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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

おまたせクッキー

2006-06-13 15:39:29 | ひらきよみ(読み聞かせ)

 先週の金曜日は、今学期2回目の読み聞かせ当番の日でした。行ったのは、4年生のクラス。はい、娘が居るところです。

 「来てもいいけど、私の知らない本を読んでね」

 最近、娘からはそう言われているので、本選びも難しいし、家での練習もとってもこそこそ行っています。今回は、とくに厳しい状況でした。先週の月~水まで、風邪をひいて娘は学校を休んでいたので、ずっと家に居るんですもの。

 そんな中、私の選んだ絵本は、この本です。


おまたせクッキー
『おまたせクッキー』

 パット・ハッチンス 作
 乾 侑美子 訳




 一度くらい手にしたことがあってもよさそうなのに、今回の本探しで図書館で出会うまで、私自身も読んだことがありませんでした。(題名は知っていましたが‥)

 ほんとは、長新太さんが絵を描いている本で、今まで見たことがなかったものを、1ヶ月くらい前に「ひとめぼれ」して買ったので、その本を読もうかなと思っていたのです。そしたら、新パートナーのOさんが選んできた絵本も、偶然、長さんの絵本で‥でも、タイトルがあまりにも素敵なので、それを読んでもらいたく、自分の方を変更したわけなのです。

 
『うみのしっぽ』  内田麟太郎 文  長新太 絵

 ね、素敵な題名ですよね。
 川をこちょこちょとくすぐると、大きなさかなが、ひょいと飛んでくるんです。しっぽをいじられると、海がくすぐったがる、ということなんですよ~。たしかに、川と海は繋がっていますものね。内田さんらしい、スケールの大きな話です。

 
 さて。

 『おまたせクッキー』のほうに話を戻します。原題は『THE DOORBELL RANG』。ビクトリアとサムの兄弟が、お母さんが作ってくれたクッキーを、おやつに食べようとしていると、玄関のベルが鳴って、誰かがやってくる‥というお話です。 

 当然お母さんは、 「ちょうどよかったわ。いっしょに おやつをたべてって」 とやってきた子どもたちを迎え入れます。
 初めは、兄弟ふたりで、6枚づつ食べることができたクッキーが、トムとハナの出現により、いっきにひとり3枚づつに。そこにまた玄関ベルが鳴り、また2人お客様が増えました。

 「みんな 二つずつだ」

 
サムがすぐに一人あたりの枚数を数え直し、お皿を配ります。キッチンでは、ポットとおなべから湯気がではじめ、子どもたちの靴で汚れた床を拭くために、お母さんはモップを動かし続けます。

 ついには、テーブルは子どもたちで埋り、クッキーもひとり1枚づつに。

 
また ベルが、ピンポーンー

 
ピン ポーン!

 こどもたちは、自分のお皿の上のクッキーをただひたすら、見つめています。席を立って、こっそり誰が来たのかを確認したサム以外は‥。
 サムはドアの向こうに、たくさんのクッキーを抱えたおばあちゃんの姿をきっと目にしたのでしょうね。だから、お母さんが、「あなたたち、いまのうちに クッキーを たべちゃったら?」と言ったときも、 「いいよ、まってる」 と答えたのです。

 
 繰り返しのフレーズや、決まり文句は、絵本の「定番」で、小さい子でもすぐに、絵本に溶け込んでいくことができます。
 この『おまたせクッキー』も、キッチンという限定された舞台に、次々と人物が増えていき、自分が食べられるクッキーの数が、逆に、減っていくという、繰り返しのおもしろさを楽しむ絵本なので、低学年でも、十分についていかれる内容だと思います。(でも、ほんとにおもしろさがわかるのは、12÷4=3が、すぐに頭の中に思い浮かぶようになってからかもしれませんが)
 
 でも、それを「あえて」4年生のクラスで読んでみたのは、ベルが鳴り、人が増え、クッキーが減り、の状況の行き先を、どれくらい想像で楽しむことができるかなあと、思ったからです。
 1ページを読み終わってから、ページを繰るまでの時間もたっぷりとり、特に、ベルが二度続けてピンポーンと大きく鳴る場面では、「間」を意識して読んだつもりですが、どれくらい、私の読み方で、やってくる次の場面を思い描くことができたでしょうか‥。

 はっきりした色彩と、ビクトリアの家の黒い猫が、キッチンのいろんな場所から顔を出しているところなんかも、楽しい絵本です。

コメント (6)
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