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SBエナジー(株)が日高港にパーム油のバイオマス発電所建設計画 〈2016年6月11日〉

2016年06月11日 08時30分00秒 | 記事

建設予定の日高港工業用地(赤枠内)


 ソフトバンクグループ100%出資子会社のSBエナジー(株)が、御坊市の日高港工業用地にパーム油(アブラヤシの果実から得られる植物油)を燃料に使ったバイオマス発電事業を計画している。まだ検討段階だが、関電送電線が近い日高港は有力候補地で、7月から2カ月間、地質調査等を行った上で事業化するかどうかを最終判断する。想定計画では平成29年夏以降に着工し、平成31年中の運転開始を目標にしている。日高港振興や地元雇用など地域活性化につながると期待されており、柏木征夫市長は「計画が実現できるように良好な調査結果が出ることを期待したい」と期待感を示した。

 ソフトバンクグループは東日本大震災を契機に再生可能な自然エネルギーによる安定、安心な電力供給を進めようとSBエナジー(株)を設立。全国25カ所で太陽光発電事業を行っているが太陽光発電は安定した電力供給が難しく、2年前から風力、地熱、バイオマスなど他の発電事業を検討している。その一環でパーム油を使ったバイオマス発電事業が浮上。全国10~20カ所程度を候補地に検討しており、近くに関電送電線がある日高港が有力候補地に挙がり、一昨年12月から県、御坊市と協議していた。
 今回、地質調査等を行うのにあたり、9日に地元の南塩屋区と漁協、10日に市議会全員協議会で想定している計画概要等を説明し、理解を求めた。同社担当者は「まだ検討段階で、事業化は決定していない。想定の計画で変更の可能性はある」と前置きした上で概要を説明。用地は日高港工業用地13区画7万5136平方メートルのうち、56%にあたる7区画4万2049平方メートルを県から賃貸。市によると、賃貸期間は当面は国の再生可能エネルギー固定価格買取制度の20年間を予定しているという。
 発電所の設備規模は112・5メガワット。使用燃料はパーム油で、主に東南アジアから年間約20万585トンを輸入する。貯蔵タンクは8000キロリットル加湿タンクを4基設置。今後のスケジュールは7月から約2カ月、測量やボーリング調査、土壌固有値抵抗測定調査を行い、10月ごろに地元に事業計画概要を説明。適地との結果が出て、地元の理解が得られれば各種申請・契約などを進め、平成29年8月~30年3月に着工。工期は2~3年を予定し、31年2月~9月の運転開始を目標にしている。
 議会での質疑では「パーム油は主にインドネシア、マレーシアで生産されている。石けんや化粧品の原料になる固体を使う」「当社でパーム油のバイオマス発電は初めてだが、イタリアなどヨーロッパでは実績がある」「従業員は交代制で常駐する。地元雇用を含めてできる限り地域に貢献したい。燃料の荷役業務についても地元で採用したい」などと説明した。
 建設が実現すれば地元雇用など地域活性化、安定した燃料輸入で税関設置や取扱貨物量増加による日高港の本開港に大きく貢献すると期待されており、柏木市長は「長年の重要案件である日高港への企業進出に向けた大きな足がかりになる。御坊市、日高港の活性化に向けた起爆剤となり得るこの事業計画が実現できるように、良好な調査結果が出ることを期待している」とコメントした。


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