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左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―その3・社会のあり方を変えてゆこう

2004-12-21 | 左利き
*** 社会のあり方を変えてゆこう ***
社会には守らなければならないルールがあります。それを教えるのは親の務めです。
しかし従来のルールには、間違ったルールもあります。時代により改めるべきルールも。

かつての社会には左利きは悪いことという考えがありました。それゆえに「矯正」と呼んで、左手使いを右手使いに改めるように指導するのが当たり前のこととして行われてきました。
しかし次第に状況は変わってきました。左利きを悪いこととみなす考えは否定されて、左利きを「矯正」しない傾向になってきました。

それでもまだ社会全体には、左利きに配慮する余裕がありませんでした。
それゆえ左利きには不都合なこと、不便なことがいろいろあります。

ところが、これらは現状においてもちょっとした配慮があれば、かなりの程度改善されるのです。
そのためには左利きの視点を持ち、社会のあり方を見直す必要があります。
これからは、右利きのみならず左利きの人にも暮らしやすいように社会の構造を変えてゆきたいものです。
一朝一夕にはできないでしょう。しかし、だからといって手をこまねいていないで、できることから改善してゆけばよいのです。

左利きに対する視点を持つ方法として、たとえば、100マス計算で問題の列を左右に配置したものを使う、といったことです。
これを使って勉強する際に、大人がちょっとした説明をするだけで、子供たちに別の立場の人の存在―左利きの存在を知らしめることができます。違う立場の人に対する配慮を持つように教えることができるのではないでしょうか。
そういう視点を身に付けた子供たちは、右利き偏重の道具や機械などに疑問を持つようになるかもしれません。
ニンテンドーDSという新しいゲーム機には、左利きモードがあると聞きます。これも同じ効果を与えるのではないでしょうか。


確かに左利きのお子さんがこの世に一人だけで、今後生れる可能性がないというなら、その子だけを特別扱いして、その子だけを変えればことは済むかもしれません。

しかし左利きの人は全人口の平均一割はいるといわれています。
これからも左利きの子供さんは生れ続けます。

また左利きになる要因の一つに「病理的成因」といわれるものがあり、たとえば高齢出産や出産時のトラブルといったことが原因のひとつであるとされています。昨今いわれる出産年齢の高齢化が左利きの子が生れる確率を上げているかもしれません。

これからこの世に生を受ける左利きの子供たちのために、左利きの子であっても生きることに苦労のない社会をつくることは大人の責任だと思います。

今、社会ではバリアフリーやユニバーサルデザインといった言葉が盛んに使われるようになりました。
実際に街を歩いてみても歩道には点字ブロックが埋め込まれていたり、建物にはスロープが用意されていたりします。
しかし、かつて障害者は健常者から排除されて生きていました。
世の中は健常者に暮らしやすいようにできているので障害者は苦労する。そこで彼らだけを隔離するのが良いという考えもありました。またその昔は、障害者は世間に出してはいけない、人に見せてはいけないもののように扱われてきました。

もはやそのような考えは否定されています。
障害者もまた健常者と同様の権利を有する一人の人間として扱われるようになりました。
健常者や障害者という言い方さえ不自然に聞こえる世の中になりつつあるように感じます。

同様に左利きも、右利きの人と同じ一人の人間としての権利を有することは明らかです。
左利きだからという理由だけで、社会的に様々な困難に合わなければならないというのは理不尽です。

障害者に優しい世の中に変えて行こうというのと同じレベルで、左利きにも優しい世の中にしなければいけないと思います。


*(関連記事)
2004.12.08 左利きを右手使いに変えさせる理由
*
左利きの子の左手使いを右手使いに変えることを指して、「利き手(左利き)の矯正」といった呼び方があります。私はこの用法は誤りであると考え、左利きにおいて「矯正」という言葉を使用しないように皆様にお願いしています。
(参照)2004.11.26「利き手(左利き)の矯正」という言葉の使用について

※本稿は、ココログ「レフティやすおのお茶でっせ」より転載して、gooブログ◆左利き同盟◆に参加しています。
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左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ―その2・左利きで困るのは…

2004-12-21 | 左利き
*** 左利きで困るのは… ***
右利きに有利な社会だから、左手しか使えないと子供が苦労する、かわいそう。だから右手も使ってみましょうね、両手が使えると便利ですよ、カッコイイよ、といって右手使いを勧めるというのはどうかと思います。

特に右利きの親御さんには、左手しか使えないと困るから右手も使えるようにさせたい、という考えが強いように思います。
しかし、それはあくまで親御さんの個人的な見解―願望にすぎません。

本当に大事なのはお子さん自身です。
お子さんがどう思っているのか。
お子さんが幸せになるための方法を考えるべきでしょう。
親御さんが納得するためにお子さんは生きているのではありません。
親御さんの悩みは所詮一時のものですが、お子さんの悩みは一生付きまとうものです。
50年先も同じ気持ちでお子さんを心配してゆけますか。70年先は、100年先は? 貴方のお子さんは100歳まで生きるかもしれません。

親の喜ぶ顔を見たさに子供はがんばって右手を使って見せるかもしれません。それを見て親がほめてやればさらに得意になって右手を使って見せるでしょう。親の前ではそうかもしれません。
しかし心の中も幸せでしょうか。一人になってもその喜びは彼/彼女の中で消えることはないのでしょうか。真からのものでしょうか。

確かに、小さい頃に「矯正」してもらっておとなになってから大いに感謝している、という方もいます。
逆に、嫌な思いしか残っていない、思い出したくもない、という方もいます。

人それぞれです。才能も能力も性格も違います。子供にとっての幸せなど人にはわからないものかもしれません。
ただ、左利きの私には、左利きの子がたとえ一瞬でも左利きを否定されて幸せになれる、とは考えられません。

お子さんにとっての最善の方法とは何か、そのままの自然なあり方で生きることではないでしょうか。
右利きが右利きとして生きるように、左利きは左利きとして。

左利きではなぜ困るのでしょうか。
社会が右利きに有利にできているから、左利きには不便なことが出てくるのです。

私は左利きだからといってそれ自体で、苦労したことはありません。
左利きだからお箸が持てないわけではありません。三度三度ちゃんとご飯も食べられます。
鉛筆が持てないわけでもありません。そこそこの字を書くこともできます。
左利きだから自転車に乗れないわけでもありません。ベルも左手で鳴らします。
自動改札では一工夫しないとスムーズには通れませんが、電車に乗れないわけではありません。クルマの運転はできませんが、これは左利きだからではありません。免許を取りに行く気がないからです。

問題が起こるのは、道具や機械、システムなどが左手用でなかったり、左利きに対応していない場合です。
右手用のはさみが左手では切りにくかったり、右手用の缶切が左手で使えなかったり、自動販売機のコインが左手では入れにくく、仕方なしに右手で入れようとしては入れ損ねたり、などなど。
あるいは、人間関係では左利きに偏見を持っていたり、無理解な人と接したとき、です。
左利きは頭がおかしいんやてェ、などなど。

解決方法はひとつです。
左利きにも優しい社会に変えてゆけば良いのです。


*(関連記事)
2004.12.08 左利きを右手使いに変えさせる理由
*
左利きの子の左手使いを右手使いに変えることを指して、「利き手(左利き)の矯正」といった呼び方があります。私はこの用法は誤りであると考え、左利きにおいて「矯正」という言葉を使用しないように皆様にお願いしています。
(参照)2004.11.26「利き手(左利き)の矯正」という言葉の使用について

※本稿は、ココログ「レフティやすおのお茶でっせ」より転載して、gooブログ◆左利き同盟◆に参加しています。
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