ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

プローブと個人情報

2004年11月03日 | ITS
先日、ITSと個人情報管理に関する危うさについて書いたばかりだが、1日付けの日刊自動車にそれに関連する記事が出ていた。
経済産業省はプローブカーに関する個人情報保護に関するガイドラインを年度内に作成するそうだ。
プローブカーとは、車をネットワークで繋ぎ、センサーに見立てて渋滞や天候情報を収集するというもので、ITSの目玉施策の一つだ。最低、位置情報をサーバーに送信する必要があり、欧州のICタグの例を見てもこうしたガイドラインの制定は不可欠であろう。

しかし、プローブは実現するのか?日刊自動車の記事自体にも矛盾がにじみ出ている。
まず、プローブによる交通情報の収集は、インフラ整備が出来ていない発展途上国にサービス輸出が期待できると書かれているが、裏を返せばすでにVICSがある程度カバーしている我が国に本当に必要なのか、という疑問につながる。
確かにVICSは完璧なシステムではないが、80点は取れている。プローブでさらに精度があがる事は間違いないが、残り20点を取るためにすべての車を通信で結ぶ必要があるのだろうか。

一方、国内では物販や故障診断など幅広い用途が見込めるというが、これも大いに疑問だ。そもそも個人情報保護と物販は対局に位置している。物販に利用されないために情報を保護するんじゃないのか?
すでにホンダがインターナビでプローブを実用化しているが、個人情報は収集していない。

それ以前に私が理解できないのは、車を運転している最中に物を買う必要があるのかという事である。ITSの経済効果で必ず語られるビジネスチャンスであるが、一生活者としてその必要性を全く感じない。