髪を切りに行った。
前は美容室に行ってたけど、息子を連れて行くようになってからは、同じ床屋で一緒に切っている。
いわゆる、大衆床屋というとこ。
安くて早いし、それよりも何よりも会話をしなくていいのがいいんだよね。
美容室では、そこでしか会わない親しくもない店員さんと、仰向けで髪を洗われながら当たり障りのない会話をするのがかなり苦痛だった。
ここでは無駄口一切なく、黙々と切ってくれるから人見知りのボクには大変助かるのだ。
しかし最初だけはどうしても会話をしないと行けない。
どんな風に切るのかを聞かれるから。
これ毎回聞かれるけどさ。
いまだにどう答えたらいいのか分からないんだよな。
こだわりがないからだと思う。
伸びた分を切ってくれりゃ、どうだっていいもんね。
ここで劇的にカッコよくなるなんて思ってないし。
おそらく、こういう床屋さんに来る人はだいたいそういう人だろう。
たまに、お年頃の学生さんが細かく注文しているのを見るけど、あとはだいたいどんな髪型でも構わないというような人ばかりだ。
だから「伸びた2ヶ月分くらい切って」と伝えるんだけど、店員さんは細かく聞いて来る。
今日も「前髪は眉毛の下にしますか?それともちょうどくらい?上にするならどれくらい?」なんて言う。
どうでもいいなぁ。
心底どうでもいい。
ボクの前髪が眉毛の上にちょっとかかっていようが、少し下になっていようが、果たしてそれがどうなると言うのか。
まあ、店員さんにとっちゃ、少しでも希望に沿おうとして聞いてくれてるんだろうけどね。
考えてみたら、ボクも映像作って相手に確認するとき、結構細かいとこも見てもらったりするな。
それと同じなんだろうな。
でもこっちはどうでもよすぎて、どう答えたらいいのかも分からない。
かと言って答えないわけにいかないので、適当に返事しましたよ。
毎回同じようになるので、次に来るときはいい答えが出来るように、自分の前髪を研究しておこう。