[3月11日05:20.天候:晴 東京都江東区菊川・敷島エージェンシー シンディ、敷島孝夫、鏡音リン・レン、MEIKO]
まだ薄暗い新大橋通り。
しかしこの都道は、既に多くの車が行き交っていた。
その前に佇む小さなテナントビルの前に、1台の白い個人タクシーが止まる。
セダン型ではなく、ミニバンタイプである。
リン:「社長、タクシー来たよー!」
頭に大きな白いリボンを着けたリンが、窓の上から道路を覗き込んでいた。
タクシーの到着を確認して、社長室に向かって大きな声を上げる。
シンディ:「社長はもうすぐ来るから、先に下に行ってなさい」
シンディ、腰を両手にやりながら窘めるように言う。
リン:「はーい(^O^)/!レン、一緒に行こっ!」
レン:「うん」
レンは自分用のバッテリーパックの入ったリュックを背負う間も無く、双子の姉機に手を引かれて事務所を出た。
敷島:「朝から元気だなー。ま、昔からだけど」
シンディ:「まあね。取りあえず、ロイドの方は準備できたよ。社長は準備OK?」
敷島:「俺はいいが、MEIKOはどうした?MEIKOもCM契約している酒造メーカーさんから呼ばれて、行くことになったからな」
シンディ:「ん」
シンディは無言で窓の外を指さした。
そこには既にタクシーのハッチを開けて、自分の荷物を積み込んでいるMEIKOの姿があった。
敷島:「MEIKO、早っ!」
シンディ:「言ったでしょ?ロイドの方は準備OKだって。社長はどう?人間の準備ができないと、何も始まらないよ」
敷島:「それを早く言え。行くぞ、今すぐに!」
[同日05:45.天候:晴 JR東京駅 上記メンバー]
ミニバンの最後部で3人仲良く座るボーカロイド達と、その前に座る敷島とシンディ。
数多く往来する高速バスが、ターミナル駅の接近を否応にも知らせてくれる。
半数はこの東京駅周辺が終点らしく、『回送』表示が多かったが、中には『東京ディズニーリゾート』とか『西船橋』『東雲』とか書かれているバスもある。
敷島:「俺も売れないプロデューサーだった頃は、よく夜行バスで移動してたもんだけど、さすがにあのツアーバスに乗る気にはなれなかったな」
シンディ:「社長、今は法律が変わって、あの“ウィラーエクスプレス”や“オリオンツアー”なども路線バスになりましたよ」
敷島:「いや、知ってるけどさ、俺は最初から路線バスの会社しか利用したくないな」
敷島、首を横に振って答える。
MEIKO:「社長、ファンの皆さんの中には、そういう安い高速バスで駆け付けてくれる人もいるんですよ」
敷島:「もちろん、そういうファンの思いを否定するつもりはない。だけど、俺はいいやって話」
シンディ:「路線バスでもバージョン4.0は構わず襲って来たでしょ?」
敷島:「エミリーから聞いたのか。昔の話だ。エミリーのヤツ、派手に4.0をぶっ壊してたよ」
シンディ:「エミリーは近接戦が得意だからね。組み付かれたら最期だと思った方がいいよ」
敷島:「まあな。暴走したエミリーに危うく組み付かれそうになった時は、思わず念仏を唱えたよ」
リン:「そしたら!?」
敷島:「ロケットアーム(左手の有線ロケットパンチ)で掴まれてしまった」
レン:「知ってます。その後で『南無妙法蓮華経』と唱えたら、左手のチェーンが切れたんですよね」
敷島:「そうそう」
シンディ:「何気に作者のバックからの指示が入っていそうな会話ねぇ……」
タクシーが無事に東京駅八重洲口に到着し、荷物を降ろすボカロ達。
シンディ:「タクシーチケットで払います」
さすがそこは秘書ロイド。
シンディはボールペンでささっとタクシー料金の額を書いて運転手に渡した。
敷島:「じゃ、荷物を降ろしたら移動だ」
シンディが1番大きい荷物を持っているが、これはもちろん彼女がこの中で1番力持ちだからである。
確かにMEIKOよりも高身長で肉付きも良いが、恐らく油圧の関係で人間には有り得ない腕力を持ち合わせているのだろう。
改札口は八重洲中央口から中に入る。
その後で、今度は新幹線改札口を通った。
日本橋口改札以外、JR東日本の新幹線は改札口を2回通らないといけないので不便だが、構造上そうなってしまう。
シンディ:「社長、まだ時間あるから駅弁でも買って行く?」
敷島:「あー、そうだな。“やまびこ”41号は21番線か。じゃあ、買ってきてくれるか。“東京弁当”、お茶も一緒に」
シンディ:「はい」
リン:「社長、今度の電車は充電コンセント付いてるの?」
レン:「リン、まだ僕達、メインバッテリー90%以上もあるんだよ?まだ大丈夫だって」
MEIKO:「予備のパックも、何個か持って来たしたね」
敷島:「E2系だからな。後期タイプだとコンセントがあるんだが……」
リン:「後期タイプ(笑) 何だかシンディみたい」
敷島:「まあ、そうだな」
シンディは的確に敷島の欲しい物を買って来た。
敷島:「さすが優秀だな」
シンディ:「お褒めに預かりまして」
エスカレーターでホームに上がると、既に10両編成のE2系はドアを開けて乗客を乗せていた。
リン:「まさかの初期タイプ💢」
レン:「ハズレの前期タイプだったね(笑)」
シンディ:「アンタ達、何言ってんの?」
敷島:「E2系0番台か。間接照明が落ち着いてるから、俺はいいと思うけどな」
敷島はボディの下に書かれている型番と車内を見比べて言った。
敷島:「とにかく乗るぞ」
メンバー達は車中の者となる。
乗車車両は10号車。
E5系やW7系などでは最高級の“グランクラス”がある車両だが、E2系では普通車指定席である。
シンディ:「アタシみたいなのは立ってていいんだよ?逆にその金で、このコ達グリーン車に乗せてあげたら?敷島エージェンシーのトップスターなんでしょ?」
MEIKO:「別に、人間のスターじゃないからいいのよ。本当だったら私達、トラックか貨物列車で輸送される身よ」
敷島:「昔、それで平賀先生と鉄道会社とでモメたって話聞いたな」
リン:「そうなの!?」
敷島:「七海を電車に乗せていいものかどうかでモメたらしい」
シンディ:「結論は?」
敷島:「人間のフリして、そのまま乗せればモメないことが判明したwww」
ズコーッ!!(ズッコケるロイド達)
[同日06:04.天候:晴 JR東北新幹線“やまびこ”41号・10号車内 上記メンバー]
始発の東北新幹線は定刻通りに東京駅を出発した。
ロイド達は3人席に仲良く座り、敷島は窓側席に座って駅弁をつついている。
シンディはデッキの荷物置き場に荷物を置いて戻ってきた。
MEIKO:「カメラ(目)に映らない所に荷物を置くのは不安ね」
シンディ:「アタシの予備パーツも入ってるから、勝手に移動したりしたら、センサーですぐ分かるよ」
MEIKO:「私より高性能……!」
シンディ:「いや、アタシゃマルチタイプだから当たり前だよ!」
敷島:「おいおい。お前達が今回東北に行くのは、震災発生から5年目に当たっての慰問ライブなんだからな。あんまりはしゃぎ過ぎるなよー」
敷島は弁当の箸を動かしながら、ロイド達に注意を飛ばした。
(※タクシー協力:法道院支部法華講所属O原班長)
まだ薄暗い新大橋通り。
しかしこの都道は、既に多くの車が行き交っていた。
その前に佇む小さなテナントビルの前に、1台の白い個人タクシーが止まる。
セダン型ではなく、ミニバンタイプである。
リン:「社長、タクシー来たよー!」
頭に大きな白いリボンを着けたリンが、窓の上から道路を覗き込んでいた。
タクシーの到着を確認して、社長室に向かって大きな声を上げる。
シンディ:「社長はもうすぐ来るから、先に下に行ってなさい」
シンディ、腰を両手にやりながら窘めるように言う。
リン:「はーい(^O^)/!レン、一緒に行こっ!」
レン:「うん」
レンは自分用のバッテリーパックの入ったリュックを背負う間も無く、双子の姉機に手を引かれて事務所を出た。
敷島:「朝から元気だなー。ま、昔からだけど」
シンディ:「まあね。取りあえず、ロイドの方は準備できたよ。社長は準備OK?」
敷島:「俺はいいが、MEIKOはどうした?MEIKOもCM契約している酒造メーカーさんから呼ばれて、行くことになったからな」
シンディ:「ん」
シンディは無言で窓の外を指さした。
そこには既にタクシーのハッチを開けて、自分の荷物を積み込んでいるMEIKOの姿があった。
敷島:「MEIKO、早っ!」
シンディ:「言ったでしょ?ロイドの方は準備OKだって。社長はどう?人間の準備ができないと、何も始まらないよ」
敷島:「それを早く言え。行くぞ、今すぐに!」
[同日05:45.天候:晴 JR東京駅 上記メンバー]
ミニバンの最後部で3人仲良く座るボーカロイド達と、その前に座る敷島とシンディ。
数多く往来する高速バスが、ターミナル駅の接近を否応にも知らせてくれる。
半数はこの東京駅周辺が終点らしく、『回送』表示が多かったが、中には『東京ディズニーリゾート』とか『西船橋』『東雲』とか書かれているバスもある。
敷島:「俺も売れないプロデューサーだった頃は、よく夜行バスで移動してたもんだけど、さすがにあのツアーバスに乗る気にはなれなかったな」
シンディ:「社長、今は法律が変わって、あの“ウィラーエクスプレス”や“オリオンツアー”なども路線バスになりましたよ」
敷島:「いや、知ってるけどさ、俺は最初から路線バスの会社しか利用したくないな」
敷島、首を横に振って答える。
MEIKO:「社長、ファンの皆さんの中には、そういう安い高速バスで駆け付けてくれる人もいるんですよ」
敷島:「もちろん、そういうファンの思いを否定するつもりはない。だけど、俺はいいやって話」
シンディ:「路線バスでもバージョン4.0は構わず襲って来たでしょ?」
敷島:「エミリーから聞いたのか。昔の話だ。エミリーのヤツ、派手に4.0をぶっ壊してたよ」
シンディ:「エミリーは近接戦が得意だからね。組み付かれたら最期だと思った方がいいよ」
敷島:「まあな。暴走したエミリーに危うく組み付かれそうになった時は、思わず念仏を唱えたよ」
リン:「そしたら!?」
敷島:「ロケットアーム(左手の有線ロケットパンチ)で掴まれてしまった」
レン:「知ってます。その後で『南無妙法蓮華経』と唱えたら、左手のチェーンが切れたんですよね」
敷島:「そうそう」
シンディ:「何気に作者のバックからの指示が入っていそうな会話ねぇ……」
タクシーが無事に東京駅八重洲口に到着し、荷物を降ろすボカロ達。
シンディ:「タクシーチケットで払います」
さすがそこは秘書ロイド。
シンディはボールペンでささっとタクシー料金の額を書いて運転手に渡した。
敷島:「じゃ、荷物を降ろしたら移動だ」
シンディが1番大きい荷物を持っているが、これはもちろん彼女がこの中で1番力持ちだからである。
確かにMEIKOよりも高身長で肉付きも良いが、恐らく油圧の関係で人間には有り得ない腕力を持ち合わせているのだろう。
改札口は八重洲中央口から中に入る。
その後で、今度は新幹線改札口を通った。
日本橋口改札以外、JR東日本の新幹線は改札口を2回通らないといけないので不便だが、構造上そうなってしまう。
シンディ:「社長、まだ時間あるから駅弁でも買って行く?」
敷島:「あー、そうだな。“やまびこ”41号は21番線か。じゃあ、買ってきてくれるか。“東京弁当”、お茶も一緒に」
シンディ:「はい」
リン:「社長、今度の電車は充電コンセント付いてるの?」
レン:「リン、まだ僕達、メインバッテリー90%以上もあるんだよ?まだ大丈夫だって」
MEIKO:「予備のパックも、何個か持って来たしたね」
敷島:「E2系だからな。後期タイプだとコンセントがあるんだが……」
リン:「後期タイプ(笑) 何だかシンディみたい」
敷島:「まあ、そうだな」
シンディは的確に敷島の欲しい物を買って来た。
敷島:「さすが優秀だな」
シンディ:「お褒めに預かりまして」
エスカレーターでホームに上がると、既に10両編成のE2系はドアを開けて乗客を乗せていた。
リン:「まさかの初期タイプ💢」
レン:「ハズレの前期タイプだったね(笑)」
シンディ:「アンタ達、何言ってんの?」
敷島:「E2系0番台か。間接照明が落ち着いてるから、俺はいいと思うけどな」
敷島はボディの下に書かれている型番と車内を見比べて言った。
敷島:「とにかく乗るぞ」
メンバー達は車中の者となる。
乗車車両は10号車。
E5系やW7系などでは最高級の“グランクラス”がある車両だが、E2系では普通車指定席である。
シンディ:「アタシみたいなのは立ってていいんだよ?逆にその金で、このコ達グリーン車に乗せてあげたら?敷島エージェンシーのトップスターなんでしょ?」
MEIKO:「別に、人間のスターじゃないからいいのよ。本当だったら私達、トラックか貨物列車で輸送される身よ」
敷島:「昔、それで平賀先生と鉄道会社とでモメたって話聞いたな」
リン:「そうなの!?」
敷島:「七海を電車に乗せていいものかどうかでモメたらしい」
シンディ:「結論は?」
敷島:「人間のフリして、そのまま乗せればモメないことが判明したwww」
ズコーッ!!(ズッコケるロイド達)
[同日06:04.天候:晴 JR東北新幹線“やまびこ”41号・10号車内 上記メンバー]
始発の東北新幹線は定刻通りに東京駅を出発した。
ロイド達は3人席に仲良く座り、敷島は窓側席に座って駅弁をつついている。
シンディはデッキの荷物置き場に荷物を置いて戻ってきた。
MEIKO:「カメラ(目)に映らない所に荷物を置くのは不安ね」
シンディ:「アタシの予備パーツも入ってるから、勝手に移動したりしたら、センサーですぐ分かるよ」
MEIKO:「私より高性能……!」
シンディ:「いや、アタシゃマルチタイプだから当たり前だよ!」
敷島:「おいおい。お前達が今回東北に行くのは、震災発生から5年目に当たっての慰問ライブなんだからな。あんまりはしゃぎ過ぎるなよー」
敷島は弁当の箸を動かしながら、ロイド達に注意を飛ばした。
(※タクシー協力:法道院支部法華講所属O原班長)