Living with a season! ~季節のある暮らし Vol.1~

福岡県で、料理&テーブルコーディネートの教室「Coordinare」を主宰するLEAFが綴る、暮らしを楽しむコツ。

「日出る国の工場」

2007-02-23 23:40:44 | 日々のこと 読書
特に読みたいと思って読み始めた訳ではないんだけれど、一応大好きな作家の一人である、村上春樹が書いている本なので、どんなもんかなぁ~、と軽い気持ちで読み始めた本。
色んな工場を訪問した、訪問記です。

結婚式場、コムデ・ギャルソン工場、消しゴム工場・・・。
色々出てくるんですが、思わず固まってしまったのが、「小岩井農場」の話。

小岩井農場は、小野さんという方と、岩崎弥之助さんという方と、井上勝さんという方の三名の一文字づつを取ってつけられた名前だとか
まぁ、それはいいとして・・・。
搾乳牛舎にいる牛さん達のお話です。
これが、結構切ない・・・。とても、シュールな話です

搾乳の牛は、働ける寿命は、10歳くらいだとか。
これらの牛は、経済動物(この言葉が、衝撃)だから、天寿を全うするということはないのだそう。つまり、加工肉になる。
しかも、ホルスタインはミルク目的のため(経済行為)存在している牛なので、目的遂行にかげりが見えたら、処分され、キャットフードや、コンビーフになってしまうと
しかも、ホルスタインは、ミルクがたくさん出るように、体を大きくしたため、足がとっても弱いんだとか。
だから
うっかり足をケガする
   ↓
痛くて、食欲減退
   ↓
ミルクが出ない=使えない
   ↓
  処分=加工肉
という、悲しい図式を追うことに・・・

酪農というのは、一つの重要な産業で、私達の生活では欠かせない大きな役割を担って頂いているし、生産者の方の生活もかかっているから、この図式は当然と言えば、当然だと思います。
だけど、本当に勝手なイメージで、「緑の牧場」というと、のどかな、うららかなイメージ(「アルプスの少女ハイジ」みたいな感じ)を抱いていたので、そこで生活している牛さん達が、こんなに大変な毎日(一生)を送っていたという事実が、なんだかショックでした
「動物を飼う=ペット」という、すごく一般的な知識しか持ち合わせていなかった私には、ペットが病気になっても、最後まで看取るという考えだったので、まさか病気になって、キャットフード候補になるなんて、想定外の出来事
でも、牛さんは、ペットじゃないんですよね。
根本的に違うのだから、仕方がない問題。むしろ、感謝しなきゃ。
そのお陰で、生態系が保たれているんだし。

世の中には、色んな職業があるものです。
自分が知らない世界が、いっぱい。
学ぶ事が多いです。