勇気は、恐怖を小さ目にして、これに耐える。

2012年10月23日 | 勇気について

5-7.勇気は、恐怖を小さ目にして、これに耐える。
 危険に恐怖すると、動物は、逃げる。しかし、ひとは、逃げることが生にマイナスだと判断した場合、逃げないで、恐怖に耐える。ひとの勇気の特性は、自律的な理性の制御のもとで、恐怖に忍耐できることである。恐怖や不安を甘受し、逃走衝動などを抑圧して、勇気は耐える。大きな恐怖にも耐えられるようにと、これを小さめに感受できる工夫もして、ひとは、恐怖に耐え続ける。
 恐怖から逃げない勇気は、まずは、これを正面から受け止めて耐える。心身の恐怖反応とその辛苦を押さえ込み、恐怖に動転しないようにと、気合をいれて耐える。心のみか身体も対決的対応をとって、恐怖を噛み殺そうと歯噛みをし、握りこぶしを固めるなどして、恐怖を小さく押さえ込み、勇気は、逃げずこれを甘受して耐え続ける。
 ぶつかり押さえ込むのではなく、恐怖をかわ(躱)す手もある。禍い襲来の想像をやめ、その危険なもの以外にと意識・注意を向けるなら、恐怖にとらわれた心は小さくなって、躱しやすくなる。危険を意識するとしても、それの排撃にと攻撃的な構えをつくると、攻撃に気が移り、受身の姿勢の恐怖は、小さくなって、軽く受け流されるものとなる。
 勇気は、恐怖への忍耐の勇気と、危険に大胆・果敢な攻撃的勇気に二分される。恐怖に耐える勇気は、辛く困難なものだが、攻撃的勇気は、恐怖がなくなればおのずと湧き出すこともあるし、ときには快とすらなる。困難で肝要な勇気は、恐怖に忍耐する勇気である。