ラストなんかもうカオスな地獄絵図だった。悪人どもが容赦なく皆殺しにされてゆく終盤は、恐怖のカタルシスでした。怒りをコントロールできなくなるソボクは、ちょっと「キャリー」とか「炎の少女チャーリー」を思い出させました。

 血まみれ血みどろなホラー、派手な銃撃戦やカーアクション、スパイサスペンス、近未来的SFと、ちょっと詰め込み過ぎ感も否めない盛沢山な映画でした。最も期待されていたのは恐らく、イケメン二人のブロマンス。それも狙いすぎなあざとさはなく、かつツボはちゃんと突いてる微笑ましさと切なさでした。ギボンとソボクの、ぎこちなくも少しずつ距離を縮めていくやりとり、極限状態で強まり緊密になる関係が、友情以上BL未満な優しさともどかしさ。手を掴んで引き止めたり引っ張っていったり、じっと見つめ合ったりするのは、やっぱ男同士だと友情や義兄弟の絆を逸脱していて、腐心をときめかせます。もうそこでキスしちゃえよ!好きだと抱きしめちゃえよ!なんて、じれったくなりましたわしも可愛いイケメンにヒョン(兄さん)と呼ばせたい!素敵な男前をヒョンと呼びたい~!

 ギボンとソボク、どっちも背負ってる十字架が重くて暗くて、二人とも何のために生まれてきたんだろう、と彼らの宿業に暗澹となってしまいますが、不幸な男たちとは思えませんでした。だって、二人は出会うためにこの世に生まれたんだから!自分の命よりも大切な人と出会え、その人を守り救えるなんて、何て崇高なことでしょう。ラスト、ギボンとソボクが選んだ決着は悲劇的でしたが、まさに互いへの強い深い愛ゆえの選択でした。冷血人間の私も、ちょっとウルッとしました。悲しさよりも、その尊さ美しさに感動して。たとえ過酷で短い人生でも、誰かのために生きる、そして誰かのために死ねるなんて、ほとんどの人間には味わえない幸せです。

 ギボン役のコン・ユは、役作りで激痩せ。梅干しみたいに萎んだやつれ顔、細い身体つきが痛々しく、かつ役者魂を感じませました。ただでさえスタイル抜群のコンたんが、痩せるとさらに顔の小ささと手足の長さが顕著に。若い頃はラブコメで人気を博したコンたんですが、最近はシリアス路線で俳優として一皮剥けるための仕事を選んでるみたいですね。でも彼の顔って、いい意味ですごくアホみたいだから、やっぱコメディが似合うんですよね~。ソボクに振り回されて困惑したりイラっとしたりするシーンでの、ちょっとコミカルな演技が往年のコンたんを思い出させました。シリアスもいいけど、たまにはまたコメディにも出てほしいです。

 ソボク役のパク・ボゴムは、飾り気のないシンプルな風貌だけど、一般人とは明らかに違うオーラが。それがミステリアスで神秘的で、ソボクのキャラに合ってました。日本の某事務所タレントやイケメンなだけ俳優だと、間違いなくあざといまでに可愛く演じるだろうソボクを、ボゴムくんはかなり抑えて演じていたのが秀逸でした。童顔ですが、子どもと思われたり子ども扱いされるのには違和感。声が低く背が高くて結構がっちりしてるので、じゅうぶん大人に見えます。着替えシーンでの見えそで見せない裸にイラっ。サービス脱ぎしないなんて、韓流男優にあるまじき怠慢!

 コン・ユもパク・ボゴムも、顔は日本人っぽいところが親しみやすい。逆に、ギホンの元上司とか研究所のパトロンである大金持ちの爺とか、悪人はみんな典型的な朝鮮系顔。元上司がちょっと元大阪府知事の橋下氏似?憎々しい、イヤ~な顔してます。演技が巧い、とも言えますが。それにしても。科学や医学の発達って、もう素晴らしさよりも恐怖を覚えます。ソボクみたいなのを生み出すなんて、神をも恐れぬ自然への冒涜ですよ。病気は怖いけど、死なないのも怖いです。本当に不死を望んでる人なんているのかなあ。

コメント
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