千の天使がバスケットボールする

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シチリア島のマフィア逮捕劇

2006-06-12 23:03:48 | Nonsense
米国の脚本家組合が選ぶ「映画脚本ベスト101」の10位に、フランシス・F・コッポラ監督『ゴッドファザー2』が輝く。内容を説明するまでもなく米国に渡ったマフィアのコルネオーネ一族を描いたアル・パチーノ主演のこの映画は、素晴らしい傑作だ。けれども、この映画を好きかどうかは別である。

今年の4月、イタリアのシチリア島コルレオーネ村で「ゴッドファーザー」が逮捕された。ベルナルド・プロベンツァ-ノ、127件の殺人を含む終身刑(欠席裁判)を10回以上宣告された73歳。長老だが、罪の数と重さでは大物だ。

彼は、貧しい農家の出身。1980年代の大ボス、ルチアーノ・リッジョに「鶏ほどの脳しかないが、銃を打たせりゃ神様」という武闘派から、犯罪組織の階段を登るにつれて戦略家へと変貌をとげ、ついたあだ名が「悪の天才」。60歳で組織の頂点にたつ。この悪の天才は、天才だけあって政官財界まで網を広げ、企業に寄生して公共事業から利益を吸い上げるという経営戦略でも、その才能を遺憾なく発揮する。おかげで年間800億ユーロを稼ぐ優良な巨大企業へと急成長した。
ゴッド・ファーザーが43年間も司法の目から逃走できたのは、マフィアの沈黙の掟である。
村で「一家」について話すことは、命の保証がない。今回の逮捕劇は、ベルナルド・プロベンツァ-ノが発信者だった暗号で綴られた指令書をたどった結果、コルネオーネ村の中心から3㌔ほどの山あいに不審な農家が発見された。その農家から1.5㌔離れた地点に高性能ビデオカメラを設置して監視続けた成果である。勿論、村での聞き込みはいっさいしなかった。
その指令書では、ゴッド・ファーザーが権力を使うことに喜びを見出したことがわかるそうだ。
最後の犯罪は92年、マフィア撲滅を指揮したパオロ・ボルセリーノ判事たちを爆殺した事件への関与だ。5月23日まずジョバンニ・ファルコーネ判事が助手席に座っていた妻もろとも高速道路上で車が爆破された。その二ヵ月後の9月19日には、パオロ・ボルセリーノ判事も殺された。くしくも、ゴッド・ファーザー逮捕と同時期に行われたシチリア州知事選に、その殉職判事の妹であるリタ・ボルセリーノさんが立候補した。薬剤師だった彼女は、シチリア各地の小学校で「反マフィア」への講演活動をはじめ、95年には、マフィア支配に対抗する全州規模の共同組合運動「リベラ」創設に副会長として参加。政府がマフィアから接収した資産30億ユーロの一部をシチリア経済向上のための投資活動にも携わった。
70年末から80年にかけての「マフィア戦争」時には、州内で数千人の犠牲者がでたという。この時の恐怖によって、40代以上の島民にとっては「マフィアは存在しない」のである。

だからであろうか、反マフィアを掲げて中道左派統一候補として出馬したリタ・ボルセリーノさんは、41.6%で落選した。シチリアの州知事に就任したのは、53%獲得して保守系の地盤の強さを示したのが中道右派のバトーレ・クッファロー現職知事だった。彼は、マフィア組織を幇助した疑惑で、現在訴追されている。
イタリアのことわざに「正直であるためには、死ななければならない」という
この掟を守るために、バトーレ・クッファローは「事実無根」を主張している。

『ベッピーノの百歩』から、30年近い歳月がたった。シチリア島は、ルキノ・ヴィスコンティも映画にした美しい島だ。映画『山猫』は、政治家の小澤一郎さんを感激させた。「変わらないためには、変わらなければいけない。」一度は、この風光明媚な光をプラシド・ドミンゴの歌声とともに思いっきりあびてみたい。けれども、いつまでも変わらない素朴な自然を願うが、変わらなければいけないものも確かにある。
闇の世界に君臨するボスの中のボスを”カポ・デ・カピ”と言う。プロベンツァ-ノ被告は、現在法廷で黙秘を続けている。彼の後継者となる”カポ・デ・カピ”に、すでにふたりのボスの名前があがっているという。

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