まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
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『鳥 デュ・モーリア傑作集』即、シャッターの発注を!

2008-08-06 00:09:26 | イギリス・アイルランドの作家
THE APPLE TREE 
1952年 ダフネ・デュ・モーリア

近所でさえずる鳥を見て怖いと思うことはありますか? ありませんよね?
でも、この本を読んで1週間くらいは怖いですよ。
うちの近所のカラス、どんどんふてぶてしくなってます。恐ろしい

表題の『鳥』はもちろんヒッチコック映画の原作ですが
舞台は海沿いの牧草地です。
穏やかな冒頭から次第に不穏な空気が漂い始めます。

鳥が続々と海岸に集まって来るシーン、
“鳥”の侵入を防ぐために“鳥”の死骸を窓枠に詰め込むシーン、
ロンドンからのニュースが次第に深刻になり、とうとう途絶えてしまうシーン。
読んでいるうちに、こちらまで追いつめられていきそうです。

うちは強化ガラスだけどシャッターは無いのよね。
庭で戯れる鳥を見ていると心和みますが、50羽を超えたらシャッターを頼みますよ!
「できるだけ急いで!!」とか言っちゃいそう。
だって物語では、誰も異変に気付くことなくいきなり鳥にやられてしまうんだもの。

この本には、背筋がちょっと寒くなる物語が7篇収められています。
二つばかり紹介します。

『恋人(Kiss Me Again,Stranger)』
戦争から戻った真面目な修理工が、ある夜映画館で案内の女性に出会います。
ひと目で恋に落ちた彼は、彼女を待って一緒にバスに乗り終点まで向かいました。
バスから降りた彼女は墓場に入っていくと、青年に立ち去るように言いました。
青年は翌日から彼女のことしか考えられなくなりますが、彼女は姿を消します。

この後、青年は彼女の正体を知ってしまうことになります。
きれいだからってホイホイついていかないようにね。
いくらなんでも入れ込み過ぎです。

『写真家(The Little Photographer)』
リゾート地で退屈な思いをしていた若く美しい侯爵夫人は
昼下がりに出かけた街の写真家ポールに目を留めました。
その夏、侯爵夫人とポールは崖の上の小屋でアバンチュールを楽しみます。
でも、ポールは真剣になりすぎました。

身分違いの悲恋になればただの美しい恋物語なんですけどね、そうじゃなかったの。
男にも女にも同情できないけど、どちらの気持ちもよくわかります。
恋をする時はお互いに目的に見合った相手を選びましょう、ということで。

おどろおどろしいのはイヤだけど、ちょっとゾクゾクしてみたい
という方にお薦めします。

鳥―デュ・モーリア傑作集 東京創元社


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