報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Sisters” 登場人物登場人物についておさらい 3

2017-05-28 13:56:07 | アンドロイドマスターシリーズ
 1号機のエミリー:

 “アンドロイドマスター”シリーズ初期から登場。
 というか、敷島が1番最初に会ったアンドロイドである。
 製作者は南里志郎。
 赤みとウェーブのあるショートボブの髪型に、ノースリーブのスリットの深いロングスカートの黒いワンピースを着ている。
 マルチタイプのトップナンバーということで、シンディも頭が上がらない相手である。
 マルチタイプの中では唯一、ローテンポのロボット喋り(文節ごとに区切った喋り方)をしていた。
 また、『自分で考えて行動できる』ロイドでありながら、『与えられた命令しかやらない』ロボットであり続けた。
 後にそれは「本当に仕えるべき」人間を見定めるが故の「演技」であったことが判明する。
 敷島が正に「本当に仕えるべきアンドロイドマスター」だと認め、喋り方も滑らかな口調になり、思考も自分で考えて行動するものに切り替える。
 南里の遺言上、オーナー登録を平賀から変えることはできなかったが、ユーザー登録を平賀奈津子から敷島に変えたことで、実質的に希望が叶ったことになった。
 それまでは妹のシンディが敷島の秘書、家ではメイドを務めていたが、今ではエミリーに交替している。
 但し、エミリーが検査や他の用件で離れる場合はシンディに交替してもらっている。
 マルチタイプである為、他のロボット達からの最上位種であり、メイドロイドやバージョンシリーズからは跪かれる側。
 但し、人間に対しては基本的に低姿勢である。
 ボーカロイド達からの信頼も厚い。
 かつてはマシンガン、ショットガン、マグナム、火炎放射器を右手に仕込んでいたが、国家公安委員会の通達により、火炎放射器以外の銃器を取り外された。
 代わりにレーザーガン(光線銃)を仕込んでいる。
 人間とは比べものにならないほどの耐久力と馬力、腕力を持っており、普通自動車くらいなら片手で軽々と持ち上げられるほど。
 マルチタイプの呼び名に相応しく、メイドからテロ対策まで何でもソツなくこなすことができるが、歌だけは歌えない。
 ピアノを弾くのが特技で、南里志郎研究所や東北工科大学の南里志郎記念館に展示されていた時は毎日17時にピアノ演奏をしていた。
 ロボットのフリをしていた頃は、ボーカロイドのMEIKOにバカにされてケンカするほどだったが、ロボットの仮面を脱ぎ捨てて、本当にマルチタイプとしての本性を見せると、MEIKOからケンカを売って来ることはなくなった。
 余談だが彼女らの着ているワンピース自体が鎧のようなものであり、防刃性・防弾性に優れている。
 前期型ボディの初期の頃は、その下に競泳水着のような装甲板を着けていた。
 後に露出が高くなり、今ではその服の下は同じ色のビキニになっている(これもまた防刃性・防弾性に特化した素材で作られている)。
 身長は175cm以上180cm未満である(足のパーツを交換する度に身長が数センチ前後する)、自重は製造当初は200キロくらいあったらしく、ボディブローだけで暗殺が可能だったくらい。
 現在は軽量化がかなり進んで150キロくらいまでになった。
 平賀に言わせると、もう少し更に軽量化が可能とのこと(但し、耐久性との兼ね合いがある)。
 ロボットだった頃は相手が敷島でも必要以上のことは喋らず、スキンシップも自分からはしなかったが、本性を出してからはシンディほど多弁ではないものの、自分から喋るようになり、自慢の巨乳を敷島に押し付けたりするなど積極性が増した。
 そのことを、知らない者に対しては「ソフトウェア変更によるもの」ということにしている。
 尚、平賀によってボディを一新されている為、今現在の状態を「後期型」と呼ぶこともある(「前期型」のデザインをほぼそのまま踏襲したので、見た目は殆ど変わっていない)。
 テーマ曲はロボットだった頃は“人形裁判 〜人の形弄びし少女”だったが、マルチタイプとしての本性を出してからは“パンデモニックプラネット”に変更になった(髪型と髪の色がヘカーティア・ラピスラズリに似ている)。

 マルチタイプ2号機:

 本作品未登場。
 エミリーが長姉なら、こちらは長兄という。
 男兄弟の中ではムードメーカーらしいが、作者のノートの中には姉弟達に対するスキンシップの度が過ぎているらしい。
 エミリーの「姉に・セクハラ・するなと・何度・言ったら・分かる?」と睨まれ、シンディには、「妹にセクハラすんなって何万回言わせんだっ、アニキ!!」と怒鳴れているシーンが書かれている。
 5号機のキール(をモデルにした執事ロイド)が登場した為、登場することは無かった。

 3号機のシンディ:

 “アンドロイドマスター”シリーズの2作目“アンドロイドマスター”より登場。
 服装はエミリーとほぼ一緒だが、エミリーの黒に対して青だった。
 金髪のロングで、向かって右側をサイドテールにしていた。
 前期型と呼ばれる、製作者であるウィリアム・フォレスト博士に付き従っていた頃は残虐なテロ・殺人兵器として稼働していた。
 南里志郎の葬儀の際にはウィリアムに命令されたとはいえ「御祝儀」を持って来て、平賀やエミリーの怒りを買った。
 “東京決戦”の際にはウィリアムのビルに侵入した平賀を追い詰め、ついには手持ちの大型ナイフで刺殺せんとした所まで行く。
 しかしメイドロイドの七海に妨害され、彼女を完膚なきまでに叩きのめした。
 再び平賀の殺害を決行しようとするものの、1番最初にウィリアムの所へ辿り着こうとした敷島がいた為、ウィリアムに呼び戻されて平賀は一命を取り留める。
 こんなことがあったものだから、後に後期型のボディを発見した敷島達によって回収されるものの、平賀などには再稼働を猛反対された。
 尚、前期型は暴走に暴走を重ね、ついにはブチギレながら製作者のウィリアムを惨殺するまでに至る。
 東京決戦終了後は、東京・多摩地区のスクラップ工場にて『死刑執行』された。
 こうして前期型としてのシンディは、完全にこの世から消えることになる。
 後にKR団との戦いの最中に発見した敷島達によって、予備として保管されていた後期型のボディを発見される。
 紆余曲折を経て再稼働を許された彼女だが、前期型の際に犯した罪の贖罪の為に、あえて前期型の記憶をインストールされている。
 後期型は何のウィルスにも汚染されていなかった為、本来の性格通り、多弁で高いコミュニケーション能力を発揮する。
 前期型のイメージを払拭する為、サイドテールから普通のポニーテールに変更した。
 いっそのことショートにするという案もあったが、オーナーであるアリスが反対した為、頓挫した。
 エミリーとは同型の姉妹機である為、性能などばほぼ同じである。
 得意な楽器はフルートなどの金管楽器。
 エミリーよりコミュ力が高い為、人によってはエミリーよりシンディの方が話しやすいらしい。
 姉とは違い、狙撃などの遠距離攻撃が得意な為、ショットガンではなくライフルを右手に仕込んでいたが、こちらも取り外されて光線銃に変わっている。
 テーマ曲は“千年幻想郷 〜History of the Moon”

 マルチタイプ4号機:

 5号機のキール:

 後に十条伝助博士によって製造される執事ロイド・キールのモデルになったマルチタイプ。
 証拠は無いが、実際に5号機のキールの製作者も伝助博士であると思われる。
 2号機の兄機と違ってクールな性格で、広範囲に及ぶ攻撃が得意だったとエミリーやシンディは述懐している。

 マルチタイプ6号機:

 7号機のレイチェル:

 オリジナルタイプは既に爆破破壊されているが、KR団によって復元された。
 1号機、3号機と違ってワンピースではなく、白いプラグスーツのような服を着ていた。
 大学生だった井辺を懐柔して組織のテロ活動の手伝いをさせたり、いくら末の妹とはいえ、諸元表的にはほぼ同じのシンディに苦戦させるほどの実力を見せた。
 体が半分ほど壊れてもまだ稼働できるほどの耐久性を見せていたが、従妹とも言える8号機のアルエットにとどめを刺されてようやく稼働を停止した。
 尚、本来の性格は博愛主義だったようで、年老いた十条達夫の介護をしている時が1番(人の役に立ったという意味で)嬉しかったという。

 8号機のアルエット:

 但し、オリジナルナンバーとしては7号機まで。
 8号機以降は仕様も全く変更されたものとなる。
 マルチタイプの軽量化・小型化を狙い、十条達夫博士に試作されたが、どう見てもロリ化です。本当にありがとうございました。
 見た目は鏡音姉弟のように中学生くらいの少女。
 燃料は水素電池である。
 その為、リチウムバッテリー駆動の他のロイド達と比べて毎日の充電は必要無いものの、水素電池であるが故に廃水が発生し、それをトイレで排水する必要があるという不便さが露呈した。
 エミリーやシンディを水素電池駆動に改造する案もあったが、これのせいで頓挫している。
 アルエット自身はエミリーやシンディを姉として慕い、エミリー達もそれを受け止めて可愛がってはいるが、姉達にとっては実妹というより従妹という感覚であるらしい。
 バージョン400(テロロボット、バージョン4.0の巨大化したもの)に乗って直接操作できたり、仕様変更機とはいえマルチタイプである為、下位機種のバージョン・シリーズに対して命令を出すことができる。
 通常は埼玉のロボット未来科学館に常設展示されている。

 萌:

 唯一の妖精型ロイド。
 名前はシリアルコードのMOE-409から取った。
 KR団最後の女性研究者、吉塚広美に製作された。
 東北地方の山あいにあるKR団最後のアジトに保管されていたが、井辺と一緒に脱出したことで、井辺を1番慕っている。
 羽で自由に空を飛ぶことができる為、科学館では人気者である。
 背中には折り畳み式の薙刀(手術用のメスのようなもの)とキーピックを背負っている。
 体高が30cmほどしか無い為、ダクトなどから侵入が可能であり、KR団としては潜入調査としての用途を目的として試作したものと思われる。
 入浴するのが大好きで、よく洗面台にぬるま湯を張っては入浴している。
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“Gynoid Multitype Sisters” 登場人物登場人物についておさらい 2

2017-05-28 11:59:19 | アンドロイドマスターシリーズ
 ボーカロイドについては(株)クリプトン・フューチャー・メディアの公式設定に基づいている。
 当作品ではオリジナルの設定しているボーカロイドのみを紹介する。

 初音ミク:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド1号機。
 敷島が当初勤務していた大日本電機(株)から急きょ出向先として指定された南里志郎研究所において、初めて出会ったボーカロイド。
 当初は持ち運びの為、体のパーツがバラバラの状態だった。
 製作者は南里志郎のようだが、『歌って踊れるアンドロイド』というだけで他の用途がよく分からないまま、敷島は彼女をプロデューサーとして売り込むことになる。
 もっとも、当初は初音ミク自体が歌えることを知らなかった。
 歌を聴いた人間の琴線に触れる何かを持っており、その歌を聴いて琴線に触れない人間はいないほどとされる。
 当初はロボットが歌うことに拒否反応を示されることが多かったが、現在では敷島エージェンシーのトップアイドルとしての地位を確固たるものにしている。
 後に電気信号を歌に換えて飛ばすことが可能ということが分かり、“東京決戦”では持ち歌の1つである『初音ミクの消失』(作詞・作曲:cosMo@暴走P)を歌って、テロロボット、バージョン・シリーズ軍団の動きの殆どを止めた(前期型シンディのすぐ近くにいた集団には効かなかった)。
 ライブではソロで歌ったり、他のボーカロイドと一緒に歌うことが多い。
 実は他のボーカロイドも含めて、歌うと人間の脳波に悪影響を与えるものが含まれていることが分かった。
 それが何なのかまでは分からなかったが、取りあえず、『鉄腕アトムのテーマ』だけが判明したので、それを歌うことを禁止している。
 最終的には人間の脳幹まで停止させる効果があることが分かり、初音ミクもまた兵器として開発されていたことが判明する。
 マルチタイプよりも危険ということでオホーツク海に海洋投棄されていたが、研究対象としては活用できると独断した平賀がエミリーに命じて回収させている。
 それ以降は平賀の責任で、ボーカロイドの研究を進めることになる。
 敷島に初音ミクの世話を命じたのは南里であっても、それ以降の口出しをしてこず、平賀が窓口になっていたのはその為。
 持ち歌の1つ『オホーツク旅情歌』(作詞:鈴木宗敏 作曲:彩木雅夫 編曲:HIROMU)の歌詞に重大な謎が隠されていたが、その理由は今もって不明。
 今のところ、稼働停止命令が外部から来たりしていることは無い為、敷島は今でも危険が発生しない程度で活動させている。
 イメージカラーはグリーン。

 MEIKO:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイドの中では1番最初に製造された試作機であるが、量産型の初音ミクと同様に第一線で今でも活動している。
 試作機である為、当初はナンバリングが無かったが、今では0号機というナンバリングになっている。
 エミリーとはケンカするほど仲が良い関係だったが、エミリーが変わってからはあまり関わらなくなったもよう。
 公式イラストを見てもらえれば分かるが、ボーカロイドの中では最も衣装の露出度が高い。
 登場回数やセリフはミクよりも多かったりする。
 試作機ということもあってか、仕様がミク達より違う所がある。
 持ち歌の歌詞については成人女性ボーカロイドということもあってか、大人向けのものが多い。
 現在は主にディナーショーなどを中心に活動している。
 イメージカラーはレッド。

 KAITO:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 MEIKOと同じく試作機で、こちらは成人男性型。
 こちらもナンバリングが当初無かったが、現在は00号機となっている。
 1番登場回数が少なく、セリフも少ない。
 ラジオ番組でパーソナリティーを務めるなど、けして仕事は少なくないのだが、敷島エージェンシーでは影が薄い。
 ボーカロイド小説などでは初音ミクを寝取ったり、他の女性ボーカロイドをたらし込んだりする女殺しとしての設定が多々あるが、あまり当作品では触れない。
 イメージカラーはブルー。

 鏡音リン:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド2号機(但し、レンと区別する為に『02-1』と表記されることもある)。
 事務所の中では最年少のボーカロイド。
 双子の弟機のレンでは姉機に当たる。
 語尾に「Yo」を付けたり、暇な時は事務所内で遊ぶなど無邪気さ加減ではトップ。
 但し、エミリーやシンディに怒られることも多く、その度にマルチタイプ姉妹を「鬼軍曹」と呼ぶ。
 弟思いなところがあり、レンが何かピンチに陥ると、プログラムを無視した行動を取ることが多々ある。
 設定年齢14歳ながら小節の効いた歌い方が得意で、演歌や和楽でも人気がある。
 ミュージカルやオペラにも出演したことがあり、主役の傲慢王女を演じた“悪ノ娘と召使”は大好評で全国公演にもなった。
 イメージカラーはイエロー。

 鏡音レン:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド2号機(但し、リンと区別する為に『02-2』と表記されることもある)。
 元々は製造予定が無かったが、急きょリンの諸元をそのまま流用して設定年齢を男にした為、実質的に双子の弟になった。
 性格はリンよりもしっかりしていて、リンのイタズラをフォローすることが多い。
 リンと違って彼女にピンチが訪れたら、まず敷島に報告するなど、姉と比べればまだ冷静である。
 ボーカロイドの中では1番身体能力が高く、特にブーツに仕掛けたブースターを駆使して、ライブ中にバック転宙返りを披露するなど、盛り上がり役を担っている。
 まだ、“悪ノ娘と召使”でも準主役を担うほどの名優ぶりを見せた。
 尚、ギロチンで首を刎ねられるシーンがある為、首と胴体が切り離されても稼働できるように改造されている。
 本来それは公演終了後、元に戻される予定だったが、何故だかそのままになっている。
 だがそれが功を奏し、前期型シンディに首と胴体を引きちぎられても、全く平気だった(シンディにバレないよう、引きちぎられた直後は壊れたフリをした)。
 一時期、同年代の人間の少女と交流していたことがある(まだ売れる前)。
 イメージカラーはリンと同じくイエロー。

 巡音ルカ:

 諸元については公式設定とほぼ同じ。
 ボーカロイド3号機。
 MEIKOと違ってミステリアスな大人の女性というイメージで売り出しているのだが、歌唱能力はミクより上ということもあってか、主にライブハウスなどでミクよりも売れていた。
 今でもソロで活動することが多い。
 口数の少ない設定になっている為か、パーソナリティーを務めるKAITOのラジオ番組に登場したことは無い。
 イメージカラーはピンク。

 MEGAbyte:

 新型ボーカロイドの結月ゆかり、ある程度稼働期間のあるLily、マルチタイプからの用途変更である未夢の3人ユニット。
 何もデータが蓄積されていないゆかりの前向きな姿勢、ボーカロイド劇場である程度人気を博していたのに財団崩壊で劇場が閉鎖されてしまったことを悔やむLily、稼働テストに失敗して廃棄処分寸前だった未夢という特殊な状態で活動を始めた。
 担当プロデューサーは井辺。
 全く売れていなかったが、ここ最近は週末のイベントやミク達の前座を務めるようにまではなった。
 その影の薄さに、KR団からは全く攻撃の対象にすらされていなかった。
 ナンバリングは別メーカーの為、設定されていない。
 イメージカラーについて、ゆかりは紫、リリィは黄色、未夢は白ということになっているが、Lilyの場合は鏡音リン・レンと被る恐れがあった為、もう一色加えて、黄・黒としている。
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“Gynoid Multitype Sisters” 登場人物についておさらい

2017-05-28 10:03:24 | アンドロイドマスターシリーズ
 敷島孝夫:

 ボーカロイド専門の芸能プロダクション、敷島エージェンシーの経営者。
 但し、出資金などは親会社の四季グループに出してもらっている。
 初音ミクなどのボーカロイドを抱えていたJARA財団が崩壊し、行き場を失ってヘタしたら廃棄処分になる恐れのあった彼女らを救うべく、敷島が本社に掛け合った。
 ロボットテロ組織ケイン・ローズウェル財団(略称、KR団)を崩壊させたが、今も尚その残党と思しき影と戦っている。
 親会社の親族から経営法などを教わりながらの会社経営だが、何とか売り上げは右肩上がりとなっている。
 その為、創業当初は墨田区菊川の雑居ビルに事務所を構えていたが、現在は江東区豊洲の高層ビル18階に事務所を移している。
 豊洲にした理由は不明だが、都内の高層ビルにしては珍しく、屋上が共有スペースになっているということで、マルチタイプ達の離着陸場として使えるかもと判断したから。
 但し、実際は1度も離着陸をしたことが無い。
 今まで謎に包まれていたボーカロイド達(特に、初音ミク)やマルチタイプ達の本性に近づきつつある。
 ゴールデンウィークに『北海道ボーカロイドフェスティバル』が行われる為、そこで何かをするつもりのようだ。
 アメリカ人妻アリスと息子のトニーと共に、さいたま市大宮区のマンションに現住所を構える。
 但し、平日は江東区東雲のマンスリーマンションで寝泊まりしている。
 会社から離れた場所に現住所を構えた理由は、アリスがさいたま市郊外のロボット研究所(現在は一般公開のパビリオン施設)に勤務している為。
 どんなテロに遭っても、ほとんど無傷で生還したり、逆にそのテロリストを人質に取ったりすることから、特に警察関係者からは『不死身の敷島』、テロ組織側からは『テロリストを泣かせる男』、イスラム過激派からは『アッラーをも恐れぬ男』と呼ばれている。
 四季グループ内では、『四季グループの“かりあげ君”』とも。
 実際の見た目は“かりあげ君”に似ていないが、いかにもテロの最中に自分1人だけ生還しそうな所からそう呼ばれたものと思われる。
 殺人テロロイドと化していた前期型シンディすら、その不死身さ加減にフリーズさせたほど。
 今でもロイド達からは、『実はサイボーグでは?』と疑われているが、彼女らがいくらスキャンしても『Human』と出る為、安心してください!人間ですよ!
 その為、人間型兵器としての用途にもなるマルチタイプ姉妹からも、敷島を倒せる確率がどう計算しても限り無くゼロに近く見積もられている。
 今まで『自分で考えて行動できる』ロイドでありながら、『与えられた命令しかやらない』ロボットであり続けたエミリーにその仮面を剝がさせ、本気で敷島に仕えたいと意思表示をさせた。
 前期型シンディが前面に立って敵対した“東京決戦”では、彼女に命令されて固まっていたテロロボット軍団の包囲をバスで特攻する根性を持つ。
 他にも色々あるのだが、主人公格の代わりとなる人間が他にいないのは事実である。

 井辺翔太:

 敷島エージェンシー創立後の社員第一号。
 都内の大学を卒業した後、世界一周バックパッカーになることを企てていたが、両親から猛反対を受ける。
 仕方なく就職活動を始めたものの、既に大学卒業直前ではなかなか採用してくれる企業があるはずもなく……。
 そんな時、新入社員を求めて母校の大学を訪れていた敷島と偶然会い、敷島にスカウトされる形で入社する。
 つまり、敷島と井辺は大学の先輩・後輩でもある。
 体付きは学生時代は中肉中背だったが、話数を重ねるごとに高身長の大柄な体型という設定に変更となった。
 大学生時代、アメリカに一人旅に出た経験がある為、英語は得意。
 日本語ペラペラのアリスに対し、普通に英語で会話したほど。
 経緯は不明だが、KR団によって復元されたマルチタイプ7号機のレイチェルに騙されてテロに加担させられたことがある。
 実際は運転手役だったり(レイチェルが爆弾テロに巻き込まれたという形だった)、怪しまれない為の同行役(警察も日本人連れの白人女がテロリストだとは思わない為)だったりとフォローするだけであり、直接爆弾を仕掛けるようなことではなかったが。
 但し、記憶操作はされていたようで、後でレイチェルが敷島達の前に敵対してきた時もすぐには気付かなかった。
 会社での仕事ぶりはよくできる方で、敷島に教わりつつのプロデュース業務であったが、事務所が豊洲移転後は総合プロデューサーの肩書きでもって、ボーカロイド個人に付いたマネージャー達を管理する業務を行う。
 その傍ら、ボーカロイドの結月ゆかり、Lily、未夢(当作品オリジナル)の3人ユニット“MEGAbyte”のプロデューサーも務める。

 平賀太一:

 敷島と同様、“アンドロイドマスター”シリーズの初期から登場。
 仙台市西部にある東北工科大学(架空の大学。モデルは東北工業大学)の教授。
 子供の頃からロボットが好きで、それが高じて自分で造ってしまうほどの天賦の才を持っていた。
 最初は人間型のアンドロイドには興味が無く、子供らしくむしろ合体ロボに興味があったくらいだが、最愛の姉を交通事故で亡くす(後にそれはKR団が将来敵対する恐れのある天才少年を子供のうちに殺す作戦であり、弟を庇って死んだ姉が巻き添えになったものだと判明する)。
 それ以来、合体ロボではなく、姉にそっくりなアンドロイドを造る方へと転向する。
 日本で最初にできたメイドロボット(後にメイドロイドへと改称)七海が、平賀の姉の面影があるのはその為。
 平賀の才能を見出した南里志郎が平賀を弟子にしたが、その為に才能をぐんぐんと開花させていく。
 若くして大学教授になったり、デイライト・コーポレーションの外部役員になったりしているが、それに驕ることなく、日々ロボットの開発に取り組んでいる。
 敷島以上にロボットテロを強く憎んでいる。
 “東京決戦”の際は危うく前期型シンディに殺されかけたが、七海の捨て身の攻撃により何とか助かる。
 その為、敷島のように『不死身』ではない。
 宮城県仙台市内に一軒家を構え、南里研究所時代の同僚だった赤月奈津子と結婚、一男一女に恵まれている。
 テロとの戦いからは一線を退いているように見えるが、実際は東京都内の大学に客員教授として訪れたり、講演会に呼ばれたりする度に、ボーカロイドやマルチタイプの点検をするなど、サポート役を引き受けている。

 アリス敷島:

 敷島のアメリカ人妻。
 但し、結婚したことで日本国籍に変えている。
 元々は世界的なマッドサイエンティスト、ウィリアム・フォレストの養孫であった。
 当作品では公表していないが、エミリーを遠隔操作して敷島達を攻撃させたり、南里研究所のサーバーを完全にダウンさせるほどの攻撃を行ってきた。
 最終的に鏡音リン・レンの特異な作戦により、業務用冷凍庫に閉じ込められて完全に敗北する。
 それ以降は紆余曲折を経て、敷島と半ば強引に結婚する(何故そのような経緯に至ったのかは18禁になる為、省く)。
 敷島が無精子症であった為、子供ができないことにノイローゼにまでなってしまうが、後期型シンディが怒りの電撃を放ったことで電気ショックとなり、何故だか精子ができたことでやっとトニーを授かる(※もちろん、実際の無精子症はそんなんで治りません。悪しからず)。
 現在は埼玉県さいたま市西部の郊外に建つデイライト・コーポレーションの研究所で、研究員として勤務する。
 そこが一般公開施設のロボット未来科学館となり、研究施設としては縮小されても残っている。
 後期型シンディのオーナーとして登録しており、敷島をユーザー登録させる。
 表向きは敷島の秘書やマンスリーマンション内における身の回りの世話役としての用途にさせているが、実際は誘惑の多い芸能界において、浮気を監視させる為である。
 勤務先の研究所が幾度と無くKR団の攻撃対象にされても、シンディを含むロボット軍団を配備させて応戦するほど。
 旦那の敷島ほどではないが、敷島の旧友の平賀よりは体力面・精神面において強いもよう。
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“大魔道師の弟子” 「東京から長野へ」

2017-05-27 16:49:01 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月29日09:10.天候:晴 JR渋谷駅前]

 ハチ公口付近に1台のハイエースが停車する。

 運転手:「はい、着きました。ありがとうございました」

 スライドドアが開くと、乗車していた宿泊客が降り始めた。
 車はホテルがやっている『お送りサービス』だった。

 稲生:「ありがとうございました」
 イリーナ:「Спасибо.」
 マリア:「Thanks.」

 1番後ろに乗っていた稲生達が最後に降りる。

 稲生:「自動通訳(魔法)、よく切れますね」
 イリーナ:「フリーWi-Fiが飛び交ってると切れやすいね」
 マリア:「見も蓋も無いこと言わないでくださいよ」
 稲生:「ま、とにかく電車に乗りましょう」

 稲生達は休日で賑わう渋谷駅の中に入った。

 稲生:「本当にタクシーじゃなくていいんですか?」
 イリーナ:「ええ。日本の鉄道は安全だしね」
 マリア:(タクシーで行こうとすると何か障害がある予知でもしたか?)
 稲生:「先ほどお渡ししたキップで、そのまま改札口を通れます」
 イリーナ:「了解」

 新宿から特急に乗り換えるが、乗車券は新宿ではなく、東京都区内になっている為。
 白馬までだと軽く片道200キロ以上となるので、乗車券はそうなる(200キロ以下だと東京山手線内となる)。

〔まもなく1番線に、新宿、池袋方面行きが到着します。危ないですから、黄色い線までお下がりください〕

 渋谷駅はホームが曲がっていて見通しが悪い為、ホームに駅員が2人立っている。
 やってきた電車は主力のE231系500番台(つまり、新型じゃない方)で、電子警笛を鳴らしながらやってきた。

〔しぶや、渋谷。ご乗車、ありがとうございます〕
〔「電車とホームの間が広く空いている所があります。足元にご注意ください」〕

 多くの乗客が降りてくる。
 因みに渋谷駅には、まだホームドアが無い。

 稲生:「久しぶりに渋谷駅から乗るなぁ……」

 稲生は運転室の後ろの窓に陣取った。
 発車メロディ(曲名:小川のせせらぎ)が鳴り響く。

〔1番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕

 ホームが曲がっている為、稲生達が乗り込んだ先頭車は最後尾にいる車掌からは見えない。
 そこで、ホームの前方に立っている駅員と後方に立っている駅員が連携して客扱い監視をしている。
 そして、ドアが閉まる。
 運転室内からは、運転士がハンドルをガチャガチャと手前に引く音が聞こえて来た。

 稲生:「ユウタ、どのくらいで着く?」
 マリア:「ものの5〜6分程度です」
 稲生:「そうなのか」

 電車が走り出してから、そんなやり取りがあった。

〔この電車は山手線外回り、新宿、池袋方面行きです。次は原宿、原宿。お出口は、右側です。地下鉄千代田線と地下鉄副都心線は、お乗り換えです〕

 稲生:「あの、マリアさん……」
 マリア:「なに?」
 稲生:「そのブレザーですが……」
 マリア:「師匠に何か言われた?」

 マリアはチラッと後ろを見た。
 イリーナは座席に座っている。

 稲生:「マリアさんのブレザー、勝手に一晩預かってて、すいませんでした」
 マリア:「いや、いいよ。酔っ払って脱ぎ捨てた私が悪い」

 マリアのブレザーは緑色と言っても、今乗っている山手線のラインカラーであるウグイス色(車体色名。正式名称としては「国鉄黄緑6号」というので、「黄緑色」と呼んでも良いことになる)ではなく、埼京線の緑色(国鉄緑15号)に近い。
 他に実際、黄緑色に近いものやエメラルドグリーン(国鉄青緑1号)、更にはJR東日本のコーポレートカラーに近い緑(いわゆる、モスグリーン)のものも持っている。
 これはマリアが表向き好きな色が緑色だからというのもあるのだが、実際は契約悪魔であるベルフェゴールのシンボルカラーが緑だからである。
 ベルフェゴールから多大な魔力を受けている為、その証としてシンボルカラーを服飾の一部として使用しているだけに過ぎない。
 その為、イリーナも契約悪魔がレヴィアタンなのだが、こちらはピンク色がシンボルである為、今着ているドレスコートがピンク色なのはその為である(実際は鴇色や桃色としてのピンク色ではなく、レッドパープルに近い)。
 エレーナもマモンと契約したが、マモンは青色である為、それまでは魔女らしい黒い服を着ていたのだが、青い服を用意している。
 で、稲生が内々定している“色欲の悪魔”だが、こちらは紫色らしい。

 稲生:「やっぱりマリアさんには緑色が似合います」
 マリア:「ベルフェゴールが寂しがるもんでね。別に、嫌いな色ってわけじゃないんだけど」

 その為、夏はさすがに暑いのでブレザーは着ないが、代わりに薄緑色のブラウスを着るなどして対応している。

 稲生:「僕は紫かぁ……」

 稲生は東京メトロ半蔵門線のラインカラーを思い出した。

 稲生:「僕には似合いそうに無いなぁ……」
 マリア:「別に、パープル一辺倒でなくてもいい。大昔はだいぶこだわっていた悪魔達だけども、今はそこまで拘らないみたい」
 稲生:「そうなんですか」
 マリア:「よく見たら師匠の服、マゼンタだぞ。どちらかというと紫系の」
 稲生:「ありゃ?」
 マリア:「確か、ユウタが持っているスーツで、紺色のヤツがあるだろう?」
 稲生:「1着ありますね」
 マリア:「黒に近い紫色……何て言うのか知らないけど、そういう色のスーツでも買って着ればいいんだよ」
 稲生:「なるほど」

 稲生はポンと手を叩いた。
 後ろではあまり納得してなさそうな某色欲の悪魔がいたが、マリアが冷たい視線を送った。

 マリア:「他に契約してくれる魔道師もいないんだから、それくらい妥協しろ」

 と言った。

[同日10:04.天候:晴 JR新宿駅→特急“あずさ”55号8号車内]

 隣のホームから定期列車の“スーパーあずさ”11号が発車していく。
 稲生達が乗っている臨時列車はその後追いをしていくわけだが、先発列車と比べて停車駅が多いので、ダイヤ通りであるなら追い付くことはない。

 稲生:「新宿駅で少し時間があるからということで、少しエキナカを回ったわけですが……」

 稲生はグリーン席上の網棚に荷物を置いた。

 稲生:「最後の最後で『爆買い』しましたね」
 マリア:「何かきっかけが無いと、なかなか家の外に出ないからね。買い物は人形やユウタが行ってくれるからいいんだけど……」
 稲生:「村の中心部へ向かうバスが1日3本しか無い状態ですからねぇ……」

 それも、屋敷の最寄りバス停が、明らかに稲生くらいしか利用しないような所だ。
 網棚に乗せた荷物は、購入した日用品が入っているバッグだった。

〔「お待たせ致しました。10時4分発、中央本線特急“あずさ”55号、白馬行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから発車メロディが微かに聞こえてくる。
 タイトルは“see you again”という、正に長距離列車に相応しい曲名なのだが。
 列車は新型車両のVVVFインバータの音を響かせて発車した。
 前に座るイリーナはリクライニングを倒して、早速寝入っている。

 稲生:「何だか大変な旅行でした」
 マリア:「大師匠様が、よくゾーイの幻影から逃れられたと驚かれていたみたいだな」
 稲生:「まあ、脱出ゲームは既に何度もやって……」
 マリア:「は?」
 稲生:「あ、いや、何でも無いです」

 マリアの屋敷において、自室として与えられた稲生の部屋に、テレビゲームが設置されていることはあまり大っぴらにしたくない稲生だった。

 マリア:「ま、師匠も寝てるし、帰りは何事も無く着けるだろう」
 稲生:「そうですね」

 臨時列車はそろそろ暑くなってくる日差しを背に、まずは北、それからすぐに西へと進路を取った。
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“大魔道師の弟子” 「一夜明けて」

2017-05-27 11:17:13 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[4月29日07:00.天候:晴 東京都渋谷区 ドーミーイン渋谷神宮前]

 イリーナ:「うーん……」

 イリーナは設定したモーニングコールで目を覚ました。

 イリーナ:(魔力が強いってのも楽じゃないねぇ……)

 隣のベッドでは直弟子のマリアが酔い潰れて眠っている。
 さすがにもう酔いは醒めただろうか?
 イリーナは起き上がると、ライティングデスクの上に乗せた白紙の手帳に何かをロシア語で書き込んだ。
 それは夢日記。
 イリーナは予知夢をよく見るので、それを手帳に書き込んでいるのだ。
 人によって見る夢の背景は、モノクロだったりカラーだったりする。
 イリーナの場合、どちらも見るが、それだけなら大勢に影響は無い。
 要注意なのは、その背景が赤色になっている場合。
 ほぼ100%の確率で発生するフラグといっても良いもので、しかも大凶夢である。
 イリーナはそれを『赤い夢』と呼んでいるが、今回はそれが無かった。
 もちろん予知夢である為、それを見た後で、自分は回避することは可能。
 多くの場合は、イリーナ1人では食い止めることができない場合が殆ど。
 食い止めることができる場合、もう『赤い夢』として見ることが無い。
 実は今見た夢の中に、稲生の死亡フラグがあったのだが、ほぼ簡単に回避できるものだったので、『赤い夢』としては登場しなかった。

 イリーナ:「マリア、そろそろ起きなさい」
 マリア:「う……」

 イリーナが揺り動かすと、マリアはだるそうにしていた。

 マリア:「……あと5分……」
 イリーナ:「ダメよ。私がそう言った時、すぐに起こすでしょう?分かったら、あなたもすぐに起きなさい。ほら!」

 イリーナはマリアの上半身を起こした。
 ホテルに戻る前から良い潰れていたので、昨日着ていた服のまんまだ。

 マリア:「頭痛い……」
 イリーナ:「昨夜、飲み過ぎたからね。ポーションがあるから、それを飲みなさい」
 マリア:「昨夜……。えっと……」
 イリーナ:「深くは思い出さない方がいいよ。それより、早くその服着替えてお風呂に行こう。せっかくユウタ君が大きなお風呂のあるホテルを取ってくれたのに、まだ入ってない」
 マリア:「はあ……」

 マリアはベッドに座ると、しわしわになったブラウスを脱ぎ始めた。
 何の疑いも無く下着を替えていると、ふと気づいた。

 マリア:「師匠、私のブレザー知りませんか?」
 イリーナ:「あんた、酔っぱらってて暑いなんて言って、思いっ切り脱いでたじゃない」
 マリア:「は!?」
 イリーナ:「ユウタ君の前でスカートまで脱ごうとしたものだから、私が慌てて止めたんだからね」
 マリア:「……そうでしたっけ???(;゚Д゚)」
 イリーナ:「ユウタ君は昨日、お風呂に入ったのかな?ちょっと聞いてみましょう」

 イリーナはデスク上の電話機を取ると、それで稲生の部屋に掛けた。
 部屋同士、内線が掛けられる。

 イリーナ:「ん?あれ?」
 マリア:「どうしたんですか?」
 イリーナ:「なかなか出ないわねぇ……。まだ寝てるのかな?それとも……」
 マリア:「ユウタも酔い潰れてました?」
 イリーナ:「あなたが先に酔い潰れたものだから、それどころじゃなかったよ」
 マリア:「うっ……!」
 稲生:「はいっ、もしもし!稲生です!」
 イリーナ:「あっ、ユウタ君、おはよう。どうしたの、そんなに慌てて……」
 稲生:「あっ、いや、すいません!お待たせしました……」
 イリーナ:「別にいいのよ。昨夜は大変だったもんねぇ……」

 イリーナ、チラッとマリアを見る。

 マリア:「もうカンベンしてください……」
 イリーナ:「それでね、マリアったらまだお風呂入ってないから、これから行こうと思うんだけど、一緒に行く?」
 稲生:「あ、はい。行きます」

 その時、マリアがイリーナから受話器を奪い取った。

 マリア:「ユウタ!私のブレザー知らない!?」
 稲生:「ブっ、ブレザーですか!?じ、実はお預かりしています」
 マリア:「すぐ返して!」
 稲生:「わっ、分かりました!今、持っていきます!」

 イリーナはその間、稲生がどうして慌てたのか、どうしてすぐに電話に出なかったのかを水晶球で見てみた。

 イリーナ:「あー……若いっていいねぇ……」

[同日08:00.天候:晴 同ホテル]

 今回はマリア達の下着がパクられることは無かった。

 稲生:「ふう……」

 稲生は先に出て待っていたが、女湯から出て来たのはイリーナだけだった。

 稲生:「あっ、先生」
 イリーナ:「マリア、もうすぐ来るよ」
 稲生:「分かりました。このままホテルのレストランで朝食にしようかと思いますが、いいですか?」
 イリーナ:「そうしよう。今度は何でもいいよ」
 稲生:「はい」
 イリーナ:「昨夜は大変だったねぇ……」
 稲生:「そうですね。でもまあ、マリアさんの意外な一面が見れて……何か、良かったです」
 イリーナ:「うんうん、そうだね」

 するとイリーナ、こそっと稲生の耳元に寄る。

 イリーナ:「ユウタ君、マリアの匂いは良かったかい?」
 稲生:「ええっ!?」
 イリーナ:「その人の体臭がいいと思えば、それは体の相性が合うってことだよ」
 稲生:「あの……その……」
 イリーナ:「私もそうだけど、マリアもコーカソイドだから、体臭は結構あるんだよね」
 稲生:「はあ……」
 イリーナ:「電話に出れなかったのは、ちょうど『絶頂』にいたからかい?悪かったね。とんでもない時に電話しちゃって」
 稲生:「すいませんでした」
 イリーナ:「いやいや、あなたが謝ることはないよ」
 稲生:「ちゃんとファブリーズしておきましたから」
 イリーナ:「あー、それは余計だったかもね」
 稲生:「えっ?」
 イリーナ:「さっきお風呂でマリアに、『あのブレザーが一晩、ユウタ君という男の子の部屋に預けられていた意味を考えてみましょう』という課題を与えてみたの。そしたらね、『しばらく洗いません』だって」
 稲生:「え……?」
 イリーナ:「そこで稲生君へ、私という先生からの課題。『その答えに対する意味を考えなさい』」
 稲生:「か、課題の提出期限は?」
 イリーナ:「自由よ。むしろ、提出してもしなくても構わない。いや、むしろ提出先は私じゃなくてマリアの方がいいかな?ま、とにかく課題に対する答えを出したという所をいつの日か見せてくれればいいわ」
 稲生:「わ、分かりました」

 すると、そこへようやくマリアがやってきた。

 マリア:「遅くなりました」
 イリーナ:「はいよ。それじゃ、今度は朝食と行こうかね」

 イリーナは相変わらずの調子で向かい、後に続く2人の弟子は何となくぎこちなかった。
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