晴れだ
蝉
鳴く
朝
小さなクモを
巣の方へ
足をばたばたやって
追い込む
人間がつくったアスファルトで
人間に踏まれる前に
お帰りなさい
自分の場所へ
日陰の板の上に
座っていると
あの日の
いちいちのできごとが
思い出され
いちいちが
美しい景となって
記憶されてゆくのだ
鳥がさえずりながら
寄ってきたことは
とりわけ
美しいことだった
もう二度はない
あの美しい夏の日
青い車は南へ向かった
雲が太陽の光をさえぎる
雲の上
太陽までの距離
白い雲
青い空
「信じる」の「信」は
人に言葉と書くのだな
火の粉
舞う
扇風機の風で
揺れる白いシート
旗は揺れ
今朝
亡き人の夢を見た
夢だと思わず
10メートル先に彼はいた
「…さん?」
そう呼ぶと
いつものはにかんだ笑顔で
うなずいた
夢から醒めて
本当に
夢でまた会うことだって
できるんだな
と思った
なつかしく
うれしかった
あー
いい風
---
富士山に行ってきたという
登山仲間の車に乗って
二人で
7号目まで車で行って
テントを張って
眠っては
夜に
懐中電灯を照らしては
山頂まで登るのだという
「雨が降るからカッパがいる」
彼はそう言う
「寒いよ上は」
と言う
へえ
と答える
蝉
鳴く
朝
小さなクモを
巣の方へ
足をばたばたやって
追い込む
人間がつくったアスファルトで
人間に踏まれる前に
お帰りなさい
自分の場所へ
日陰の板の上に
座っていると
あの日の
いちいちのできごとが
思い出され
いちいちが
美しい景となって
記憶されてゆくのだ
鳥がさえずりながら
寄ってきたことは
とりわけ
美しいことだった
もう二度はない
あの美しい夏の日
青い車は南へ向かった
雲が太陽の光をさえぎる
雲の上
太陽までの距離
白い雲
青い空
「信じる」の「信」は
人に言葉と書くのだな
火の粉
舞う
扇風機の風で
揺れる白いシート
旗は揺れ
今朝
亡き人の夢を見た
夢だと思わず
10メートル先に彼はいた
「…さん?」
そう呼ぶと
いつものはにかんだ笑顔で
うなずいた
夢から醒めて
本当に
夢でまた会うことだって
できるんだな
と思った
なつかしく
うれしかった
あー
いい風
---
富士山に行ってきたという
登山仲間の車に乗って
二人で
7号目まで車で行って
テントを張って
眠っては
夜に
懐中電灯を照らしては
山頂まで登るのだという
「雨が降るからカッパがいる」
彼はそう言う
「寒いよ上は」
と言う
へえ
と答える