まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『幽霊たち』ホラーじゃないのでね

2015-06-25 22:37:09 | アメリカの作家
GHOSTS 
1986年 ポール・オースター

『最後の物たちの国で』『ブルックリン・フォリーズ』『ティンブクトゥ』
意表をつかれ続けてきて、今回もワクワクしながら手にした一冊でした。

とにかく出だしでやられちゃいまして… ちょっと書いてみるね。

「まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、
 そもそものはじまりの前にはブラウンがいる。」

もう~、なんなんでしょう? この物語は!! と期待が膨らみましたよ。

ちょっと解説すると、主役はブルーという若い私立探偵。
ブルーにある仕事を依頼したのは、ホワイトというあきらかに変装している謎の男。
依頼の内容は、ブラックという男を向いの部屋から見張り
週に一度、ブラックが何をしたか細大漏らさず書いた報告書を作成すること。
ブラウンはブルーを仕込んだ私立探偵で、今は引退しています。

さて物語がどう展開するかというと、なにしろ動きがない物語なのよ。

ホワイトが用意した、ブラックのアパートの向かいのアパートに移り住み
窓から見張り続けるブルーでしたが、ブラックは朝起きたら机に向かって本を読むか
書き物をするか食事をするだけ。
たまに食料品の買い出しに出かけるか近所を散歩するだけ… 来る日も来る日も…

とっととかたづくと思っていた仕事は、一週間が一ヶ月になり、二ヶ月になり
三ヶ月になり… ブルーはだんだん不安や焦りを感じていきます。

結局仕事は一年以上に及びます。

これ以上内容については書きませんが、前半動きがなかった物語は
中盤、後半にいくにしたがって、どんどんアクティブになっていきます。

それは主にブルーがアクションをおこしたからなんだけど
ブラックがおこさせたものかもしれない…

謎でしょう~?
読んでても謎が深まる内容でしたが、なんだか哲学的だった気がします。
暇を持て余すブルーがツラツラ考えたことなんかがね…
哲学のなんたるか? を知らずに書いています、わたくし…

人はどこまで “ 何もしないこと ” に耐えられるのでしょうね?

私は、一週間ぐらい何もしないでボーっとしたい!! なんて考えますが
それはあくまでも、好きな時にDVD見たり、音楽聞いたり、手芸やったりという
自由な時間が含まれていることが大前提です。

だけど、例えば主人公のブルーは、ずーっと見張ってなきゃいけないから
窓から目が離せないわけ。
しかも相手はな~んにもしない… ブルーもな~んにもできない… 退屈…

だからブルーも、気が滅入ったり、気が変になりそうだったりして
依頼にはないアクションをおこしていくわけだけれども
それは依頼を受けてからかなりたってからのことです。

私だったら三日ぐらいで飽きて逃げ出しそう。

ラストは、ザックリ言うと、なんとなく予想できたものでしたが
いったいホワイトが何がしたかったのかがいまひとつ掴めないお話しでした。

今までのオースター作品みたいに大絶賛するかというとそうでもないんですけど
少しづつドキドキ感が高まっていく展開が面白かったですよ。

理不尽なことに我慢強く耐えたブルーの今後に幸あれ! と言ってあげたくなる
そんな一冊でした。

無彩色めいた不思議な世界につかってみませんか?
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
SHINee、BIGBANG、EXOのカムバックにかくれて地味目でしたけども、MBLAQのMIRRORもすごく良かった~
三人になっちゃったけど、これからも頑張ってね



大人っぽくなったMBLAQの魅力がつまった Mirror 聴いてみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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『マン島の黄金』ファンには嬉しい短篇集

2015-06-17 22:16:16 | アガサ・クリスティ
WHILE THE LIGHT LASTS AND OTHER STORIES 
1997年 アガサ・クリスティ

この短篇集は、クリスティの死から21年後に出版された短篇集の日本版です。
10篇のうちのほとんどは初めて短篇集におさめられた作品です。
ただ、先日書いたカポーティの『真夏の航海』のようにお蔵入りしていたわけではなく
雑誌上では発表されていたのに短篇集の中には入っていなかったストーリーです。

9篇はデビュー後12年以内に書かれています。
いくつかは推理劇、いくつかは探偵の登場しない心理劇
いくつかはウェストマコット名義で書かれそうなロマンスありの物語という内容です。
ポアロが登場するものは2篇で、ひとつはほぼ同じ内容で
『クリスマス・プディングの冒険』として出版されています。

いくつかご紹介しますね。

『崖っぷち(The Edge)/1927年』
村の誰からも好かれている善良なクレア・ハリウェルは、館の当主サー・ジェラルド・リーと
結婚すると誰もが思っていたが、彼は突然小悪魔のような若いヴィヴイアンと結婚した。
ある日、クレアは町のホテルでヴィヴィアンが他の男と過ごしている証拠を目にする。

これは心理劇です。 善良な人間が「正義とは何か?」と葛藤しながら見出した答えに
絶対に個人的な感情が絡んでいないとは言いきれませんよね?
短いストーリーですが、主人公の心の変化が女性らしいイヤらしさ? みたいなものを
垣間見せてくれるスリリングなお話しでした。

『孤独な神さま(The Lonely God)/1926年』
退役軍人フランク・オリヴァーは、英国に戻っても知人が無く孤独だった。
大英博物館にある、小さく寂しそうな神さまの像に惹かれて通っていたある日
同じように神さまの像を見つめている、孤独そうでみすぼらしい若い女性に気づく。

これはありがちな話しで、とりたてて面白いわけではないのですが
けっこう人間のダーティな部分を描いた作品が多い中、ちょっとホッコリしたのでね…

『クィン氏のティー・セット(The Harlequin Tea Set)』
サタースウェイト氏が旧友トム・アディソンに会いに向かっている途中車が故障して
ハーリ・クィン・カフェという店に入ると、懐かしいハーリ・クィンが現れた。
氏がトム一家のことを話していると、トムの義理の息子の後妻ベリルがやって来る。

これは推理劇。 いつ書かれたのかわかりませんが、サタースェイト氏がしきりに
懐かしがっているところをみると、一連の『謎のクィン氏』の後に書かれたんですかね?
意外な展開と犯人! よくできた話しだと思います。

なんらかの理由があってクリスティが短篇集からはじいた作品たちだと思うのですが
ひとつひとつのストーリーは、さすが! って感じの面白さでした。
ハヤカワ文庫のクリスティ・シリーズの短篇はほぼ読みつくしちゃった読者としては
本当にありがたい1冊でした。
こういう作品がまだまだあればいいのになぁ…

まだまだクリスティが読み足りないという方に朗報ですね
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことクラフトコーナー
本で見てあまりにも可愛かったので作ってみたわ! マカロンポーチ
かなりの数マカロンポーチを作ってきた私ですが、ちょいと行程が多くて疲れたね




好きなキャラクターをマカロンポーチにしちゃいましょう
作ってみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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『真夏の航海』幻のままでは…どうでしょう?

2015-06-08 22:33:37 | アメリカの作家
SUMMER CROSSING 
2006年 トルーマン・カポーティ

幻の処女作らしい…

この小説は、2006年、カポーティの死後20年以上もたってから発表されています。
その経緯は巻末の、発行人のあとがきに詳しく書かれているので省きますが
カポーティ自身はこの物語を世に出す気はなかったようです。
その気持ちはちょっとわかる気がする… 私なんかが言うのもなんですが…

あらすじをさらっと書いとくね。

舞台は1960年代のニューヨークです。
主人公は、投資家の娘グレディ・マクニール、17歳。

グレディの父親と母親は、夏の間、長いバカンスをパリで過ごすのですが
どうしても行きたがらないグレディをひとり残して行くことにします。

おいおーい! 17歳という一番ひとりにしちゃいけないお年頃の娘をおいて行く?
しかも夏!! 一番開放的になっちゃう時に。

出発の日、両親を見送るグレディの隣には幼なじみのピーター・ベルという青年がいて
グレディはこれから彼とデートするとまで言っているのに、親、行っちゃいます。

けれどもグレディの本当のデートの相手はピーターではなくて
2ヶ月前に知り合った、パーキングで働いているクライド・マンザーという青年です。
そしてほら、クライドはその日のうちにグレディの高級アパートに行っちゃったよ。

物語はグレディの恋心が燃え上がり、徐々にクライドも盛り上がり、
ピーターもグレディへの気持ちに気づき… と、青春っていいよね! な展開になりますが
もちろん、いくつかの問題もおこって、二人の恋を危ういものにしたりします。

ひと言でまとめてみましょう。
両親がいない夏を謳歌した少女の、夏の終わりに困っちゃったね… な物語。

そしてラストは…
これ、どうゆうこと? と、唐突に終わっちゃったんですが、実は未完らしい。
書いててイヤになっちゃいましたかね?

これまで処女作とされていた『ミリアム』より前に書かれていたらしく
手直ししようと思えばできたと思うのですが、とにかくしまい込んでいたようです。

そうですねぇ…

私はカポーティの小説の女性主人公は、奔放なタイプも気味が悪いタイプも
イッちゃってる人も、子供も若い女性も老いた女性も
心を捉えるような何かが、多かれ少なかれあるような気がしていますが
この物語のグレディは、特にないんですよね。
大金持ちで綺麗でわがままでセンシティブ… ありがちな気が…

そういう少女と、多くを語りたがらずつかみどころがない
どちらかといえば貧しい青年との恋愛もようは、何もカポーティが書かなくてもね…
読んでいてそんな感じを受けました。

主人公のまわりを固めている、ピーター・ベルや、クライドの姉アイーダや母親
クライドの友人ミンクとその恋人のウィナフレッドあたりに
将来のカポーティが描く、みずみずしくも微妙な人物像が垣間見えたような気がします。

もしも最後まで書き上がっていたら、面白い展開になっていったのかもしれませんね。
グレディもクライドももっと突拍子も無い行動に走っちゃったりして…
どうもそうゆうふうにもっていこうと試みたラストに思えました。

映画化されたらしい… 映像だったら60年代のラグジュアリーなサマードレスとか
グレディとピーター、若いセレブの豪遊ぶりが見られて楽しいかもね。 見ないけど…

ひとことドラマコーナー
毎週『天皇の料理番』が楽しみすぎる! キャストがいいよね~ 哲太&美保純夫婦がよい!
そしておにいやん… 出てくるだけで泣けるわ  さらに昨日のひろみ・ごー! 彼でなくてはできない役だったかも…
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『O・ヘンリー ニューヨーク小説集』求む!白馬の王子

2015-06-04 20:16:19 | アメリカの作家

O・ヘンリー

O・ヘンリーは新潮社の『O・ヘンリ短編集 1~3』『O・ヘンリー ミステリー傑作選』
読んで、もう腹一杯!と思っていましたのに、結局『魔女の差し入れ(善女のパン)』と
『二十年後』といった有名どころ以外は覚えてなくて愕然としちゃったわ!!
21篇中、未読が4篇、覚えてたの4篇で、13篇は… いかーん!記憶の彼方にあるよ。
新刊が読めたとポジティブ思考でいくことにします。

編者がもっともニューヨークらしいと考えたストーリーひとつひとつに
時代背景と舞台となった場所の解説がついています。
それから当時の画家が描いたニューヨークの絵がいくつか掲載されていて
小休止的に楽しめました。

O・ヘンリーらしい、いい話しありユーモアありの一冊でしたが、その中から今回は
女性が主人公の物語をいくつか紹介したいと思います。
勝手な想像ですけど、世界一自立心が強そうなニューヨーク女性の百年前のロマンスは?

『天窓の部屋(The Skylight Room)/1906年』
パーカー夫人の下宿で一番安い部屋を借りたミス・リースンは、天窓から見える星に
ビリー・ジャクスンという名前をつけます。
フリーのタイピストをしているミス・リースンの仕事がだんだん減っていきます。

『伯爵と結婚式の客(The Count and The Wedding Guest)/1907年』
アンディ・ドノヴァンは、下宿に越して来たミス・コンウェイを意識していませんでしたが
ある日、喪服姿で現れた彼女にハッとします。
ミス・コンウェイは婚約者だったイタリアの伯爵が死んでしまったとうちあけました。

『あさましい恋人(A Lickpenny Lover)/1908年』
ビッゲスト百貨店に大金持ちの青年カーターがやって来て、手袋売り場の美しいメイシーに
ひと目惚れ、すぐに猛アタックをしてデートの約束をとりつけます。
2週間後、メイシーが結婚を受け入れてくれそうだと思ったカーターが
とびきり贅沢な新婚旅行のプランを話します。

『ひとときの理想郷(Transients in Arcadia)/1908年』
ブロードウェイの喧噪から逃れられる一軒の素晴らしいホテルを、優雅な貴婦人が訪れます。
その三日後にやって来た青年と婦人は次第に親しくなっていきます。
いよいよお互いがアメリカを発つという前夜、二人はバルコニーにいました。

『車を待たせて(While the Auto Waits)/1908年』
いつも夕暮れ前に公園のベンチで本を読む娘を待っていた青年は、意を決して声をかけます。
しかし彼の馴れ馴れしさに娘は怒り、自分はレディだとうちあけました。
公園には運転手の目を盗んでおしのびで来ていると言います。

他にもあったのですが、好きだったものとヒネリがきいているものを5話選んでみました。
この中のいくつかは恋が実り、いくつかはうまくいきませんでした。

主人公は当時最先端といわれた “ デパートガール ” とかタイピストなどなど。
さぞかし独立心が強く仕事に誇りを持っているんだろうと思いきや
その仕事を活かしていい相手を見つけなければ!! というガッツが読み取れます。

O・ヘンリーの偏見もかなり含まれているようですが、最先端とはいえ薄給の女性たちの
最終目的は、やはり幸せな結婚ということになるんでしょうね?
みんながみんなそうじゃないわよっ!… とお怒りの方もいるかもしれませんが
ジョークが大好きな作家が描いた、愛すべき女性たちとお考えいただければよいかと…

とりあえず、いくつかのストーリーには「こうやってゲットしなさい!」的な
教訓も盛り込まれていますので、興味があったら読んでみて下さいな。
ただ、現代に通用するかどうかはわかりませんけどね…

女性たちのガッツがユニークに感じられる一冊。読んでで楽しいですよ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとこと韓流コーナー
あいかわらずスカパーで迷っているわたくし、先週からやっとBSで『メディカル・トップチーム』が始まりくぎづけですの
オペ服着てりゃどの俳優さんも素敵に見えてしまう私に、ミノのオペ服はヤバすぎる!!
しかもクォン・サンウとチュ・ジフンにアレックスまで…あんな病院があったらどうするよ!? 心拍数あがりっぱなしよ
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