スイカ祭り

夜、家に帰る。
愚妻の姿はまだない。
とりあえず麦茶を飲もうと、台所へ行った。

と…

流し台の上を見て驚いた！

崩れたスイカが大量に置いてあるのだ！

これはどういうことですか？
愚妻の食べかけだろうか。
それにしては乱暴すぎる。
いくら愚妻とはいえ、ここまで乱雑なスイカの食べ方はしないだろう。
もしかするとボクが留守のすきに『スイカ割り大会』が開催されていたのかもしれない。

それにしても…
これをそのまま放置して、愚妻はどこに行ったんだろう。
食べかけにしても何にしても、せめて冷蔵庫に入れていればいいんだけど、それも出来な
いほど切羽詰まってたんだろうか。
おまけにさっきから床がベトついてるし…。

謎は深まるばかりだ。

いやまてよ。
ダイイングメッセージっていう可能性もあるな。
推理ドラマなんかではよく、殺された人が犯人に繋がるメッセージを残しているケースが
多い。
これもそういうことなのかもしれないぞ。
誘拐された愚妻が、最後に残したメッセージが『割れたスイカ』って事かもしれない。
割れたスイカから繋がる犯人は…
う～ん…
わからん。

あ！
もしかしたら、「これがお前の今日の晩飯だ！」って事なのか？
たいへん哀しい答えだが、愚妻の事だからそういう事も充分ありえるぞ。
お腹もすいてることだし、しかたなくスイカを食べるしかないのかもしれない。

う～ん。

頭を悩ませていたところに、呑気な顔をした愚妻が帰ってきた。
「会社でスイカもらって帰ってきたけど、すぐに出かけなくちゃいけなかったから急い
でスイカを冷蔵庫に入れようとしたら、ビニール袋から全部こぼれ落ちて割れちゃった」
んだってさ。

くだんない。