まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『優しすぎる妻』女性による女性のための・・・

2013-05-24 23:43:15 | アメリカの作家
SISTERS IN CRIME 2 
1990年

評価が高かったという第1巻は持っていないのですが、古本屋さんで購入しました。
名高い、とされる女性ミステリー作家の21話がおさめられています。
読後にまず感じたのはミステリーって幅広い!! ということでしょうか?

もうミステリーの定義がよくわからんぞ…
犯人探しをするもの、猟奇的な話、幻想的な話、小咄のような物語もあれば
ミステリーの範疇におさまりきらない人生の断片を書いたものまで様々ありました。

好きだったお話しをいくつかご紹介します。

『スネーク・プラント/The Snake Plant(ジーン・フィードラー)』
心筋梗塞の発作をおこして入院したダイアンは、同僚から見舞いでもらった鉢植えに
愛着を感じていましたが、夫のブライアンは怪訝な顔をします。
入院前ダイアンとブライアンは離婚の話し合いをしていましたが
退院して帰宅するとブライアンはダイアンに優しくなったようでした。

ただの鉢植えが夫婦にとってお互いの心を探る道具になり
とうとう相手を打ちのめすための武器になります。
どちらが勝利したのかは秘密… 私としてはスッキリしましたけど。

『息子のほほえみ/Andrew,My son(ジョイス・ハリントン)』
子どもの頃から天使のように可愛らしく、あまやかしてしまったアンドルーは
今では悪意のこもった態度しか見せないようになりました。
ドクターはアンドルーがこれまでにしてきたことを何度も語らせようとします。
家を数日空けていたアンドルーは帰宅すると優しさを見せるようになりました。

それまでのアンドルーの極悪ぶりを考えると、ラストちかくに見せるの優しさが
やけに不気味なのですが、母親はそれでも嬉しくなるんですよね。
溺愛してきた息子に対する母親の悲しい期待は報われるのか裏切られるのか…

『嵐よ、つかまえにきて/Storm Warning(ナンシー・ピカード)』
エリザベスは間違い電話がもとでエドと毎晩電話をするようになりました。
父の知人のリチャードの励ましもあり、とうとうエドと会うことにします。
エドは会ったその日に投資の話を持ち出します。

騙されちゃだめー! エリザベスっ!! というような単純な話ではないのです。
エドに騙されたかもしれないということより、もっとエリザベスの心を締め付ける出来事が
ラストに待っているのよね… せつない… 気をつけようっと。

『優しすぎる妻/Kindness(デボラ・ヴァレンタイン)』
心不全で死んだロドリゲスの未亡人は、葬式の後独り家路を辿りながら
50年前に愛した別の男のこと、ロドリゲスとの結婚生活などを思い出します。
未亡人はロドリゲスの入院後、かいがいしく世話をしました。
そんな妻に夫は怯えていました。

うーん… 結果としてそうなったのか、計画的だったのか謎ですが
ある種の完全犯罪と言えなくもない奥さまの行動だったのでした。
手口が気になった奥さまは本屋さんへGo! 気になった旦那さまもどうぞ!!

犯人探し、事件解決というミステリーの王道からは外れているかもしれませんが
人間の内面とか葛藤が深く書かれているようで、上の4篇を選びました。
ミステリーという枠にくくってしまうのは惜しいような物語だと思います。

以前書いたような気がするのですが、ミステリーもこれだけあると
混合玉石な気もしますし、トリックもどこかで見たような… ということが多々あります。
作家の方も大変な苦労をしているでしょうが、それが、例えばトリック暴きとか
アリバイ崩しというような事件解決一辺倒なだけでない作品を生み出させて
ミステリーのスタイルを拡げているのかもしれないですね。

ともあれ、作家が女性だから…というわけではないでしょうが
作品の主人公は全て女性で、女性が共感しやすいテーマを扱っています。
ミステリーが苦手な人でも入り込みやすい一冊じゃないでしょうか。
化粧品によくある “ お試しセット ” みたいな感じかしら?

ひとことK-POPコーナー
ジョンヒョンおかえりー!! 他の4人までやけにはりっきっている姿が微笑ましかったよ
ところでSHINeeといい4Minuteといい、今K-popはゾンビがブームなのかしら? SHINHWA 1位おめでとー!!
コメント (2)
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ポーランド公ミェシュコ3世妃 エルジェビエタ

2013-05-12 01:30:14 | ポーランド王妃
ちょー幼妻かもしれない
ミェシュコ3世妃 エルジェビエタ・ヴェギエルスカ


1128~1154/在位せず

兄ボレスワフ4世から最高公の地位を継承したミェシュコ3世という人は
何度も退位したり即位したりと忙しい人でした。

ミェシュコは、1136年頃ハンガリー王ベーラ2世の王女エルジェビエタと結婚しました。
この縁談にも母親のシャロメアの奔走ぶりが垣間見えますね。
息子の味方がいっぱいほしーよー!!というガッツが感じられます。

      
けれどもこの記録が正しいとするとエルジェビエタは8歳か9歳です。
いくら中世とはいえ若すぎ! ということで、ベーラ2世の娘ではなく姉か妹、
つまりクロアチア公アールモシュの公女では?という説もあるそうです。

どうなんでしょうね?
一番上の子は1149年以前に生まれてるらしい… エルジェビエタは20歳前後ですね。

1154年に26歳か27歳で亡くなったとされています。
やはり幼くして嫁いだのでしょうか?
現在なら小学生… いくら国益のためとは言っても
争いの絶えない異国に娘をやる親の神経もすごいものがありますね。



              
継母モード全開だったのかどうかは謎
ミェシュコ3世妃 エウドクシャ・イジャスワヴォヴナ


1131~1187/在位 1173~1177

ミェシュコはどうやら前妃エルジェビエタが亡くなるとその年のうちに再婚したみたいです。
お相手はキエフ大公イジャスラフ2世の王女エウドクシャです。
        
キエフもなんだか目まぐるしく大公が替わっている印象があるのですが
こまめに縁談をまとめていますね。
神聖ローマ帝国の介入が激しくなってきたこの時期
キエフ大公国はポーランドにとって重要な相手だったみたいですね。

ミェシュコは1173年に最高公に即位しましたが、1177年に退位しました。
これは前妃エルジェビエタが生んだ長男オドが「エウドクシャの子ばかりひいきする」と
叔父、つまりミェシュコの弟カジミェシュ(後の2世)の助けを借りて
反乱をおこしたためです。
ただの焼きもちじゃすまないのが王家のつらいとこ… 継承権がかかってますから。
カジミェシュもただの親切心だけで助けたわけじゃなさそうですね。

このえこひいきにエウドクシャの意思が関わっているのかどうかは不明です。
小さい子の方が可愛いから… とミェシュコがかわいがっていただけかもしれないしね。

結局(親子喧嘩の果てに)ポーランドからの逃亡を余儀なくされたミェシュコは
まずは長女のエルジェビエタの嫁ぎ先ボヘミアのソビェスラフ2世に助けを求め
そして、たぶん次女リュドミラか三女ユディスの嫁ぎ先のドイツへ向かい
最後に五女アナスタジアの嫁ぎ先ポメラニアのボギスラフ1世を頼りました。
ちなみに三女までは前妃エルジェビエタの子ね。

エウドクシャも同行していたようです。
前妃の娘たちとは上手くやっていけたのかしら?
もしも再婚後冷たくあたっていたとしたら居心地が悪かったでしょうね。

ミェシュコは1187年に領土を回復して1191年に復位しています。
エウドクシャは領土回復の時には生きていたと推測されていますが
復位の時には亡くなっていたとされています。

1187年以降の記録は無いようなのですが、1209年死亡説もあるそうです。
そうすると、ミェシュコの4回に渡る退位・復位に付き合ってるわけで…
ご苦労様です。

(参考文献 沼野充義氏『中欧』 Wikipedia英語版)

ひとこと韓流コーナー
私はイ・ソヨンという女優さんが好きで、BSで始まった『恋せよ、シングルママ』というドラマを見始めたのですが
20話までかと思っていたら50話まであるんだって! 長い…長過ぎる…でももうやめられない
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『ニューヨーク』圧巻の医者一族伝説

2013-05-09 02:07:12 | アメリカの作家
CITY OF DRAM 
2001年 ベヴァリー・スワーリング

エミール・ゾラの『パリ』とエドワード・ラザファードの『ロンドン』が読みたいなと
ずっと思っているのですが、お高いので躊躇していたところ古本屋さんで見つけた一冊。

作家のお名前も知らず、なんの前情報も無く、二段組で600ページ以上もあるので
最後まで読み通せるか不安でしたが杞憂でした。
圧巻でしたよ! この物語が処女作と知って驚いているところです。

ニューヨークという大都市を舞台に、ある一族の確執と争いを描いた物語なのですが
アメリカの歴史が絡んで、ただの内輪もめではない壮大なお話しになっています。

長いのでね… ものすごくかいつまんで紹介しますね。

1661年、オランダの植民地だったアメリカのニューアムステルダムに
ルーカスとサリーというターナー兄妹が下り立つところから物語が始まります。

この二人は英国とオランダで極貧と戦い、やっとの思いでアメリカに渡ってきました。
兄ルーカスは床屋兼外科医で妹サリーは薬剤師、腕の良い二人の評判は高まり
アメリカでの生活は順調に始まります。

ところが、ある事件をきっかけに兄と妹は金輪際顔を会わせることが無くなります。
主にサリーの方がルーカスを憎む…という構図なのですが、その気持ちはよくわかる!
なんでかは書かないけどね~
そしてこの確執が延々と一族に続く怨恨の第一歩になります。

話は1711年にとび、ルーカスの孫にあたる外科医クリストファーが
没交渉だったサリーの娘のレッド・ベスから突然の訪問を受けたところから
第二の確執がスタート。
レッド・ベスの娘にあたるタムシンとその夫の内科医ザカリー・クラドックが
クリストファーに仕掛けたと言える諍いは一族に広がりをみせていきます。

クリストファーの娘ジェネットはとても美しい少女になります。
レッド・ベスの弟、すなわちサリーの息子ウィレム・デヴリーの息子ケイレブは
ジェネットに恋をして婚約までこぎつけるのですが、ある秘密がわかり破談になります。
しかも、ジェネットがすぐにユダヤ人の大富豪ソロモン・ダシルヴァと結婚したことが
ケイレブの憎しみを誘い、後のジェネット対ケイレブの死闘へと発展します。

その死闘に巻き込まれたばっかりに、ジェネットの息子モーガンは
ジェネットの兄にあたる外科医ルーカスの一家の恨みをかうことに…
さらに母親のやり方に堪えられなくなったモーガンが家を飛び出します。

あっちでもこっちでも誤解と詮索と怨恨が渦巻いてますよ!

先住民の反抗と壮絶な攻防、欧州による植民地の奪い合い、奴隷の反乱という
数々の試練をくぐり抜けてきたアメリカの植民者がじわじわと立ち上がります。
本国イギリスによる圧政と搾取に堪えきれなくなったのです。

独立戦争の中、ニューヨークでは愛国派(独立派)と保守派(英国派)が入り乱れて
お互いを傷つけ合います。
親子も兄弟も二派に分かれてむごい戦争に加わります。

ターナー家、デヴリー家も例外ではありません。
ずっと歪み合ってきた二つの家系でしたが
自分たちの争いなどの比ではない独立戦争に向き合ってどうなっていったのでしょうか?

はたから見れば「話せばわかる!」っていうことだと思うんですが
一度火がついた憎しみって、血の繋がりがある方が根深いのかしらね?

人間関係がわかりずらいでしょー?
でも巻頭に家系図がついていますのでご安心を。

主人公となっている一族は代々お医者様と薬剤師を輩出している医療一家なのですが
当時の医療事情には驚きますよ!!

麻酔がないとか輸血が妖しげな儀式に見られるというのも驚きますが
まあ300~400年前のことだから当然かしらね、とも考えられます。

それより、外科医の方が内科医より数段格が低かったらしく蔑まれてるのに驚いたわ。
手術ができる方がヒルなんかに頼る治療より信頼できそうですけどね。
それから、女性が医療行為をするのは禁止どころか極刑になったってことですよ!
死刑ですよ!! 薬剤師はよかったらしい… 不思議ですね。

『アボンリーへの道』では長女フェリシティが医大に行ってましたが何年ごろの話し?
ヴィクトリア女王時代だったような気がするので1800~1900年ぐらいかしら?

それにしても、戦争はいつの時代も酷いものですね。
原住民や奴隷に対する植民者のふるまいも、白人に対する原住民や奴隷の反抗も
一度は優勢にたった英国派の兵士の行いも、独立を勝ち取った愛国派のその後の行いも…
残虐なことにおいては皆同じ穴の狢ね。
ものすごく迫力がある描き方でむごさがありありと浮かびました。

人間は有利な立場に立った時、集団で少数を相手にする時、自分が正義だと信じこんだ時、
とんでもないことをするのだなと呆れるばかりです。
でも自分がそうしないとは誓えないのが情けないところ…
とにかく、不毛な争いがおこらないように願うばかりです。

“ 読書で三都物語 ” 、 まずは『ニューヨーク』を読破です。

ひとことK-POPコーナー
SHINHWAの新しいCDがすごいらしい!! っていう噂だけで18日発売の『THE CLASSIC』を予約しちゃったよ
豪華特典写真集ってのも気になるところ…
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