まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『世界短篇文学全集14 アメリカ文学20世紀』出版社にお願い!

2014-02-27 23:04:07 | アメリカの作家


古本屋さんで見つけて買った後で『アメリカ短篇24』の装丁違い?と思ったのですが
いくつか重複していたっものの、違うものでした。 よかった

こちらも24篇おさめられています。
『アメリカ短篇24』にもあった『いちご寒』『亡き妻フィービー』をはじめ
フォークナーの『乾いた九月』、モールツの『世界一幸福な男』
アンダスンの『森の中の死』など、けっこう読んだことがある話があったのですが
またまた楽しむことができました。
その他、スタインベックやヘミングウェイ、カポーティなど盛りだくさんです。

いくつかご紹介します。

『メイ・デイ(May Day)/スコット・フィッツジェラルド』
1919年5月1日、ビルトモア・ホテルをゴードンというくたびれた青年が訪れ
イェール大学の同級生だった宿泊客のディーンに面会します。
ゴードンは久しぶりに会ったディーンに借金を申し入れて断られます。

もう、ね! 金策に走る男を書かせたら、フィッツジェラルドは五本の指に入るね!!
これが彼のパーソナリティとどう関係しているかは知りませんけど…
借金の申し出を断るディーンは、決して悪い人じゃないと思います。
ゴードンが哀れだからって、ディーンを誤解しちゃいけないわ。

『特だね(A Front-Page Story)/ジェイムズ・T・ファレル』
大学を担当している取材記者は、女学生ルース・サマーの葬儀に参加して
死の真相をつきとめました。
しかし、彼には特ダネを手にしたという嬉しさはありませんでした。

この記者はすごく頑張って、なるべく感動的なストーリーに仕上げるんだけど
それでも記事にはするのよね。
たしかにその記事を読んで、私もルースの人生にホロリときました。
マスコミを嫌う人々は多いけど、良心を持って伝えている人もいるはず… と信じよう。

『ざくろ園(The Pomegranate Trees)/ウィリアム・サローヤン』
夢見がちなメリックおじが、広大な砂漠を買い果樹園を造るというので手伝うことにします。
手始めにざくろを700本植え、トラクターを買い、土地を耕しました。
しかし、どんなに頑張っても水が足りません。

カリフォルニアに畑を造った実話ってなかったですっけ?
しかし、誰か止めなかったの… 夢見がちにもほどがあるでしょうよ。
だけど男の人が夢を真剣に追い始めたら、誰にも止められないのかもね。
おじさんの老後が心配だけど、家族愛は強そうだからなんとかなるかな?

ああ楽しかった!
1900年代のものが中心ですので、人種問題にふれたものや
現代から見れば古い感じがするものもありますが、やはり読み継がれる名作だけあって
中だるみすることなく一冊読み通せました。

こういう全集は、いろいろな作家の作品が楽しめて本当にいいですね。
各出版社、どんどん出していただきたいわ。
ただ、どうしても同じ作品がかぶるのが悲しいですね。
そこをなんとかしていただいて… 復刻でもいいからお願いします。

ひとことK-POPコーナー
『SURPRISE VACATION』DVD6枚+特典ポーチが本日到着! 放送とは違う編集で新鮮ね
で、輸入盤だからしかたないけど日本語字幕がないんだよ~  一時停止を駆使して英語字幕で頑張って見ています 
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ポーランド公レシェク2世妃 グリフィナ

2014-02-24 19:46:26 | ポーランド王妃
肖像画で損してるかもしれない…
レシェク2世妃 グリフィナ・ハリツォカ


1248~1309/在位 1279~1288

コンラト1世とヘンリク2世の血をひくレシェク2世の妃は
ハールィチ公子ロスチスラフとハンガリー王ベーラ4世王女アンナの公女グリフィナです。
        
ボレスワフ5世がアレンジして、1265年に結婚しました。

レシェク24歳、グリフィナ17歳ですね。
むちゃくちゃな年の差で結婚させられてしまう王女たちがいることを考えれば
バランスがとれている夫婦だと思うのですが、この二人、6年後には別居します。

グリフィナは「夫が不能なので!」と公式に断言しました。
これに対してレシュクは「そんなことない!!」と完全否定。
国を巻き込んでの大がかりな夫婦喧嘩ですが、他の理由にしとけなかった?

結局、ボレスワフ5世が4年後に二人を強制的に復縁させたわけですが
恥ずかしいことを公言しちゃった嫁と仲良くできるわけないと思うけど…

1285年、レシェク2世に対する反乱の時には、グリフィナはクラクフのヴァヴェルに避難して
市民の保護下に入りました。

1287年、モンゴルの三回目の侵攻の時には
レシェク2世とグリフィナはハンガリーに逃亡しました。

いろいろありましたが、度重なる大きな危機に
「こりゃ夫婦喧嘩してる場合じゃないな」と、関係が修復されたのかもしれませんね。
ただ、グリフィナの言ったことが正しかったのか嘘かは別にして、二人にお子はいません。

1288年にレシェク2世が亡くなると、グリフィナの甥にあたるヴァーツラフが
ポーランドの後継者争いに名乗りを上げました。
この件にグリフィナが絡んでいるのかどうかは不明です。

グリフィナは未亡人になると、スタリソンチのクレア派の修道院に入りました。
この修道院の院長は聖キンガです。
家系図は省いたけど、聖キンガは、グリフィナの母アンナのお姉様にあたります。
キンガの死後はグリフィナが修道院長になりました。

1300年、甥のヴァーツラフと婚約したプシェミスル2世の王女リクサ・エルジェビエタの
監督役としてボヘミアまで付き添いました。

グリフィナの没年ははっきりしていませんが、たぶん、1509年と言われています。
ポーランドではなく、プラハのクレア派修道院に葬られました。

肖像画はなんだか恐ろしそうな女性に見えますね。
だけどこれは、レシェクとケンカしてる場面の絵なのでしかたないと大目に見てほしい…
いくら伯母がいるからって、清貧がモットーのクレア派修道院に入っているあたり
無欲で心優しい人だったかもしれないじゃない?

それにしても、 ハンガリー・ポーランド・チェコと、東欧の王侯家の関係は
どんどん複雑さを増していきますね。
さらに、ロシアやドイツも加わり、家系図に書ききれない… 頭の中がぐちゃぐちゃ~

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
少女時代と2NE1の同時カムバック、目が離せないわ! 各音楽番組も華やかになりそうですね
SMとYGから所属アーティストが応援にかけつける…なんてことないかしら?
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『レイモンド・カーヴァーの子供たち』もう一回カーヴァーを読もうっと!

2014-02-20 21:05:54 | アメリカの作家
20 UNDER 30 
1986年

一時期、少しだけレイモンド・カーヴァーにはまったことがあります。
村上春樹さんの影響なんですけどね。
たぶん、その時に買ったんだと思うけど、例によって覚えがないので読んでみました。

レイモンド・カーヴァーに影響を受けたであろう
(当時の)若手の作品が11篇おさめられていますが
聞いたことがあるのはデイヴィッド・レーヴィットだけでした。

どこらへんがカーヴァーっぽいのか、文学をちゃんと学んでいない私には
わかったもんではありませんが、そう言われりゃそうかもね。

ま、カーヴァーっぽいのかそうでないのかは別にして
印象に残ったお話しをいくつかご紹介します。

『感謝祭(Thanksgiving Day)/スーザン・マイノット』
ガスとロージーのヴィンセント夫妻と6人の子供たちは
感謝祭にガスのパッパとマッマの家を訪れる。
つづいて、ガスの兄チャーリーの一家と、姉フランの一家も到着した。

息子夫妻に娘夫妻、おおぜいの孫たちに囲まれて、郊外で過ごす休日なんて
隠居した夫婦の理想よね!といいたいところですが、
長年連れ添ってきた夫婦の刺々しいやりとりを聞かされる身にもなってほしい。
自分たちだけの愛情表現だとしても、孫が来ている間ぐらいはさぁ…

『配管工(This Plumber)/ブレット・ロット』
今日やって来た配管工は、まず、ノックが良かったし、握手の仕方も心得ていた。
妻が出て行ってがらんとした部屋のバスタブを見ながら、彼が水漏れについて語る。
彼が帰ろうとした時、つい引き止めてしまった。

こ、これは… この後禁断の愛に突入か? と思ったら、男らしい話でした。
“ プロフェッショナル ” を目にした時の、男性の胸の高鳴りが感じられる一編。
でもこの配管工の人、水漏れを直せなかったんだけどさ、それはおいといて…

『ドリーマー(Dreamer)/マージョリー・サンダー』
わが家には、何代かに一人夢想家が生まれるという伝説がある。
パパは、パパの母ギッテルもその一人だと考えているらしかったが
ママは、ギッテルはただの自分勝手な女だと言う。

ここからギッテル伝説が語られるわけですけど
パパとママのどちらの言い分が正しいのかは、読者次第でしょうねぇ…
私は好きだけど、近所にいたら嫌いかもしれないし、友だちにはなれそうにないね。
でも、職場にいたら好きかもしれない…自分はできないからね、憧れの部分もあります。

カーヴァーの影響を受けているからといって、カーヴァーのような小説を書くというのが
正しい後継者の姿ではないですよね、きっと。
自分のオリジナリティやカラーをどれだけ反映できるかが才能の成せる技なのでしょうね。

影響を受けたからって、同じようなスタイルで同じような歌を歌っていたら
コピーバンドの延長で終わってしまうってことですか? って
…この例えはどうなんだ?

カーヴァーという作家を意識しすぎなければ、面白かったのかもしれないし
でも、そうでなければ真剣に読まなかったかもしれない…
本の題名にかなり踊らされてしまったような気がしています。

そこで、本家カーヴァーってどんな感じだったかしら? と思い出そうとしてみました。
いくつかの話は覚えていたのですが、あまりちゃんと思い出せないので
もう一回読んでみることにします。

ひとことオリンピックコーナー
昔からフィギュアスケート好きなんだけど、職場のディープなフィギュアファンNさんによると
羽生君は羽生キュンて呼ばれているんですってね! それ聞いて名付けた方のセンスに感動しちゃいました
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『ロザムンドおばさんの贈り物』風景は綺麗らしいよ

2014-02-14 21:41:23 | イギリス・アイルランドの作家
“A GIRL I USED TO KNOW” AND OTHER STORIES 
1985年、1991年 ロザムンド・ピルチャー

表紙から見ても、◯◯おばさんの~という響きから言っても
善い人の善い話しオンパレードなんでしょうね、と思ったのですが
紀伊国屋書店で見かけて、ふらふらと買ってしまいました。
そしてその予感は、概ね間違っていませんでした。
ま、たまにはこんな読書もいいかもね。

7篇のゆんるりとした物語がおさめられています。

『忘れられない夜(An Evening to Remember)』
アリスン・ストックマンが、夫の社長夫妻を夕食に招く明日の準備に明け暮れ
疲れ果てて居間に座っているとベルが鳴り、正装した社長夫妻が立っていました。
アリスンは日にちを間違えてしまったようです。

夫も怒らず協力し、ベビーシッターのイヴィーも残業を願い出て夕食会は大成功!
良かったね… と言いたいところですが、後日談があります。
うーん、みんなが心が寛い、いい人で良かった。

『長かった一日(Toby)』
早春のある朝、郵便配達が、ビル・ソーコムが亡くなったというニュースを伝えます。
8歳のトビーは、62歳のビルと親友でした。
遊ぶ気にもならず、もう一人の友人である大工のウィリーに会いに行きました。

この話は、実はラブ・ストーリーでもあるのですが、その部分はおいといて
イングランドの田舎感がすごくあふれていて好きな話です。
大人がみんな、子供好きないい人で良かった。

特に好きだったのは2篇ですね…
それ以外も、The 英国! という感じで、けっして嫌いではありません。

それに、ミス・マープルのセント・メアリ・ミードや、
ミス・リードが描くスラッシュグリーン、『赤毛のアン』のアヴォンリーなど
お互いをみんな知っているっていう村の話、大好きですよ。

なんだけど、みんないい人でね~
悪人を出せとは言いませんが、曲者がいないのよ。
そういう人が物語を面白くすると思うのだが、どーにもこーにも見あたらないの。
だからちょっと物足りなさを感じています。

作家のピルチャーはベストセラー作家で、翻訳もたくさんでているそうです。
そうね… 最近殺伐とした物語ばかり読んでいるから、ホッとしたいわ…という時に
読むとよさそうですね、そうしよう。
紅茶とスコーン片手に…というのが似合うんでしょうね、きっと。
そんなに優雅に本読むことないからさぁ…悲すぃ…

ひとことオリンピックコーナー
一億総歩夢君に詳しくなっている状態の今、新潟県村上市ってなんか聞いたことあるな…と思ったら
以前村上春樹さんが訪ねてませんでしたっけ? 村上新聞社に行って、〆張鶴飲むの…どの本に書いてあったんだっけ?
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『厭な物語』私は冷酷なのかしらね?

2014-02-11 21:03:04 | アメリカの作家
DISTURBING FICTION 
A・クリスティー/P・ハイスミス/M・ルヴェル/J・R・ランズデール/S・ジャクスン
U・ソローキン/F・カフカ/R・C・マシスン/R・ブロック/F・オコナー/F・ブラウン

アメリカ生まれの作家が多かったので、とりあえずアメリカの作家にいれてみました。

それにしてもこの表紙…
書店で “ 読後感最悪 ” というオビを見て、フラフラと手にとった一冊。
でも、全体的にはそんなにイヤ~な感じではなかったのですけれどもね、私は。

とりあえず、全篇で人が死にます、自然死ではなく。
そのパターンがいろいろあって、たしかに嫌悪を覚えるものもありました。
ただ、ストーリーの中で必然と思われるものや、哀愁が感じられるものもあり
“ 厭 ” というひと言ではかたずけられないように思えました。

11篇のお話しの中で、私が心から、やな感じ~ と思ったのは4篇です。
でも、あくまでも私の感想であって、その中に悲哀を見つけられる方もいるかもしれません。

印象に残ったお話しをいくつかあげてみます。

『フェリシテ(Felicite)/モーリス・ルヴェル』
フェリシテは娼婦だが、慎ましく、身なりやふるまいも堅気のようだったので
街の人々は大目に見て、挨拶なども交わしていた。
ある日フェリシテは、四十代の紳士ムッシュウ・カシュウに出会った。
二人が毎週土曜日の夜に会い、静かに語り合うようになって2年がたった。

『くじ(The Lottery)/1948年 シャーリィ・ジャクソン』
6月27日のからりと晴れた朝、300人の村人たちが広場に集まってくる。
子供たちは走りまわり、男たちは仕事や政治の話をし、女性たちもエプロンを外して。
いよいよ進行役のサマーズ氏が登場して、くじが始まった。

『赤(Red)/1988年 リチャード・クリスチャン・マシスン)
彼は、暑い中を歩き続けた。
探しているほとんどのものは袋の中に拾い集めたが、それでも歩いた。
人だかりが彼を待っているが、彼はある地点で何かに気づき、そっと座り込んだ。

『善人はそういない(A Good Man Is Hard to Find)/1953年 フラナリー・オコナー
祖母はフロリダへ行きたくないと言い続けていたが、息子のベイリーは聞いてくれず
結局ベイリー夫婦と幼い三兄妹とともに車に乗り込んだ。
もうすぐジョージアを抜けようかという時、祖母は若い頃に訪ねた農園のことを思い出して
そこへ寄って行こうと言い出した。

いかがでしょう?
長閑そうに思える話もありますが、結果から言ってどれも死者がでます。

『フェリシテ』は、私にはものすごく悲しい話に思えましたが
こう言っちゃなんだけど、死に方は特に衝撃的ではないのよね。
でも女性として、気持がわからないでもない、いえ、かなり共感できるお話しでした。

以下3篇は、死に至るまでの過程がものすごく残酷ですが、それでも悲哀が漂ってました。

『くじ』は、人間の集団心理の恐ろしさが…
こういう心理がけっこう悲劇を生んでいるのではないかと思わされます。
あと、伝統ってどこまでこだわって守るべきなのか、考えさせられますね。

『赤』は、主人公の気持を思うと、ものすごくつらい話しです。

『善人はそういない』は、ものすごい作り話だけど、ものすごく正直な内容に思えました。
にぎやかに旅を続けていた一家が感じた恐怖を考えると、死ぬことより怖いわ。
最後にベイリーが母親思いのところを見せるのよ… 泣けたね。

私がいい印象を受けなかった話について、なぜでしょう?と考えてみると
他の物語のように、死の必然性が感じられないということでしょうか? 理由無き死?
罪の意識が欠落している人がまわりにウジャウジャいるのかと思うと、背筋が寒いわ。
どの話しかは書かないけどね。

この本の落ち着きどころは、死=厭、ということになるのかもしれませんが
人が死ななくても厭な話はたくさんあります。
むしろそっちを読んだ方が最悪な気分になれるかも… なりたきゃね。
バルザックなんてどうでしょう?

ま、厭な話しは世の中にいっっっっぱい転がっているので
あえて読まなくてもいいのかもしれませんけど…

ひとことK-POPコーナー
テソンが6月にやって来るらしい! 7月には韓国でソロアルバムも出るんですってね!!
両方待ち遠しい!!! けど、BIGBANGのカムバックはいつなのかしら? そちらも楽しみです
 
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『灰色の輝ける贈り物』極寒の冬を纏った一冊

2014-02-07 02:34:11 | カナダの作家
ISLAND
アリステア・マクラウド

どこでどうして買ったのか、まったく覚えてないのですけれど
あったから読んでみました。
さ、寒いよぉ… まさに灰色の世界観です。

私は、たまに浮かれ気分を鎮めてしっとりしたい時などに
日々の生活のちょっとした煩いに苦悩する主人公像を想像しながら、本を読むのが好きです。
ウィリアム・トレヴァーとかハーディなんかが、ほどよく暗くていいのですが
この作家の暗さは、ちょっとベクトルが違う気がする…

作家の経歴によるものか、漁や炭坑などを題材にしたものが多いようです。
もちろん、どちらも危険な仕事だとは思うのですが
ハンパじゃない “ 死との隣合せ ” 感が充ち満ちています。

カナダの作家で、アリス・マンローと同じぐらい寡作らしいのですが
多作じゃなくて逆に良かった気がする…書く方もつらいでしょうが、読む方もしんどいわ。

8作おさめられています。
気になったお話しをいくつかご紹介します。

『帰郷(The Return)/1971年』
10歳の撲は、初めてお父さんの故郷ケープ・ブレトンを訪ねる。
お父さんは列車の中でも待ちきれない様子で、お母さんはあきれている。
大きな家に着くと、おじいちゃんとおばあちゃんは、お父さんが遠くの町で結婚して
嫁の実家の言いなりになっていることを責める。

この少年のお父さんは、都会に出て金融界で成功し、裕福な生活を送っています。
本当なら両親や兄弟姉妹に大歓迎されてもいいと思うのですが
この島の人間としては間違った生き方をしているみたいです。
親のそばで慎ましく生きるべきか、離れていても親が誇れる成功者になるべきか…
難しいわね… 親次第ってとこもあるし。

『秋に(In The Fall)/1973年』
もうすぐ父が出稼ぎのために家を発つという、11月の第2土曜日
母が、炭坑時代から父のそばにいる老馬スコットを売ると宣言した。
父も子供たちも反対だったが、母の言い分は理解できた。
そこへ家畜商人マクレイがやってきて、スコットはミンクの餌になると言う。

ドナドナ状態… でももっと残酷。
馬を売る決心をしたお母さんを責められないってことはわかるの。
わかるんだけど、どうしても悪役をつくらずにおかない人の世の悲しさ…
子牛でなかっただけが救いかしら? いや、老馬の方が哀れか?

『失われた血の塩の贈り物(The Lost Salt Gift of Blood)/1974年』
4000キロの旅を終えて最後の道に立つと、魚釣りをしている4人の少年と出会った。
そのうちの一人、ジョンを迎えに来た老人に連れられ、彼の家に向かった。
レンジの前にいた老婦人は、一瞬敵意を見せたが、思い直したようだ。

この旅人は、たまたまそのカナダの果ての家を訪れたわけではなくて、訳があるの。
私には、どうしてそうなるのぉ? というラストに見えたんですけどね。
どちらが子供にとってよいのかしら? 大人のエゴに思えましたが… 哀愁はあったけど。

特に冬に限定された物語ばかりではなくて、たぶん、夏の物語もあるのですが
読んでいて頭に浮かぶのは、冬の波が白い泡をたてて押し寄せる黒い断崖絶壁の風景。
寂しく寒い冬の情景なんですよね。

それ以外で印象に残ったのは、じれったさでしょうか?
そのじれったさは、登場人物の行動にイライラさせられるというのではなくて
どちらが、誰が、正解なのかがわからない、というもどかしさです。

もちろん、人生に完全な正解と不正解はないと思うのですが
小説に関しては、読者なりに正解をだせばいいものだと思っていました。
だけどこの一冊に関しては、どちらを選んでも、幸福かもしれないし不幸かもしれない、
どっちを選べばいい? ということが、想像の世界の中であれ決められなかったんですよね。
もっと人生を噛み締めた後で読んだら、もう少し理解できるのかもしれませんが…

アリステア・マクラウドは、新潮クレストから『冬の犬』という短篇集も出ているのですが
今のところ手に取る気になれないでいます。
暗いのはけっして嫌いじゃないんだけど、もう少しユーモアがほしいのね… わがままですか?

ひとことK-POPコーナー
録画してたTVKのPOP-PARADEを見たらCNBLUE特集だったんですけど
彼らはもはやアイドルではない気がする…ヴィジュアル抜きで十分カッコいいバンドに見えますね
 
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『婚約』生真面目さが漂ってます

2014-02-06 21:26:02 | ドイツの作家
DIE VERLOBUNG 
ヘルマン・ヘッセ

ヘッセは特に好きではないのですが、なぜか何冊か持っています。
だけど読んだ覚えがないので読んでみました。

3篇しかありませんので、全部紹介します。

『婚約(Die Verlobung)/1908年』
白リンネルを扱う地味な店の、無言の店主アンドレアス・オーンゲルの
35年前のある事件は、街の人々に広く知られています。
若きアンドレアスは背が小さいことに引け目を感じていましたが
ある日、美しいマルグレートに恋をし、行動をおこしました。

この物語はものすごく好きでした。
主な理由としては、舞台がリンネル屋さんというところなんですけどね。
それから、主人公がもの静かで恥ずかしがりやで真面目すぎる男性というところ。
読んでいて「頑張れ!」と応援したくなりました。

『世界改良家(Der Weltverbesserer)/1912年』
24歳のベルトルト・ライヒャルトは、学生時代をすごしたミュンヘンで
自称芸術家たちとつきあったりしながら無為の日々を過ごしていましたが
新しい倫理を追究する一団に感銘を受け、好意を寄せていた顧問官の娘アグネスが
止めるのも聞かず、チロールの山小屋を買ってミュンヘンを後にします。

宗教ではありませんが、今でいうカルトなんですかね?
主人公は芸術家たちや倫理家の言うことを素直に信じてしまう傾向があるのね。
すごく手玉にとりやすいタイプだと思うの。
もしアグネスと上手くいったとしたら、たぶんアグネスの言いなりになると思う。
夫としてはいいんだか、悪いんだか…

『マチアス神父(Pater Matthias)/1912年』
若いマチアス神父は、愛想がよく親切で、外見も美しく、布教活動も上手で
尊敬を集めていますが、実は情熱的な過去を持ち、現在もある秘密を抱えています。
田舎への布教を命じられて上首尾に終わったマチアス神父は
ある町に立ち寄り、僧衣を脱いで酒場へと向かいました。

最初の方は世渡り上手とか、要領がいい人としか思えないマチアス神父なのですが
この後、かなり手痛い目に遭うんですよね。
こんなにウマく生きてきたのに、ツメが甘いとしか言いようがありませんが
実は、前半の裏がある人物の時の方が、後半の改心した神父より魅力的に思えました。
イキイキして人間らしかった気がするのですが… もし教訓話だとしたら失敗?

ヘッセといえば、お馴染みの『車輪の下』がありますね。
ありますねって… ぜったい読んだはずなのに、びた一文覚えてない…
たぶん好きでなかったんでしょうね。

そういえば、以前『青春はうるわし』を読んでますね。
それもあまり好印象ではなかった気がする… まぁ、長閑でよかったんですけどね。
『青春は~』よりは、こちらの方が物語として面白かった気がします。

書いてて思ったんですけど、私がこの一冊が好きだとしたら
それは全て、一話目の『婚約』に因るものですね。
実は他2篇はそんなに面白く思えなかった…

ただ、ヘッセは真面目な人だったんじゃないかしら? と思えたた一冊でした。
黙々と書く、早寝早起き、手のかからない良い夫、という感じ。
あくまでも想像です。私は作家自身にはあんまり興味ないからさ。

読書好きには、時代や国や内容は違っても、それだけで読みたくなるという
お気に入りのシチュエーションがある人がいるんじゃないでしょうか?
私の場合は、下宿屋・安ホテル・布屋・大衆食堂なんかが舞台になっていると
それだけで2ランクぐらい好き度がアップするようです。

ヘッセが面白くないなんて、ばーか とお怒りの方もいらっしゃいましょうが
読者って勝手なものだと理解してほしい…

ひとことK-POPコーナー
EXOがすごいことになっているのね! もう埼玉スーパーアリーナって…
てことは、SMの序列からいってSHINeeは今年DOME? いいけど、代々木ぐらいが見やすくて好きなんだけどなぁ…
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ポーランド公ボレスワフ5世妃 聖キンガ

2014-02-03 00:11:02 | ポーランド王妃
でた! 清い身を守った敬虔な妃
ボレスワフ5世妃 聖キンガ


1224~1292/在位 1243~1279

ヘンリク2世の死後最高公に即位したのは、同じくボレスワフ3世の血をひく
ボレスワフ5世でした。

ボレスワフは即位する4年前の1239年に結婚しました。
お相手は、ハンガリー王ベーラ4世の王女キンガです

      

お母さまはマリア・ラスカリズ
家系図は省いたけど、妹のヨレンタもポーランドに公妃として嫁いでいます。

結婚した時キンガは15歳で、いやいや嫁ぎました。
ボレスワフは年下の13歳でしたが、なんと、二人は結婚する時に
「生涯清い仲でいましょうね」と誓ったそうです。
で、それを守り通したそうですよ。

ボレスワフはさ、誓った時は幼かったからどうだってよかったかもしれないが
いくら誓ったといっても、思春期、青年期にさしかかったらねぇ…
もしかしたら、何度かキンガに「どうかな?」って言ったかもしれないよ。
でもキンガが断固拒否したんじゃないかと、勝手に想像してみました。

すみません… 罪深いこと考えちゃって…  
きっと誓いは守られたにちがいない!
ボレスワフは浮気した形跡もありませんし、さすが “ 純潔公 ” と呼ばれるだけありますね。

中世には、こういう頑な妃が何人か見あたりますね。
たしか… 神聖ローマ皇帝ハインリヒ2世妃聖クニグンデもそうでした。
そういえば、キンガの別名もクニグンダですね。
叔母に聖エルジェーベトがいるし、祖母のアンドラーシュ2世妃ゲルトルード
ヘンリク1世妃聖ヤドヴィカの妹です。
聖人の道を歩むべくして生まれてきたのかも…
ちなみに、キンガの妹マルギットも聖人になっています。

キンガは口先だけで信仰を誓うのではなく、行動でも示しています。
とにかく貧乏な人々のもとを訪問し、ハンセン病患者を助ける活動もしました。

1279年にボレスワフ5世が亡くなると、キンガは所有物を全て売り払い
貧しい人々に寄附してしまいました。
キンガはまだ55歳、これからどうやって生きていくのよぉ?

キンガはドロドロした政治の世界には目もくれず、クレア派の修道院に入りました。
クレア派の修道院というのは、よく貴族の子女や未亡人が入る
ゴージャスな修道院ではありません。
1292年に68歳で亡くなりましたが、残りの人生を祈りの中で過ごしました。

心から敬虔な人だったようですね。
1999年(おお、最近!)ヨハネ・パウロ2世によって列聖されました。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
スマホをiPhoneに変えたはよいが使いこなせずイライラ~
K-POPもうまくダウンロードできず、結局前のスマホを持ち歩いてる状態…早く慣れねば!
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