ITSを疑う

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圏央道 ETC2.0限定割引の不可解

2016年03月03日 | ITS
16年4月から首都圏の高速道路料金体系が変更になる。
首都高速の距離別料金見直し、外環道と中央高速高井戸―八王子間の距離別料金制への移行、起終点が同じであれば経路にかかわらず同一料金、および圏央道に関しては「ETC2.0に限定した」割引という項目が盛り込まれている。

以上の内容は2015年9月に国土交通省が発表した「首都圏の新たな高速道路料金に関する具体方針(案)」に基づいて高速道路会社が作成したものであり、16年3月1日に国交省から正式にアナウンスがされた。
本案については高速道路会社が利用者の意見を聴取した。15年9月18日~30日という短い期間の募集で137人から回答があったようだが、これで広く国民の意見を聞いたとはあまり思えない。その結果はここにある。

(実際、このパブコメ募集は私も気が付かなかった。気が付いていればコメントを送ったのだが)

内容は批判的な意見に対しては、今後の検討の資とするというありがちなものになっているが、その中で「圏央道の割引をETC2.0に限定せず、ETC全般に適用せよ」という意見に対しては、「過去の決定に基づくものです」的な非常にあいまいな回答となっている。

なぜ「途中経路を把握できるETC2.0でなければ割引き判定ができない」と書かれていないのか?

一般には次世代ETCであるETC2.0だから技術的に割引きができるのだ、という風に思われている。
しかし、現行ETCも首都高速では出口通過判定をして距離別料金を徴収している。技術的には経路通過の判定はETC2.0でなくてもできるはずだ。少なくともハードウェアの問題ではないと思う。たしかにETC2.0のほうが高速通過に有利だということはあっても、インターチェンジの速度が遅い場所に設置することでそれは十分対応できる。

ETC2.0だから割引きが可能なのではなく、ETC2.0を普及させるというのがまず目的としてあり、だから割り引くとしか思えない。そのことは道路会社のリリース「首都圏の新たな高速道路料金の具体案 15年9月11日」にそのまま書かれている。
「ETC2.0の早期普及のため、ETC2.0の普及促進を進める料金の導入を検討するとともに、関係機関とも調整の上、車載器の購入助成の実施も検討します」

首都圏への車両流入を防ぎ渋滞を緩和することが目的であれば、圏央道へ迂回した車両はすべて割引対象にするべきだろう。

国交省と道路会社は、なぜETC2.0に対して助成金をつけたりETC2.0に限定する割引をおこなうのか、本当にETC2.0はそこまでして普及させる必要があるほど安全・渋滞緩和に有効なものなのか、きちんと説明をするべきだ。