まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『偉大なるデスリフ』ホラーよりこわい、郊外の近所付合い

2014-09-20 20:30:38 | アメリカの作家
THE GREAT DETHRIFFE 
1970年 C・D・B・ブライアン

題名からうすうす察してはいましたが、フィッツジェラルドの『華麗なるギャツビー』
大きく影響を受けている作品かと思われます。

内容はもちろんまったく違うものですが、ギャツビーからの引用も多々ありましたし
こちらの登場人物をギャツビーの登場人物に重ね合わせることもできます。

物語は二部に分かれています。
一部が『アルフレッドの書』で、これはアルフレッドという青年が語り手となり
幼なじみのジョージ・デスリフとジョージの妻アリスについて書いています。
また、自分の恋愛についてや、クスリで身を持ち崩した兄ウォーカーに会いに
ハワイを訪ねた時のエピソードがつづられています。
何年かなぁ? 2~3年かな? かなり長い期間にわたる物語です。

二部は『ジョージ・デスリフの書』で、こちらはジョージ自身が
自分の結婚生活について記しています。

役どころとしてはアルフレッドがニック・キャラウェイ、ジョージがギャツビィ、
アリスがデイズィ、アルフレッドの恋人(実は人妻)のモデル、テディが
ジョーダン・ベイカー、という感じかしら?

上流階級の青年ジョージは、アリス・タウンゼントという女性に恋をし結婚します。
アルフレッドは若い頃のアリスを知っていて、結婚前に忠告をするんだけども
ジョージは結婚相手はアリス以外にないと言います。

二人はめでたく結婚しフィレンツェに新婚旅行へ行くんだけども
ちょうどローマを訪れていたアルフレッドはジョージから招待されて二人を訪ねます。

行ってみると二人はなにやら険悪なムードで、しかもアルフレッドはアリスにこっそり
二人の前からいなくなってほしいとお願いされちゃいます。

言われた通りにイタリアを去りスペインに向かったアルフレッドはそこで二年を過ごし
兄ウォーカーに会いに行き… というふうに話しが続いていきます。

ハワイでの話しは、もはやデスリフのデの字も出てこないわけなんだが
私はここのパートが一番好きだったかなぁ…

で、『デスリフの書』に突入して、ジョージとアルフレッドは何年かぶりに再会しますが
もう、ここからはジョージのグチのオンパレードだとお考え下さい。

もし書いてあることが事実だとすれば、アリスはひどい妻で母親で
アリスがいない暮らしはなんて平穏なんでしょう! ということになるんですけど
もともと顔だけで選んどいて今さらそんなこと言ったってぇ… と思うわ。

たしかに『アルフレッドの書』の時から、アリスは人をウンザリさせるような
タイプに思えたし、二人の結婚生活が上手くいくとは思えなかったけど
他の富豪の青年はアリスの本性を見抜いて結婚を拒んでいたというのに
まんまとひっかかちゃった自分はどうなのよぉ?

それよりも、ニューヨーク郊外の若い成功者が暮らす高級住宅地の荒れっぷりに驚くよ!
ホームパーティーにダンスパーティー、ゴシップ につぐゴシップ、
華やかに見える反面、陰口を恐れ体面を保つことに追われる日々… 疲れそうな毎日ね。

アリスとの関係を修復しようと努力するジョージですが、アリスは果たして?
(でもね、修復しようとしてるように見えて、実はそんなに真剣じゃないんじゃない?って
 私には思えたんですけどね… ジョージ)

最後はちょっとぞっとする終わり方でしたが、この夫婦の今後は興味ないや。

『華麗なるギャツビー』では、デイズィがフラ~フラ~したあげく
ギャツビィが不幸な最後を迎えるでしょ。
作者はもしかすると、ギャツビィの仕返しをしてあげたかったのではないかしら?
デイズィがギャツビィの不幸を忘れて、何もなかったかのように暮らすなんて許せないという
ニック・キャラウェイが感じた怒りのようなものを晴らそうとしたのでは?
というのは、あくまでも私の願望なので、あまり気にしないで下さい。

ギャツビィ好きは共感できるかもしれない…
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことゲームコーナー
ほしの島にゃんこ(あきたと言いつつまだやってる… ) とうとう500本のツルハシと250本のオノが役にたつ時が!
でも土地を全部開拓するにはあと一週間ほどかかりそうです… そのあいだにまたあきちゃうね
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ポーランド王ヴァツワフ2世妃 グータ

2014-09-16 22:24:57 | ポーランド王妃
どっちかっていうとボヘミア王妃
ヴァツワフ2世妃 グータ・フォン・ハプスブルク


1271~1297/在位 (ボヘミア王妃)1285~1297 (ポーランド王妃)1291~1297

カジミェシュ2世の血をひくヴワディスワフ(1世)と争ってポーランド王についた
ヴァツワフ2世のひとり目の妃は、ドイツ王ルドルフ王1世の王女グータです。

         

ヴァツワフ2世の父オトカル2世と、ドイツ王ルドルフ1世は
神聖ローマ皇帝の座を争っていましたが和平条約を結び、子供同士の結婚が決まりました。
でもヴァツワフもグータも5歳なのよ! 結婚すると言ってもね…
というわけで、婚約は8歳の時で、結婚は14歳の時でした。

しかし、挙式のすぐ後にルドルフ1世はグータをすぐにドイツに連れ帰りました。
理由は「若すぎるから」… そんなことわかってんじゃないのよぉ!
しかも14歳で嫁いだ王妃は少なくないと思うけどね、良い悪いは別にして…

オトカル2世は、二人の結婚の1年前に戦死していて
ヴァツワフは13歳の若さで王についていました。
立場の強さを利用して、娘を少しでも長くそばにおいておきたかったのかもしれませんね。

それから、実際は母親のクニグンダが摂政としてボヘミアを取り仕切っていたのですが
ルドルフ1世は、クニグンダと一緒に国政を牛耳りこっそり結婚までしていた
フランケンシュタイン卿Zavishを嫌っていました。
「こんな淫らな宮廷に娘をおけるか!」という思いだったのかもしれません。

いずれにしても、グータが不参加だったせいで、ヴァツワフの戴冠式は中止になりました。

父王のZavish嫌いはグータにも伝わったらしく、グータも彼を嫌っていました。
クニグンダの死から5年後のZavishの裁判と処刑もバックアップしています。

ヴァツワフ2世は、もともとボヘミア王で、ポーランド王といっても名ばかり…
ほとんどポーランドにはいませんでした。

だからグータもほとんどポーランドにはいなかったってことで…
プラハの宮廷のドイツ化に努め、文化的に向上させることに励みました。
政治的には、兄のアルブレヒト1世とヴァツワフ2世を和解させることに成功し
ヴァツワフのポーランド王位継承も強く支持していました。

なかなか精力的な女性のようですね。
それにとても美しく、高貴で貞淑な女性だったそうです。 悪いとこなし!

さらに健康にもなんの問題もなかったそうなのですが、なにせ10年続けて妊娠してまして
そりゃあ疲れるってば… 10人目の子供の出産の時に亡くなりました。
中世には珍しい相思相愛の夫婦だったのかもしれませんけどね。

28歳の若さだし、とても美しかったということですから
かなり惜しまれて世を去ったのではないでしょうか? だとしたら救われますね。

余談なんだけど、ヴァツワフ2世の母クニグンダの妹グリフィナから
かなり時がたっているような気がしたけど、20年ぐらいしかたってないですね?
王様変わりすぎじゃないか? いつまでたってもポーランドが終わんないよぉ

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
Kちゃんのお誘いでU-KISSの日本武道館に行ったんだけど、なんとまたアリーナ10列目… なんか運良すぎでこわい
ニュー・マンネも噂のヨジャダンサーズも見れたし、ケビンはかわいーし! 楽しかったです
コメント (3)
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ポーランド王プシェミスゥ2世妃 マルガリェタ

2014-09-10 22:35:30 | ポーランド王妃
                 肖像画が無いので苦肉の策…
                   祖母のクリストファ1世妃マルグレーテ


久々の王妃だけど家系図だけ・・・
ポーランド王プシェミスゥ2世妃 マルガリェタ・ブランデンブルシュカ


1270~1315/在位 1295~1296

プシェミスゥ2世の三人目の妃は、肖像画もないし、個人的なエピソードもあんまりないけど
家系図だけは描き甲斐がありました。

最初の妃リュドガルダは後継ぎを遺さず、二人目の妃リクサが生んだのは王女だけ…
ということで、後継ぎが欲しかったプシェミスゥ2世は三度目の結婚に踏み切ります。

再婚相手に選ばれたマルガリェタは
ブランデンブルク=ザルツヴェーデル辺境伯アルブレヒト3世と
デンマーク王クリストファ1世の王女マチルダの娘です。

しかし、プシェミスゥ2世もマルガリェタもボヘミア王オットカル1世の曾孫だったので
ローマ教皇の特免状が必要でした。

いつも思うんだが、この “ 親戚関係だから特免状が必要 ” っていうのは
当時の王侯貴族なら誰でもひっかっかったんじゃないのかしらね?
うるさく言われる結婚とそうでもない結婚の差はどこに…?
ローマ教皇に目をつけられてるとか、よその国が黙ってないとか、そういうこと?

で、家系図です。
             
描かなかったけど、家系図内のミェシュコ3世とヘンリク2世は遡ると
ボレスワフ2世で繋がります。
ヘンリク2世は一人目の妃ズビシュワヴァの息子ブワディスワフ2世の子孫で
ミェシュコ3世は二人目の妃シャロメアの息子です。

マルガリェタは、リヘザ・ロタリンスカ以来のポーランド王妃でしたが
その在位は1年と短いものでした。
なんと! プシェミスウは1926年に、マルガリェタの実家の家臣に誘拐され
殺害されてしまいます。
これもポーランド国内の権力争いが絡んでて、実家が敵方についたからなんだけど
娘を嫁がせた相手を殺しちゃうっていうのは… 中世ですわね。

マルガリェタはしばらくポーランドに残っていましたが故郷に戻り
ロストック卿ニコラウスと婚約しました。
しかし、この縁談は中止され、1302年にザクセン公アルブレヒト3世と結婚します。
マルガリェタは32歳ですが、その後二人の男の子を生んでいます。
当時の初産としては高齢出産ではなかったのでしょうか?

1308年にアルブレヒト3世が亡くなってから7年後に亡くなり
ラッツェンブルク大聖堂に葬られました。

けっこう激動の人生だったのはわかりましたが、彼女のパーソナリティは
なにひとつ垣間見えませんね。
ひとつでもエピソードがあれば、そこからどんどん妄想しちゃうんだけどなぁ…

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことテレビコーナー
デヴィッド・スーシェ出演のポアロ・スペシャルは、本当によかった~! さすが世界の人気テレビシリーズ!!
それなのに~ファイナルシーズンの第一話を録画し忘れるという大失態 すぐ再放送してくれないかね?
コメント (2)
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『犬は吠える II 詩神の声聞こゆ』カポーティを見直す一冊

2014-09-07 02:14:56 | アメリカの作家
THE DOGS BARK 
1951年~ トルーマン・カポーティ

以前『犬は吠えるI ローカル・カラー』を読んで、とても面白かったので
すぐに購入した『犬はほえるII』なのですが、なんか雰囲気が違うようだったので
長いこと放置してました。
この間本棚で見つけて、…そういえば,的に読んだのですけど、すごく面白かった!

四つのパートに分かれています。

Part.1『砲声絶ゆる時』とPart.2『詩神の声聞こゆ』は
カポーティが、黒人キャストだけのミュージカル『ボギーとベス』のソ連公演に
同行してつづったルポルタージュ。

Part.3『お山の大将』は。映画撮影のために日本に滞在していたマーロン・ブランドの
ホテルを訪ねた時の会話を書いています。

Part.4『文体ーおよび日本人』は。日本語の美しさを褒め讃えてくれた短いエッセイです。

『砲声~』と『詩神~』は、ミュージカルのキャストと製作スタッフが
西ベルリンを発って、レニングラードに着くまでの道中と、到着してから上演までの数日
上演前日、初演の後、と時系列で追っていっているのですが、なにせ場所がソ連でしょ?

当時はアメリカと熾烈な冷戦を繰り広げていた国で、しかもアメリカでも異端的な
黒人だけのキャストによるミュージカルを上演するわけですよね?

まずは西側にしてみたら「なんで?」と思われるような、煩雑な手続きにはじまり
次々おこる(ありえない)不測の事態に驚きます。
そして、アメリカ人のあたふたぶりと、ソ連人の根拠なき落ち着き、
あけすけなアメリカ人とまわりくどいソ連人の言動のギャップにクスリと笑えます。

一歩間違えば急に敵に変わるかもしれない国、西側世界が怪訝な目で見ている
“ 鉄のカーテン ” の中へ乗り込んで行くのだから、実はキャストも製作スタッフも
ドキドキしているし駐ソ連アメリカ大使の言葉もいちいち不安を駆り立てるわけなんだが
ミュージカルはなんとか無事に公演初日を迎えられたわけです。

公演が成功だったのか、失敗だったのかは、神のみぞ知る… てことで…

いろいろな問題があったはずのソ連公演ですが、カポーティは概ね好意的に描いています。
草の根の国交の大事さを感じさせられたわ。

『お山の~』は、トップスター、マーロン・ブランドがどこまで素顔を見せていたかは
わかりませんが、ナチュラルな感じは受けました。
それより、日本の少女に対するカポーティのイメージが?
1956年なんだけど、大正時代かと思っちゃうよ。
この時に撮影していた映画は聞いたことも観たこともないんですが、成功したのかな?
あんまりおもしろくなさそうよ…

とにかく、すごいと思ったのは、名声を獲得して、時代の寵児とも言われた作者が
そんなものはかなぐりすてて、ルポライターに徹していることです。
たぶん「あなただから…」的な対応もあっただろうし、自慢したいこともあっただろうに
一切排除して、記者がメモを記事にする程度のふくらまし方しかしてないの。

自分を特別扱いする様子も、上から目線の評論も一切無し!
あったことを、読み応えある記事に仕上げている… プロの仕事だと思いました。
でも、やはり、普通の記事にはない面白さがあるのよねぇ…さすがです。

『文体ーおよび日本人』は、日本の文体の芸術性を高く評価してくれています。
日本人以上に日本語の美しさを感じていただいているとは… 感激です。
これを読んで日本人であることに誇りを持とう!!

本道におもしろいです! 1とあわせて、2冊まとめてぜひ!!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね

  

ひとことK-POPコーナー
TGCには行けなかったんですが、YouTubeで観たらオニュが来てて嬉しかった… 挨拶もしてた~
おかえりなさい オニュ、本当に良かったよ~
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『ヒューマン・コメディ』静かに思い返したい名著

2014-09-03 01:07:39 | アメリカの作家
THE HUMAN COMEDY 
1943年、1971年 ウィリアム・サローヤン

『リトル・チルドレン』『ディア・ベイビー』に続き
なぜか家にあったサローヤン三冊の最後の一冊を読んでみました。

『リトル~』も『ディア~』も面白く読めましたが、ものすごく心に残ったかというと
そうでもなかったのにくらべて、この一冊はとても心に残りました。
どこがどうというのではなくて、全体的に… ひとつの世界観が思い浮かびます。

短篇のような構成になっていますが、登場人物は同じで
主人公は、カリフォルニア州イサカ市のあまり大きくないと思われる町に住んでいる
マコーリー一家です。

マコーリー家は2年前に父親を亡くしていますが
寡婦のマコーリー夫人は三人の息子と一人の娘を立派に育てているようです。

4歳のユリシーズは好奇心おう盛なわんぱく盛りです。
14歳のホーマーは学校に通いながら、夜は電報局で配達人の仕事を始めました。
ベスはマコーリー夫人を助けながら、仕事を見つけようとしています。
長男のマーカスは、招集されて戦争に行っています。

ユリシーズが町中でおこす可愛らしい事件や
ホーマーの電報の配達先の人々、マコーリー家を取り巻く人々のエピソードを
39章の短い物語の中にちりばめてあるのですが
楽しい話しにも哀しい話しにも共通して、物語の根底に流れているものがあります。

どう説明すればいいのかわからないけど、一本の川の上で物語が進行していて
物語の足下をずっとせせらぎのようなものが流れているっていう感じかな?
立ち止まっている場所は違っていても、流れている水は同じ…という印象。
上手く言えなくてごめんなさい

いずれにしても、全篇の足下に戦争という水が流れています。
とてものどかそうに平和そうに暮らしている小さな町の、一人の少年の成長記のようでいて
そこここに戦死した青年の母親や、トラックで運ばれていく少年兵たち姿が垣間見え
読み進むにつれて、少しづつ物語に落ちている影を濃くしていきます。

もちろん環境や個人の性格もあるのでしょうが、14歳の男の子が
急激に大人にならなければならなかった事情を想像すると、とても悲しいものがあります。

『ヒューマン・コメディ』は、楽しみながら読んだ後で
いくつかのシーンを思い出しては、しん…と考えさせられる物語でした。

どうやら私は、ひとつの町を舞台にして何人かの人たちが絡み合いながら進む短篇小説集が
ものすごく好きみたいです。

スタインベックの『キャナリー・ロウ』『天の牧場』は大好きだし
アンダスンの『ワインズバーグ・オハイオ』も忘れられない。
最近だと『奇跡も語る者がいなければ』『オリーヴ・キタリッジの生活』
とても面白かったです。

ぜひ他の作家の作品も探して読んでみたい!!

徐々に胸がジーンとしてくるサローヤンの名作
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
久しぶりに三人そろったJYJを見ましたけど… ドラマもよいけど歌ってる姿を見るのはペンでなくても嬉しいですね
ジュンス痩せた? なんかすごくカッコいいんだけど…
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