クロサギ

「内容証明ってどう書くんだろう」

やって来たＴ氏が、うかない顔をして言う。

へ？
内容証明？
なんでそんな仰々しいものが必要なの？

と思ったら…

ネットオークションで騙されたんだってさ！

おおお！！
やっちゃったなぁ！！

ボクの周りでは２人目の快挙だ。
数年前にも１度友達から相談された事ある。

ああいうのは遠い世界の話かと思っていたら、意外と身近で起こる事なんだね。
恐ろしい。
ボクもオークションはよく利用するけど、気をつけなくちゃ。

３万程度の商品を落札して入金したんだけど、商品が届かないとのこと。

「ふぅ…」

とため息をつくＴ氏。

分かる分かる。
そりゃ、『ふぅ』とも言うわな。

「はぁ…」

とため息をつくＴ氏。

分かる分かる。
そりゃ、『はぁ』とも言いたくなるわな。

「あ～あ」

とため息をつくＴ氏。

分かる分かる。
そりゃ、『あ～あ』とも言わなきゃやってられないわな。

今日ばっかりは、いくらため息ついても許してあげようではないか。
３万は、ショックでかいよ。

「相手が緊急入院して、たまたま連絡とれなくなったかもしれない」

という、わずかな可能性を信じるＴ氏だけど…

残念ながら無理だろうなぁ。
以前被害にあった友達も、どうにもならなかったみたいだし。

ま、ありがちな励まし方だけど、いい勉強になったと思うしかないわな。
こんな勉強するくらいなら、国語の勉強でもしたほうがマシだろうけど…

いつの日か、Ｔ氏の顔に笑顔を取り戻せる日が来るのを祈っておこう。

目眩

以前からヒドかった『めまい』が、ここ数日特にヒドい。
ちょくちょくフラフラしてんだよね。

それもパソコンの細かい文字とか読んでいると更にヒドくなる。

回る～回る～よ、世界～が回る

なんて、呑気な事言ってられないほど頭がグワングワンと回って、倒れてしまう。

どうにかしなくちゃなぁ。
パソコンを見ないわけにはいかないし。

なるべく画面を見ないように、横目でチラッと見ながら作業するようにしている。
パソコンが油断している隙をついて、フェイントで画面を一気に見るようにしている。

去年もこの時期はめまいがヒドかったから、暑さも関係あるのかもね。

あ！
思いついた！

めまいがしたら、反対向きにグルグル頭を回せばいいんだ！
回転には回転で対抗。
相殺されて、めまいも治まるに違いない。

お～し！
やったるぞ！
めまいの奴め！
次に来たら、返り討ちにしてくれるわ！！
決戦の時が楽しみだ。

そんな中、今夜は皿うどんを食べた。
少し前にＯ氏が長崎土産でくれたんだよね。

うん。
旨い。
ちゃんぽんもいいけど、皿うどんも旨い。
なかなか家で食べる事はないけど、食べてみるとやっぱり旨いもんだね。
一気に食べましたわ。

でもさぁ。

前々から思ってたけど、何で『うどん』じゃないくせに『うどん』を名乗ってるんだろうね。
どう見ても、ちゃんぽん麺でしょうが！
うどんの欠片もないでしょうが！
見た目も全く似てないでしょうが！

ここまであからさまな偽装表示も珍しい。
様々な偽装が問題になっている昨今、どうして今まで放置されていたのだろうか。
もっと大きく報道されてもいい事ではなかろうか。

今まで騙されていた皿うどん好きの人達も、発覚後は怒り狂うに違いない。
どっかの県の教員採用問題よりも大きく取り上げられるかもしれない。
国をあげての大騒ぎになるだろう。

その為には、まずボクがどっかの新聞社にこの情報をリークすることだな。
新聞社も、絶対にこの話題には食いついてくるハズだ。

ま、今日のところは内藤選手が勝ったから許してやるけどね。

まるこ

Ｙ氏夫妻に子供が産まれたというので、見に行った。

小ちゃい赤ちゃんに、思ったよりも元気そうなＹ氏婦人。
健康そうでなにより。

写真をバシャバシャ撮りたいとこだったけど、４人部屋なので控えめにバシャバシャ撮る。

なかなか可愛らしい女の子だ。
我が息子の許嫁に任命したから、これからも元気に育って欲しいもんだね。

で、その帰り。
息子を預けていたので、実家に寄った。

すると、母・美智子と姪っ子２人が、我が息子の事を話していた。

姪っ子姉が、「ちびまる子ちゃんの中で言ったら、誰みたいに育って欲しい？」と言っている。

「私は、大野くんみたいなスポーツマンがいいな～」と、姪っ子姉。

「私は、花輪くんみたいなかっこいい人がいいな～」と、姪っ子妹。

そうね。
あんな子に成長してくれたら、ボクとしても嬉しい。
黙って横でそんな会話を聞いていた。

が、母・美智子

「ばあちゃんは、はまじみたいなのがいいな」って！

え～！！

は、はまじ～！？



はまじって「ぷっぷくぷ～」なんて言いながらタコ踊りしてるような奴だぞ！！
自分の孫の目指すところが、それってか！
あんなお調子者に育って欲しいってか！？

息子（ボク）のていたらくぶりを見て、孫にも余計な期待はするまいと思っちゃったんだろうなぁ。
こいつ（ボク）の子が、スポーツマンや金持ちになれるわけないと思っちゃってるんだろうなぁ。
ま、はまじ程度なら可能って思っちゃったんだろうなぁ。

決して、はまじが嫌なわけではないが、何だか悔しい。
バカにされた気がしてしまう。

今に見ておれ！
見返してやる！

ま、永沢くんって言われなかっただけマシかもね。

ゼルダ

実家に行くと、帰省中の姪っ子達が

「ゼルダやって！」と言ってきた。

ゼルダってのは、NintendoDSのロープレゲームの事。

ロープレなんて数十年前のドラクエ２くらいしかやったことない。
敵をチマチマ倒して少しずつ強くなっていくのって、かったるいんだよね。
しかも途中かららしいから、余計ヤル気がしない。

と思いながらも、姪っ子の頼みを断れずに渋々始める。

けど…

おもしれぇ～！
ゼルダおもしれぇ！！
こりゃ良く出来とるわ。

思ったよりもサクサク進むし、絶妙な謎解きもある。
細かいとこまで良く考えた作りだ。

最近ではゲームって、たまにみんなで桃鉄をするくらいだったけど、こういうのもいいね。
自分でも欲しくなったよ。

けどさぁ。

ドンドン進んでいくボクの姿を見て、姪っ子の妹のほうも「私のもやって！」と言ってきたんだよね。

姉妹２人ともゼルダを所有しているの。
自分でクリアすりゃいいのに、進まないもんだからボクにやらせようとしているのよね。

めんどくせぇ～！
何で同時に二つもやんなくちゃいけないのよ！

でも、そりゃ姉妹で同時にやってて、姉だけ進んだら悔しいわな。
ボクとしても、えこひいきするわけにはいかない。

渋々、DSを二台並べてやることに。

必死で謎を解き、敵を倒してどうにか先に進む。
と、今度はもう１台のほうで、またさっき行った場所を同じルートで同じ手順で繰り返す。

次は敵に見つからないように宝石を３つ探し出てあっちまで運べと言われるので、どうにか探してどうにか運び終わる。
と、またさっき運んだはずの宝石をまた探し出して、さっき運んだはずの場所まで運ぶ。

まどろっこしぃ～！！
なっかなか先に進みやしねぇ！

面白いゲームだから、早く続きをしたいのに、いちいち復習せにゃいかん。
しかもストーリーが途中からだから、イマイチ把握出来ないし…

で、これが実は姪っ子２人が帰省初日から毎日続いてるんですわ。
滞在時間３時間ほどだから、たいして進まないけど、それでも少しずつ進展している。

姪っ子が大分にいるのは残り１０日ほど。
それまでにクリアさせたいとこだけど、果たしてこのペースで間に合うのだろうか。
毎日来るわけではないし…

クリア出来ず、モヤモヤが残ったまま終わるという最悪な結果にならないよう、頑張っていこう。

いしまつ

甲子園出場校が出そろったらしい。
TVでは、出場を決めた選手がガッツポーズをしていた。

いいよなぁ。
ガッツポーズ。

考えてみりゃ、ガッツポーズなんてほとんどしたことないわ。

冗談というか遊びというかで、たまにする事はあるけどね。
テニスで勝った時なんかにもする事あるけどね。

でも、そんなの所詮、無理矢理やっているガッツポーズだ。
心の底から溢れ出るガッツポーズではない。

やっぱガッツポーズってのはさぁ。
無意識の上に感極まってやっちゃってるもんだと思うのよね。
気付けば右手握りこぶしを天高く突き上げているものだと思うのよね。
なので、ボクのやっているのは所詮ニセモノ。
単なる、やらせのガッツポーズ。
天然物と養殖物ほどの違いがある。

ここはいっちょ、本物のガッツポーズをしてみようではないか。
男として産まれた以上、ガッツポーズをせずに死ぬ訳にはいかないのだ。

と言っても、今のボクに何がある？
心からガッツポーツが出来るような事があるのか？

ガッツポーズをするからには、何かを成し遂げた時だ。
思い描いていた夢が叶ったり、目標に辿り着いたり。

シャインクラブが売れてくれりゃガッツポーズでもするんだろうけど、それはもうちょびっと先の話。

他に“目標達成”するような事があったか？
う～ん。
自分でも驚くほどに、何も思い浮かばない。

何かないのかねぇ。
無いならないで、やってみたい事とか無いのかねぇ。

東海道新幹線の駅名を丸暗記したいとかさぁ。
牛乳パックで巨大ロボット作ってみたいとかさぁ。
太鼓の達人を画面見なくてクリア出来るようになるとかさぁ。

ダメだ。
やっぱり何もやりたい事が無い。

こりゃ参った。
憧れのガッツポーズはまだまだお預けとなりそうだ。

ここは一つ、ガッツポーズをするための目標を見つけるのを目標にしよう。

いい目標を思いついたら、目標達成となる。
その時は、さぞかし素晴らしいガッツポーズが出来るだろう。

ラオウのガッツポーズを超えるほどの、後世に残るガッツポーズが期待出来そうだ。
楽しみ楽しみ。