[3月16日13:00.天候:晴 東京都内・都営地下鉄大江戸線車内 結月ゆかり]
〔次は蔵前、蔵前。都営浅草線は、お乗り換えです。都営浅草線は、地上乗り換えです。お出口は、右側です〕
〔日蓮正宗妙縁寺、本行寺、常泉寺へは都営浅草線乗り換え、本所吾妻橋駅でお降りください〕
結月ゆかりは午前中、整備の為、都心大学に行っていた。
都営大江戸線で行ける場所にある為、ロイドが単独または複数で向かうのが普通だった。
で、今日はゆかりが1人。
新造ボーカロイドでも、定期的な整備は欠かせない。
そんなゆかりだが、地下鉄で移動中、ドアの前に立っていた。
ドアの窓ガラスに映る自分の姿を何故か気にしている。
着ている服にはフードが着いており、用途次第でフードを被ったり外したりしていて、今は外している。
何故か髪型を気にしているようだが……。
[同日13:20.天候:晴 東京都墨田区菊川・敷島エージェンシー 結月ゆかり、Lily、未夢、井辺翔太]
電車を降りて地上に向かい、事務所に戻るまでの間にも、ゆかりは自分の髪型を気にしていた。
そんな感じで、ようやく事務所に戻る。
平日であっても、売れっ子の初音ミクなどは仕事で引っ張りだこであり、なかなか事務所にいないことの方が多い。
対してMEGAbyteは、週末のイベントにはよく呼ばれるようになったものの、平日はまだそんなに仕事が多いとは言えなかった。
なので事務所に戻り、奥の控室に行くと、メンバーの未夢とLilyがいた。
ゆかり:「た、只今戻りましたー」
未夢:「お帰りなさい。その様子だと、整備中異常無かったみたいね。良かったわ〜」
Lily:「同じく」
ゆかり:「…………」
未夢:「…………」
Lily:「…………」
何故か椅子に座ろうとしないゆかり。
そんなゆかりの様子を見る残りのメンバー。
Lily:「キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル………バッテリー切れ?」
ゆかり:「ち、違います!」
未夢:「手足の関節に不具合かしら?」
ゆかり:「いえ、異常ありません!……あの、私、整備してもらった時に、ちょっと変えてもらったんです」
Lily:「何を?」
ゆかり:「何だと思います?」
未夢:「キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル……オイルよね?」
ゆかり:「オイル交換は当たり前です!見た目を少し変えてもらったんです!」
Lily:「見た目?……髪でも切った?」
ゆかり:「切ってません!ちょっと惜しいですけど……」
未夢:「分かったわ。髪の色を染め直したのね?」
ゆかり:「染め直してません!」
Lily、大きく息を吐く。
Lily:「もう!いい加減、答え言ってよ!」
ゆかり:「毛先を少しカールさせてみたんですけど、どうですか?」
Lily:「毛先?……いや、全然分かんない」
ゆかり:「えーっ!」
未夢:「私達じゃ、ちょっと分からないわね。シンディさんくらいなら気づけるかもしれないけど……」
ゆかり:「そんなぁ……!」
Lily:「イメチェンでもするつもりだったの?だったらせっかくのツインテールなんだから、ミク先輩と同じにしたら?」
ゆかり:「いやっ、それはダメです!ミク先輩に怒られます!」
未夢:「ミクさんはそんな怒るような方じゃないと思うけど……。まあ、MEIKO先輩やリンちゃんがイジってくるかしら?」
ゆかり:「だから、それじゃダメなんですぅ!」
Lily:「あー、もう!分かったから!そこまで言うんなら、少し協力するよ」
未夢:「そうね。だったら、私にいい考えがあるわ」
未夢、控室を出て事務室へ向かう。
そして、そこから連れて来るのはシンディだった。
シンディ:「アタシは社長の相手で忙しいんだけどね?」
未夢:「そんなこと言わないで。これもボーカロイドの未来の為です」
シンディ:「しょうがないなぁ……」
Lily:「何でシンディが?」
未夢:「シンディさんは衣装の着付けやヘアメイクが得意だって聞いたわ」
シンディ:「まあ、アタシよりむしろその辺はエミリーの方が一枚上手だったけどね。ま、いいわ。で、私は何をすればいいの?」
Lily:「ゆかりがイメチェンしたいって聞かないんです。ちょっと協力してもらえませんか?」
シンディ:「イメチェンねぇ……。ま、そういうことならやってみましょう」
ゆかり:「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
シンディ、まずはゆかりにマニキュアを施す。
未夢:「さすがシンディさん、手慣れてますね」
シンディ:「いや、これはエミリーの見よう見まねだよ。元は、エミリーがミクとかのヘアメイクをやってたからね。今はミクも売れっ子になって、ヘアメイクも人間のプロを頼むようになったけど……」
メイクを施した後はシンディ、衣装室から衣装を持って来た。
シンディ:「じゃあ、取りあえず好きな衣装選んで着てみて」
ゆかり:「分かりました!」
ゆかりが衣装を選んでいると、井辺が外出先から戻ってきた。
井辺:「すいません。都営新宿線、ダイヤ乱れで戻りが遅くなりました。……何をしてるんですか?」
シンディ:「お、ちょうどいい所に審査員が来たじゃない」
シンディは腕組みをしていたが、顔だけ井辺の方を向いた。
井辺:「審査員?」
井辺は首を傾げたが、椅子に座らされ、首から『審査員』と書かれたプレートをぶら下げられた。
シンディ:「ゆかり、着替えOK?」
ゆかり:「はい、OKです」
シンディ:「そんじゃ、アタシのコーディネートをとくとご覧あれ!どやぁっ!?」
シンディ、臨時更衣室と化した機械室のドアを開ける。
中から出て来たのは、シンディと同じスリットの深いロングスカートのワンピースを着たゆかりだった。
未夢:「おおっ!」
Lily:「へえ……」
井辺:「いいと思います」
他のメンバーは、マルチタイプの衣装が意外と似合うゆかりに感嘆した。
井辺も大きく頷いた。
ゆかり:「似合いますか、私?」
Lily:「何か、いかにも右手からマシンガンが出て来そうな感じだね」
シンディ:「というわけでプロデューサー、今度からゆかりのイメージ、それで売り出してみて」
だがそれに対し、井辺は声を詰まらせた。
そして、
井辺:「検討させて頂きます。……が、恐らく、ほぼ無理だと思ってください」
ゆかり:「えーっ!?」
井辺:「確かによくお似合いだとは思いますが、服が似合うからと言って、必ずしもそれが売り上げに繋がるとは限りませんので」
Lily:「た、確かに……」
シンディ:「まあ、アタシがゆかりの服着りゃいいってもんじゃないのと同じか。分かった。要は、ボーカロイドにマルチタイプの服を着せるからダメだったのよ」
井辺:「と、仰いますと?」
シンディ:「今度はLilyと未夢とで、ゆかりのコーディネートをしてみてよ」
Lily:「えっ、私がですか?」
未夢:「あらぁ、何だか面白そう!」
井辺:「それは良いアイディアですね。何か、良いイメージが掴めるかもしれません」
シンディ:「まあ、掴めなかったらその時はその時でw」
Lily:「意味あるの、それ?」
未夢:「Lilyちゃん、とにかくやってみましょうよ。ダメ元でいいじゃない」
Lily:「まあ……そこまで言うなら……。ゆかりの為だし。プロデューサー、ちゃんと斬新なイメージを掴んでよ?」
井辺:「最大限、努力します」
その頃、社長室から控室の様子をカメラで見ていた敷島は……。
敷島:「コーディネートは、こーでねーとw ……ププッwww」
親父ギャグを飛ばしていた。
〔次は蔵前、蔵前。都営浅草線は、お乗り換えです。都営浅草線は、地上乗り換えです。お出口は、右側です〕
〔日蓮正宗妙縁寺、本行寺、常泉寺へは都営浅草線乗り換え、本所吾妻橋駅でお降りください〕
結月ゆかりは午前中、整備の為、都心大学に行っていた。
都営大江戸線で行ける場所にある為、ロイドが単独または複数で向かうのが普通だった。
で、今日はゆかりが1人。
新造ボーカロイドでも、定期的な整備は欠かせない。
そんなゆかりだが、地下鉄で移動中、ドアの前に立っていた。
ドアの窓ガラスに映る自分の姿を何故か気にしている。
着ている服にはフードが着いており、用途次第でフードを被ったり外したりしていて、今は外している。
何故か髪型を気にしているようだが……。
[同日13:20.天候:晴 東京都墨田区菊川・敷島エージェンシー 結月ゆかり、Lily、未夢、井辺翔太]
電車を降りて地上に向かい、事務所に戻るまでの間にも、ゆかりは自分の髪型を気にしていた。
そんな感じで、ようやく事務所に戻る。
平日であっても、売れっ子の初音ミクなどは仕事で引っ張りだこであり、なかなか事務所にいないことの方が多い。
対してMEGAbyteは、週末のイベントにはよく呼ばれるようになったものの、平日はまだそんなに仕事が多いとは言えなかった。
なので事務所に戻り、奥の控室に行くと、メンバーの未夢とLilyがいた。
ゆかり:「た、只今戻りましたー」
未夢:「お帰りなさい。その様子だと、整備中異常無かったみたいね。良かったわ〜」
Lily:「同じく」
ゆかり:「…………」
未夢:「…………」
Lily:「…………」
何故か椅子に座ろうとしないゆかり。
そんなゆかりの様子を見る残りのメンバー。
Lily:「キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル………バッテリー切れ?」
ゆかり:「ち、違います!」
未夢:「手足の関節に不具合かしら?」
ゆかり:「いえ、異常ありません!……あの、私、整備してもらった時に、ちょっと変えてもらったんです」
Lily:「何を?」
ゆかり:「何だと思います?」
未夢:「キュルキュルキュルキュルキュルキュルキュルキュル……オイルよね?」
ゆかり:「オイル交換は当たり前です!見た目を少し変えてもらったんです!」
Lily:「見た目?……髪でも切った?」
ゆかり:「切ってません!ちょっと惜しいですけど……」
未夢:「分かったわ。髪の色を染め直したのね?」
ゆかり:「染め直してません!」
Lily、大きく息を吐く。
Lily:「もう!いい加減、答え言ってよ!」
ゆかり:「毛先を少しカールさせてみたんですけど、どうですか?」
Lily:「毛先?……いや、全然分かんない」
ゆかり:「えーっ!」
未夢:「私達じゃ、ちょっと分からないわね。シンディさんくらいなら気づけるかもしれないけど……」
ゆかり:「そんなぁ……!」
Lily:「イメチェンでもするつもりだったの?だったらせっかくのツインテールなんだから、ミク先輩と同じにしたら?」
ゆかり:「いやっ、それはダメです!ミク先輩に怒られます!」
未夢:「ミクさんはそんな怒るような方じゃないと思うけど……。まあ、MEIKO先輩やリンちゃんがイジってくるかしら?」
ゆかり:「だから、それじゃダメなんですぅ!」
Lily:「あー、もう!分かったから!そこまで言うんなら、少し協力するよ」
未夢:「そうね。だったら、私にいい考えがあるわ」
未夢、控室を出て事務室へ向かう。
そして、そこから連れて来るのはシンディだった。
シンディ:「アタシは社長の相手で忙しいんだけどね?」
未夢:「そんなこと言わないで。これもボーカロイドの未来の為です」
シンディ:「しょうがないなぁ……」
Lily:「何でシンディが?」
未夢:「シンディさんは衣装の着付けやヘアメイクが得意だって聞いたわ」
シンディ:「まあ、アタシよりむしろその辺はエミリーの方が一枚上手だったけどね。ま、いいわ。で、私は何をすればいいの?」
Lily:「ゆかりがイメチェンしたいって聞かないんです。ちょっと協力してもらえませんか?」
シンディ:「イメチェンねぇ……。ま、そういうことならやってみましょう」
ゆかり:「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
シンディ、まずはゆかりにマニキュアを施す。
未夢:「さすがシンディさん、手慣れてますね」
シンディ:「いや、これはエミリーの見よう見まねだよ。元は、エミリーがミクとかのヘアメイクをやってたからね。今はミクも売れっ子になって、ヘアメイクも人間のプロを頼むようになったけど……」
メイクを施した後はシンディ、衣装室から衣装を持って来た。
シンディ:「じゃあ、取りあえず好きな衣装選んで着てみて」
ゆかり:「分かりました!」
ゆかりが衣装を選んでいると、井辺が外出先から戻ってきた。
井辺:「すいません。都営新宿線、ダイヤ乱れで戻りが遅くなりました。……何をしてるんですか?」
シンディ:「お、ちょうどいい所に審査員が来たじゃない」
シンディは腕組みをしていたが、顔だけ井辺の方を向いた。
井辺:「審査員?」
井辺は首を傾げたが、椅子に座らされ、首から『審査員』と書かれたプレートをぶら下げられた。
シンディ:「ゆかり、着替えOK?」
ゆかり:「はい、OKです」
シンディ:「そんじゃ、アタシのコーディネートをとくとご覧あれ!どやぁっ!?」
シンディ、臨時更衣室と化した機械室のドアを開ける。
中から出て来たのは、シンディと同じスリットの深いロングスカートのワンピースを着たゆかりだった。
未夢:「おおっ!」
Lily:「へえ……」
井辺:「いいと思います」
他のメンバーは、マルチタイプの衣装が意外と似合うゆかりに感嘆した。
井辺も大きく頷いた。
ゆかり:「似合いますか、私?」
Lily:「何か、いかにも右手からマシンガンが出て来そうな感じだね」
シンディ:「というわけでプロデューサー、今度からゆかりのイメージ、それで売り出してみて」
だがそれに対し、井辺は声を詰まらせた。
そして、
井辺:「検討させて頂きます。……が、恐らく、ほぼ無理だと思ってください」
ゆかり:「えーっ!?」
井辺:「確かによくお似合いだとは思いますが、服が似合うからと言って、必ずしもそれが売り上げに繋がるとは限りませんので」
Lily:「た、確かに……」
シンディ:「まあ、アタシがゆかりの服着りゃいいってもんじゃないのと同じか。分かった。要は、ボーカロイドにマルチタイプの服を着せるからダメだったのよ」
井辺:「と、仰いますと?」
シンディ:「今度はLilyと未夢とで、ゆかりのコーディネートをしてみてよ」
Lily:「えっ、私がですか?」
未夢:「あらぁ、何だか面白そう!」
井辺:「それは良いアイディアですね。何か、良いイメージが掴めるかもしれません」
シンディ:「まあ、掴めなかったらその時はその時でw」
Lily:「意味あるの、それ?」
未夢:「Lilyちゃん、とにかくやってみましょうよ。ダメ元でいいじゃない」
Lily:「まあ……そこまで言うなら……。ゆかりの為だし。プロデューサー、ちゃんと斬新なイメージを掴んでよ?」
井辺:「最大限、努力します」
その頃、社長室から控室の様子をカメラで見ていた敷島は……。
敷島:「コーディネートは、こーでねーとw ……ププッwww」
親父ギャグを飛ばしていた。