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まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ジャズ』迷路で立ち往生…てな気分

2013-03-17 23:20:23 | アメリカの作家
JAZZ 
1992年 トニ・モリスン

『パラダイス』にものすごく感激してしまって、すぐこの本を買っちゃったんだけど…
難しい… 実は1回読んだだけでは理解できなくて2回読んでしまいました。

この物語でも人種の問題を取り入れているようですが
それはそれとして、目まぐるしく変化していく物語の展開を追っていくことが
とても楽しくもあり苦しくもある一冊でした。

ある女性が若い娘の葬式で、横たわる娘の顔を斬りつけようとしたところから
物語が始まります。

斬りつけた女性はヴァイオレット・トレイス。
もぐりの美容師をしている40代後半の女性です。

斬りつけられたのはドーカスという、ヴァイオレットの夫ジョーが夢中になっていた
18歳の少女でした。

ジョーはドーカスが他の男といるところに現れ彼女を射殺したのですが
証拠不十分というか目撃者がいなかったため不起訴になったのでした。

その後ヴァイオレットはドーカスのことが知りたくなって
育ての親だったおばのアリス・マンフレッドを訪ねるようになります。
アリスは腕の良い仕立て屋ですが、暴動という暗い思い出から白人を恐れています。

ヴァイオレットとアリスの微妙な交流も興味深いところです。

それでね、この物語が難しくなっていくのはここから話が遡っていくことなんですが…

まずはヴァイオレットの母ローズ・ディアのエピソードがあり
祖母トルーベルの話しへと移ります。

トルーベルが長い間仕えていたヴェラ・ルイーズと彼女が生んだゴールデンという息子、
ゴールデンが探し求めた父親と見られる黒人男性ヘンリ・レストーリ、
ヘンリ・レストーリが託されたワイルドという狂女は、どうやらジョーの母親らしい…
遡っていくと登場人物たちが不思議につながっていくんですね。

ここで少しこんがらがってしまって、またまた家系図なんかを書きながら読みました。
ただ、難しいけど面白いくだりで読み進めるのは苦痛ではありませんでした。

最後には現代に戻ってきて、ヴァイオレットとジョーのその後が書かれています。
このラストをどう見るかは人それぞれだと思いますが
私はヴァイオレットに「良かったね」と言ってあげたいような気がします。

かなりはしょりましたので、ただのセンセーショナルな物語に思えるかもしれませんが
それは私の書き方のせいでして、本当はもっと奥深い人の過去と現在の妙が描かれています。

『パラダイス』同様、恐ろしさと悲しさと独特の美しさを孕んだファンタジーで
物語としてたいへん面白いものでありました。
なにしろ2回続けて読んでも途中で飽きることがなかったからね!

ひとことK-POPコーナー
PARADISEといえば… Infiniteの爽やかなティーザーも4日めになり期待が膨らむ一方ですね!!
あと3日か…
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GUCCI & COACH

2013-03-17 19:50:21 | クラフト

最近は和柄ちりめんのマカロンづくりに凝ってたんだけど
ホワイトデーに大量生産してちょっと飽きちゃったので
もはやめっきり縁遠くなったブランドものをリメイクしてみました。

生地が厚かったので上手く丸くなってくれるか、
浮かないようにファスナーに縫い付けられるか不安でしたが
思ったよりきれいにできました。
GUCCIは旦那さんが革をベリベリ剥がしてくれたおかげでかなり縫い易かったです。

実はまだ中ができてないのよね。
サテンにするつもりです。
ラインストーンなんかも貼っちゃおうかしら?
開けたらキラッキラってどうよ?  
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『スラッシュグリーンからの風』新参者、旋風を巻き起こす

2013-03-17 01:39:23 | イギリス・アイルランドの作家
NEWS FROM THRUSH GREEN 
1970年 ミス・リード

以前読んだミス・リードの『村の学校』がそこそこ面白くて
Book-offで見つけたから買ったんですけどね。

舞台は同じくコッツウォルズ地方のスラッシュグリーンという村で
一応長編ですが、各章で村の人々がクローズアップされていて、短編のように読めます。

先に感想言っちゃうとね、いい気持でほのぼのと読んでいたのにすとーんと落とされた気分。
ラストでのけぞったわ!
ちょっと紹介してみますね。

2年間空き家になっていたタリヴァーズ荘に誰かが越して来るというので村は浮き足立ちます。
まだかまだかと待つ中やっとリフォームが終わり、30歳ぐらいの女性フィリダ・ブライアと
6歳になる息子ジェレミーが越して来ました。
いろいろな憶測が飛び交いますが、ジェレミーの父親は仕事で外国にいるということでした。

エピソードフルな村人がたくさんいまして、その人たちの話しもいちいち面白いんだけど
書ききれないから、特にブライア母子と繋がりの深い人だけ紹介しますね。

まずはブライア母子の隣人、医師のドナルド・ベイリーと妻のウィニー。
思慮深いベイリー医師は体調を崩しています。
ウィニーは面倒見がよく、ブライア母子に実の母、祖母のように接します。

ハラルド・シュースミスは村の世話役をこなす未婚の男性です。
フィル(フィリダ)が文章を書くと知って編集者を紹介したり
とっちらかった庭の世話を焼いてくれたり、とても親切にしてくれます。

ハラルドの家政婦ベティー・ベルは、おしゃべりで掃除はぞんざいですが
料理の腕は一流で、村人たちの大切な日には欠かせない女性です。

その他、ヘンストック牧師の妻ディミトリーと、その友人で芸術家肌のエラ。
二人はフィルが書いた小説の登場人物そっくりってことでクローズアップ。

やたら動物を飼っていて、猫の里親探しに奔走しているドティー。
ドティーはジェレミーに猫をあげると言ってきます。

ここからがあらすじ…
ブライア母子が村の人々に馴染んできた頃、フィルの秘密があきらかに…
やはり夫とはうまくいっておらず別居中なのでした。
そしてその夫から離婚を切り出されてしまいました。
でも、村人たちはみんなフィルの味方だから大丈夫!!

ウィニーの甥で健康法のことばかり語るやりきれないリチャードがやって来ます。
リチャードはぶっきらぼうな男ですが、フィルに興味を持ち意外な一面を見せます。

フィルはハラルドが紹介してくれた編集者フランクから仕事が入るようになり
収入の心配も消えて、スラッシュグリーンに住み続けたいと望むようになります。

突然、他の女性と暮らしているフィルの夫が事故で亡くなり
こう言っちゃなんだけど、フィルは自由な身になりますよね?

お察しの通り、ハラルドはフィルへの想いが募っていきまして
同じくフィルに興味しんしんのリチャードとバトルを繰り広げます。

果たしてフィルはどちらの想いに応えるのでしょうねっ?

と思っていたら、だいどんでんがーえし!!

良くないよ~、フィル

だいたいなんで旦那が浮気をしてしまったのか不思議だったんですよね。
見た目も悪くないし性格もいい、趣味もいい、誰からも好かれる好人物なのに…
以前見たNHKアーカイブスでイギリスの村のコミュニティにとけ込むのは大変!
みたいな番組があったんですが、フィルは易々と受け入れてもらえたわけ。

旦那はそんな完璧なところに疲れちゃったのかしら? などと考えながら読んでいましたが
最後の最後に判明したわ。

男心がわからない人なのよ~!
というわけで、平和な村の良い話しと思いながら読み進めていた私は
最後の最後にずっこけたわけなのよ。

モテる女性が全てそうだとは言いません。
言いませんが、本人にはそんな気が無くてもやはり小悪魔なんですよ。
気づいているのかいないのか、男性の優しさを受け入れておきながら…
期待を持たせたくせに突き落とすなんて…

あ、ごめん、興奮したよ

ただの長閑な物語ではないです。
本当にラストのラストまではのほほんと読んでいられるんだけどね…
いきなり聞き捨てならない話になりますよ。
フィル以外にもう一人、それはないんじゃないのか?って思う人がいますから!!

ひとことK-POPコーナー
うちの旦那さんは競馬が好きなのね。 それで最近K-pop馬券(シャイニー◯◯とか)を買うように薦めているわけですが
今日の中京の9R、1着はヴェルデライト(D-LITE)、2着がソロデビューだって! 買っときゃいいものを…
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『アメリカ短編小説傑作選 2000』世の中は問題山積なのね

2013-03-14 03:14:54 | アメリカの作家
THE BEST AMERICAN SHORT STORIES 2000 
2000年

なんで今頃2000年の傑作選か… と言いますと、本棚で見つけちゃったから。
読んだ覚えが無いので読み返してみました。

現実的でしんみり、あるいはのんびりした、解り易~い物語好きの私ですが
若い頃はこういうのが好きだったんでしょうね?

ありきたりな恋愛小説や家族のいい話を書くのはやめましょう!という
作家の意気込みが感じられる一冊です。

評論家やコメンテイターとは違った角度から社会問題に切り込んでるっていう感じかしら?
傑作選ですから面白くないわけではありません。
ただ、どの話も大小さまざまな問題を孕んでいて疲れちゃうのよ。

問題はあれど好きだったお話しをいくつかあげてみます。

『フラワー・チルドレン(Flower Children)/マキシン・スワン』
子供たちは好きな時に、野山、牧場、沼地などをかけまわり、自由に育っていました。
しかし麻薬常用者だった父さんは他の女のもとへ行き、同じく麻薬常用者の母さんは
ボーイフレンドを連れてくるようになります。

最初は、自然って子供たちにとってなんていい環境なんでしょ!と思いながら
読んでいたんですけど、自由に、というより放任なのね。
子供たちは学校に行くようになって規則を身につける機会が訪れますけど
親にはもうそんな機会はないわけで… 子供たちにエールを送るしかありません。

『共同戦線(Unified Front)/アントーニャ・ネルソン』
ジェイコブとシーシーはフロリダのテーマパークを訪れています。
シーシーは、ずっと子だくさんの一家の双子の後を追いかけ回しています。
ついに両親がアトラクションに入り、子どもだけが残された瞬間が訪れました。

もとは夫の不倫から始まり、相手の子供が死んでしまったりして
シーシーは子供が欲しいという思いに取り憑かれてしまっているようです。
気持はわからないでもないが、肯定するかと聞かれればNoですね。
しかしこのご時世、子どもだけを残していなくなっちゃうのはどうかと思うよ。

『家族の絆(Welding with Children)/ティム・ガトロー』
家内がカジノに行く日、四人の未婚の娘たちが子供をひとりづつ預けて行きました。
幼い子供たちが良くない言葉を使い、母親のボーイフレンドの事を話します。
気を取り直して聖書を読んでやると、口を挟んで内容をめちゃくちゃにしてしまいました。

おじいちゃんは大変だし、近所の目も気になりましょうが、なんかいい話なのよね。
悪戦苦闘しながら食事を与えるおじいちゃんと、小さな手と口を動かす四人の孫たちの
あーでもない、こーでもない、という場面を思い浮かべると自然と顔がほころびます。

問題は他にもいろいろ目白押しですよ。
親が犯した罪、宗教社会のイニシアティブ争いに巻き込まれる親、妻と娘の家出、
自分の不倫に親の不倫、娘の里帰り… まだまだ続く… もう書かないけどね。

自分の身にふりかからなければどうでもいいようなことから社会問題、病気などなど
世の中には頭を悩ませることがこんなにもあるのですね。

その上天災があるというのに、なぜに人々は争ってるのか?
この一冊にはそういうメッセージでも含まれているのでしょうか?

不勉強なせいだと思いますが、20世紀の名作選と比較すると
「21世紀は、この人!」という代名詞的な作家が見あたらないのが寂しいですね。
作家が増えすぎたのか、天才が減ったのか
はたまた、日本における翻訳小説市場がぐっと狭まったのかはわかりませんが…
いずれにしても、傑作選という名の下に会した作家の作品集だけあって
侮れない一冊であることは間違いないと思います。

ひとことK-POPコーナー
今日(正しくは昨日)仕事から帰ったら宅配BOXにTOWER RECORDSからお届けものが…SHINeeの『Fire』でした
もちろん!旦那が寝静まってから見ましたとも!! いい気持ちで眠れそうです。
コメント (2)
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ポーランド公ボレスワフ3世妃 ズビシュワヴァ

2013-03-09 22:19:59 | ポーランド王妃
影うす~い一人目の妃
ボレスワフ3世妃 ズビシュワヴァ・キョヴスカ


1085~1114/在位 1107~1114

ブワディスワフ1世のあとを継いだボレスワフ3世には
父王の一人目の妃とも愛妾ともいわれるプレゼクラヴァが生んだ異母兄ズビクニェフがいて
案の定、君主の座をめぐって争っておりました。

ズビクニェフのバックには神聖ローマ帝国がついてましたので
ボレスワフはキエフ&ハンガリーと手を組もうと考えまして同盟を結びました。
その際にキエフ大公スヴャトポルク2世の王女ズビシュワヴァと婚約し
1102年に結婚しました。
        
この方のエピソードといったら、王子ブワディスワフ(2世)を生んだことだけで
没年もはっきりしておりません。
ボレスワフが1115年に再婚しているので、1114年までに亡くなったと言われております。

がっかりしないで… 次の妃はパワフルですので。


                
子どものために(?)大奔走
ボレスワフ3世妃 シャロメア・ベルギェウ


1093~1144/在位 1115~1138

ボレスワフ3世の二人目の妃シャロメアはベルク伯ハインリヒの娘です。
母はフォーブルク辺境伯ディエポルド3世の姉か妹、あるいは
ハンガリー王シャロモンとユディタの王女ソフィアの孫と言われています。
ただこの説は否定的に考えられているそうです。
      
シャロメアの妹リキサがボヘミアのブラディスラフ1世と結婚してまして
ポメラニアまで領土を広げていたボレスワフがボヘミアと関係を築きたくて協定を結び
シャロメアとの再婚が決まりました。

前妃ズビシュワヴァは王子一人と王女一人を生んでましたが
シャロメアは13人のお子様を生みました。
      
前妃の子どもを可愛がったかどうかは不明だけど
人が生んだ子なんかかまってられないわよ! といったところじゃないかしら?

しかもシャロメアは子どもを育てるだけじゃなく
子どもたちの代理となってがんがん政治に介入しようとしました。
つまり、相続原理に従って前妃が生んだブワディスワフが王に就いて
我が子たちがそのおこぼれにあずかるなんて堪えられない!! ってことです。

シャロメアは力のあった宮中伯を辞職させ
反ブワディスワフ派のプファルツ伯を後がまに据えたりしています。
そんなことを許すなんて、ボレスワフはシャロメアの言いなりだったのかしら?

シャロメアの意志を尊重してか、自分の死後国をブワディスワフ一人に譲らず
子どもたちに分割して与えるようにしています。
各君主領土を拡大して自分の勢力を強めようと血眼になっているこの時期
ものすごーく浅はかな決断としか思えません。

シャロメアにも再婚しない、修道院に入らないという条件で領土が与えられました。
しかし、ちっぽけな領土では満足いかなかったとみえて
一応君主の座についたブワディスワフへの反抗を続けます。

味方を得るために、ブワディスワフへの相談は一切無しで
娘をキエフ大公フセヴォロド2世の王子スヴャトスラフと結婚させようとしました。
王家の結婚は政略ですからね… 君主を無視するとはけしからんことですよ。

ブワディスワフは速攻でキエフに働きかけ、この縁談は破談になりました。
代わりにブワディスワフの王子ボレスワフとフセヴォロド2世の王女が結婚しました。

野望は叶わないまま、シャロメアは1144年に領地で亡くなりましたが
その後彼女の王子ボレスワフが巻き返し、1146年に君主の座を手に入れます。

なんと! この時ボレスワフが手を組んだのは、シャロメアが追い出した宮中伯でした。
母親の頑固な意志を受け継いで立派に育ちましたね… と褒めるべきか…

その後二人の王子も君主になっております。
シャロメアのDNAを受け継いだ王子たち…
実の兄弟でありながらドロドロしそうな兆しですね。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
かわいらしいイメージも良かったのですけども、B.A.Pがワイルドになって帰ってきてくれてちょっと嬉しいよ
ヒムチャンが早くよくなるといいですね
コメント (5)
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『母』第二の人生を革命に捧げるその理由は?

2013-03-06 22:50:43 | ロシアの作家
МАТЬ 
1906年 マクシーム・ゴーリキー

『世界短編名作選 ロシア編』でファンになったゴーリキーの
長編『母』を見つけたので読んでみました。

私はロシアの歴史に詳しいわけではございません、というか、ほぼ知らないんだけど
家系図のロシア王妃編で帝政の終焉について少しだけ調べたので
この物語の登場人物のような人々が帝政を終わらせたのか…と、少し感慨深くなりました。

しかし、その後にレーニンやスターリンの時代がやってくるわけで
彼らの望みが本当に叶えられたのかどうか、疑問がわかないわけでもありません。
登場人物が明るい未来を得るための呪文のように唱えていた “ 共産主義 ” で
ソ連は国民に公平で公正な暮らしを与えることができていたのでしょうか?

工場の労働者で暮らすペラゲーヤ・ニーロヴナという女性が
夫に先立たれるところから物語は始まります。

夫は酒を飲み女房を蔑ろにするという、典型的な当時の労働者で
ペラゲーヤは文句ひとつ言わず夫に仕えるという典型的な労働者の妻でした。
二人には工場職人になっていたパーヴェルという息子がいます。
夫の死後息子が酒を飲んで帰り、夫と同じ道を歩むのか? と母を心配させます。
しかし、パーヴェルはその後は真面目に働き、静かな日々を送っていました。

しばらくするとパーヴェルは本を読むようになり、よく出かけるようになり
ある晩、数人の客を連れて帰ってきました。

この客人たちというのが “ 同志 ” と呼び合う仲間で
国を変えるために運動をおこそうとしている人たちです。

上下刊の長い話なのではしょるけど…

信心深く昔気質の母は恐ろしくてなりません。
最初はパーヴェルの気を変えたいと考えます。

けれども仲間の中には好感が持てる人もいて、何度か会ううちに親しみを感じ
いつか母のような心で皆を見守るようになっていきます。

しかし、いくら街から離れているとはいえ毎晩のように若者が寄り集まってちゃね…
というわけで、パーヴェルたちにも監視の目が光るようになります。
憲兵が家を調べに来たり仲間が逮捕されたりした後、とうとうパーヴェルも捕まりました。

ここから母は大変身!!

まずは息子の身を救うため、その後は息子の意志を継ぐために
自らが運動の手伝いをするようになります。
そして、以前はひれ伏すだけだった憲兵や官吏たちに憎悪を抱くようになっていきます。

はじめはビラの原稿を運ぶような小さな仕事でしたが、村に出向いて説得したり
脱獄した政治犯を助けたりと、存在感を強めていきます。

パーヴェルは脱獄を拒み、結果の見えている裁判で争う決心をしました。
母はそんな息子を誇らしく感じるようになります。

結論からいうと、彼らは戦いに勝ったわけではないけれども
戦いは終わったわけではなくこれから始まるのだ、ということを感じさせるラストでした。

そういった弾圧に負けず希望を捨てずに、変化を叫ぶ人の後に続く人がいる国だけが
生まれ変わることができるのかもね。

ま、革命の是非とかソ連云々を語るには、私の知識はあまりにも曖昧なのでやめといて…

ペラゲーヤが革命にのめり込んでいった理由はなんとなく理解できます。
愛する息子のために始めた運動ですが、若い人たちに「おっかさん」「おっかさん」と慕われ
信頼を得るようになって、彼女は生まれて初めて生き甲斐を感じていたのではないかしら?

さらわれるように結婚して、あとは家の中で夫の顔色をうかがいながら暮らしてきた日々、
これからは息子に仕えるように生きていくはずだった毎日がまったく変わって
たくさんの人々と知り合い、語らい、自分の意志で行動するようになったんですもの。
自分の人生を生きている!! と思えたのではないかしら?
その対象がたまたま革命運動だったのかもしれません。

大きな声じゃ言えないけど、旦那さんが亡くなった後奥さんがやけに元気になって
趣味やボランティアに精を出す… ということはあるらしいね
仕事を始めて輝きだしちゃったりね。
亭主関白は減っているらしいから、今後はそうでもないと思うけど…

ひとことK-POPコーナー
いいなぁ… ジャングルポケット斉藤… テソンにチヂミを作ってもらえるなんて!( in パワー☆プリン)
プーさんのTシャツがとってもcoolに見えますね。今日は続きがあるのよね? 夜更かしせねば
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『黒と白』お恥ずかしいことに・・・

2013-03-03 20:55:50 | その他の国の作家
17 SHORT STORIES OF TOVE JANSSON 
トーベ・ヤンソン

『トーベ・ヤンソン短篇集』『誠実な詐欺師』を読んでいる時
私はトーベ・ヤンソンって男性だとばかり思っていました。
今回この『黒と白』を読んでいて、まさか、と思いWikipediaで見てみたら
女性だったのね~! お恥ずかしいことです。

17篇おさめられていまして、最初の方ではまったく気がつかなかったのですが
読み進むうちに、女性としか思えなくなってきました。
かたいとかやわらかいとか、そういうのでなくてテーマかな? 着眼点?
いずれにしろ、なんで今まで男性だと思い込んでいたのでしょう?

あいかわらず孤独感満載です。 孤立感とも言えるかもしれない。
でも女性とわかったことで親近感もわき、さらに好きになってきました。

女性かも? と、気付かせてくれたお話しをいくつかご紹介します。

『灰色の繻子(Gra Duchesse)/1971年』
人の死を悟ることができるマンダは、内なる声に逆らえずそのことを告げてしまいます。
それで村にいられなくなり、街へ出て刺繍で暮らしをたてることにします。
マンダはどんどん腕を上げ、モードサロン内に個室がもらえるほどになりました。

人に媚びず、誰とも馴れ合わず、黙々と手を動かして生きていく… The 職人ですね。
昔はけっこういたのでしょうけど、今の世の中、頑固な職人でいるのも難しいでしょうね。
あ、マンダのサクセスストーリーではないです。 彼女の才能はもうひとつあるのでね。

『花の子ども(Blomsterbarnet)/1978年』
美しく生まれ、とことん甘やかされ、言いよられるままに奔放に育ったフローラは
22歳の時に結婚してアメリカに渡り、華やかな暮らしを告げる便りを送ってきました。
34年後、彼女は夫の破産と死を機に帰国します。

自分だけが快楽の時代にとどまっていたわけで、まわりは現実を生きてるわけです。
「昔みたいに…」と言われても、そうそう付き合ってられないですよね。
美しい人の末路がすべてこうだってわけでなく、むしろごく稀なんだとは思いますが
ドラマティックではありますね。 一昔前のドラマですけどね。

『主役(Huvndrollen)/1978年』
最高の大役ですが、地味でさえないエレン役を手に入れた舞台女優マリアは
いとこのフリーダがエレンそのものだと気づき、観察しようと別荘に招きました。
彼女は申し分の無いエレン役の見本でしたが、家事を始めると活き活きします。

ものすごく利己的なマリアと献身的なフリーダの対比が面白い物語だと思うのですが
そんなマリアがなぜ夫の言うことはおとなしく聞いているのかいまいち不思議?
わがままな女性って得よね…少し優しさを見せると「実は善い人?」って
まわりの人が錯覚してくれるんだもの、と思えたお話しでした。

上の3篇以外に『連載漫画家(Serietecknare)』という
ものすごく印象に残ったお話しがありました。

20年間も新聞に人気マンガ『ブラピー』を描いていた作家がいきなり行方をくらまして
代わりにそのまんがを描く青年が雇われる、という内容なんですけど
『ムーミン』を描いていた本人の苦悩だったのかしら? と想像が逞しくなっちゃいました。

詳しい内容は書きませんが、作家が逃げちゃった理由を推測する他の作家が
とにかくいろいろな商品につけられる『ブラピー』の一切を自分で引き受け
細部にまで妥協を許さず…で疲れちゃったんだろう、と語るシーンがあります。

ムーミンも世界中にたくさんのライセンス商品がありますからねぇ。
全部に目を光らせていたらからだが持ちませんよね。
もし本人がそうしていたなら、タフな人だったとしか考えられません。

編者の冨原眞弓氏が四つのモチーフを設定して選んだという選集で
いろいろな表情のトーベ・ヤンソンが垣間見えますが
ひと言で言えば、生真面目で几帳面で背筋がピンとした女性の姿が浮かび上がってきました。
例によって、本当の彼女はどうだったかは知りませんけどね。

ひとことK-POPコーナー
いきなり売りきれてたテソンの『D'scover』… やっと昨日買えましたよぉ! 良いですねぇ、やっぱり声きれい
ところで、MVに蒼井優が出てて「本当に可愛いね」と思ってたら違う人なんだって!! ビックリです。
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