ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

マレーのディスコの物語

2009-07-14 03:36:51 | アジア


 ”Zamzam & The Twilites”

 心ときめく60’の熱い夜。南国マレーシアの最先端を突っ走った、いっちゃんナウい奴らを聴け!サイケでハレンチで、とびっきりいかしたGS、それがザムザム&トワイライツだっ!
 とでも言うよりしょーがねえだろうよ。またも出会ってしまった60年代マレーシアのグループサウンズなんですがね。
 いやもう、これがまったく日本のあの頃の音と変わらないんだから参ってしまいました、私は。なんか、オノレの過去を暴き立てられているみたいな気分になってくるのな、聴いていると。

 ギンギンギョンギョンテケテケテケと鳴り渡る、深くエコーのかかったエレキギターがかっこいいぜっ。シュワーッと尾を引くチープなコード弾きのオルガンの音は、これはエーストーンのコンボオルガン使用としか思えないっ!ボンボコボコボンとピック弾きのエレキベースは妖しく蠢き、そしてブレイクはジャッキー・アブドゥラ・イブラヒム・吉川のドラム・ソロだっ。ツクツクトコトコボカボカドコドコジャ~ン!ってねえ。

 ここで聴かれる、いかにも”ベンチャーズのコピーをやっていた連中にロックなつもりのAm-G-F-E7のコード進行の歌謡曲を歌わせる”って方法論、これはまったく60年代末の日本で行なわれていたGSサウンド作りと変わりない。ネタも技術も同水準で、少なくともマレーシアと日本で当時、まるで同じ志向の音が偶然だか必然だか知らないが、作り上げられていた事がわかる。

 歌詞内容が分からないんだが、マレーシアGSの諸君も、霧に巻かれた古城で眠る清純な乙女のファンタジィを歌っていたんだろうか?、もしかして女もののタイツなんか履かされて。ステージでは失神かなんかかまして見せて。「本当に僕らのやりたいのはこんなのなんですけどねえ・・・」と戸惑いながら演じて見せるのはレコーディングはさせてもらえないストーンズ・ナンバーの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」だろうか。いやもうジミ・ヘンの「パープル・ヘイズ」をやっていたんだろうか。

 聴き返すごとに、映画監督・金子修介氏が著作「失われた歌謡曲」の中で発したフレーズ、「日本は東南アジアの国なんだ。戦争に負けた貧しい国なんだ」が脳裏に浮かんでならないのだった。
 そして、気が付けばサウンドの狭間からほのかに立ち上っているマレー歌謡臭。ガラム煙草の残り香のような・・・





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