新刊書『M3リー&グラント中戦車』

大日本絵画刊、オスプレイ・ミリタリー・シリーズ 、
世界の戦車イラストレイテッド３６『Ｍ３リー&グラント中戦車 1941-1945』

買っちゃいました。著者は彼のスティーヴン・ザロガですから、内容は信頼できます。いずれもコンパクトで分かりやすいこのシリーズの例に漏れず、Ｍ３中戦車の開発と戦歴、特にＭ２からの開発の流れがよく分かります。また北アフリカでの英軍と米軍での使用状況も、だいたいは知っていることながら要領よく通覧できました。
　やはりＭ３中戦車だけではなく、同じシリーズの『シャーマン中戦車 1942-1945 』や『M4(76mm)シャーマン中戦車 1943-1965 』（いずれも著者はザロガ）も合わせて読むべきでしょう。そうすることで、左の人からは悪の軍事帝国のように言われる米国が、実のところ殊に戦車に関しては決して最初から強大な戦車戦力を持っていたわけではなく、試行錯誤を繰り返しながらもなかなか戦力の充実を果たせなかった様がよく分かるからです。また同シリーズの『クルセーダー巡航戦 1939-1945』や『クロムウェル巡航戦車 1942-1950』と合わせて読むと、また米軍とは違った意味で理想から遠かった英軍戦車戦力の状況もよく分かります。
　さて『Ｍ３リー&グラント中戦車 1941-1945』ですが、私ごときが詳しく書評をすることもないでしょうから、一番面白かったところに絞ってご紹介しましょう。Ｍ４シャーマンが配備され始めると当然のことながら二線級の扱いとなったＭ３は、指揮戦車や牽引車や回収戦車などに転用されます。これはその回収型の写真（p.38）。車体の７５ミリ主砲と砲塔の３７ミリ副砲の代わりに、ダミーの砲身が取り付けられています（但し砲塔のダミーは後ろ向き）。で、車体の７５ミリ砲防盾があった場所なんですが…
　ダミー砲をつけたままこんな風に開くんですね。あははは、なんだか可笑しい。でも知らなかったな～、ここがドアになってるなんて。もうひとつご注目いただきたいのが、車体側面。ここには本来ドアがついていたのですが、被弾に弱いということで後に廃止されます。ドアが無くなった後はバイザーだけが残されています。この回収戦車もドアの廃止された後期型仕様ということですね。だから防盾のあった場所をドアにして、そこからも出入りできるようにしたのでしょう。
　ところでこの回収戦車、ミラージュが発売を予告してませんでしたっけ？ ４号にリー／グラントにスチュアートが出たところで、しばらく新製品が止まってますね。