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”MJK”by HAIFA
アラブのエッチの女王、とか言ったら叱られるのか。なんか世界の美女100人とか、その種の催しにもランクインしたとかで、かの地の男どもの煩悩を鷲掴み、みたいな存在らしいHaifa女史の、今年度最新盤の登場であります。
このアルバムのジャケもまた、そんな欲望をジャストで刺激、みたいなエロいシロモノですが、気になるのは”MJK” なるタイトル。これ、”ミス・ユニバース”をアラビア語に訳した、その頭文字を拾ったものなんだそうで。もう、「恐れ入ったか!」みたいなものなんでしょうねえ。
サウンドの方もそれにふさわしい甘美な性の妄想全開のアッハンウッフン・ボイスとピンク色に染まった脈うつ拍動の交錯する異世界の扉を開けんとする代物。
けど私には、なにやらスペースもののアラブ歌謡の新境地なんて聴き方もできるなあ、なんて思えても来るのです。
あまりディープに泥臭くならない打ち込みのリズムがカチカチと脈打ち、シャカシャカとシュワシュワと、これも濃厚になり過ぎないギターやシンセの、夜空を浮遊するようなフレーズが夢の淵をなぞるように、Haifa女史の甘美な歌声を縁どって行く。
そもそもがことのほか暑苦しいこの夏の夜であります。シリアスなワールド・ミュージックのファンの方からはもしかしたら、あまり民俗臭が強くなくて物足りないとのご意見もあるやも知れませんが、私などは、そこが逆に快いと思える。ここで聴かれるサウンドの現実感の無さがね。
で、その現実感のないものを無理やり存在させてしまうのが、その音楽のうちに立ち込める性的妄想という、それはもう抗い難い代物であります。
どんなものでしょうねえ、夏の夕暮れ、恋人のことなど想いながら見上げるアラブ世界のお月様、なんてえものは。