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”Dabkat Al Sharq ”
ダブケという音楽については以前にも書いたことがあるが、いや、まだまだ謎の多い音楽である。
どうやらアラブ世界におけるコミュニティのためのフォークダンスというから、盆踊りのための音頭とりの音楽というか、それこそあちら版の河内音頭のようなもの、と解釈すべきかも知れない。
まあ、フォークダンスなどと言う軟弱な(?)イメージの言葉で説明するのは相当に危険であって、ともかくその音楽、相当にタフなダンス・ミュージックなのである。
今回の盤にはシリアとレバノンで今日、踊られている現在進行形のダブケ音楽が収められているようだが、前回紹介の汎アラブものを上回るほどの奔放さ、力強さを誇っている。
伝統楽器と、その間に巧妙に配された電気楽器とで、非常にザックリとした線の太いリズムが打ち込まれる。「ハッ」とか「ウッ」とかかかる掛け声は、我が国で言えば「ソイヤソイヤ!」にでも相当するものなのだろうか。
入れ替わり立ち代り現れては野太い歌声を聞かせる男女の歌手もエネルギーに溢れており、「今日の、お上品になってしまったアラブ・ポップスにご不満な貴兄に」なんて紹介をしてみたくなるのだが、実際、古代からの遊牧民族の勇壮な魂の迸りを今日に伝える民俗芸能なのだろう。
高度に洗練され複雑に入り組んだ、今日のアラブ大衆音楽の芯の部分に存在する野太い骨格、そいつの正体を垣間見たみたいな気分にさせる生々しいお祭り物件である。