ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

爆走アンカラリ

2011-09-13 02:04:07 | イスラム世界

 ”Dilara Bu Fasulye 7,5 Lira”by Ankarali Ayse Dincer

 なんだなんだなんだこの音楽は?と、ただいま、現在進行形で途方にくれている私なのであります。なんか、トルコの民俗系舞踏音楽だそうなんですが、とにかくこの土俗的狂騒状態は凄いよ。ジャンル的にはアンカラルと呼ばれる音楽とか。歌手の名前の頭に”アンカラリ”と付いているあたり、もうすでにただ事ではない雰囲気は漂っております。
 この音楽名はトルコの都市名であるアンカラと関係があるのかなあ?何しろ検索かけても何も出てこないんで、何の見当も付いてはおりません。

 ともかく宗教的秘儀っぽい奥深ささえ感ずるドンツクドンツクという重いリズムが終始鳴り渡り、アルバム最終曲までほとんど同じ調子で突き進む。その他楽器群も、バグパイプ系もサズ系もエレキ・ギターもシンセのタグイも、こいつらもやはり爆走状態に終始し、なおかつ、奏者の誰も土俗的フレーズ以外、まったく弾く気はないようだ。ともかく、ぶっ早く音符を並べちゃったほうが勝ちだ、とでも思っているかのように早弾きテクニック全開で走り回る。

 そしてアルバムの主人公であるAyse Dincer女史の歌声。これもとにかくパワフルに燃え上がるような情感込めて歌い倒す。吼え倒す、と言ってしまってもいいかもしれない、例のトルコ女性特有の喉をつめた発声で。で、歌声に山場とか谷間とかありません。最初から最後までリミット一杯行ってしまう。
 聴いているうちにナイジェリア最強の歌い手、アパラの故・アインラ・オモウラなんかを連想してしまった次第。音楽の個性、相当に違うけどさ。ともかくアルバム一枚吼えっぱなし、という姿勢に共通するものがある。あるいは、アルバム一枚を騒ぎ通してしまう、という意味では韓国のポンチャクと比べてみてもいいかも知れない。

 と、ひたすら呆れるだけでこの文章は終わりなんだけど、「実はアンカラリという音楽は、もっとしみじみとした音楽なのであり、この盤は特別なのだ」という説もあり、なにがなにやらますます分からなくなるのであります。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。