危険が大きければ、勇気もおのずと大きくなる。

2012年10月19日 | 勇気について

5-6-3.危険が大きければ、勇気もおのずと大きくなる。
 動物は、危険が大きくなるほどに大きく恐怖し大きく逃走してしまう。ひとも自然的には、そうである。だが、勇気を出して、ひとは、これに抵抗することができる。大きな危険には大きな恐怖をもつから、これを抑制するには、大きな勇気の忍耐力が必要となる。理性は、腕のためしどころだと渾身の力をこめて果敢に挑戦することになる。
 ひとには優れた適応能力があり、些細な危険には、小さな勇気で応えるが、大きな危険には、気合をいれて、大きな勇気を発揮することができる。筋肉は、対象しだいで、自在に力を加減する。大きな危険・大きな恐怖に、逃げるのではなく、大きな勇気をもって対決することができる。危機になれば、眠っていた勇敢な能力が目を醒ますこともある。心身の過度の負担防止にと無意識的に効かせている日頃のブレーキを解いて、異常時の異常な力を出すこともできる。
 もっと勇気をださねばというとき、そこでの危険を一層大きなものに解するとよい場合がある。大きな危険には、大きな勇気をもって対応できるからである(過度の恐怖がともなわない工夫がいるが)。油断していたり、突然だと、大きな危険に仰天し勇気が間に合わないが(たとえば、突然の轟音への驚倒)、大きな危険が迫っていると予め分かると、それに対応した勇気をもって構えるから、結構、平然とやりすごせる。
 杞憂で、大きな危険を想像して怯えるようなことがある。しかし、実際にそれに出合ったら、ほかのひとがうまく適応しているように、ふつう、適宜に変身して大きな勇気をだせるようになるものである。心配は無用である。日頃、臆病な者が、修羅場で、意外にも剛の者ぶりを発揮することも結構ある。