まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

華麗なるキャットファイト!

2014-08-06 | フランス、ベルギー映画
 今日は原爆記念日、今朝も静かに鎮魂の祈りを捧げました…
 原爆の生き証人が減っていくことが、TVなどで報道されています。でも私の周囲のお年寄りは、みんな超元気。90過ぎなんてザラにいます。お迎えが来る気配はまったくありません。返って、お年寄り子ども世代、つまり私の親世代の方々のほうが、お亡くなりになることが多くて悲しいです。お年寄りには長生きしていただきたいけど、私自身は長生きしたくないです♪

 お松の独りイザベル・ユペール映画祭④
 「8人の女たち」
 クリスマスの夜、留学先から実家に帰省したスゾンを、母のギャピーや祖母のマミー、叔母のオーギュスティーヌ、妹のカトリーヌ、メイドのルイーズとシャネルが迎える。そんな中、一家の主人が何者かに殺害される。雪に閉ざされ、屋敷は密室状態。主人の妹ピエレットがフラリと現れたことを機に、女たちは秘密の暴露と本音をぶつけ合い始めるが…
 カトリーヌ・ドヌーヴ、イザベル・ユペール、ファニー・アルダン、エマニュエル・ベアール…ひとりだけでも強烈で濃ゆい大物フランス女優たちが一同に会してしまったこの恐ろしい映画は、文芸大河ドラマでもシリアスな人間ドラマでもなく、何と密室殺人ミステリー仕立てのミュージカル!つっても、圧倒的な迫力と技術を駆したハリウッド製のミュージカル映画みたいな歌と踊りからは程遠い、とても真剣にやってるとは思えぬ、脱力感でいっぱいな、お遊戯的にオチャラケた大物女優たちのノリと振り付けに、目が釘づけ!

 舞台は、お人形屋敷みたいな洋館。雪ふりしきる中、そこに集まったワケあり女たち8人。わざとらしいまでに陽気で和やかなムードの中、発生する殺人事件。そこから始まる、女たちのバトルロワイアル!
 目がチカチカするほど明るい原色の衣装を身にまとった、一癖二癖どころか百癖はありそな女たちが、次から次へと暴露・嘘・皮肉・いやがらせの応酬を繰り返す、そのテンポと内容はまさに、甘くて危険な毒入りデコレーションケーキを召し上がれってな感じ。だんだん殺人の謎はもうどうでもよくなってきて、自分勝手で嘘つきで恥知らずな女の性悪さを武器に、次に誰と誰がエゲツないバトルを勃発させるか、それが最大のお楽しみになってしまうのです。
 女優たちは、それぞれに見せ場が用意されていて、毒々しくもおちゃめに歌い踊る。歌は、人生や愛に対する絶望や哀しみに満ちたものが多く、女たちのキツさ強さ元気さとは対照的で面白いです。含蓄のあるドギツい台詞も黒い笑いを誘います。

 一緒の画面にいるだけで、こっちが何だかハラハラしてしまう大物女優たちですが、演技の火花!といった肩のこりそうな気合はまったく感じられず、彼女たちのパフォーマンスは、あくまで軽やかで楽しげ。
 ゴージャスなドヌーヴ。神経症チックなユペール。妖艶なアルダン。小悪魔チックなベアール。みんな自分のイメージを見事にパロッているのです。みんな珍演・怪演していますが、やはり中でも一番の大怪演を披露して目立ちまくりだったのがイザベル・ユペール。欲求不満のオールドミスって、まんま「ピアニスト」のパロディじゃん!あのエリカ先生が、ギャグ化して戻ってきてくれたような怖さ嬉しさ。常にイライラカリカリ、誰にでもすぐに噛みついてくるヒステリーぶりが笑えます。笑えるシーンはいっぱいあるのですが、特にププっだったのは、ファニー・アルダンに義兄へのラブレターを暴露されてアタフタするところ。コメディエンヌとしても卓越してるユペりんです。グレタ・ガルボ風な美女への変貌も、さすが女優!と拍手ものです。

 最もインパクトがあるのは、やっぱドヌーヴとアルダンのキャットファイト&キスシーンでしょうか。「終電車」や「隣の女」など、故トリュフォー監督のミューズだった大女優ふたりが、まさかこんな形で共演を果たすとは。コノヤロー!と掴み合い、床の上でゴロゴロ転がり回り、組んずほぐれつの格闘してたかと思うと、ブチューっとキス!ひえ~!!です。トリュフォー監督は、草葉の陰でどう見たことでしょうか

 一見、エレガントでオチャメなおばあちゃま、実は最凶の因業ばばあマミー役は、戦前からの往年の大女優ダニエル・ダリュー。彼女の裏の顔、本性がエゲツなくて笑えます。ついにプッツンしてギャーギャー大騒ぎする彼女の頭を、うるさい!とカトリーヌ・ドヌーヴが瓶で撲るシーン、スゴい老人虐待シーン当時は若手だったヴィルジニー・ルドワイアンとリュディヴィーヌ・サニエの可憐さ、活きのよさも、映画を華やかに楽しいものにしています。サニエちゃんはオゾン監督のお気に女優だっただけあって、おいしい役もらってます。
 これだけのメンツを集め、統率することができたフランソワ・オゾン監督、その毒々しいユーモアのセンスが香ばしい。豪華キャストでも、まったく集めた意味がないし面白くない映画っていっぱいありますから、いかにオゾン監督が有能かがこの映画を観ると解かります。ゲイである彼独特の感性で、おんなという魔物が敬愛をもって描かれています。
 これ、邦画でリメイクされるとしたら、理想はこうだ!

 カトリーヌ … 能年玲奈
 スゾン … 二階堂ふみ
 ルイーズ … 真木よう子
 オーギュスティーヌ … 若村麻由美
 シャネル … 藤山直美
 マミー … 八千草薫
 ピエレット … 桃井かおり
 ギャピー … 岩下志麻

 こんなん出ましたけどぉ~?
 なかなか華やかで毒々しいメンツじゃないですか?このメンツで見てみたいな~
 
 

 
コメント
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