まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『悲しき酒場の唄』邦題はおっさんくさいよね・・・

2013-10-27 19:26:08 | アメリカの作家
THE BALLAD OF SAD CAFE 
1951年 カーソン・マッカラーズ

確かに訳すとそうなるのでしょうが…
原題がグッとくるでしょ! Sad Cafeですよ!!
ハードボイルドっぽく聞こえなくもないけど
わけありな男が無言で飲んでそうな、暗~い酒場の雰囲気が滲み出てて好きです。
けっして日本の酒場を想像しないでね。

でも表紙のピカソはどーよ? 悲しそうには見えないね。

4篇おさめられていますが、メインは『悲しき酒場の唄』で
他3篇はかなり短いです。

『悲しき酒場の唄』
100メートルほどしかないメインストリートと、街道で作業する囚人たちの歌声以外には
何も無いさびれた町に、かつては人々が集まる酒場がありました。
今ではすっかり朽ち果て今にも倒れそうな酒場にいったいどんな過去があったのでしょう。

主な登場人物は三人です。
酒場の所有者で、まるで男のように働く守銭奴アメリア・エヴァンズと
突然いとこだと名乗って現れた醜い小男ライマン・ウィリス、
そして過去にアメリアとたった10日間だけの奇妙な結婚をしたマーヴィン・メイシー。
三人ともそれぞれに常人には理解し難く、軌道を逸しています。

内容は詳しく書きませんが、三人は町中が見守る中で激しい憎悪と復讐の争いを繰り広げ
その結果、人々は唯一の憩いの場だった酒場を失ってしまうことになります。
どちらかというと荒々しい内容なのですが、文章が落ち着いていて
雰囲気がしっとりしているので浸りやすい一篇でした。

私は(女だからという理由ではなく)物語の展開から言ってアメリアが不憫でなりませんが
読む人によっては違う人物が哀れに思えるかもしれませんね。
誰もが違った形の悲しさを抱えている… そんなお話しでした。

『騎手』
シーズン中のホテルの食堂の入口から、ジョッキーは、トレーナーとノミ屋と馬主の三人が
座っているテーブルをじっと見つめます。
そしていきなりテーブルに近づくと、怪我をした同僚の話しを始めます。

『家庭の事情』
マーチン・メドウズは、メイドが休みをとる木曜日だったので急いで帰宅します。
居間では子どもたちが食事もとらず電気のコードで遊んでいました。
ベッドルームに行くと、妻がシェリー酒の匂いをさせながらよろよろと近づいて来ました。

『木石雲』
少年が新聞配達を終えて夜明け前のダイナーに入りコーヒーを飲み終えると
一人の酔った男から呼び止められます。
彼は1年9ヶ月間暮らし男と出て行った妻を探しまわってきた話しを始めました。

『悲しき~』以外の3篇は特に結末がある話しではありません。
でも「それでもいっかな~」と思えるお話し。
日常生活でも何から何まで結末があるわけではありませんよね。
うやむやの積み重ねと言ってもいいかもしれない…
そんなうやむやな一瞬ばかりを見事に描いたお話しという気がします。

カーソン・マッカラーズは、何篇かは他の短篇集でも読んだ気がしますが
ただただ暗いのよぉ。
特にこの一冊はひとかけらのユーモアも感じられないんですけど…

でも文章の雰囲気はすごく好きです。
一点を見つめて淡々と話しているような感じで、読んでいて落ち着きます。
もっとまとまった短篇集を読んでみたいですね。
読み終わってどーんよりするかもしれないけど
今の浮かれた私にはそれぐらいがいいのかも…

ひとことK-POPコーナー
SMTOWN 1日しか当たらなかったからね… 今日はおとなしく家にいます
それにしても東方神起が出た時の真っ赤な会場の迫力 神秘的ですごかったわ! あのペンライトTになるんだね

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『恋しくて』ハルキストの方、ここ飛ばして下さい、お願い!

2013-10-21 21:10:43 | アメリカの作家
TEN SELECTED LOVE STORIES 

村上春樹さんが集めたラブストーリーをおさめている短篇集です。

あ! 「編者の意図をまったくわかってない!!」と叱られたくないので
村上春樹さんファンは読まないで飛ばしていただいた方がお互い幸せかと…

最初にちらっと見た時、表紙が竹久夢二だったので
てっきり村上春樹さんの新刊かと思ったのですが翻訳本でした。
ギャップを漂わせつつ『恋しくて』感を醸し出していますね? 違う?

実はおさめられているのはアメリカの作家の小説だけではありません。
ロシア、カナダ、スイスの作家の作品が1篇づつと
村上春樹さん自身の書き下ろしが入っています。

恋や愛をテーマに集められた10話ですが、各作品の印象はかなり違います。
私はアリス・マンロー以外の作家は読んだ記憶が無いのですが
どの方の物語もかなり面白かったです。
特に印象が強かったいくつかをご紹介します。

『愛し合う二人に代わって(The Proxy Marriage)/マイリー・メロイ』
ウィリアムはハイスクール時代にブライディーに恋をしました。
けれども自分に自信が無くなかなか告白することができません。
イラク戦争が始まりました。
ウィリアムはブライディーの父親から代理結婚の相談を持ちかけられ
ブライディーと二人で何回も代理結婚式を挙げました。

この物語は何年にもわたっていて、途中主人公二人は離ればなれになるのですが
帰省中とかクリスマス休暇に代理結婚式を挙げています。
戦地に赴いた若者の切実な思いが二人を忙しくさせているわけで…せつないですね。
それはさておき、私はこれが10篇の中では一番単純明快なラブストーリーだと思います。

『L・デバードとアリエット_愛の物語
  (L.Debard And Aliette-A Love Story)/ローレン・グロフ)』
1918年のニューヨークで、43歳の水泳の元メダリストで詩人のL・デバードは
病気で足が悪い16歳の資産家令嬢アリエットの水泳コーチをすることになりました。
水泳の上達とともにアリエットの足は良くなり、二人は愛し合うようになります。
アリエットが妊娠したことがわかると二人は資産家のもとを逃げ出しました。
生まれた息子にはコンパスという名前をつけたいとアリエットが言います。

韓国ドラマが好きだったりするわりに “ 永遠の愛 ” に懐疑的なんですよね。
信じられます? いつまでもいつまでも一人の相手を想い続けるなんてねぇぇぇ
ま、そうでないとドラマは面白くないわけなんだが…
この物語は短篇とはいえけっこう長いお話で、ハッピーエンドではない(と思う)のですが
後日談がとても美しい一篇でした。

『ジャック・ランダ・ホテル(The Jack Randa Hotel)/アリス・マンロー
ゲイルは、若い演劇人サンドラと逃げて行った夫ウィルを追うため
ブティックを売り変装してオーストラリアまでやって来ました。
すでに死亡していた見知らぬ女性にウィルが送った手紙を手に入れたゲイルは
その女性の部屋を借り、女性に成りすまして返事を書きます。

ストーカーみたいに思えるかもしれないけど、そうとは言えない興味深い内容。
初老の捨てられた妻の奮闘ぶりをそんなふうに思ってもらっちゃ困るのよ。
書かれている通りにラストを迎えるのであればバンザーイ(ザマミロ)! なんだけど
終わらなそうな余韻があるんですよねぇ。
夫の母、夫と若い女性の現在、下の階の住人のことを隠し味のように効かせていて
一番多面的な物語に思えました。
アリス・マンローがノーベル文学賞だってね! さすが!! って思える一篇。

あとはさらっと気になる二篇を…

『恋と水素(Love And Hydrogen)/ジム・シェパード』は
有名なヒンデンブルク号を舞台にしている物語です。
愛と爆発事故がどうリンクしているんでしょうか? 気になるでしょ?

『恋するザムザ(Samsa In Love)/村上春樹』
一行目で笑っちゃったんですけど、笑っていいとこですよね?
ただ物語が進むにつれてしんみりしちゃいました。
今後の二人をものすごく応援したい… せめて再会して!

村上春樹さんが各小説に解説をつけていて、恋愛甘味度というのを☆で示しています。
これはブログを書くまでは見ないようにしようと思ってまだ読んでいませんので
どう考えていらっしゃるかは不明… まったく違ってたらどうしよう~ 恥ずかしいな。

思春期の少年のほろ苦い片思い、発展したらドロドロになりそうな淡い三角関係、
同棲を始めたばかりの若いカップル、不倫を終わらせようと思っている男女、
ぜったいにバレてはならない状況下での同性愛など、恋愛のパターンはいろいろ。

どちらかというとドラマチックな盛り上がりはない物語が多いですが
実際のの恋愛はわりと淡々と進むものよね?
恋愛中の人もそうでない人も、ハルキストじゃない人も読んじゃって下さい。
短篇集としてとても面白いです。

こういうふうにテーマ別で短篇をまとめてくれるとありがたいですね。
表現する人によってどれだけ違う印象を与えてもらえるのか考えるだけでわくわくします。

今思い浮かぶリクエストとしては、子どもが主役の短篇集と酒飲みが主役の短篇集ですね。

ひとことK-POPコーナー

『EVERYBODY』のしおり可愛いね! ちなみに私はオニュでした
ポスターとトレカはあきらめるけど、しおりはコンプリートしたい気分…
コメント (3)
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『終わりなき夜に生まれつく』やっぱりミステリーだったのかぁ

2013-10-19 22:57:30 | アガサ・クリスティ
ENDLESS NIGHT 
1967年 アガサ・クリスティ

題名がステキじゃない? と思って買いましたけど…
メアリ・ウェストマコット名義で書かれたものだとばかり思っていたのですが
読んでみるとクリスティ名義なのかなぁ?
今のハヤカワ文庫のクリスティシリーズは表紙がまぎらわしいと思うの。

かいつまんで書いてみますね。

マイケル(マイク)・ロジャーズという若者がいます。
彼は転々と職を変えていて、今は金持ちのお抱え運転手をしています。

マイクは何気なく行った町で競売にかけられていた朽ち果てた屋敷〈ジプシーが丘〉の
景観に惹かれ、再度訪れた時にフェニラ(エリー)という女性に出会います。

マイクはエリーに〈ジプシーが丘〉がどんなに美しく生まれ変わるか語り
知人の天才建築家サントニックスの話をします。

マイクとエリーは約束を交わして別れ、その後頻繁に会うようになります。
若い二人の想いは膨らむばかり…

ある日エリーが「〈ジプシーが丘〉を買った」と言います。
実はエリーはアメリカの大富豪の一人娘で、成人に達したら莫大な遺産を手にします。

ものすごーく身分違いの二人なのですが、韓流ドラマ的すったもんだも何もなく
あっさり結婚することになりました。

今までのデート、そして結婚に際して二人のためにお膳立てしてくれたのは
エリーの世話係をしているグレタという女性です。
マイクはエリーがあまりにもグレタを信頼しすぎていると危機感を覚えます。

二人は至る所に旅行に行き、マイクは贅沢を満喫します。
そうこうしている間に〈ジプシーが丘〉の立て替えは終わり
新しい生活がスタートします。

しばらくすると、幸せな二人にいくつかの不安が影を落とします。
まずはグレタの登場… ロンドンで再就職すると言っていたグレタを
怪我をしたエリーが呼び寄せ、滞在は長引いていきます。
グレタについてはエリーの信託管理人リッピンコットも警戒していました。
マイクはグレタと怒鳴りあいまでおこしてしまいます。

次にジプシーの老婆エスター・リーの出現。
彼女は最初に〈ジプシーが丘〉でマイクに会ったときも、次にエリーに会った時にも
二度と近づくなと警告したのに二人がやってきたことに怒っていて
呪いの言葉をかけて脅します。
エリーはとても怯えていました。

その他の登場人物もあらすじもごっそり省きますが、エリーは亡くなってしまうのね。
落馬事故なんですが、どうやらエスターがからんでいるようです。

ここまで読んでいて「あれれ…?」って思いました?
そうなんですよねぇ、『愛の探偵たち』の『管理人の事件』にソックリなのよね。
私も途中で結末がわかってしまいました。

内容は『管理人の事件』、展開は『アクロイド殺し』という感じでしょうか。
あ! クリスティ好きにはもう見えちゃいましたね!!

クリスティの推理小説には同じ話が数バージョンあったり
短篇を膨らまして中篇・長篇にしたりということがよくありますが
何度読んでも面白いというのが持論でした。

でも、これはなぁ… なんだか違和感があります。
どうしてだか自分でもわからないのですが、敢えて言うなら
ミステリーではないという先入観が強かったせいかもしれません。
私の読書姿勢によるもので、けっしてクリスティのせいではないと思うけど…

それから、クリスティらしいユーモアみたいなものがあまり感じられなかったかな?
似ているだけに、『管理人の事件』とのギャップが気になりました。
ま、これも、二つの作品を別物として考えられない私が間違っているのかもしれません。

ところでさ、リッピンコット氏もマイクのお母さんも
何かを察知していたなら教えてあげたらいいんじゃないかと思うわ。
そうしたら若い娘が命を落とすこともなかったんじゃないの?

ひとことK-POPコーナー
録画していた『アメトーーク』のハードロック芸人を見ていたら、やっぱりハードロックはいいよねぇ
久々に聞いてみようと思っているのですが、昨日SHINeeの『EVERYBODY』がきたもので… リピってしまうのね
コメント (2)
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ポーランド公ヘンリク1世妃 聖ヤドヴィカ

2013-10-15 22:09:52 | ポーランド王妃
後世まで国民のよりどころだった妃
ヘンリク1世妃 聖ヤドヴィカ・シュラスカ


1174~1243/在位 1232~1238

Illustratorが復活したので久々に家系図を作成…なのですが
間があきすぎててポーランドの流れを忘れちゃってるよぉ
思い出し思い出し書いてみます。

ヘンリク1世はしばらくぶりにポーランドを拡大した君主として名高いようですが
その妃もその前後の妃と比較すると高名です。

父親はメラニア公ベルトルド4世で、妹にフランス王フィリプ2世妃アニェス
ハンガリー王アンドラーシュ2世妃ゲルトルードがいます。
この二人とはあまり性格が似ていないみたいですが、末の妹のマティルダはヤドヴィカと
一緒にキッツィンゲンの修道院で教育を受けていて後にそこで修道院長になっています。
ちなみにゲルトルードの王女でヤドヴィカの姪にあたるエルジェーベトも聖人ですね。
         
本当は信仰をしながら静かな生活を送りたかったんじゃないかと思うのだが
12歳という若さでヘンリクに嫁ぐことになってしまいました。

その後は君主の座をめぐるゴタゴタに巻き込まれていくわけなのですが
長くなるのでヤドヴィカに関係してることだけ書きますと…

1229年にヘンリクは対立するモスヴィア公コンラト1世にプウォツク城で
捕らえられるのですが、タドヴィカは自らプウォツクに出向いて救出しました。
1232年にヘンリクが最高公になると、ノヴゴロドのアウグスティン派や
テンプル騎士団に寄付をするなどして夫の治世を助けました。

妻としての務めを果たすかたわら、宗教活動も活発に行っていました。
1202年にヘンリクにお願いしてトシェブニツァ教会を建てています。
ヘンリク1世は1238年に亡くなるとこの教会に葬られました。
この教会は現在は聖ヤドヴィカ教会と呼ばれているようです。

ヘンリク1世とヤドヴィカには7人の子女が生まれていますが
5人が幼かったり若くして亡くなっています。

公子ヘンリク2世は父親の後を継ぎましたが、1241年にモンゴルの侵攻にあった際
神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の応援を待っているうちに戦死しました。

ヤドヴィカはヘンリク1世の死後宮廷に残って勢力をふるうようなことはせず
三女ゲルトルードが院長を務めるトシェブニツァ修道院に移り住みました。
宗教活動は衰えず、神聖ローマ帝国から聖職者を招いてシロンスクに居住区を造ったり
ヘンリク2世妃アンナと共にレグニツァにベネディクト派の修道院を建てています。

ヘンリク1世とヤドヴィカはとても敬虔な生活を送っていました。
ヤドヴィカは常に貧しい人を助ける活動を行い、全財産を教会に寄付しました。

言い伝えによるとヤドヴィカは冬でも裸足で
ヴロツワフの司教に靴をはくように勧められたということです。

ヤドヴィカは1243年に亡くなり夫と同じトシェブニツァ教会に葬られました。
列聖って、死後けっこうたってから、たとえば100年とか200年とか経ってから
されるものだと思っていたら、ヤドヴィカは1267年にされています。
これはヘンリク2世とアンナの公子でザルツブルクの大司教だった
孫のヴワディスワフが推したらしいですよ。

時は流れて、1742年にプロシアのフリードリヒ2世がシロンスクを併合しましたが
1773年にはベルリンにシロンスクの上流社会の移民たちのために
聖ヤドヴィカ聖堂が建てています。

聖人だけあって肖像画がたくさんあるので、もう1枚の載せとくね。

              

いつまでたってもポーランドのカトリック信者のよりどころだったのですね。
強いカリスマ性や存在感で国を守った妃のエピソードはよく取り上げられますね。
それはそれで、もちろん賞讃に値するのでしょうが
慈愛の力で国民を守ろうとした妃たちのことも忘れてはなりませんね。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
録画してた韓流フォンデュを見てたらチョ・ヨンピルのライブシーンがあったのよぉ
『Hello』が流行ったのは知っていたが、激しく動きまわる姿を見てビックリした! 過去の日本でのイメージが強すぎて…
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『夏の嘘』ここからが知りたい

2013-10-12 22:15:44 | ドイツの作家
SOMMERLUGEN 
2010年 ベルンハルト・シュリンク

ラストがはっきりしない小説はよくあります。
この後はご自由にご想像下さいということなのか、はっきりさせない方が
ハッピーだったりとか… いずれにしても心地よい余韻が残る場合が多いわけで
私も深追いはしません。 読みっぱなしってことなんですけどね…

でもこの一冊におさめられている7篇のその後、いちいち気になるわ。
いくつかあげてみますね。

『シーズンオフ(Nachsaison)』
避暑地で初めて出会った時、彼はスーザンのことを自分と同じように
ハイシーズンには来られない、裕福でない境遇の女性だと思いました。
しかし、実はスーザンは資産家で、大きな別荘の持ち主でした。
13日間の幸せな時を過ごした後、2週間後にニューヨークのスーザンのマンションで
新生活をスタートする約束をして、二人はお互いの帰路につきます。

男性は住み慣れたニューヨークの下町のアパートに帰ってから悩むのね。
玉の輿、逆玉ってものすごくおいしい話しのように思えますが、正直今でも夢見てますが
貧しい方にかなりの適応力と順応性が求められるのではないかしら?
だって、どうしても貧しい方が大部分を捨て去ってリッチな方に行くでしょ。
捨てたくない物、人、場所、習慣… 乗りそうになってから悩めばいいですかね?

『森の中の家(Das Haus im Wald)』
彼は森の中の家に越してから、妻と娘の三人で満ち足りた毎日を送っています。
妻のケイトは執筆をし、彼は家事をし、娘のリタの世話をします。
ケイトの新作は傑作になりそうで、前作は数日後の文学賞の有力候補にあがります。
彼は昔の騒がしい生活に戻ってしまうことを恐れるようになります。

男性の恐れは脅迫観念みたいなもので、妻と娘を都会の喧噪から守らなければと
必死になるのですが、激しい空回りに終わります… というか最悪!
今をときめく妻と、下り坂の夫… 普段はお互いを励まし
尊重しあって暮らしているのですが、いざという時に本音が出ますね。
逆だとここまで問題にならないんでしょうけどね… たぶん。

『南への旅(Die Reise nach Suden)』
彼女は、子どもや孫たちに大事にされていると施設内でも評判でしたが
ある日突然彼らを愛せなくなり、誕生日の席ではせっかくの雰囲気を壊しました。
そんな中看病に来た孫のエミリアを誘って大学時代を過ごした街へ旅行をすることにします。
道すがら彼女は昔自分を捨てた男性の話しをしました。
翌日エミリアは男性を探しで出して来て、会う約束までしていました。

別れた人とは会いたくない派と友人でいたい派がいますよね。
今さら会ってどーするよ? というおばあちゃんを必死で説得する意味がわかりません。
結果的によい話しに落ち着いたのですが、逆だってあったはず。
会って愛再燃しても家庭があったら困るし、昔のことで喧嘩して嫌な思いするのもやだし…
嫌がる人はそっとしておいてほしい… 私は会いたくない派です。

ハッピーエンドではないけれど、希望が持てそうなラストのお話しは2篇。
それ意外は希望が無さそうな、あるいは上手くいかなそうなラストです。
ただ上手くいかなさそうな物語の主人公たちは、希望を捨ててないですよ!

男の人は女の人を誤解していると思うんだけど
自分に長年暮らしてきた情があるから相手にもあると思っちゃいけないね。
自分は相手のここが許せるから相手も許してくれると思うのは大間違いです。

だからか、無謀なことを考える男性陣が希望を抱いて終わる物語がいくつかあって
絶対ダメだと思うんだけど、もしかしたら上手くいくのかなぁなんて思えたりして
もうすこし今後のヒントがほしくなっちゃったわけです。
明日にはもうどーでもよくなってると思いますけど…

ひとことK-POPコーナー
B.A.P 日本デビューおめでとう!! 渋谷がすごいことになっていたのね。見に行きゃよかった…
めでたいのですが『WARRIOR』は日本語じゃなくてもいいと思ふの… ごく個人的に
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『ディア・ベイビー』鼻につかない一冊

2013-10-08 21:55:58 | アメリカの作家

ウィリアム・サローヤン

お久しぶりです!!
今日は休みだったのですが、PhotoshopとIllustratorの再認証をとるのに
2時間以上四苦八苦していたら、ソフトが古すぎて再認証できないっていうじゃない!!
ということで、アンインストールとか再インストールをしているうちに日が暮れました。

たまってしまっている読書感想文から再開しますね。

サローヤンは『リトル・チルドレン』でちょっとした時に読むのに良いわね、と
思ったのですが、こちらもそんな感じで読み終えました。

O・ヘンリ的良い話しもいくつかあったのですが、それはおいといて
印象に残ったいくつかをご紹介します。

『若い男とネズミ(The Story of the Young Man and the Mouse)』
ある日、呑んだくれた若者の部屋に、ネズミが10ドル札をくわえて来ます。
その日からネズミはせっせとドル札を運び、若者は羽振りがよくなります。
しかしホテルの客たちはネズミが盗みを働いていることに気がつきます。
チーズに目が眩んだネズミはネズミ獲りにかかってしまいました。

失ってわかる大切さ…早く気づいてほしかったわ。
ピーター・ラビットの洋裁店のネズミの話を思い出しちゃった。
そりゃ盗みはよくないけどね…

『刃のように花のように
   (Knife-Like,Flower-Like,Like Nothing at All in the World)』
マックスの店で年配の男がピートを待っていると女が入って来ました。
男がピートの父親だと名乗ると女は自分がピートの結婚相手だと言います。
父親が息子は良くない男だと諭しますが、女は敵意剥き出しです。
結局ピートは現れませんでした。

二人が帰ったあとピートが来るんだけど、なんなのよ!それは!!って感じ。
騙す若造が悪いのか、騙される年増が悪いのか、息子に甘い親が悪いのか、
マックスはどーなんだ? とモヤモヤさせられんだけど、なんだか面白かった。

『ハリー(Harry)』
ハリーは幼い頃から家々を訪ね歩いて絵や雑誌や保険を売り歩き
14歳にして600ドルの預金を持ち、その後も金を稼ぎ続けていきました。
しかしハリーは若くして病に倒れ命を落としました。

“ 金より大事なものがある!” というありがちな教訓話ではないです。
最後まで金ではなくセールスに執着した若者の生き様が描かれているような気がします。
ちょっと寂しい一生のような気がしますが、彼が選んだ人生ということでね…

よくできすぎ…と感じたお話しもありましたが、概ね鼻につく話が無く
スラーっと読めた一冊でした。
深ーく読み込めばいろいろ教訓はあるのかもしれませんけど
そこまでは入り込めませんでした。

作者がアルメニア出身の移民で移民街に住んでいたということもあり
やけに◯◯人、◯◯人という注釈がつくのが気になったんだけどね。
出身はどこであれみんなアメリカ人じゃないの?
夢を抱いた各国の移民が、50年ほど前にアメリカの大都会で生きることは
難しかったんだなぁと、かすかに感じることができました。

後々まで記憶に残るかと言うと否定せざるを得ませんが
読んでいて楽しい一冊でした。

ひとことK-POPコーナー
SHINeeの“ EVERYBODY ” のComebackステージのおかげでYouTubeから目が離せないのよぉ
SMTOWNで歌うと思う? 歌うといいよね
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