紀州新聞 THE KISYU SIMBUN ONLINE

和歌山県の御坊市と日高郡をカバーする地方紙「紀州新聞」のウェブサイトです。主要記事、バックナンバーなどを紹介。

御坊日高の肺がん死亡率 全国ワースト男性12位、女性24位 〈2016年6月1日〉

2016年06月01日 08時30分00秒 | 記事

肺がんに大きく関係するとされるたばこ


 このほど発表した東京大学公共政策大学院医療政策教育・研究ユニット(HPU)の2次医療圏別のがん死亡率の分析で、御坊市周辺地域の肺がんの死亡率が全国344医療圏のうち男性がワースト12位、女性がワースト24位と極めて高いことが分かった。がんの死亡状況を示す標準化死亡比で男性が123・4、女性が123・8とともに全国値(100)を20ポイント以上もオーバー。肺がんには喫煙が大きく影響していることから、日高医師会(高辻幹雄会長)では31日からスタートした禁煙週間に合わせ、禁煙と健康意識の向上を呼びかけている。

 HPUが地域のがん対策改善を目的に算出した「全国地域別・病床機能情報等データーベース」による数値。2次医療圏は、都道府県をいくつかの地域に分けてその地域で一定の疾病や治療に役立てる試みで、国が実施した人口動態統計に基づき、2008年から12年の5年間に死亡した人の標準化死亡比を算出した。
 和歌山県は7つの2次医療圏に区分。肺がんの死亡率は男性が標準化死亡比139・9の北海道の遠紋がワースト1位。2位の徳島県西部、3位の北海道の南槍山、4位の香川県小豆は130台で、以下御坊日高周辺など17医療圏が120台となっている。女性は169・9の北海道宗谷がワースト1位で、2位は162・9の福岡県田川。以下150台が2地域、140台が3地域、130台が5地域で、以下13位から御坊日高周辺など120台の地域が続く。御坊日高は男女とも県内ワーストトップで、2012年の都道府県別の肺がん死亡率でワースト4位と高い県内(国立がん情報センターのデータ)でも、肺がんのホットスポット地域といえそうだ。喫煙と肺がんの関係は深く、肺がん死亡率1位の北海道、2位の青森は喫煙率もそれぞれ1位、2位と高く、これに対してがんの死亡率が低い福井県は喫煙率が42位と低く、長野県が全国平均寿命1位となったのは、喫煙率低下も一因とと見られている。
 近年、健康志向への関心の高まりや県でも「たばこ対策指針」や「がん対策推進計画」など策定し、官公庁の喫煙対策や医療機関の禁煙、職場の喫煙対策、講習会や禁煙外来・クリニックなど禁煙支援、健康への影響についての知識普及の啓発などに努めており、日高医師会でも喫煙率の減少へ2005年から小中学校で喫煙防止の出前授業を実施、2012年からは成人式で呼びかけるなど、若年層への喫煙防止に尽力している。県内の喫煙率は全体的に低下傾向で、現在、県の喫煙率(2013年度発表)は19・8%で全国平均21・6%を下回っている。ただ、小学生5・6年生を対象とした調査では、出前授業を受けた児童は、受けていない児童より、たばこの害への知識が高いものの、両者に喫煙意識や喫煙行動に差がないことが分かり、若年層への将来的な喫煙率低下への効果は乏しい状況で苦慮している。日高医師会の医師は「肺がんの死亡率ワーストランク入りの汚名を返上できるよう、妙案を得て、地域での多彩で有効な対策を実施していきたい。行政でも地域の健康推進へ効果的な対策をお願いしたい」と話している。
 今回分析された2次医療圏のがん死亡率は肺がんほか、胃、大腸、肝の部位別と全がんの4項目を男女別に調査。県全体のがんの死亡率は全国ワースト上位だが、御坊日高は全がん男性で標準化死亡比112・9の23位、胃がん男性でも125・0の18位で、肺がん男女を含めて4部門でワースト30に入っている。ほか、ワースト順位で全がん女性が88位、胃がん女性が58位、大腸がん男性127位、女性110位、肝がん男性84位、女性135位でいずれも標準化死亡比は100以上と高い。


その他の主なニュース

 平成37年目標に病床再編、御坊圏域30%削減

 日高川町の旧中津村庁舎が老朽化で解体へ

 御坊市の名田、塩屋園児がJR御坊駅で「旅育」 電車や駅について学ぶ

 小学生サッカーのブラスト(日高町)がWTV杯、美浜、湯川がスポ少県大会へ