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寺井陽子さん(日高町保護司)に藍綬褒章、長年の更生保護活動をたたえる 〈2015年4月29日〉

2015年04月30日 08時30分00秒 | 記事

寺井陽子さん


 平成27年春の褒章の受章者が決まり、日高地方から唯一人、長年にわたって保護司を務め更生保護活動に尽力した、日高町小池608、寺井陽子さん(74)が選ばれた。県内の受章者は寺井さんを含め7人。伝達、拝謁は5月15日に東京で行われ、銀杯などが贈られる。

 県職員として日高振興局に勤務していた寺井さんは婦人福祉士、婦人相談員を務めていた関係から48歳の時に保護司に任命された。犯罪者の更生を手助けする業務で、保護観察となる執行猶予期間に当事者と面談し再犯防止に取り組む。
 最初は窃盗犯が主だったが、途中から薬物犯罪が増え、26年間で関わったのは6人(延べ8~9件)。10歳代から30歳代後半までの若い年齢で罪を犯した人たちに手を差し伸べてきた。
 有罪だが執行猶予付き、初犯で刑に服さなかった人を対象に、和歌山保護観察所から依頼を受け支援にあたる。面談は月に2、3回、寺井さんの自宅で行い、生活状況など相手の話に耳を傾け、同じ過ちを繰り返さないよう説く。
 これまでに対応した10歳代の若者は2人で、いずれも窃盗罪。その背景には親の離婚など家庭環境が関係していたという。犯罪は時代とともに変化し、最近はインターネットで薬物が簡単に入手できることから、薬物犯罪が増えるなど「世相を反映している」とも話す。
 深刻化する薬物犯罪については、経済的な事情が大きく関係。仕事に就いてもうまくいかずやめてしまったり、仕事が見つからないなどを理由に、再び薬に手を出し再度保護観察となる事例もあった。「長いこと薬物をやっていなくても、何かのきっかけで始めることがあるので、面談するたびに更生してくれるよう願っていました」。
 これまで関わった人たちの中で再犯となったケースもあったが、中には更生して新たな生活を送り、手作りの野菜を届けにきてくれるなど、うれしいこともあった。「人生経験のない私に務まるか不安でしたが、保護司になったお陰でものすごく勉強させて頂いた」と振り返る。日高町社会福祉協議会長、同町更生保護女性会長も務め、社会を明るくする運動や薬物乱用防止運動の啓発にも積極的に関わる。
 趣味は若い頃から取り組む華道(未生流)と茶道(裏千家)。華道は月に2回、公民館で指導しており、茶道は祖母が残した茶道具を愛用し、自宅で仲間と一緒に茶を点て楽しい時間を過ごす。時間ができれば野菜作りに精を出したいそうだ。
 寺井さんは「受章は保護観察所、保護司の皆様はじめ、家族の理解のお陰で頂けるものと思っております。保護司は75歳までで、残り少ない年月を一生懸命務めさせて頂きたい」と話している。


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