ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

日経エレクトロニクス記事

2008年06月03日 | ITS
日経エレクトロニクス6月2日号に「岐路に差し掛かるITS」と題する記事が掲載されている。ヨーロッパに出張に来ていて、雑誌を買うことが出来ないが、WEBサイトで解説記事を見ることが出来る。

まず、記事本文ではITSに暗雲がかかっている理由として、5.8GHz帯に加えて新たに700MHz帯が登場し,用いる通信メディアが決まらないという理由を挙げている。
そうなの?

一方、WEB上の解説記事ではそれ以前の問題として、このブログのような「そもそも自動車で無線通信をすることに懐疑的な意見が根強くあることも大きな要因」としている。

「懐疑論があるから発展しない」というのはどうにも釈然としない言い方だが、まあ言っていることは正しいと思う。そして、だからこそITSは交通事故低減にフォーカスすべきだ、というのも正しいと思う。

しかし、何故その結論が車車間通信なのか?

交通事故死者を削減するなら、車対車事故のプライオリティは低い。車内の人間はすでにエアバックなどで守られている。
老人、子供の歩行者、自転車事故にフォーカスするべきだ。

さらに、車車間は基本的に100%の車に装備されるまではあくまでも補助的なデバイスでしかあり得ない。このゴールは遠いとおもう。

信号、交差点、警告板、道路構造といった既存の設備や技術をハイテクの力でさらに安全なものにし、歩行者・自転車との事故を低減することこそ、ITSが対応するべき課題だろう。そのために最も実効のある方法を取るべきだ。
検討の結果でレガシーな方法よりも通信の方が有効だ、というなら通信を使えばいい。

何故「通信の呪縛」から逃れられないのだろうか。