勇気は、恐怖の心身反応を抑制して、理性的に対処する。

2012年10月24日 | 勇気について

5-7-1.勇気は、恐怖の心身反応を抑制して、理性的に対処する。
 ひとの勇気における恐怖忍耐の決断は、自律理性に発するが、恐怖抑制のその具体においても理性が指導的役割りをになう。危険もその恐怖も、未来の禍いを想像することで成り立つ。慣れないと想像は過度に悲観的になり、過度の恐怖をいだく。理性は、危険を冷静に観察し事実に即した分析をおこない、危険への過度な妄想を抑止し、恐怖を鎮める。脅されて恐怖・不安にとらわれると、短絡的対応をしがちだが、理性は、妄念と恐怖を沈静化し、焦らず合理的な対応をとらせるようにする。
 恐怖は、感情として心身反応をもつ。心の抑制のみでなく、身体も抑制することが勇気には必要となる。基本は、恐怖と反対の身体対応をして、恐怖に萎縮した身体を弛緩させ、恐怖を小さくすることである。不安で呼吸が浅くなれば、深呼吸をし、筋肉が恐怖で緊張・萎縮すれば、これを解きほぐすような対応をすることになる。気持ちが上ずれば、気を臍下丹田にと下げるようにする。身体を反恐怖ののびのびした状態にもっていければ、心も自ずからそういう方向へと向けられていく。
 恐怖は無化できなくても、それを外に出さないようにすることが勇気に求められる場合もある。逃走衝動はあってもこれを心の中に留めることである。逃走衝動を無化できなければ、勇気は、それが身体を動かさないようにと坐る対応にでる。恐怖の叫びの抑圧には、口をつむり歯噛みをして対応する。