みに・ミーの【みにスケール模型日記】

ミニスケールAFVを中心とした模型日記です。

王海著「我が闘いの生涯」(上)05

2013年08月09日 23時11分12秒 | 書籍
 「我に続け!」私はここぞと即断し、大隊の6機を率い敵機の群れに向けて一気に6000メートルの高空から1500メートルまで急降下し、さながら迅雷耳を覆うに及ばずという勢いで、イナゴの群れのごとき米軍機の群れに対して攻撃を開始した。ほんの一瞬、敵味方の飛行機は入り乱れた。米軍機は数こそ多かったが、迅速に兵力を展開することができず、しかもいきなり撃たれたため、慌てて爆弾を投棄し応戦に移った。
 米軍パイロットの多くは実戦経験が豊富で、戦術にも長けていた。自分たちより性能の上回るミグ戦闘機を前に、最初の混乱から立ち直って、即座に新たな戦術を採った。8機の戦闘機が互いの機尾につき、大きな円形を作るのである。その内のいずれか一機を攻撃しようとすれば、その後ろの米軍機に背後を取られ、後ろから撃たれる状況に追い込まれる〔訳注:いわゆるワゴン・ホイール〕。
 敵機の「円形陣」を目の前にして、私はその対処法を急いで考えた。まさに「眉頭一たび皺(しか)むれば心を計上し来たり」である〔訳注:原文は「眉頭一皺、計上心来」。元曲『趙氏孤児』に出てくる言葉で、眉をしかめて考えているとふとアイデアが浮かぶ、ということ〕。
 「上昇して敵の上へ!」私は命令を下した。6機の戦闘機はこれに応じて舞い上がった。
 「急降下して攻撃!」私はまた命令を発した。我が隊は飢えた虎が獲物を襲うがごとく突進し、そしてまた引き起こし、再び急降下する……6機がまるで巨大な一つの鉄槌となって米軍機の「円形陣」の上に振り下ろされたかのようだった。
 我々は自分の戦闘機の優れた垂直機動性能を十分に活かし、数回の上昇・降下を繰り返して、敵の「円形陣」をけちらした。
 そうして私は好機を逃さず、編隊を率いて攻撃と援護のいずれにも偏らずに米軍機に攻撃を加え、数分間の戦闘で自ら敵機2機を撃墜した。私の僚機焦景文も2機、孫生禄も1機を撃墜した。我が大隊は連続して敵機5機をあっさり撃墜し、見方の損害無しに、5対0の戦果を上げたのである。(続)