報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「デートの終わり」

2024-07-29 16:10:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月23日15時21分 天候:曇 東京都墨田区菊川 都営地下鉄菊川駅→愛原家]

 

 リサ達を乗せた京王電車……都営地下鉄新宿線内を走行中の京王電車だが、ダイヤ通りにトンネル内を走行していた。
 そして、菊川駅のホームに滑り込む。

 愛原「いよいよ、お出掛けも終わりだな」
 リサ「このままどっか遠くへ逃げたいなぁ~」
 愛原「何言ってるんだよ。この電車じゃ、遠くて千葉県市川市にしか行かないぞ」

 東京都営地下鉄なのに、終点が千葉県の都営新宿線。
 まあ、それを言ったら、東京メトロなのに、終点が千葉県の東西線もあるが。

 リサ「そこから京成線に乗り換えて成田空港」
 愛原「オイオイ……」
 リサ「……というわけには行かないかw」
 愛原「そりゃそうだw」

〔2番線の電車は、各駅停車、本八幡行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 2人は電車から降りた。
 すぐホームに、短い発車メロディが鳴り響く。

〔2番線、ドアが閉まります〕

 そして、ホームドアと車両のドアを閉めて、電車はトンネルの向こうに走り去って行った。
 出て行く時も、ホームには強風が吹き荒ぶ。
 リサの短いスカートが少しだけ捲り上がり、チラッと愛原の目にリサの黒いショーツが目に入った。
 制服ファッションに身を包んでいるものの、スカートの下にはブルマもスパッツも穿いていないらしい。
 スパッツは暑いから嫌だとリサは言う。

 愛原「今日はコンビニには寄らずに、そのまま真っ直ぐ帰るぞ?高橋達が待ってるからな」
 リサ「分かったよ」

 リサはニッと笑った。
 黒いマスクさえしていなければ、牙が覗いたことだろう。
 エスカレーターを昇って、コンコースに出る。
 さすがにリサもこの時はスカートを気にしていて、後ろ手で裾を押さえていた。

 愛原「それにしても、オマエも考えは人間に近くなってきたな」
 リサ「えっ、そう?どの辺が?」

 改札口を出て、今度は地上に向かう。

 愛原「スカートが捲れそうになった時に気にするようになったのと……」
 リサ「ゴメンね。先生には見せてもいいんだけど、他の人には見せたくないからね」
 愛原「いや、それでいいんだよw あとは……さっきの話」
 リサ「さっきの話?」

 リサは首を傾げた。

 愛原「ほら、『遠くへ逃げよう』って話」
 リサ「えっ、なに?まさか、今から本当に実行しようって?」
 愛原「違う違う。そういう発想が、人間に近いってことさ」
 リサ「そうなの?」
 愛原「そうだよ。例えば、エヴリンの例だ。研究所に行きたくないからと、移動中の貨物船内で暴走して、バイオハザードを引き起こしたわけだが……」
 リサ「ああ、あれね。お子様だよねw」
 愛原「リサなら、どうする?」
 リサ「うーん……。まあ、船内ではバイオハザードは起こさないかな。どうせ逃げ場無いし。わたしが船を操縦できるってんなら、確かに全員ゾンビ化させた後、自分で船を操縦して逃げるけどさ。実際できないし。降りたところを狙うかもね」
 愛原「そうだよな。もしもお前がエヴリンだったら、さっきの電車に特異菌をばら撒いていただろう」
 リサ「ねー。そんなことしても、何の解決にもならないのにね。皆バカなんだよ。ある意味、『大人しくしている』ことが最良なのにね」

 霧生市のバイオハザード。
 郊外山中にあった日本アンブレラの研究施設で事故が発生し、施設内のセキュリティシステムがダウンしてしまった。
 その隙に施設内に飼育されていた実験生物達は脱走し、それは日本版リサ・トレヴァー達も同様だった。
 しかし、ここにいるリサだけは施設内に留まった。
 ここにいる『2番』のリサ以外のリサ・トレヴァー全員が後に殺処分されたことを考えると、あの時の『2番』のリサの判断は正しかったと言える。
 今でも個体番号の『2』という数字は、左脇腹の下に入れ墨として入ったままだ。
 尚、最後に日本版リサ・トレヴァーとなり、『12』の数字を与えられた善場優菜は、後に『0』となっている。
 善場の左脇腹の下には、『12』という数字が消され、代わりの『0』の数字が入っている。

 愛原「分かってるじゃないか。賢くなるのも、人間に近づく方法の1つだよ」
 リサ「だよね!」

 そんなことを話しながら家に帰る。

 愛原「ただいまぁ……」

 1階からは、エレベーターで3階に上がった。

 高橋「先生、お帰りなさい!……おい、先生に荷物持たせるとは何だ!?」
 リサ「いや、わたしも持ってるから!」

 

 リサは制服の入った紙袋や、ドンキの袋を床に置いて高橋に反論した。

 愛原「まあまあ。お前達にも土産はあるから」
 高橋「えっ、マジっスか?」
 愛原「ドンキでも酒は売ってるからな。これで今夜は一杯やろうや」
 高橋「いいっスね」
 リサ「ちょっと着替えてくるね?」
 愛原「ああ」
 リサ「……見る?」
 愛原「い、いや、いいよ」
 リサ「遠慮しなくていいのにw」
 高橋「いいから、さっさと着替えて、夕飯作り手伝え!」
 リサ「はーいw」

 リサはペロッと舌を出すと自分の荷物を手に、階段で4階に上がった。

 リサ「わたしのブラウスは……いっか。前みたいに、脱衣カゴに入れとけば」

 そして、自分の部屋に入って、服を脱いだ。
 制服風の服だけでなく、下着や靴下も全部脱いで全裸になると、ベッドにダイブする。
 人間形態から鬼形態になって、大の字になった。
 顔は解放感に満ちた笑顔になっている。

 リサ「これが1番落ち着くー!!」

 しばらく解放感に浸った後は、ドン・キホーテで買った新しい下着を取り出すと、それを着始めた。

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