まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『すばらしい新世界』“世界はひとつ” への簡単ではない道のり

2018-03-19 22:24:23 | イギリス・アイルランドの作家
BRAVE NEW WORLD 
1932年 オルダス・ハクスリー

オルダス・ハクスリーは、短篇を2篇ほど読んだことがあったみたいですが
印象に残っているのは『ジョコンダの微笑み』というお話しだけでした。

で、裏表紙のあらすじを読んで「な、なんて面白そうな!」と思い手にした
『すばらしい新世界』なのでしたが…

すごく興味深い内容ではありましたが、わたしはちょっと好きになれませんでした。
ざっと書いてみるね。

地球は、九年戦争を終えたあと、戦争を放棄し平和に共生する道を選びました。
もはや “ 国 ” という概念はないみたいで、大陸や都市は世界の中の一都市という
認識になっているみたいです。
本当にそうなっていたら素晴らしいことですね!

人々は世の中になんの不満も抱いておらず、仕事の後はデートや映画
スポーツを楽しみ、孤独や哀しみを感じる暇はありません。
進歩した技術のおかげでほとんどの病気は絶滅し、若々しいまま年老いていきます。
夢のような世界ですね! 老けないなんて…

しかしその実態は…

主な舞台は、ロンドン孵化条件づけセンターというところなんですが
このセンターは世界各地にあるようです。

そこで行われているのは “ 人間の製造 ” って感じかな?
子供は身ごもるものではなく、受精卵の段階で上流のアルファ・ベータ
下層のガンマ・デルタ・イプシロンに選別され、ビンに入れられ
各々の階級にふさわしい薬品や刺激を与えられて育てられます。
それだけでなく、仕事にあう体型や体力に仕上げられます。

生まれた後は、あかちゃんの時から睡眠療法で各々の階級にピッタリの
例えば「ガンマでよかった、ベータのように勉強しなくて良いから…」というような
スローガンをたたきこまれます。

家庭や両親というものは存在せず、おぞましく卑猥なものと考えられています。
でも寂しくないのは “ みんなはみんなのもの ” というスローガンのもと
ひとりの人ではなく、たーくさんの人と付き合うから…
一部の方々には嬉しい世界かもしれませんね。

だから、人々は自分の境遇に満足しきっているわけですね。
ちょっと悩みがあれば、ソーマというものを飲めば楽しい気分になれるというわけで
だーれも世の中に疑問を感じず生きています。
だから争いもおこらず、世界はアッパラパー的に平和を謳歌しているのね。

ここまでで長くなっちゃったのであらすじは省くんだけど
やはり「なんかおかしいかも…」と思う人はいるわけです。

間違ってビンの中にアルコールを入れられてしまったと噂される
アルファプラスらしからぬ(背が低くハンサムでない)容姿のバーナード・マルクス

ものすごくアルファプラスらしいモテモテ男のヘルムホルツ・ワトソン

バーナードが “ 野人保護区 ” から連れて来た、文明人の息子らしいジョン

この3人がなにかしでかしてくれるかと思ったんだけどな…
でも皆が幸福な世界なら変えなくてもよいのか…? 判断がつきかねるラストでした。

それにしても、世界から争いをなくし誰もが幸せだ!と思う世界にするためには
こんなにも手間ひまかけなきゃならんのだろうか?

以前、誰だっけ? グレアム・グリーン
『最後の言葉』という短篇を読んで、やはり “ 世界はひとつ ” は
何かの犠牲の上にしか成り立たないのではないかと思った記憶があります。

お互いの精神的安定のために、せめて三軒隣りの国ぐらいまでは仲良くしたいものですけど…

わたしは読み終わって混乱してますが…
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



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『15のわけあり小説』事実と小説

2017-06-06 21:46:39 | イギリス・アイルランドの作家
AND THEREBY HANGS A TALE 
2010年 ジェフリー・アーチャー

以前読んだ『十二本の毒矢』も、12話中11話が実話だということでしたが
こちらも*印がある物語は、よく知られた事件に基づいたものだ、と
作者が前書きで書いています。 ちなみに15話中10話あります。

どれもこれも印象深いお話しでしたが、「ほんとーに?」というのが正直な感想。

では、実話が下書きになっているものからいくつかご紹介します。
どなたかこの事件の事をご存知でしょうか?

『第一話 きみに首ったけ』
ゴージャスな美女アラベラがプローポーズをOKしてくれて有頂天の銀行員ジェレミー。
指輪を買いに行こうというジェレミーに、アラベラが「盗めばいい」と言う。
ジェレミーはアラベラの計画通り、デビアスへと向かう。

『第五話 遺書と意志があるところに』
女優を目指していた美しい少女イヴリン・マーツバーガーは40歳になると看護学校に入り
看護士ミス・イヴリン・ムーアとなって、大富豪ソマーフィールドの遺産を手にした。
杖と写真1枚しか遺されなかった二人の子供は、法廷で争おうとするが…

『第七話 私は生き延びる』
骨董品店のジュリアンは、隣のミリーの宝石店に、歌手のグロリア・ゲイナーが
入って行く姿を見た。 彼女は翌日、別隣のスーザンの画廊に入った。
そして次の日、ジュリアンの店に入ってくると60万ポンド以上の品に目をとめた。

とりあえず女性が主人公のお話しを選んでみましたが、聞いた事ありそうですか?
たしかに『遺書と意志〜』は、けっこうありそうな話ではありますが…
イヴリン・ムーアのすごいとこは、遺書が公開されたその先を見据えてたことです。
やるならここまで考え抜いてやらねばね!!

創作された作品の中で一番好きだったのは『第八話 並外れた鑑識眼』でした。
300年前に法律家グレブナーが見出した、天才画家ブロッホの作品をめぐる話です。

ほとんどのお話しが、犯罪的というか、誰かをダマそう、出し抜こうという内容です。
夫婦間の小さな嘘から、国家がからむ壮大な隠蔽まで様々ありました。

ただ、実話・創作どちらも、なんとなく結末が読めちゃう内容だった気がする…
結末というよりは、話しの流れっていうのかしら?

面白いですよ! だけど、どっかで聞いた話しっぽいんですよね。
終わり方がモームに似てるのかな?

作者が「これは奇なり!」と選び抜いたお話しだとは思うんですけど
わたしはあとがきの最後にさら〜と書いてあった作者の人生の方に興味津々だわ!

ひとことK-POPコーナー
T.O.Pさま 
目が覚めたら、焦らずゆっくり、よくなってください
なにも考えずに… というのは難しいかもしれませんが、あまり考えすぎないでくださいね
一ファンからのお願いです


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『死を忘れるな』老人の敵は老人?

2017-05-17 21:35:51 | イギリス・アイルランドの作家
MEMENTO MORI  
1959年 ミュリエル・スパーク

ミュリエル・スパークは、何篇か短篇を読んだことがあって
その中のいくつかは強く印象に残っていますが、掴みどころがない気がしてます。

そしてこの『死を忘れるな』ですが、面白かったんだけど…
頭の中が老後の不安でいっぱいになっちゃって、どーんよりしてます。

独り暮らしのレティ・コルストン(81歳)に「死ぬ運命を忘れるな」という電話が
何度もかかってくるところから物語が始まります。

その電話は、その後、レティの兄ゴドフリー(87歳)、その妻チャーミアン(85歳)
アレック・ウォーナー(79歳)、ガイ・リート(70代前半)などなどにも
かかってくるようになります。
声から受ける印象はまちまちで、犯人像が特定できません。

さて、犯人はいったい誰? なんの目的で? …という物語ではありません。
けっこうとりとめのない展開で、うまくまとめられないんだけどざっくり言うと…

ゴドフリーとチャーミアン夫妻の邸宅を中心に展開する
妻・夫・新しい家政婦のミセス・ペティグルー(73歳)の心理戦。

モード・ロング老人病棟に入院している、長年チャーミアンの家政婦を務めていた
ジーン・テイラー(82歳)と、同室の大部屋の老女たちの日々。

亡くなった大富豪ライザ・ブルック(享年73歳)の過去がもたらした遺産の争奪戦。

以上が、物語の大きな柱になっているのではないかしら?

でも、そんなことより、この物語を読んでいて思ったのは
当たり前なんだけど、年はとりたくないなぁ…ってこと。

ご覧のように登場人物のほとんどが70〜80代の物語で、たいていの人がどっか悪いわけ。
老人が抱えてそうな病名や症状が多数でてきます。
病気でなくても足腰が悪かったり、視覚や聴覚が衰えてたり、ぼーっとしてます。

病人として扱われている人たちが、歯痒さや悔しさを表すために大声で叫んだり
おおげさに痛がったり、わざと面倒をおこしたり… というシーンもふんだんにあります。

いっぽう、元気な老人たち。
彼ら彼女らは、自分が元気なものだから元気でない人たちにすごく意地悪なのね。
言い間違いを逐一指摘したり、「もう長くないな」って言ったりするんです。
そして自分は元気で、まだまだ大丈夫!ということに優越感を抱くわけ。
それはそれで、なんか虚しいわけよ…

いちいち登場人物たちの年齢を書いてみました。
物語の中に「あいつは俺より◯歳若いのに、もうダメだな」とか
「◯歳しか違わないのに10歳は老けて見える」といった表現が多々出てきて
わずかな年齢差がかなり重要なポイントなんじゃないかと思われたのでね。

ミュリエル・スパークは、この物語を41歳の時に出版しています。
身近に要介護の親戚・知人が増え始める年代ですよね?
もしかしたら、そんなところからインスピレーションを受けたのかな?

正直言って、今読むんじゃなかったなぁ…
とにかく、迫りくる老後のことを見せつけられてるようで身につまされるのね…
老後が想像できないぐらい、思いっきり若い時に読んどくべきだったでしょう!

まだまだ老いなんてって方、あるいは老いに向き合える勇気ある方はどうぞ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと大統領コーナー
いまさら…ですけど、マクロン大統領! なんと言っても20歳以上年上の奥さまが! しかも一途だったってとこが!! 
かなりクローズアップされてましたね。
フランスの皆様にも夢を与えていらっしゃるのでしょうが、世界中の女性に夢っていうか…妄想を与えてくれるわぁ


   ヒフミド トライアルセット【小林製薬】
コメント (4)
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『人形 デュ・モーリア傑作集』嬉しい予感…

2017-01-24 19:44:01 | イギリス・アイルランドの作家
THE DOLL AND OTHER STORIES 
ダフネ・デュ・モーリア

『いま見てはいけない』と同じような装丁ですね!
創元社はデュ・モーリアをシリーズ化してくださるのかしら? 楽しみ〜

こちらの一冊におさめられている14篇は、初期の作品だそうです。
表題の『人形』をはじめ、『東風』『飼い猫』『幸福の谷』の4篇に
後年の『鳥』『レベッカ』『レイチェル』を連想させる背筋ヒンヤリ感が漂っていますが
女ごころや恋愛トラブル、社会風刺などをテーマにした女性らしい作品が多く
コミカルともいえるストーリーもありました。
いろいろな作家の影響も見え隠れ… まだまだ作風を模索中だったのでしょうか?

ヒッチコック映画の原作者という先入観が強くて、オカルトとかミステリー方面の
作家だとばかり思っていたのですが、そうでない作品も多いかもしれないですね。
創元社さま、待っています。

ではでは、今までのデュ・モーリアのイメージと違う作品をいくつか紹介しますね。

『いざ、父なる神に(And Now to God the Father)』
上流の人々が大挙してやってくる、ロンドンの聖スウィジン教会の
ハンサムで人気者のホラウェイ牧師は、ある晩、若きクランリー卿の訪問を受けた。
彼は地方で知り合った娘を妊娠させてしまい、結婚を持ち出されて困っているという。

ものすごーーーいスノッブ牧師が、うまーく世渡りする様子が描かれています。
聖職者なのにね… こういう人、いっぱいいたんだろうなぁ
この牧師さんは、別のお話しで、貧しい者の味方の副牧師と争うことになります。
さてホラウェイ牧師の未来は?

『メイジー(Mazie)』
メイジーは体調が悪かったが、その日も仕事のために街に出た。
しかし、一日中歩き回ったが相手は見つからない。
夕方、メイジーは堤防から川を見ながら、平底船に乗って漂って行く自分を想像した。

特別なことがあったようで平凡な、場末の娼婦の一日が描かれています。
シーンごとにいろいろなメイジーに出会えます。
メイジーのお話しはもう一篇あって、おバカだが憎めないタイプに思えてきます。

『そして手紙は冷たくなった(And His Letter Grew Colder)』
3年ぶりに帰国したX・Y・Zから、彼の友人の妹ミセス・Bへの手紙。
訪問のお伺いからはじまり、招待のお礼、返礼の招待… 毎日のように届く。

題名のとおりです! どんなに熱烈なアプローチを受けても信じちゃダメっすね!
内容はみえみえでしたが、文面にありありと男性の気持ちが見えて面白く読めました。

『笠貝(The Limpet)』
他人のことばかりを気づかうあまりに、不幸になってしまったと嘆く女性の独白。
まずは両親、スターのヴァーノン・マイルズ、離婚した夫ケネス、政治家チチェスター卿…
皆に良かれと思って精一杯やったあげく取り残され、四十代を迎えようとしている。

そりゃあ、取り残されるでしょうね… でもすごい世渡り上手よ! この人。
戦略的だし、口も上手いんだと思うわ。 いい営業になれるんじゃないかしら?
野心満々の男性にはいいかもしれませんがおススメはしません。

いろいろなテーマに挑戦していて、若い作家の手探り感と探究心が垣間見えます。
でもさすが! やはり面白かったです。
『東風』の出だしなんか、何かが起こりそうでゾクゾクしました。

こういうデュ・モーリア作品をもっともっと読んでみたいです。
創元社さま… しつこいね

恐いのが苦手な方もこれなら安心
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと大統領コーナー
遠い日本にいるわたしが見てても不安なんですけど…
嫌われ者でも無名よりはまし… っていうお考えなのでしょうか?


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『異国の出来事』トレヴァー・オーヴァー・ザ・ワールド

2016-12-10 20:33:37 | イギリス・アイルランドの作家
A SELECTION OF STORIES 
ウィリアム・トレヴァー

飛びついた本第三弾!! 良かったよぉ〜

今まで『アフター・レイン』『アイルランド・ストーリーズ』『聖母の贈り物』
『密会』と、何冊かトレヴァーの短篇集を読んできましたが、また新しい魅力を知りました。

表題どおり、主に海外、あるいは旅先での出来事がテーマになっています。
イタリアが舞台になっているストーリーが多いようです。
意外な気もしますが、トレヴァーのお気に入りの地なのでしょうか?

どのお話も素敵なのですが、特に印象深かったお話しをいくつか…

『家出(Running Away)/1986年』
ヘンリエッタは、結婚して20年以上になる夫ロイを、夫の教え子シャロン・タムに奪われた。
みすぼらしいシャロンは、いつも夫婦の家を訪れて不幸な家庭のことを語っていた。
ヘンリエッタはイタリアへ渡り、一人暮らしを満喫する。

このラストを、夫婦の絆ととらえるか、しがらみと見るか微妙なところです。
読むサイドの年齢やライフスタイルが、印象を大きく左右しそうな内容だと思います。
私自身は… 黙っとく…

『三つどもえ(A Trinity)/1989年』
ドーンとキース夫婦は、ドーンの雇い主で同居している “ おじさん ” という老人に
費用を出してもらい、フィレンツェに旅行に行く事になった。
しかし、夜遅く二人が到着したのはスイスだった。

旅行に不慣れな夫婦のドタバタ劇にもってけそうな出だしではあるのですが
トレヴァーですからね、そんなことありません。
夫婦の頭からどうしても離れない他人である “ おじさん ” の存在と
「うまくいってんの?」と思わせる夫婦のやりとりが独特なストーリーです。

『娘ふたり(Virgins)/1986年』
イタリア旅行中のローラは、いきなり女性から声をかけられマーガレッタだと気づく。
第一次大戦中、ローラはイングランドから、母の知人であるアイルランドの
ヒースリップ家へ疎開し、娘のマーガレッタと親友になった。
ローラは、二人でド・クーシー家を訪れた時、病弱なラルフと出会った。

このお話しが、この一冊の中で一番、私が今までトレヴァーに抱いていた印象に
近いような気がします。 アイルランドが舞台だからだろうか?
50代後半の男性が、こんなにもみずみずしく少女の気持ちを描けるというのが驚きです。
目の前に二人の姿が浮かぶみたい… すごいとしか言えない。

奇しくも先日読んだマンローの『ジュリエット』にも『家出』という話があって
内容は違うけど両方とも好きですねぇ… 家出したいのか? 私は…

それはさておき、マンローもトレヴァーも、老いてますます…という感じで
新しい印象を与えてくれるのが嬉しいです。

老若男女、すべてのキャラクターになりきり、様々な土地・時代・人々の物語、
様々な感情を、私たちに与え続けてくれる、素晴らしい書き手の作品を
手に取れる幸せがあって本当に良かった…

そういえば、トレヴァーっていうと短篇のことしか思い浮かばなかったのですが
いくつか長篇があるんですよね! 読まねば…

旅するトレヴァー・ワールド… 新鮮で楽しい
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね




ひとことK-POPコーナー


日本にいながらにしてソウルコンが見れるなんてーーー!! 嬉しすぎる! というわけで

SHINee WORLD V in JAPAN に行って来ましたよぉ!
全曲韓国語のセトリとコール、会場のギュウギュウづめ感と警備員の少なさ… 日本にいるってことを忘れそうだったよぉ
今日(2日目)は、追加も立ち見も当日も外れてションボリ家で過ごしてますが、明日再びはじけて来まーす!!


    
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『現代アイルランド女性作家短編集』愛蘭女性交々

2016-11-18 21:44:08 | イギリス・アイルランドの作家
CONTEMPORARY SHORT STORIES BY IRISH WOMEN WRITERS 
E・オブライアン/M・ケリー/J・ジョンストン/J・オフェイロン/C・ボイラン
M・モリッシー/A・エンライト/E・ドナヒュー

この本を書店の棚で見つけて飛びついたところを想像していただけます?
すごく嬉しかったね!

8人の女性作家の14篇がつまっています。
とてもおもしろかったです。
しかし、アイルランドというと、どうしても『ダブリン市民』的なものを求めてしまう
私の悪いクセが…

ジェニファー・ジョンストンとアン・エンライトは『フィンバーズ・ホテル』
クレア・ボイラン、エマ・ドナヒューは『レディたちのフィンバーズ・ホテル
名を連ねていますが、どれを書いたかはわかんない… でも、想像しやすくなりました、

革命がらみのお話しは、やはり、ちょっと苦手でしたが、女性が抱える問題や不安を
いろいろな角度から読むことができて、とても楽しかったです。

ほとんどのお話しを紹介したいのですが、そうもいかないので…

『幻燈スライド(Lantern Slides)/1990年 エドナ・オブライアン』
ダブリン郊外で催されたおしゃれな集まりは、ベティの誕生日を祝うパーティだった。
コンロイ氏に誘われてやってきたミス・ロウレスは、その町の名士たちに出会う。

これはもう、『死せる人々』を彷彿とさせて、大好きでしたね! コンロイ氏だし…
上の空状態のミス・ロウレスは、コンロイの妻グレタを思い出させ、演説と喝采シーンも!
ぜったいにワザと書いてるんだろうけど、おもしろかった。

『便宜的結婚(A Marriage of Convenience)/メアリー・モリッシー』
ジュディスは、エル・キスタドールでの一人旅の五日目の朝食の時
ウェイターのバチュアスから声をかけられ、ガイドを頼み、関係を持った。
帰国の二日前、バチュアスはジュディスに、国を出るため偽装結婚してほしいと言う。

旅先で利用されちゃう? そういう女性には見えないんだけどなぁ〜
そして男性にもなにか訳がありそうで、男女の温度差の広がりが
これからどうなっていくのか気になるラスト… 続きを書いて、せめて中篇にしてほしい。

『対価(The Cost of Things/2006年 エマ・ドナヒュー』
猫のクレオパトラの年齢は、ソフィーとリズが関係を始めてからと同じで5歳になる。
生活に困りだした二人が、5周年を祝うパーティーをした翌日、クレオパトラの具合が悪くなり
何日も物を食べなくなる。

このお話しはねぇ… 身につまされる、または、身に覚えがある人が多いはず。
“ そういうこと” を聞く方と聞かせた方、どちらを不快に思うかは、読者次第でしょうね?
私は、聞いた方にイラつかされましたが…

メイヴ・ケリーが書いた2篇、クレア・ボイランの『処女-おとめ-について』なども
とてもおもしろく読めました。

作家やテーマが違っても、作品から受ける全体的な印象に大きな隔たりは無く
アイルランドの女性は… というイメージがなんとなくできあがりそうなんだけど
物語が変わると、女性像もガラッと変わって結局はできあがらなかった… という一冊でした。

どの物語も、けっしてハッピーエンドというわけでなく
むしろアンラッキーなエンディングをむかえてるんですが
全体から醸し出される雰囲気が、ものすごく心地よい短篇集だったなぁ…
古くさいわけではないんだけど、アナログ感が漂っていたような気もします。
何人かは、一冊まとめてその作者の作品を読んでみたいな… と思っています。

女性として共感できる作品がひとつは見つかるはず…
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ひとことK-POPコーナー
BTOB プニエル… 勇気あるなぁ… 人気絶頂の今、どんな手を使ってでも隠し通す事ができただろうに… 男らしいね!
しかも韓国… 整形同様、皮膚を移植してフッサフサに、という技術も進んでるとうかがっていましたが…
カラーチェンジを繰り返し、MVでムチャなスタイルにしたりするから、人ごとながら心配しております
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『美しきカサンドラ』18世紀の少女の目に映るシビアな恋愛

2016-09-13 19:56:57 | イギリス・アイルランドの作家
JUVENILIA 
ジェイン・オースティン

副題が『ジェイン・オースティン初期作品集』となっていて
長短とりまぜ、18編の作品がおさめられていますが、初期っていっても、あなた!
オースティンが12歳から18歳にかけて書いた物らしいです。

だから、いきなり恋に落ちたりとか、唐突に “ 終わり ” と書かれていたりとか
幼く見える部分もありますが、皮肉たっぷりの人物描写やセリフ
当時の上流社会のおつきあいの難しさや軽薄さの描き方はすごいっす!

恋愛や結婚についても、容姿だけでなく、階級とか家柄含め、すごくシビアで
十代がこんなこと考えて毎日過ごしてたら恐ろしーわ! と思えます。

これが、18世紀の上流の少女たちなら当然持ち得ていた処世術を素直に書いたものなのか
オースティンならではの、おませな観察力によるものかは、正直わかりません。

とは言っても十代の少女が、そんなに広く世間を見ていたとは思えないので
モデルになる女性や、近所のウワサが反映されているはず…
子供だからって、油断して目の前でなんでもおしゃべりしちゃいけないわね。

どの作品でも、後年オースティンの名を世に知らしめた『分別と多感』とか
『高慢と偏見』などに登場する、イヤ〜な感じの人物の、イヤ〜なところを強調した人が
主人公になっていると思っていただいていいと思います。
そうねぇ… 悪口が好きで、うぬぼれてて、条件の良い男性ばかりを気にしてる感じ?
まぁ、女性は本来そういうタイプが多いと思うし、自分がそうでないとは言いません。

オースティンは、それを目一杯、ユーモアたっぷりに描いてます。
小説、書簡小説、戯曲といくつかのタイプがありますが、内容のほとんどが
他の女性の悪口か、結婚相手になりそうな男性の自慢と言えます。
そんなわけで、けっこう笑えます。

とても短い作品も多いので、紹介は省きますが、ひとつだけ気になったものを…

『イングランドの歴史(The History of England)/1790年』
ヘンリー1世からチャールズ1世までの王を、オースティンなりに説明している作品。
書かれていることが本当だとしたら、オースティンは、ランカスター家とテューダー家が
大嫌いで、ヨーク家びいき、ということになります。
また、スコットランド女王メアリー・ステュワートにとても同情的で
エリザベス1世を嫌悪していたということになります。

エリザベス1世のことを書いたところを少し書いてみるね。

“ ヘンリー(8世)の唯一のとりえは、娘のエリザベスほどのひどい悪者ではなかった… ”
“ 人類に対する侮辱、あるいは社会に対する災いともいえるエリザベスによって王位が… ”
ね! 激辛でしょ?

ただ、この作品の中で、オースティンはカトリックをひいきにしていると書いていてますが
お父様とお兄様は牧師なのよね? 牧師はプロテスタントの聖職者ですよね?
だから、どこまで本気かよくわかりませんし、マルッと嘘かもしれないです。

以前読んだ『サンディトン』は、構想メモ的な要素が高かった気がしますが
こちらの一冊におさめられているのは、家族や親しかった人々に捧げられていて
いちおう “ 終わり ” まで書いていますので、少女時代のオースティンが
頭をひねって完成させた、将来のための習作の数々だと考えたいです。

オースティンを研究する方がにとっては好材料だと思いますが、
読み物としてどうなのかという点も含め、よい作品集なのかどうかはわかりません。
でもとても楽しい一冊でした。

オースティンを読み足りない!という方はぜひ
読みたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと韓流コーナー
ぜんぜん知らなかったんですけど、ドラマ『深夜食堂』に韓国版があったと知って興味しんしんよぉ!
キム・スンウ様が出てるっていうじゃないのぉ! なぜ視聴率が悪かったんでしょう? BSでやってくれないかな…


『深夜食堂 from ソウル』DVD BOX
ドラマまで待ちきれない!という方は下の画像をクリックしてね



こちらオリジナルの日本版〈映画DVD〉
お家でゆっくり見たいな…という方は下の画像をクリックしてね

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『書物愛 [海外篇]』“ 読書愛 ” じゃないのよ

2016-08-02 19:59:21 | イギリス・アイルランドの作家
AMOR LIBRORUM 
G・フローベール/A・フランス/O・ユザンヌ/G・ギッシング/M・R・ジェエイムズ
H・C・ベイリー/S・ツヴァイク/M・イネス/J・G・カズンズ

イギリスの作家さんが多かったので、イギリスに入れてみました。

職場の近くにある有隣堂は、海外文学の品揃えがうすーーーくて、あまり買わないんだけど
この本を見つけた時は嬉しくて、レジに突進したさ!!

ところがですねぇ、ちょっと期待はずれ…

モームが『書物袋』だったかな? に書いてたように
「もう、本が無いとダメで…」みたいな本の虫的なことが書かれているのかと思いきや…

『書物愛』となっていますね?
この一冊に登場する主人公は、ほとんどが読書が好きというより、蒐集家なのね。
それも、希少本とか高価な本とか、読むよりも、集める・眺めることを目的としてる感じ。

だから主人公が本について語る時も、内容の面白さとか、なぜ好きなのかより
なぜその本が貴重なのかとか、高価なのかに力点が置かれてます。

アナトール・フランスの『薪』、ギッシングの『クリストファスン』は既読でした。
それ以外の、印象的に残ったお話しを紹介しますけどね…

『目に見えないコレクション(Die Unisichtbare Sammlung)
                 /1924年 シュテファン・ツヴァイク』
成金たちが買い漁る品物を集めるために、古いお得意を訪ねて少しでも手に入れたいと
ザクセンの田舎町まで、老いた版画蒐集家を訪ねたベルリンの古美術商が語る。
老いた蒐集家は目が見えなくなっていたが、集めた希少な版画の細部まで覚えていて
喜び勇んで古美術商に披露すると言う、が、隣で老いた妻はとても困った顔をしている。

けっこうありがちな話しなんですけどね… いいエピソードです。
古美術商の方も、最後は自分が古美術商としてどうあるべきか、気がついて良かったですね。
でも、本じゃなくて版画じゃん…

『書痴メンデル(Buchmendel)/1929年 シュテファン・ツヴァイク』
ヴィーンにもどって、雨宿りのため入ったカフェを、20年ほど前にも訪れたことを思い出し
その店のテーブルで、35年以上、本の仲買をしていたメンデルのことも思い出した。
彼は、ありとあらゆる本の題名・著者・出版元・値段を記憶していた。
しかし、本のこと以外は何も知らず、戦争をしていることも知らなかった。

この主人公は、莫大な本のことを覚えてるけど、中身は読まないのね。
だからやっぱり、読書家っていうわけではないんだけど、蒐集家ではないので、ま、いっか。
彼が幸福だった時代に、彼を見守っていた人々が好ましくて、好きなお話しでした。

『ロンバード卿の蔵書(The Lonbard Books)/1956年 マイケル・イネス』
アプルビィが、私設博物館でオースティンの『マンスフィールド・パーク』を手にしながら
そこにあるいくつかの本に、邪悪なしかけがしてあると言う。
それは本について語るのが大好きな老齢の大企業家ロンバード卿の蔵書で
卿が、記憶力も気力も衰えていないのに自信を失っていると、卿の妹が相談に来たと言う。

ちょっとミステリーっぽいですが、すぐ犯人も手口もわかっちゃうので
物語としては面白くないです、が、一番 “ 読書好き ” っていうのが垣間見えたお話しでした。
だーかーらー “ 書物愛 ” なんだってば!

ツヴァイクって『マリー・アントワネット』があまりにも有名で、伝記作家と思ってましたが
普通のお話しも書いてたんですね。
2篇ともよかったです、もっと読んでみたいですね。

読書が金持ちの娯楽じゃない時代に生まれててよかったよ! と、心から思いました。

ところで、最後の、カズンズの『牧師の汚名(Clerical Error)』は
ロアルド・ダールの『古本屋』と、瓜二つというか、同じ話しでないのかね?
ダールの方が後に書いてますが、オリジナル?  カバーアルバム的にリメイク?
こちらの本には、なんのエクスキューズないので、あとでダールの方を見てみようっと。
って言って、たぶん見ない…

本好きなら誰にも負けない!という方、いかがでしょう?
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと歯痛コーナー
検診をさぼっていたらちょいと歯が痛くなり、耐えられなくなったので歯医者さんに行ってみたら、えーーー!!
親しらずって、若い人に生えるものじゃないの? しかも横向き? ってわけで抜いて来ました。 今ズキズキしてます
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『クローヴィス物語』愉快な仲間で、イヤーなヤツ

2016-07-28 18:15:13 | イギリス・アイルランドの作家
THE CHRONICLES OF CLOVIS 
1911年 サキ

クローヴィスという上流の青年が主人公だったり、その友人がクローヴィスに
聞かせた話しだったり、クローヴィスがまったく登場しなかったりする短編が
笑える話し、ゾッとする話しとりまぜて、28篇おさめられている短篇集です。
ほとんどが『ザ・ベスト・オブ・サキ』で読んだものでした。

好きというよりは、気になったものをいくつか …

『エイドリアン(Adrian)』
ほどよく脚色された身の上話しをすることで、しょっちゅうルーカスにおごってもらっている
エイドリアンは、ルーカスの叔母ミセス・メバリーに気に入られ、アルプス旅行に同行する。
一緒に行っているクローヴィスからの、ルーカスへの便りによると
叔母一行は、エイドリアンのせいでホテルを転々としているらしい。

一般人が、上流の方々と旅行に出かけて、おおいにはしゃいでしまったのね。
いつも思うんだが、たとえば、比較的裕福でなく育った人が、有名人になるとか何かで
ものすごく大金持ちになった時に、急に上流社会に出てうまく対応できるものなんだろうか?
まぁ、私にはまったく関係ない悩みなんですけどねっ。

『イースターエッグ(The Easter Egg)』
軍人の家柄に生まれたレディ・バーバラは、愛息レスターの小心さが気に食わなかった。
ある時、つきあいのある公国の町長に、ゲストの大公殿下のもてなしについて相談を受けた。
すると、宿の泊まり客の女が、おずおずと、自分の幼い息子に、イースターエッグの
カゴを持たせ、大公殿下に贈呈させてはどうかと提案してきた。

少しタネあかしをしてしまうと、テロの話しなのです。
たぶん、今だからすごく気になったんだと思う… 既読ですが、以前はスルーしてたもの。
こういう話しを読んでしまうと、誰も信じちゃいけないな… なんて、思えてきます。
思っちゃいけないとわかっちゃいるが、誰が何を考えてるかなんてわかんないもんね。

『閣僚の品格(Ministers of Grace)』
神秘主義者の若い公爵は、政局を嘆く悲観論社の友人ベルタルビットに
閣僚たちを天使と入れ替え、閣僚たちを一時的に動物に変えてしまうという。
訝るベルタルビットの前で、まず、不人気な大臣がいきなり好人物になり
その隣には怒れるスズメがいた。

笑い話なのかな? 善人ばかりの政治家と大企業家がいる国は良い国か… っていうお話し。
誤解を怖れずに言ってしまえば、ものすごく清廉潔白で正直だけど無能な政治家より
多少いかがわしくても有能な政治家の方が、うまく国を動かしてくれそうな気がする。
清廉潔白で有能っていうのが一番いいのでしょうが、なかなかねぇ… 会社でもそうでしょ?

さて、クローヴィスですが、彼が登場している話しを読む限り、善い人ではない!
むしろやなヤツだと思います、が、仲間にいたら楽しそうよ。
他人の悪口とかすごく上手そうだし、イタズラとかいやがらせなんかを考えさせたら
すごく面白いアイデアを出してくれそう。

できたら敵にはまわしたくないですね。
それから、心から友だちになりたいというタイプでもないですね。

多数の作家が愛するサキの短編
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね




ひとことクラフトコーナー
わけあって、ここ1ヶ月ちかく、空き時間はこれにかかりっきりでした
ねこやまさんのあみねこの編み図で編んでみました

 



ひそかに誰かに似せてあるんだけれども、似てないので秘密にしときます 




中に載っているあみねこたちを見ているだけで楽しいですよ
編んでみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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『いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集』ビジュアル系オカルト?

2016-05-14 21:35:10 | イギリス・アイルランドの作家
DON'T LOOK NOW AND OTHER STORIES 
1971年 ダフネ・デュ・モーリア

デュ・モーリアの短編といえば『鳥 デュ・モーリア傑作集』『破局』
2冊を読んだことがあります。
怪奇小説方面の作家ですが、なんだか好きでまたまた読んでみました。

短篇集ですが、おさめられているのは5編で、それぞれ少し長めのお話です。
さらさらとご紹介しますね。

『いま見てはいけない(Don't Look Now)』
最愛の娘を亡くして傷心の妻ローラの療養のため、ヴェネチアを訪れているジョンは
ある日、レストランでローラの後ろに座った双子の老姉妹をネタにゲームを始めた。
ローラも面白がっていたが、その後妹の方に「娘が一緒にいる」と言われ、二人に心酔する。

『真夜中になる前に(Not After Midnight)』
教師だったぼくは、イースターの休暇に、絵を描くためにクレタ島を訪れた。
ホテルに無理を言って絶景のバンガローを手に入れたが、そのバンガローで2週間前に
男性が変死したことを後で聞かされた。

『ボーダーライン(A Border-Line Case)』
回復していたのに、目の前で急死した父親との会話を思い出し
疎遠になっていた父親の友人ニックに会いに、アイルランドへ向かった新人女優シーラ。
ニックは世捨て人になって、湖の中にある島で、彼の信奉者たちと暮らしていた。

『十字架の道(The Way of the Cross』
代理牧師のパブコックは、インフルエンザの教区牧師に代わって
イスラエルで8人の教区民を引率することになった
食事をしている時、メンバーの一人の少年が、二千年前の今日は最後の晩餐の日だと言う。

『第六の力(The Break Through)』
上司から急に〈サクスミア〉という研究機関への出向を命じられて訪れると
そこにはマクリーンという科学者、ロビーという医者、ケンという若者、ジェイナスという
給仕しかおらず、表向きの研究とは違う実験が行われていた。

印象は、上から、オカルト、心理劇、テロリズム、?、狂信者ってことになるんですかね?
『第六の力』は、科学の名を借りた人間の横暴に警告を発しているのかもしれないです。

よくわからなかったのは『十字架の道』で、これいい話し?
混沌としたエルサレムが舞台、クセのある8人の人物、イエス様への罪深い行いに言及し
怪しげな遺跡をまわり、最後の晩餐が持ち出され、皆がすぐはぐれて一人になっちゃうという
お!ここから始まるか!! という場面をいくつもむかえながら、ハッピーエンドよ。

ドラマだったら、少年の言葉に大人たちが笑って、皆が乗ってるバスの後ろ姿で終わる…
平凡な発想ですみません…

デュ・モーリアの小説はいくつか映画化されていますね。
この本におさめられているお話しが、映画やドラマになっているのかどうかはわかりませんが
やはり映像化を意識して書いていたのでしょうかね?

舞台も、イタリア・ギリシャ・アイルランド・中東という、風光明媚な場所を選んでいますし
女性陣のお衣装も、さすが女性作家ってな感じに詳しく描写されていて
ビジュアルになり易い気がしました。
いいドラマになると思う… (エラそう…
“ デュ・モーリア劇場 ” みたいにシリーズ化してもいいような気がします。

でもなぁ… 私はやっぱり『鳥』(原作ね)が一番恐ろしいです、今のとこ。

デュ・モーリアは活動期間が長いので、まだまだ未読の作品がたくさんあるはず。
探し出して読みたいと思っています。

恐ろしくも美しいエピソードの数々
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことおおきなお世話コーナー
このあいだ、何年かぶりにバーベキューやった後山下公園に行ったら、トライアスロンの建て込みやってましたが
海の水大丈夫なのかな? 選手たちがお腹痛くなったら大変!! と、よけいな心配をして帰ってきました
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『ブリティッシュ&アイリッシュ・マスターピース』ガツンと失恋しました

2016-04-06 22:00:38 | イギリス・アイルランドの作家
BRITISH AND IRISH MASTERPIECES 
ジョナサン・スウィフト/メアリ・シェリー/チャールズ・ディケンズ/オスカー・ワイルド
W・W・ジェイコブズ/ウォルター・デ・ラ・メア/ジョセフ・コンラッド/サキ
ジェームズ・ジョイス/ジョージ・オーウェル/ディラン・トマス

イギリス文学好きと言っておきながら… しかも、柴田元幸さん編訳なのに…
作家陣もそうそうたるものだっていうのに…

おさめられている12篇は、英国で語りつがれている名作だそうです。
いくつかは納得しましたが、いくつかは、え? こ、これ? と戸惑いました。

納得できなかったものの最たるお話しは、スウィフトの
『アイルランド貧民の子が両親や国の重荷となるを防ぎ、公共の益となるための
 ささやかな提案』というのですが、これ、いくら冗談とはいえ
大問題にならなかったのでしょうか?
今なら一発でメディアからたたかれてしまうね! たぶん…

印象に残ったお話しをいくつかご紹介します。

『死すべき不死の者(The Mortal Immortal)/1833年 メアリ・シェリー』
323年間生きてきた男性の独白。
錬金術師コルネリウスが作った薬を媚薬と間違えて飲んだために死ぬことができない。
300年前に愛するバーサと結婚したが、彼女だけが年をとっていった。

韓国ドラマで『星から来たあなた』っていうのがあって、主人公の宇宙人は年とるサイクルが
人間と違うから、400年生きてても若いわけ! それで好きになった女性が
「私だけがばあさんになってしまう!」って愕然としちゃう、っていうのを思い出した。
それはおいといて、生き続けるのもけっこう大変なんだなぁ… 妻の気持ちもよくわかる…

『猿の手(The Monkey's Paw)/1902年 W・W・ジェイコブス』
ある雨の夜、郊外に住むレークスナム荘のホワイト一家を退役軍人モリスが訪れ
願いが三つ叶うがろくなことにならないという、ひからびた猿の手を置いて行く。
息子のハーバートはバカにして「200ポンドを与えたまえ」と祈れと言う。

ジェイコブスは、たぶん、短篇選で『失われた船』『人殺し』
2篇しか読んだことがないと思います。
いずれにしても怪奇畑の方だと思いますが、なぜかしんみりするのよね。

『運命の猟犬(The Hounds of Fate)/1911年 サキ』
何もかも上手くいかなかったマーティン・ストーナーは、海を目指して歩いていた。
しかし、雨宿りをさせてもらおうと立ち寄った屋敷で、行方不明になっている
女主人の甥に間違えられ、食事を出された上に心地のいい部屋を与えられた。

サキはクスッと笑えるお話しも多いですが、やはり英国の名作家だけあって
怪奇的なものも多いですよね。
このお話しも怖いんだけど、坊ちゃま思いの老使用人の判断が悔やまれる感じです。

ワイルドの『しあわせな王子』『ダブリン市民』からの『アラビー』と『エヴリン』
オーウェルの『象を撃つ』などは、私もお気に入りですが
どうしてもついていけない作品もいくつかありました。

これが英国人好みの物語なのかぁ…

ハードロック好きで、イギリスの小説が好きで、イギリスの雰囲気が好きで
以前は休みといえばイギリスに行っていたのに、私はイギリス気質ってものを
なーんにも理解してなかったようです。
何年もの片思いに終止符がうたれた気分です。

イギリス人が好んで、長く語りつがれたという作品の数々
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
またまたやっちまった!! 遠征 to 名古屋ガイシホール SHINee WORLD 2016 D×D×D 
約束した通り、ひちゅまぶしを食べましたよ~、ミノ! 
そしてうなぎ屋さんの女性客二、三人連れはほぼシャヲルだったという…
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『ボートの三人男』ダルッダルの川上り

2015-10-13 21:04:47 | イギリス・アイルランドの作家
THREE MEN IN A BOAT 
1889年 ジェローム・クラプカ・ジェローム

やーっとポーランド王妃シリーズが終わったので、久々に感想文です。

この『ボートの三人男』は、面白くないわけではないのですが
もしも私がイギリス人、もしくはイギリスで暮らしていたらもっと面白かっただろうし
19世紀に生きていたらさらに面白く読めたはず。

“ ぼく ” という語り手と、ジョージとハリスという友人が、どうも体調が優れないので
休息が必要だという結論に至ります。
そこでいろいろ検討した結果、テムズ川で2週間の休暇を過ごそうということになります。

物語の大筋は、行程や持ち物や食事の計画を立て準備をして、いざ出発。
ボートをこぎながらオクスフォードへ向かい、ロンドンへ戻って来るまで。
以上です。

川岸にある歴史的な土地の名前とエピソードが英国感を煽ります。
当時在位中のヴィクトリア女王のことから、遡ってエリザベス1世やチャールズ1世、
チャールズ2世、ジェイムズ2世のエピソードや、もっともっと遡ってウィリアム1世や
サクソン王にまつわる土地の話しなどもちりばめられていますし
町の名所や見どころも紹介されています。

しかし、これがボートでテムズ川を下ろう(上ろう)としている人々の
良いガイドブックになり得たかというと、そうでもなさそうです。

三人の男性が、皆自分が他の二人より勝っていると思っていることと
できるだけ他の二人より楽をしようとする姿勢が、この旅をおもしろ可笑しくしています。

それから、かなり多くちりばめられている、語り手、ジョージとハリス、その他知人の
失敗談やおもしろエピソードが、しばしば「川の話しだった」ってことを忘れさせます。

ただ、19世紀には、そこそこお金を持っている家庭の少年たちは
ボートを習うのが当たり前だったんだな… ということはわかりました。

それから、やはり都市は川の側から出来て、川の側で繁栄してきたんだなぁ… と
再認識しました。 思い出すわぁ… チグリス・ユーフラテス川

ロンドンから地方の都市へ列車で移動していると、テムズ川の支流というのが現れて
なんの変哲もないものから屋根がついた可愛らしいものまで、ボートが浮いていた光景を
思い出しました。 ただそれがどこだかは知らないのだが…
現代でもイギリスの方々にとって、テムズ川は特別な川なのでしょうね?

ラストは、この三人ならではの終わり方、って感じです。
お気楽… たぶん、いいとこのお子さんだったんでしょうね。

なにげに英国の歴史と名所が学べる?一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことラグビーコーナー
私はたいがいのメジャースポーツは(テレビで)観戦&応援した経験があるのですが、アメフトとラグビーは
無かったのねぇ… だけどさすがに今回のラグビーは応援したんだけど… ボーナスポイントってなんなのよぉ!
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『キス・キス』…胃のあたりがムカムカする

2014-06-03 23:01:58 | イギリス・アイルランドの作家
KISS KISS
1953~1959年 ロアルド・ダール

題名と表紙ははポップで楽しそうなのに… 嘘つきぃぃぃっ!

ロアルド・ダールは、以前『王女マメーリア』『あなたに似た人』を読んで
そこそこ面白かったので、本屋さんで見つけた時に即購入したのですが
なんなんでしょう? この後味の悪さは…

11話おさめられていますが、大きく分けると
侮られた人々が相手を見返すちょっと笑えるお話しと
少しファンタジーっぽい奇妙なお話し、の2パターンかな?

奇妙なお話しは全体的に苦手でしたが、中でも金輪際読まないと思うのが
『豚(Pig)』という話し。
もう、登場人物も展開も会話もラストも全部ムカムカする。
あー! ニューヨークの弁護士のやつ! 本当に吐き気がしそう…

なので、ちょっと痛快に思えるお話しからいくつかご紹介します。

『天国への道(The Way Up to Heaven)』
ミセス・フォスターは、時間に遅れることを病的に恐れ
ミスター・フォスターは、わざと遅れそうにして妻を怯えさせるようなところがある。
ミセス・フォスターが一人娘に会いにパリに発つ朝も
ミスター・フォスターは忘れ物をしたと言って家に戻ってしまった。

これはねぇ、本当は面白がってちゃいけないのでしょうが
この夫だったらこんな目にあってもしかたないのでは… なんて思える話し。
奥さんをチクチクいじめてる旦那さん、お家のメンテナンスはちゃんとしないとね。

『牧師の愉しみ(Parson's Pleasure)』
ロンドンの骨董店の店主ミスター・ボギスは、週末になると牧師に変装して田舎へ出かけ
貴重な骨董品を驚くほどの安値で手に入れていた。
その日は、農場で2万ポンドもしようかというチッペンデールの飾り棚を目にする。
農場にいる三人の男たちは、その価値がわかっていないようだ。

今までがラッキーだったと思わなきゃね! 完全に詐欺でしょ? これ。
骨董ってホントに何がどうすれば高値がつくのか、一般人にはわかりませんね。
何かないかと家の中をみまわしてみましたが、びた一文無い…

『ミセス・ビクスビーと大佐のコート(Mrs.Bixby and The Colonel's Coat)』
ミセス・ビクスビーは何年もの間、月に一度伯母に会いにペンシルヴァニアに行っていたが
実は大佐と呼ばれる男に会いに行っていた。
ニューヨークで歯医者をしている夫は何も気づいていない。
しかし、とうとう大佐から別れを告げられ、とても豪華なミンクのコートを贈られた。

“ 策に溺れる ” とはこういうことを言うのでしょうか?
もちろん奥さんは痛い目にあわされるのですが、さらにダメ押しがあって面白いの。
女性としては手をたたいちゃいけないのでしょうけど、今まで裏切ってきた報いだからね…

クスっと笑える話しの方は、以前読んだ2冊同様楽しめたのですが
そうでない方は、本当に気味が悪いの。
読んでいて自然に口もとがゆがんでしまいました。

特にグロテスクだったり残酷だったりする描写はほとんど無いのですが
どうも私がイヤだと感じるストライクゾーンにバシッとはまっちゃったとしか思えません。
他の方が読んだら、そんなにムカムカしないかもしれないです。

とはいえ、久しぶりにイギリスの作家の本を読んだので
随所に現れる英国っぽさに触れる心地よさは味わえました。

ひとことK-POPコーナー
Kちゃんが大好きなU-KISSのMVが物議を醸してるっていうので観てみたけど、曲もMVもカッコいいと思うけどね…
ま、私は年食ってるのでまったく影響を受ける心配はないけど、お若い方には影響が大きいということでしょうか?
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『怪奇小説日和 黄金時代傑作選』幻想より現実がの方が怖いかも…

2014-04-04 00:28:28 | イギリス・アイルランドの作家


以前読んだ『短篇小説日和』が面白かったので、こちらも読んでみました。

怪奇となっていますが『イギリス怪奇傑作集』でも書いたように
ただおどろおどろしいというわけではなくて、なんだかしっとり落ち着いた怖さです。
こちらの一冊には、イギリス以外の作家のものもおさめられているのですが
選者(西崎憲氏)の趣味なのか、 “ 英国流 ” が選ばれている気がする…

18篇の中から好きだったものをいくつかあげてみます。

『喉切り牧場(Cut Throat Farm)/1918年 ジョン・デイヴィス・ベリズフォード』
新聞広告を見て休暇を過ごしにやってきた農場は貧しい土地にありました。
いつも包丁を研いでいる主人もその細君も、陰気で退屈な人たちで
楽しみといえば、農場で飼われている一匹の元気な子豚だけでした。
二人は家畜をつぶして食卓に並べていたようですが、数日後、とうとう子豚が消えました。

ショッキングな題名ですね!
暗い雰囲気の話が並んでいる中にあって、この話だけは笑えました。
本当は笑っちゃいけないんですけどね。

『ターンヘルム(Tarnhelm:or the Death of My Uncle Robert)
             /1933年 ヒュー・シーモア・ウォルポール』
少年時代、両親がインドにいた頃、あるクリスマス休暇を
カンバーランドにいるロバート伯父とコンスタンス伯父の屋敷で過ごすことになりました。
ある日、ロバート伯父と伯父の召使いしか入ってはいけない塔に招かれて行くと
奇妙な僧帽を見せられました。

さすがイギリス、黒魔術的なお話しです。
本筋とはあんまり関係ないと思うのですが、私が注目したのはコンスタンス伯父。
彼が最後にどう動くのか、ものすごくものすごく気になりました。

『失われた船(The Lost Ship)/1898年 ウィリアム・ワイマーク・ジェイコブズ』
ごく静かな港町テイトビーの期待と誇りを受けて出航した船は
数ヶ月後の到着予定が過ぎても戻りませんでした。
何年もの月日がたち、夫や子供を亡くした人々たちの記憶も薄れていきました。
ある晩、ひとりの老女の家に、年をとって変わり果てた息子が帰ってきます。

これは怪奇というのかどうかわかりませんが、不思議な話ではあります。
不思議だけどすごく哀しい… お母さん、元気を出してね。

それ以外に印象に残っているものといえば…
コナン・ドイルかな? シャーロック・ホームズ以外の話を読んだのは初めてです。

それから、エリザベス・ボウエンの『陽気なる魂(The Cheery Soul)』
これを読んですぐに『優しすぎる妻』におさめられていた
ライア・マテラの『破滅の天使(Destroying Angel)』という話を思い出しました。
シチュエーションはまったく違うのですが、はめられちゃって逃げようがないという
窮地におかれた女性が哀れでねぇ…

ほとんどのお話しがハッピーエンドではなくて、人も死んじゃうという本ですが
残酷な本を読んでしまった… という気はしていないですね。
途中から“ 怪奇 ” というジャンルの意識無く読んでいました。

どちらかというと、幽霊・悪魔・妖精などが出てくる話よりは
人間だけで展開している話の方がゾッとしました。
こういうのを読み続けていると、人間不信になっちゃいそうです。

ひとことK-POPコーナー
昨日はお休みでしたが、お昼前にゆうパックが届いて、去年のクリスマスのSHINeeの思い出に浸っているうちに
一日が終わってしまった…本当に旦那さんに申し訳ないと思っています。 思っているから許してねぇぇ
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『魔術師』愛は魔法・・・なんてね

2014-03-26 21:50:14 | イギリス・アイルランドの作家
THE MAGICIAN 
1907年 ウィリアム・サマセット・モーム

モームが好きな私は『魔術師』もかなり前から持っていたのですが
裏表紙に “ オカルティズム文献を駆使し渾身の力をこめて描きあげた ” と書いてあるもので
どうも尻込みしてしまって今まで読んでいませんでした。
で、勇気を出して読んでたら、予想以上に楽しめました。

たしかに、気味が悪かったり、オカルト文献からの引用を長々読まされてグッタリしたり…
というところはありました。
でも、どちらかというと現実的なテーマを、独特の落ち着いた筆遣いで描くモームが
こういう物語も書くのか… という新鮮さも味わえました。

ちょっと紹介しますね。

自称 “ 魔術師 ” で、異様な容貌と奇異な行動で人目を引くオリヴァ・ハドゥ
評判の高い医師で、紳士的なアーサー・バードン
アーサーの婚約者で、人並みはずれて美しいマーガレット・ドーンシィ
以前マーガレットを教えていた元教師で、パリではルームメイトのスージー・ボイド
アーサーの父親の友人で、医者を引退して神秘学を研究しているポロエ博士

主な登場人物は以上5人とこじんまりしています。

あらすじはすごーくはしょっていきますよ!
パリで絵の勉強をしていたマーガレットをアーサーが訪ねて来ます。
プロポーズから2年、もうすぐマーガレットと結婚できるアーサーは幸福の絶頂にいます。
マーガレットも、父の死後世話になったアーサーを幸せにしたいと望んでいます。

そんな二人の目の前に現れたのがオリヴァです。
アーサーもマーガレットも、最初からオリヴァの神秘的な力など信じられず
嫌悪感を抱いていたのですが、それが憎悪にまで達する出来事がおきました。

ところが、ある体験からマーガレットがオリヴァを愛するようになり
とうとうアーサーを裏切って、秘密裏にオリヴァと結婚しフランスを後にしました。

アーサーはうちひしがれてイギリスに帰ります。
スージーは気晴らしに出た旅先のイタリアでハドゥ夫妻の悪い噂を聞き
モンテカルロで別人のように下品になったマーガレットを見てショックを受けます。

ロンドンで再会したアーサーとスージーは、一緒に知人のパーティにでかけ
そこでオリヴァとマーガレットとも再会してしまいます。

変わり果てたマーガレットに唖然としたアーサーですが
勇気を奮い起こしてマーガレットを訪ねて行くと、彼女の口からとんでもない話を聞かされて
いてもたってもいられず彼女をホテルから連れ出しました。

ここから話は俄然神秘的な方向へ向かっていくのですが、書くのはやめときます。

字面だけ追っていくと、やっぱり好きなタイプの物語ではなかったです。
ラストなんて、本当にモームが書いたのぉ? と軽くショックを受けてしまった気持悪さ。

なのですが、ものすごく勝手な解釈が浮かびました。
恋愛って、少なからず魔法にかかったようになるでしょ?
それをすごくオーバーに書き表したのがこの『魔術師』なのじゃないかしら?

百歩譲って、マーガレットの奇行はオリヴァの邪悪な力が影響を及ぼしていたとしましょう。
だけど、スージーの方もかなり魔法にかかっちゃってますよ。
密かにアーサーを愛するようになったスージーなのですが
マーガレットを忘れられず、彼女を助けたい一心で周りが見えないアーサーの
言いなりになっちゃってます。
そんなことまでしてあげる必要ないのにってことまで、引き受けちまって…

10年以上恋い焦がれ、尽してきた挙げ句にぺちゃんこにされたアーサーだって
マーガレットがポロリともらしたひと言で、普段の冷静沈着さをかなぐり捨てて
後先考えずに危険に立ち向かうわ、理解できない行動をするわで、これも魔法でしょ?

他人がなんと言おうと愛おしく見える容姿や表情
頭では拒もうとしても、どうしても抗えない恋しい人への想い
相手の好みに合わせようと、とんでもないイメチェンを図って失笑を買う
世間がどう見ていても許してしまうひどい仕打ち… などなど
恋心が冷めた頃にゃ~、なんで…? と、自ら呆れたり後悔したりすることってありますよね!
もう、変な魔法をかけられていたとしか思えないよ。

モームは、自伝的小説と言われている『人間の絆』の中で
どんな目に遭わされても別れられない女性との不幸な愛を書いていますが
魔法とか魔術という理解し難いものに重ねて
そんな恋心の不思議をデフォルメしたのではないでしょうか?
まったく違ってたらすみません。

結婚して10年もたっちゃうと、いったいどこがそんなに好きだったんでしょう?ってことも
もう思い出せないのよね~、 お互い様だと思いますけど…
でも私にもきっと、旦那の何から何までステキに見えた時期があったわけなのよ。
これを魔法と言わずしてなんと言う?

旦那に言わせりゃ、K-POPのどこがそんなにいいんだか! ってことになるらしいんだが
これも魔法にかかっちゃってる状態だとあきらめてほしい…

ひとことK-POPコーナー
BIGBANGのライブDVDにMBLAQのカムバック、SHINeeのライブDVDと楽しみが続々な今日この頃
嬉しいけどお財布が心配よぉ、消費税も上がるっていうのに…

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