まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

相棒は変態熟女

2020-10-04 | フランス、ベルギー映画
 「ティップ・トップ ふたりは最高」
 とあるフランスの地方都市。警察の情報屋だったアルジェリア人の男が他殺死体で発見される。女性監察官のエステールとサリーが事件を捜査することになるが…
 世界一働き者な大女優といえばイザベル・ユペール、御年や女優としてのステイタスを考えれば、驚異的なバイタリティとフットワークの軽さです。出演作がまったく途切れないのはファンにとっては喜ばしいけれど、コロナ禍の真っただ中でもあるので心配でもあります。今年も日本では「ポルトガル、夏の終わり」が公開されましたが、この作品は特別上映の形で日本でもお目見え。「マダム・ハイド」と同じセルジュ・ボゾン監督の作品です。

 マダム・ハイドもでしたが、うう~ん…あまり面白くなかった、いや、ぶっちゃけ全然面白くなかったです淡々としずぎてかったるいし、意味不明な描写が多い。フランス映画の悪い点が凝縮されてるような作品でした。いちおうコメディみたいでしたが、まったく笑えなかった。同じ淡々系、同じイザベル・ユペール主演でも「アスファルト」はクスっと笑えるユニークな喜劇だったし、同じ意味不明系なら「TENET テネット」は退屈を許さない圧倒的な映像と演出だったけど、この作品みたいな解かる人だけ好きな人だけ楽しんだらいい、みたいな狭さや突き放した感じがする映画は苦手です。まあ、結局は好みなのでしょう。わし、この監督とは合わないみたいです。

 コメディなのに笑えないのも残念すぎますが、せっかくの刑事もの、女性のバディものなのに、事件の真相とか人間関係とかはどうでもよさそうで、ヒロイン二人の奇矯な性癖を執拗に描いて笑わせようとしてたみたいだけど、ただ薄気味悪くて不愉快なだけでした。フランス女ならではな魅力とか駆け引きとか、せっかく移民問題がらみの事件を扱っていたんだから、その闇に女二人が踏み込む社会派ミステリー、サスペンスにしてほしかったです。

 エステール役のイザベル・ユペールは、相変わらず冷ややかで珍妙で変態でした。攻撃的で暴力的、殴り合いでエクスタシーを感じるというドS女で、冷然と無機質な見た目とか「ピアニスト」のエリカ先生が警察にトラバーユ?みたいなキャラでした。マダム・ハイドもそうでしたが、エリカ先生のイメージが強烈すぎて、監督たちは同じような役をイザベル・ユペールに演じさせたい、演じさせてしまうんでしょうか。血だらけになった顔面,鼻をつたって滴り落ちる血をペロっと舐めたり、他の女優だったら気持ち悪いだけ、でもカラっと乾いててシレっとスットボケてるユペりんなので笑える。彼女のファン限定ですが。冷ややかな美しさ、エレガントさも彼女の魅力ですが、さすがに下着姿とかだと老いが目立って痛々しい。首や生足とかシワシワ。そんなグロテスクさで観客を狼狽させるのも、ひょっとしたら彼女らしい確信犯的な露悪かもしれません。

 相棒のサリー役は、地味に名女優なサンドリーヌ・キベルラン。小柄なユペールとはまさに凸凹な身長差。デカいけど何か頼りない、いろんな意味で大丈夫なのかな?と不安にさせるメンヘラな雰囲気が独特でした。のぞき癖がある役で、男の裸をのぞきながら全裸で自慰してるシーンとかイタすぎる。テシネ監督の「Quand on a 17 ans」の彼女のほうが好きです。
コメント
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