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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

「こどものとも」のさらなる楽しみ・2

2006-06-21 15:40:35 | 思い出の絵本

 バックナンバーからの、さらなる楽しみ・2番目は、「え、この犬ってもしかして?」です。

 この犬とは、子犬の時はペンタ。大きくなってからは、ラスチョという名前です。

 
 私がペンタを知ったのは、「こどものとも年少版」2000年3月号(276号)、本の題名は
『ペンタとぼく』 長谷川摂子さんの文章に、アンヴィル奈宝子さんの絵です。その頃は
毎月「年少版」を購読していたので、そのうちの1冊、というわけです。

 そして、今回図書館のバックナンバーカゴで見つけたのが、同じく年少版のこの2冊。

 
『わたしのラスチョ』2002年2月号(299号) 
             降矢なな・文 アンヴィル奈宝子・絵
 『ラスチョのひこうせん』2006年2月号(347号) 
                アンヴィル奈宝子・作

 なぜ名前がペンタからラスチョに変わったのか‥という疑問は残りますが、バックナンバーの
カゴでこの2冊を見つけた時は驚きました。かわいがっていた子犬のうちの1匹を手ばなして、
数年後、思ってもいなかった場所で偶然見かけたような、そんな気持ちになりました。

 『ペンタとぼく』は、ふたりの1日の生活を、とても感覚的な文章で綴ったお話です。
「ぼく」がペンタを弟のように思っていることが、その語りかけからよくわかります。たとえば‥

  あさは いつ くると おもう?
  かおが ぬれているときは まだ。
  タオルで ぐるんと ふいたとき、
  あさは かぜと いっしょに
  「あさー」っていって とんでくるんだ。

 
あるいは‥

  ペンタ、だいこん だっこしてごらん。
  ずしっと おもたい だいこん あかちゃん。
  しとっと つめたい だいこん あかちゃん。

 
ふたりが水溜りをのぞきこんでいる場面では‥

 のぞいたら こわい。
 ものすごく ふかい。
 1000まんメートル むこうに
 そらが ある!
 おっこちたら どうしよう。

 
心に直接響く文章と、アンヴィルさんの描く表情豊なペンタと「ぼく」に、母である私のほうが
すっかり魅せられ、お気に入りの年少版でした。

 
 さて、ラスチョのほうですが
 『わたしのラスチョ』
の折込ふろくで、降矢さんの書いた文を読んでいたら、ペンタから
ラスチョへ変わったわけがわかりました。

 この絵本は、降矢ななさんが、絵ではなく、テキストを書いていることに大注目です。
 まだ、アンヴィルさんが、学生だった頃、この黄色い犬(後のラスチョ)はすでに紙の犬小屋、
紙粘土製の体で、台所の片隅のわずかな隙間に居たそうです。「あまりにも存在感があり過ぎて」
お客さんの視線を釘づけ。何人もの人に「この犬のお話、作ったらどう?」と言われたそう。
けれど当時のアンヴィルさんはお話作りよりも、もっと興味ある事があり、「待ちくたびれた」
降矢さんが、「とうとう我慢ができなくなって」短いお話を書いたそうです。
 降矢さんにとっても、他の人の作り出したキャラクターに話をつけるのは初めてで、ジレンマも
感じたそうですが、頭の中では「黄色い犬の映像はどんどん勝手に動き出して」いったとのこと。
 そんなエピソードの最後に、ちゃんとこう記されていました。

 ところで‥実は、この犬、数年前にすでに子役でデビューしているんです。コロコロして
いてかわいかったなぁー。興味ある方は、『なにたべた?』(年少版237号)と『ペンタと
ぼく』(年少版276号)を探して見てくださいね。

 そっか、ペンタは「子役時代」の名前だったのね、とすっかり納得した私は、もう1冊の
『なにたべた?』がとても気になっています。(もしどなたかご存知の方がいたら教えてください)


 「ぼく」と一緒に子犬時代を過ごしたラスチョは、すごい犬に成長しましたよ。

 りょうりは うまいし、
 マラカスを ふりながら うたも うたえるし、
 きかいいじりも すきなんだ。

 「やあ みんな、
  ドライブに いこう」

 すっごい ラスチョ、くるま つくっちゃったんだ!

 

コメント (4)
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