THE AH KING
1933年 サマセット・モーム
はっきり言って、収載されている六篇、全て結末がよめてしまうお話しです。
しかし、それを最後まで引っ張って行くモームの筆力が凄い
全て大英帝国の植民地が舞台です。
植民地の中の白人社会はとても狭い世界、そんな井戸の中の蛙状態の人々のエピソードを
モームらしく淡々と物語に仕上げています。
果たして植民地は白人にとって楽園だったのでしょうか?
見渡す限り英国人は自分だけという辺鄙な場所で布教活動をし、裁判官になり、
ゴム園を造り、と彼等なりの使命感に燃えていた人々。
でも現地の人たちがそれを望んでいたのかどうかは疑問です。
六篇全てが秀作ですが、その中でもスペシャルな三篇を・・・
『怒りの器(The Vessel of Wrath)』
厳格な伝道師兄妹と、ならず者の白人ジンジャー・テッドの攻防。
テッドは二人に屈してしまうのでしょうか?
笑える一篇です。牧師ジョーンズと妹マーサは最高
すごく幸せな(おめでたい)人たちです。
『書物袋(The Book-Bag)』
ホストの男性が語る、若き日に恋した女のエピソード。
弟と暮らすオリーブは何故自ら命を絶ったのでしょうか?
『この世の果て(The Back of Beyond)』
退官して帰国するジョージ・ムーンを訪れた農場主トムは
彼の妻が隣人ノビィの死に泣き叫んだと打ち明けます。
問いつめるトムに妻ヴァイオレットが語ったこととは?
『書物袋』は近親相姦、『この世の果て』は不倫がテーマです。
モームはこれらのテーマを、嫌悪ではなく憐憫でとらえているような気がします。
どちらもドロドロとした話しにはならずしっとりとしたストーリーになっています。
モームはどの物語の中でも、何が悪で何が善か決して決めつけようとはしません。
それは、きっと彼が人間の弱さを知っていたからだと思いますが、いかがでしょうか?
1933年 サマセット・モーム
はっきり言って、収載されている六篇、全て結末がよめてしまうお話しです。
しかし、それを最後まで引っ張って行くモームの筆力が凄い
全て大英帝国の植民地が舞台です。
植民地の中の白人社会はとても狭い世界、そんな井戸の中の蛙状態の人々のエピソードを
モームらしく淡々と物語に仕上げています。
果たして植民地は白人にとって楽園だったのでしょうか?
見渡す限り英国人は自分だけという辺鄙な場所で布教活動をし、裁判官になり、
ゴム園を造り、と彼等なりの使命感に燃えていた人々。
でも現地の人たちがそれを望んでいたのかどうかは疑問です。
六篇全てが秀作ですが、その中でもスペシャルな三篇を・・・
『怒りの器(The Vessel of Wrath)』
厳格な伝道師兄妹と、ならず者の白人ジンジャー・テッドの攻防。
テッドは二人に屈してしまうのでしょうか?
笑える一篇です。牧師ジョーンズと妹マーサは最高
すごく幸せな(おめでたい)人たちです。
『書物袋(The Book-Bag)』
ホストの男性が語る、若き日に恋した女のエピソード。
弟と暮らすオリーブは何故自ら命を絶ったのでしょうか?
『この世の果て(The Back of Beyond)』
退官して帰国するジョージ・ムーンを訪れた農場主トムは
彼の妻が隣人ノビィの死に泣き叫んだと打ち明けます。
問いつめるトムに妻ヴァイオレットが語ったこととは?
『書物袋』は近親相姦、『この世の果て』は不倫がテーマです。
モームはこれらのテーマを、嫌悪ではなく憐憫でとらえているような気がします。
どちらもドロドロとした話しにはならずしっとりとしたストーリーになっています。
モームはどの物語の中でも、何が悪で何が善か決して決めつけようとはしません。
それは、きっと彼が人間の弱さを知っていたからだと思いますが、いかがでしょうか?
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