ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

韓国に関する、まとまらない話。

2011-08-03 03:10:46 | アジア
 ”1st Album”by Han Soo Yung

 え~っと、今、思い切りいらだたしい思いをさせてもらって、すっかり血圧を上げたところですが。何をやっていたかといえばほかでもない、ワールドミュージックのファン特有な因果とでも申しましょうか、外国のマイナー歌手の情報を求めて検索かけれどもかけれどもたいしたものは見つからず、すっかり頭にきていた次第で。

 探していたのは韓国のトロット演歌の新星、、ハン・スヨンちゃんの情報だったんです。この子のデビュー・アルバムを先日聴いたんですが、かなり良い感じの出来上がりで。この場で紹介するために、彼女に関する詳しいところを調べようとしたのです。
 が、これが出てこない。以前にもお話ししましたが、韓国の有名人はなぜか”同姓同名問題”に無頓着だ。このスヨンちゃんにも、同じような名前の有名女優がいるようで、さらに今をときめくガールグループ、”少女時代”にもスヨン名の人気者がいるようで。
 パソコンで検索すると、この三人の情報がゴタマゼで出てくるわけで。まあ、三人の仲では新人の演歌歌手、スヨンちゃんの立場が一番弱いですよ。で、似たような名前の二人のハザマで埋没してしまうことになる。いらだたしいなあ。

 それでも何とか拾い出した情報では彼女、テレビの人気番組、「男の資格ー青春合唱団」なる番組への出演で人気を得、デビューにこぎつけた、ということで。それにしてもこの妙な名前の番組は何だ?私はてっきり昔ドリフターズがやっていた合唱団みたいなパロディものかと思ったんですが、あちこちのネットの記事を読んで行くと、どうも相当に”本気”の代物のようだ。出場者を”50歳以上”に限ってみたり。むしろ、”寮歌祭”とか、あのノリに近いのか?
 その番組でウヨンちゃんはなにをやっていたんですかね?司会者のアシスタントか、懐かしの演歌を出演するオヤジ連中相手に歌ってあげる接待係か?

 そんな彼女のデビュー盤を仕切ったのは、ブラックジョークの色合い強い歌で知られる男性デュオ「NORAZO(ノラジョ)」のリーダー、チョビンなる男。今回、この専門の演歌のプロデューサーを使わなかったことが良い結果をもたらした。チョビン君、アルバムを変に新しげなものにするより、伝統に敬意を表する方向に動いたんですな。韓国のトロット演歌の伝統に沿った、実に堅実な音つくりが行われ、それがアルバムの成功につながった。
 そりゃ、チョビン君も現代の馬鹿な若者の一人だ、間奏で一瞬、ラップを聞かせもするけど、総じて瀟洒な、落ち着いた演歌アルバムに仕上がっていてこれはめでたい。

 また、そんな新伝承派(?)を演ずるに、アルバムの主役のソユンちゃんは適任者だったようで。彼女は、昨今の韓国の若手トロット歌手のようにハスキーな声でドスを効かせて迫力で迫る、という感じの歌声ではなくて、しっとりとした声質の、実に昔の歌謡曲っぽい哀感を持って迫る歌い手だった。一方、バラードものでは可憐な乙女の純情を見せるといった芸の幅も披露して、こいつには私もちょっぴり切なくなったものです。
 そんな彼女が、上のジャケ写真から分かりますでしょうか、”ビジュアル系演歌歌手”なんて呼ばれている存在である、というのも不思議な話で。もっともこのアルバム、サウンドは伝統的だけれども歌詞が相当遊んでいるようで、そこまで理解できたら、また別の感想がもてたのかなあ、などとも思ってしまうのであります。

 という次第で、ごめん、今回もハン・スヨンちゃんの歌声、You-tubeで見つけられませんでした。韓国サイドでも、誰も貼ってないんだなあ。彼女の動くところを見たかったんだが。まあ、いすれ貼られたら。
 で、しょうがないから、アルバムの仕掛け人のデュオ、ノラゾの二人の歌でも代わりに。かなりバカな代物であります。こんな連中もいるんですねえ、あちらには。






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