まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

噂の熟女

2013-02-14 | 北米映画 60s~70s
 ハッピーバレンタイン
 皆さまも大事な殿方に甘い甘いチョコレートを差し上げたことでしょうか。
 私は逆にいっぱいもらいました最近は、どうでもいい男にもあげる義理チョコだけでなく、友だちにも配るトモチョコという風習も始まって、ほんと日本人らしいよなあと苦笑するばかりです。
 ピーターは甘いものが苦手なので、ラーメンをおごってやりました。最近は、楽しいというより何だか気まずい居心地の悪さを覚えてしまう、けど、いっしょにいることが多い私たちです。経験上、これはヤバい兆候、進むな立ち止まれの黄信号が点滅しています…

 「さよならをもう一度」
 パリに住むインテリアデザイナーのポーラは、不実な恋人ロジェとの関係に悩んでいた。そんなポーラの前に、フィリップという若い男が現れる。フィリップの情熱的な求愛に、ポーラは戸惑いながらも抵抗できなくなり…
 フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き?」の映画化。パリを舞台に、大人のビターな恋愛が優雅に切なく展開されます。別に濃厚でセクシュアルなラブシーンがなくても、魅惑的な大人の映画は作れるんだよなあと、この映画を観てあらためて思いました。アラフォーアラフィフ女性にとっては、かなり羨ましくもあり共感もでき、同時に身につまされる熟女ポーラの恋愛事情です。
 社会的ステイタスのある同世代のダンディ紳士と、若くて可愛いくて金持ちの坊ちゃんの両方から愛されて、身も心もよろめきまくるポーラ。いいご身分じゃのお!勝手にやっとれや!と、フツーなら鼻で笑いたくなるシチュエーションなのですが、ポーラの苦悩が結構リアルで、ああ分かる分かるその気持ち、その行動、と見ていて胸が痛くなり、もの悲しくなりました。こんなに美しく知的で優しい才能もある女性が、老いや衰えの残酷さ、失うことへの恐怖に怯えなきゃいけないなんて。なまじ恵まれすぎてるからこそ、わしみたいなナッシング人間には想像もできないような苦しみを味わわなきゃいけないんだろうなあと、彼女を羨望するより気の毒になりました。若いフィリップに熱愛されても、すぐに浮き彫りにされてしまう肉体的・精神的な年齢差に、ときめいてた心も冷まされ、不安と自己嫌悪に陥るポーラの複雑で悲しい心の機微、すごく理解できて私まで暗澹となりました。若い男にホイホイされて有頂天になり、ひょっとしたらイケるかも?と明るい期待を一瞬もったりするけど、それを盲信して溺れきるほど愚かではなく、いずれは傷つけ憎み合うようになり、失望と絶望しか待ち受けていないことを知っているからこそ、結局は現実を見据えて生きることを選んだポーラ、その年齢を重ねた女の世間知、思慮深さが悲しくイタかったです。年の差恋愛は、やっぱ希望や歓喜よりも不信や痛みのほうが大きい、だからこそ甘美なのでしょうか。熟女と若い男がラブラブな光景は、滑稽で醜悪ですよね。ほんと、私も肝に銘じます。年の差恋愛って、本気にならず、熱く短く終えるのがベストなのだ、と。
 それにしても。ストーカーなイケメン男子と、不実な女たらし熟年おやじを愛するポーラ。彼女を幸せにしてくれそうな男性は、いっぱいいそうなのに。彼女みたいな不幸な恋しかできない体質の女って、いますよねえ。穏やかな平凡な愛では満足できない女。フツーの男からは愛されない女。可哀想、だけど、ちょっと憧れます。
 あと、ほどよくリッチなムードが大人のラブストーリーに合ってて素敵でした。韓ドラやハリウッドのウソ臭い非現実的で悪趣味な成金ではなく、辛気臭くリアルすぎる庶民でもない、理想的な豊かさ。通いのお手伝いさんのいるポーラの瀟洒なアパルトマン、外食先の落ちついたレストラン、上品なホームパーティなど、私もこんな生活してみたいと感嘆してしまいました。
 主役3人を演じるスターたちが、それぞれの魅力と個性を活かして好演しています。

 ヒロインのポーラ役は、大女優イングリッド・バーグマン。彼女は当時45歳ぐらい?美しいです。まさに理想の熟女。気品があって理知的で優しそうで、それでいてなまめかしい女の色香があって。明らかにフツーの男にとっては高嶺の花なんですけど、そんな女王さま然とした高慢さがなく、聖母のような柔らかな神々しさが。おんな、なんだけど、まだまだ現役なの!とガツガツ必死な、上がったものも無理やり下ろそうとしてるような、ハリウッド映画界や日本の芸能界で跋扈してる不気味でイタい熟女とは、ぜんぜん違うんですよねえ。清らかで優雅だけど、大柄で逞しいせいか、はかなげな手弱女には見えない。その力強さも好きです。でも、歩き方がちょっとノシノシオドオドしてたのが気になった。そういうところでも、本当は臆病で不安に苛まれているポーラの心象が表れていましたが。バーグマンの衣装もエレガントでした。

 ロジェ役は、フランスの国民的歌手で名優だったイヴ・モンタン。シブい!パリが似合う粋なダンディだけど、軽薄さがなく男くさい素敵おぢさま。熟女も若いおねーちゃんも大好き、ヴァイアグラ不要な元気さもスゴいです。ちょっとケーシー高峰に似て見えたのは、私だけの目の錯覚?モテモテなロジェですが、誰にも独占できない、誰のものにもなれないのも孤独で虚しい…と、ロジェを見ていて思ってしまいました。
 フィリップ役のアンソニー・パーキンスは、この映画でカンヌ映画祭男優賞を受賞しました。

 ひょろっとした長身、繊細で神経質そうな顔は、体だけ大人で心は苦労知らずでワガママで独占欲の強い、傷つきやすい少年のまま、な青年役に適していました。フィリップの猛アタックって、ほとんどストーカー。あれって、金持ちのイケメンだからこそ許される行為です。あんなに可愛らしく執拗に迫られたら、よほど狭量でないかぎり女心はほだされるけど、あれがもしブサイク貧乏男だったら、おまわりさ~ん!と即通報ものです。母親のような女に甘え執着し思いつめる姿は、演じてるのがアンソニー・パーキンスなので、「サイコ」のマザコン男ノーマン・ベイツと重なって怖いです(笑)。
 こういう大人の恋愛ドラマ、日本でもTVドラマ化すればいいのに。年下男にハマる熟女って、いまブームじゃん。
 ポーラ → 若貴兄弟の母 or 五月みどり
 フィリップ → ピースの綾部
 ロジェ → 火野正平
 って、これじゃあバラエティの再現ドラマですよね(汗)。じゃあ、こんなんどうでせう?
 ポーラ → 鈴木京香
 フィリップ → 向井理
 ロジェ → 佐藤浩市
 カッコカワいくストークするムカイリー、萌え~♪って、最近、向井理が好きって口にすると、若い子らの反応が冷たい…のは気のせい?
 


 
 
コメント (5)
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