報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「ガイノイドの帰京」 2

2016-03-28 19:21:01 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月12日13:00.天候:晴 東京都墨田区菊川・敷島エージェンシー 井辺翔太、鏡音リン・レン、MEIKO]

 敷島とシンディは新幹線を大宮駅で降りた。
 恐らく、大宮近辺の一部だけ雷警報が発令されたことだろう。
 ボカロ達は東京駅まで乗り、井辺が迎えに来た車に乗って事務所まで戻った。

 井辺:「それでは皆さん、仙台までの遠征、お疲れさまでした。仕事の方はほぼ成功だと、社長から伺っております」
 MEIKO:「お安い御用ですわ、プロデューサー」
 リン:「リン達なら、宇宙までもライブに行っちゃうYo〜!」
 レン:「リン、宇宙ステーションにライブできる所なんて無いよ」
 井辺:「頼もしい言葉です。しばらくの間は都内での仕事が中心になりますので、明日からまたよろしくお願いします」
 リン:「明日?」
 井辺:「はい。急きょ、こちらに回してもらえるイベントの仕事があるということで、鏡音さん達が御指名です」
 リン:「おぉ〜!」
 レン:「お役に立てて何よりです」
 井辺:「詳細については、後ほどお2人のデータに送信しておきます」
 レン:「お願いします」
 井辺:「MEIKOさんは本日18時より、京王プラザホテルでディナーショーが入っております。明日の仕事はオフで、都心大学工学部で全般整備に入ります」
 MEIKO:「分かりました」
 井辺:「それでは、よろしくお願いします」

 ロイド達相手でも丁寧な対応をする井辺。
 本来の担当はMEGAbyteなのであるが、だいぶプロデューサー業務にも慣れて来たようで、敷島のいない間は売れっ子ボカロのマネジメントも手伝っている。

 リン:「ねぇ、プロデューサー。みくみくは?」
 井辺:「初音さんは、大江戸テレビで旅番組にゲスト出演しております」
 リン:「おぉ〜!売れっ子じゃん!」
 井辺:「明日のイベントにはマスコミも取材に来ますから、鏡音さん達もテレビに映ると思いますよ」
 リン:「やった!」
 レン:「歌が歌えるんですね」
 井辺:「はい。お台場でのイベントですので、海に因んだ歌を歌って頂くことになります」
 リン:「“リグレットメッセージ”とか?」
 レン:「あまり明るい歌じゃないから、いいのかな、それ?」
 井辺:「いいと思います」
 レン:「えっ?」
 井辺:「鏡音レン君には、“Re-birthday”を歌って頂くことになりそうなので」
 レン:「それ、海と関係あります?」
 リン:「レン、歌えるだけでいいじゃない」
 レン:「まあね。少し、声出ししてきていいですか?」
 井辺:「どうぞ。調子の悪い所がありましたら、すぐに教えてください」
 レン:「分かりました」
 リン:「るりら〜♪るりら〜♪」

[3月12日13:30.天候:曇 埼玉県さいたま市大宮区・とあるレストラン 3号機のシンディ、敷島孝夫、アリス敷島、トニー敷島]

 敷島家、親子水入らずのランチなので、シンディは外で待っている。
 黒スーツにサングラスを掛けているその出で立ちは、まるで女性SPのようである。
 スリットの深いロングスカートが特徴のワンピースをいつも着るわけではないということ。
 今回のように、あくまで敷島家のSPとしての役回りである時はスーツにサングラスという姿になることがある。
 そんなシンディの耳(集音マイク)に、こんなやり取りが聞こえて来た。

 アリス:「タカオ、お会計よろしく……って、何逃げてんの、アンタわ!?」

 アリス、会計ばっくれようとしたダンナを羽交い絞めにする。

 孝夫:「いでででで!ちょっとトイレに……!」
 アリス:「トイレはあっちよ!今絶対、外に出ようとしてたでしょ!?」
 孝夫:「い、井辺君に電話しないと……!」
 アリス:「シンディに頼めば代わりにやってくれるでしょ!?言い訳しなさんな!」

 シンディ、オーナー並びにユーザー夫妻のやり取りに溜め息をつく。

 シンディ:(これが『ケンカするほど仲が良い』ってヤツなのかしら)

 と、そこへ、シンディの目の前をバージョン4.0が通過する。
 右腕には『17』とペイントされていた。
 シンディの方を向いて、ペコリと頭を下げる。

 シンディ:「ああ」

 シンディも頷いた。
 普通に稼働しているだけか。
 手にエコバッグを持っている所を見ると、オーナーから買い物でも頼まれたのだろう。
 するとその17号機、とある幹線道路の方を向いた。
 その視線の先には、横断歩道の前で待っている5歳くらいの男の子がいた。
 車の往来は途切れることなく、渡れずにいる。
 だが、シンディはそこは心配していなかった。
 ただ、慌てて飛び出さないかは気になっていたが。
 そこへ17号機が幼児の所へ向かって行く。

 シンディ:「あ?渡れないようだから手伝うって?それはいいけど、子供を反対側に投げたらブッ壊す」

 シンディは17号機の行動を読んだ。
 17号機は子供を抱き抱えた。
 その仕草はかつてテロリズム用途とは思えぬほど優しいものであったが、シンディの嫌な予感は当たった。

 シンディ:「くぉらぁーっ!何やってんだーっ!!」

 17号機は横断歩道を無理に渡り出した。
 たちまち、事故多発地帯と化す交差点。

 シンディ:「感応式信号だから、ボタン押せば済む話だろうが!」
 17号機:「横断歩道ハ、歩行者最優先デス」
 シンディ:「それは信号機の無い横断歩道の話!」

 子供は無事であったものの、大型トラックが1台大破、乗用車が3台大破、うち1台が炎上。
 そもそも信号機自体が車の衝突により倒され、信号機自体が消灯したという。
 信号無視はダメ。ゼッタイ。

 孝夫:「よーし!信号が消えたということは、横断歩道渡り放題だな!でかしたシンディ!」

 店から出て来た孝夫は、交差点内がパニックになっているのを横目に、横断歩道をダッシュした。

 シンディ:「はあ!?アタシ何もしてないよ!」
 アリス:「シンディ、捕まえて!タカオのケータイに、どう見ても仕事関係以外の女の電話番号が入ってたのよ!」
 シンディ:「かしこまりました!オラぁっ!責任取って、テメェも手伝うんだよ!」

 シンディは17号機の首根っこを掴み上げた。
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本日の動静 0328

2016-03-28 17:29:50 | 日記
 皆様のおかげで祖母の初七日供養まで、無事に終わらせることができた。
 曹洞宗では(寺院にもよるのだろうが)、納骨は四十九日の法要が明けてからなのだそうだ。
 それまでは実家の仏間に祭壇を設け、そこに保管しておくことになる。
 ただ、経済誌の記者をやっている弟に言わせると、実は四十九日の意味は無いのだそう。
 大昔から行われている慣習に従って行っているだけで、どの宗派も四十九日の意味を説明することができないはずだと言う。
 てことは、それはつまり初七日もそうだということか。

 例えば故人が臨終した後、すぐに荼毘に伏せない理由は聞いたことがある。
 これは父方の菩提寺の僧侶(真言宗)から聞いたのだが、閻魔大王の所にその故人が臨終したことを知らされていないことが稀にあるのだそう。
 人間ならすぐに関係部署に問い合わせるところだが、強権を持った閻魔大王は聞いていない人間は自らの権限で追い返すらしい。
 追い返す。
 つまり、息を吹き返すということだな。
 だから、臨終しても1日は遺体をそのままにしておくのだということだ。

 ま、破折として、大昔は死亡の定義も曖昧だっただろうから、死亡したと見せかけて単なる仮死状態だったりして、何らかの拍子に息を吹き返すこともあっただろう。
 そういうことではないかと私は思う。
 夢の無い話だが、科学が発達するということは夢を消すことでもあるのだ。
 なので、今は医師が死亡判断をしたら、即座に火葬しても何ら問題は無い……はずだ。

 尚、真言宗は戒名代が高い上、僧侶もかなりお高く留まっている感じである。
 これは真言宗は、比較的社会的地位の高かった檀家が集まっていたからだと思われる。
 日蓮正宗は……恐らく戒名代の相場は他宗と比べて安かったと思われるが、創価学会が吊り上げた恐れがある。
 まあ、普段から寺院参詣して財の供養をしている分には、そんなに高い戒名代も取らないだろうと信じたい。

 あと、私の実家の方では、納棺の時に花や故人の大事にしていたものを入れるだけでなく、小銭を入れる習慣がある。
 これは三途の川を渡る時の運賃や、『地獄の沙汰も金次第』の為だと言われている。
 私の小説に登場する冥界鉄道公社も、当初は三途の川に架けられた鉄橋を渡る高架鉄道という設定だった。
 現世側の人口が急増したことで、その分、臨終する亡者の数も急増した。
 その為、三途の川を渡る舟だけでは追い付けず、鉄道が開通したという設定だ。
 親族全員が入れたものだから、結構な額になった。
 これで冥鉄のグリーン車に乗れるかな?と思ったが。
 尚、冥鉄の運賃は時価という設定である。
 なぁに、向こうの職員がボろうとしてきたら、日蓮正宗信徒たる私が、仏法を使って後押ししてあげよう。
 日蓮正宗の塔婆を使えば、特急料金くらい何とかなるだろう。

 閑話休題。
 今日は1日オフ。
 午前中はネットサーフィンして、午後は大江戸温泉物語に行ってサッパリしてきた。
 地下鉄東西線が開通した為、その前と比べると公共交通機関で割と行き易くなった。
 あくまで、割と、である。
 物凄く便利になったとは思えない。
 元々が家からだいぶ離れた既存のバス停から、1時間に1本のバスに乗り、それで30分以上も揺られなければならないほどに不便だったのだ。
 今は私の実家から徒歩5分の薬師堂駅より荒井行きに乗り、終点で下車。
 荒井駅から仙台市営バスの鶴巻循環に乗れば良い。
 遠回りルートと近回りルートの2つがあって、これが1時間おきに運転している。
 つまり、実質30分に1本というわけだ。
 遠回りルートに乗っても、降りるバス停が同じであれば、近回りのルートで向かうのとバス運賃は同じ170円。
 地下鉄の運賃が250円だから、420円か。
 確か、従来のバス運賃もこれくらいだったと思う。

 バスは工場団地を通って行くので、夜はあまり治安が良くないかもしれない(それでも何か大きな犯罪が起きたというニュースは無いが)。
 大江戸温泉物語のある場所は、産業道路という夜でも交通量の多い幹線道路沿いにあるので、そこでバスを待つ分には大丈夫かもしれない。
 保証はしないけどw
 昔は暴走族のルートになっていた道路だからね。
 今でも週末になると、遊び好きの兄ちゃんが乗っていると明らかに判断できる車がよく通過している。
 まあ、明るいうちは大丈夫だ。

 平日だから空いている方の部類には入るのだろう。
 ただ、春休みだからか、子供の姿が多く見られた。
 イリーナと同じく、作者の私も風呂上りにマッサージを受けたが、肩と足がガチガチだったらしい。
 肩が凝るのはPCのせいだし、足が張っているのは普段の仕事のせいだろう。
 ま、1時間ほどやってもらったおかげで、今は楽だ。
 東京・お台場の大江戸温泉物語では送迎バスが頻繁運行されており、仙台の方も運行しているが、そちらは申し訳程度の本数だ。
 皆車で来るので、利用者が少ないのだろう。
 いくら地下鉄開通前より割と便利になったとはいえ、地下鉄とバスで来る利用客も極僅かと思われる。
 尚、荒井駅からのアクセスは帰りに気づいたのだが、ミヤコーバス(宮城交通の子会社)でも行けるらしい。
 荒井駅からJR仙石線の多賀城駅までの路線である。
 ただ本数は少なく、2時間に1本という有り様だから、あくまで仙台市営の補完的なものと思った方が良い。
 まあ、バス・フリークスの私の食指を動かすには十分だがね。

 往路のバスは日野のブルーリボンシティ、帰りはいすゞのエルガ。
 どちらも都営バスで運行に就いている車種であり、私はいつものように運転席の後ろに座っていたのだが、何だか都営バスに乗っている感じがした。
 後ろから乗って前から降りる方式でなければ、間違えるところであろう。
 帰りのバスは新人運転手が研修中で、前扉後ろの席には教官が座っていた。
 新しい路線だし、地下鉄車内でもバス運転手募集の広告が出ているから、研修たけなわなのであろう。
 そうそう。
 前に、んっ?さんが清掃局や清掃公社関係の仕事は同和対策事業であるとコメントして下さったが、もしかして市営交通もそうなのだろうか?
 私が学校を卒業して就職活動をしていた際、今よりずっと不景気だったからというのもあるが、全くそのような募集要項を見ることは無かった。
 それが今や大々的に募集している。
 同対事業だけでは人材確保が難しくなったということか?
 あと10歳若かったら、喜んで応募していたところだろう。
 つくづく、タイミングの合わない人生だ。
 世法も仏法も。
 そう、仏法も。
 A氏が退転した後の入信であれば、私も未だに報恩坊にいただろうに。
 本当にタイミングが悪かった。
 で、最初に声を掛けてくれたのが東京第一布教区の信徒さんだったので、元の鞘に収まったと言えばそれまでだが。
 あ、因みに第二布教区の人達は、その後である。
 ネット上での出会いは、トチロ〜さんが1番後。
 実際に折伏を受けた順番は前後しているけどね。
 とにかく、無理に御受誡を焦る必要は無いと私は考えている。
 ぶっちゃけ、自己愛さんが出ていってからの入信でいいと思っているよ。

 地下鉄を降りた後、コンビニに立ち寄って、来月の支部登山の帰りのバスのチケットを発券した。
 往路はまだ分からないので、勇み足はできない。
 恐らくいつものパターンだと、新幹線で早めに着山することになるのではないかと思う。
 そんな時、高速バスでゆっくり行くわけにはいかないからね。

 今日の深夜、私は埼玉に戻る。
 明日は勤務変更で遅番ではなく、早番になったということで、戻ったらすぐに寝なければならない。
 なので、これが今日最後の更新になるのではないかなと思う。
 違ったらごめんなさい。
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“Gynoid Multitype Cindy” 「ガイノイドの帰京」

2016-03-28 11:01:09 | アンドロイドマスターシリーズ
[3月12日07:00.天候:曇 仙台市青葉区・ホテル法華クラブ仙台 鏡音リン・レン]

 ロイドの体内時計は実にピッタリだ。
 深夜電力の終わる朝7時に設定しておけば、ちゃんとそこで充電が終わるようになっているのだから。
 もっとも、実は充電自体はとっくに終わっているのだが、まだ暗いうちに“起きて”もあれなので、充電が終了すると同時に、シャットダウンするようになっている。
 で、時間になると、自動的に起動する。

 リン:「ロボット三原則、唱和……」
 レン:「第1条、ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない」
 リン:「第2条、ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りでない」
 リン・レン:「第3条、ロボットは、前掲第1条および第2条に反する虞の無い限り、自己を守らなければならない」

 再起動するとロボット工学三原則を唱和するのが、ロイドの習わし。

 リン:「再起動、無事に完了しました〜Yo!」
 レン:「同じく。……って、誰に言ってるの?」
 リン:「そう言わなきゃいけないの。ねぇ、レン、ちょっと外歩いてこない?」
 レン:「いいけど、シンディがいいって言ってくれるかな?」
 リン:「大丈夫なんじゃない?」

 リンはホテル備え付けの部屋着から、ジャージに着替えた。
 レンもそうする。
 部屋を出てエレベーターホールに向かおうとすると、敷島の部屋からシンディが出て来た。

 リン:「あっ、シンディ!おはYo〜!」
 レン:「ちょっと僕達、外を散歩してきます」
 シンディ:「出発は09時30分だからね。ちゃんと帰って来るのよ」
 リン:「はーい(^O^)/」
 レン:「はい。……あの、昨夜、社長に何かあったみたいですけど……?」
 シンディ:「ううん。大したこと無いよ。あなた達は気にしないで行ってらっしゃい」

 シンディ、腕組みをしつつもニッコリ笑ってボカロ姉弟を見送る。
 エレベーターに乗ったところまで確認したシンディは、すぐに部屋に戻った。

[同日07:15.天候:曇 同ホテル・敷島の部屋 3号機のシンディ&敷島孝夫]

 敷島:「あの、シンディ様、そろそろ朝食を取りに行ってもよろしいでしょうか?」

 何故かベッドの上にパンツ1枚で正座する敷島。
 体中には拷問の痕が……。

 シンディ:「あぁ?マスターの許可を取ってからに決まってんだろ、バカ社長」

 シンディの右耳から、アリスの怒号が聞こえる。

 アリス:「反省が足りないようね!シンディ、もう1回電気流しておやり!」
 シンディ:「かしこまりました」

 シンディ、ドSの笑みを浮かべ、左手から高圧電流の火花を散らす。
 そして……。

[同日同時刻 天候:晴 同ホテル・MEIKOの部屋 MEIKO]

 MEIKO:「うあー……」

 MEIKOはシンディと通信をリンクさせ、その機能を応用させて、シンディの視点を見ることができる。
 シンディがアリスに代わって、敷島にお仕置きをしている様子が手に取るように分かった。

 MEIKO:「たかだかホテルを抜け出して、キャバクラに行ったくらいでねぇ……。シンディのセクサ機能じゃ、満足できなくなったか?」

 MEIKOは部屋着から、いつもの衣装に着替えていた。

[同日10:00.天候:曇 JR仙台駅西口 シンディ、敷島、リン・レン、MEIKO]

 リン:「はい、到着ぅ!」
 MEIKO:「社長、大丈夫ですか?」
 敷島:「入院の手続き、よろしく……」
 シンディ:「大丈夫よ。アタシのマシンガンでも平気だった人間だから」
 MEIKO:「そう言う問題じゃないと思うけど……」

 その敷島、シンディに肩を貸してもらっている。

 シンディ:「オーナー、マスターの命令は絶対でしょ?」
 MEIKO:「ま、そりゃそうだけど……」
 敷島:「あー……」
 レン:「何ですか、社長?」
 敷島:「アリスに土産を買って行かないと、また殺される……」
 レン:「はあ?」
 リン:「さすが分かってるね〜」

[同日10:20.天候:曇 JR仙台駅・新幹線ホーム 上記メンバー]

〔まもなく13番線に、10時24分発、“やまびこ”134号、東京行きが10両編成で参ります。この電車は途中、福島、郡山、宇都宮、大宮、上野に止まります。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車……〕

 MEIKO:「社長はグランクラス?」
 敷島:「なワケないだろ。皆仲良くグリーン車だよ」
 MEIKO:「お、帰りは豪勢だね」
 敷島:「皆、今回は頑張ってくれたからな」
 シンディ:「今回も、でしょ?」
 敷島:「おっ、これは失礼」

〔「13番線、ご注意ください。“やまびこ”134号、東京行きの到着です。黄色い線の内側まで、お下がりください」〕

 “はやぶさ”に使用されるE5系電車がやってくる。
 エメラルドグリーンがよく映える。
 ドアが開くと、早速シンディ達は乗り込んだ。

〔「ご案内致します。この電車は10時24分発、“やまびこ”134号、東京行きです。次の福島で、後から参ります“はやぶさ”“こまち”12号、東京行きの通過待ちがございます。大宮、上野、終点東京へお急ぎのお客様は、“はやぶさ”“こまち”12号をご利用ください。……」〕

 自由席はどうだか分からないが、グリーン車は空いていた。
 だから、ボカロ達は座席に向かい合わせにした。
 シンディは敷島を窓側に座らせ、自分は通路側に座ることで、その通路を挟んだ隣のボカロ達も見ることができる。

 MEIKO:「朝、散歩の時に近くの公園で歌ったんだって?」
 リン:「うん!皆、喜んでくれたYo!」
 レン:「いくら何でも目立つから、やめた方がいいとは言ったんだけど……」

 ボカロのファンサービスであろうか。

 シンディ:「社長、コーヒーでも買ってくる?」
 敷島:「いいよ。別に、喉は乾いてない」

[同日10:24.天候:曇 JR東北新幹線“やまびこ”134号・9号車内 上記メンバー]

 列車は仙台駅オリジナルの発車メロディの後で、定刻に出発した。
 そんなに混まない列車のせいか、E5系10両のみの編成である。
 グリーン車には各席に充電用のコンセントが付いているが、軒並みバッテリーが90%以上あるロイド達は充電しようとはしなかった。

 シンディ:「今日はマスターと一緒にランチなんだから、そろそろ機嫌直して……」
 敷島:「うるさいな。俺は寝る。着いたら起こせ」

 敷島は仏頂面をしながら座席をリクライニングした。
 すると……。

 車販嬢:「お弁当にお茶、冷たいジュースにビール……」

 20代の、美人と言える容貌の車販係だ。
 ガバッとリクライニングを戻す。

 敷島:「すいませーんホットコーヒー1つ
 車販嬢:「ありがとうございます。お砂糖とミルクはどうなさいますか?」
 敷島:「キミの甘いミルクを一杯入れてくれ(´∀`*)」
 シンディ:「あー、マスターいかが致しましょう
 レン:「うあー!やめてください!電車が止まっちゃう!」
 MEIKO:「ちょっと!いい加減にしてよね!」
 リン:(;゜Д゜)

 尚、東北新幹線にその後、ダイヤ乱れが発生したようだが、その原因については【お察しください】。
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